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三代目猿之助 スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の衣装が凄い!

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追悼 市川猿翁 スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」アンコールをみました。

哲学者 梅原猛が三代目市川猿之助(二代目猿翁)のために書き下ろし、神話のヤマトタケルの波瀾の半生を雄大なドラマに仕立てた本作は、昭和六十一年に初演され、”スーパー歌舞伎”という新ジャンルを築き上げた歴史的作品の95年の上演回。

これが本当に凄かった!何が凄いって煌びやかな衣装!毛利臣男さんによる衣装は今見ても先進的というか、豪奢であり瀟洒であり、例えばヤマトタケルの父の帝はまるで中国皇帝のようだし、女性たちの衣装も時に艶やか、時に爽やか、そして時に葬送な出で立ちで。敵役のクマソタケルや伊吹の神々などの造形も歌舞伎でありながら神話性があって。そして幾度も衣装替えがあるヤマトタケルの衣装デザインはどれも勇壮で美麗で、あの みづら(美豆良)なヘアスタイルを煌めく稲穂で固めるとか発想からして凄い!まだ当時日本に金がうなっていたのを感じさせる、非常にファッショナブルな歴史絵巻で、これは衣装をみるためだけにでも見る甲斐がある舞台でしたね。

ヤマトタケルの物語は熊襲への男の娘ストラテジーとか大体は知っていたのですが、その死に繋がる伊吹山(岐阜・滋賀県境)で闘う神として巨大な白猪と対峙することになるのは、”あ、このスーパー歌舞伎の初演は1986年だから、『もののけ姫』はここからというかヤマトタケルの物語からも着想を得たのか。”と想って。そして美空ひばりやきゃりーぱみゅぱみゅもびっくりの白く華麗な白鳥の姿での宙乗りは、堂本光一の「SHOCK」の祖先なのだなぁと。これは凄い舞台でしたね。

今回のスーパー歌舞伎での「平定する」ことを「平らげる」とするセリフ回しも印象的でしたが、梅原猛氏による脚本というとスーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』も印象的で、きっちりした物語になってましたし、このヤマトタケルで示されたうつくしさの基準はその後の大田楽などの現代に古代社会を浮かび上がらせることにも影響を与えたと想うし、このハイファッションぶりは『落下の王国』にも比肩すると感じました。好いものみれました。






by wavesll | 2023-11-11 23:51 | 舞台 | Comments(0)
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