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安東ウメ子 - イフンケ アイヌの清らかな湧水のような謡・音

Umeko Ando - Ihunke (bandcamp)
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安東ウメ子さんは1932年生まれで2004年に逝去された北海道帯広市フシココタン出身のアイヌの音楽家/文化伝承者で、OKIさんと共に2枚のスタジオアルバムを残しています。

私の中でアイヌ音楽のオリジナルのイメージは『アイヌ・北方の芸能』に収められている歴史的音源なのですが、安東ウメ子さんの1stは最もアイヌの原液に近く感じる現代POPで。逆に2ndの『ウポポ サンケ』はトゥヴァの喉歌やパーカスが入ってより聴きやすいオーガニックポップになっているかと想いますが、この1stの基本的にはウポポやリムセといわれる謡とトンコリという弦楽器、ムックリという口琴で奏でられるアイヌ音楽の濃さがより好みかな。

勿論『イフンケ』も大分現代化したアイヌ音楽で、古臭さは感じません。アイヌ音楽というと装飾性がそこまでなく、まるで冷やっこい清流に手を入れてかじかむような素朴で美しい感性にあふれた音楽というイメージで。もしかすると日本列島の音楽で最も清らかなのはアイヌ音楽なんじゃないかなと想います。

アイヌという民族を知ると、自然と認識範囲がサハリン、そしてユーラシアへ伸びていくもので。日本人の文化的な源流へ思いを馳せることになりますね。それはユーラシア人としての日本人を認識することにも繋がるかもしれませんし、さらにはアラスカへ抜けていくグレートジャーニーとしての人類史まで心は広がるかもしれません。

この音楽は深い夜の、あるいは昼間でも誰もいない野原のような、静かな中で音に浸った時に、その精神性を本質的に味わえるのではと想います。是非秋の夜長にどうぞ。Apple Musicで聴かれたい方は「安東ウメ子」でなく「Umeko Ando」で検索するとみつかります。






by wavesll | 2023-09-26 01:53 | Sound Gem | Comments(0)
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