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大友克洋『MEMORIES』空想の可能性を感じさせる3本立てのオムニバスアニメ映画

メモリーズ (1995) 予告編
大友克洋『MEMORIES』空想の可能性を感じさせる3本立てのオムニバスアニメ映画_c0002171_04365031.jpg
大友克洋監督が『AKIRA』から7年後に放った『MEMORIES』を日曜アニメ劇場で観ました。

これは三本のアニメーションによる2hの作品で、最初の巻の『彼女の想いで』では『AKIRA』でみせた薬物的幻覚感覚がさらに推し進められたような夢幻世界が宇宙探査を舞台に描かれて。スタッフロールをみると今敏さんが脚本で関わっていて”あぁこれがのちに繋がっていくんだなぁ”と。アニメという表現自体が現実とパラレルな情報化・幻視化であり、こうした薬物幻覚的な記憶のカオスな情報化と相性がいいのでしょうね。音楽は菅野よう子さんだし。

そして二本目の『最臭兵器』はひょんなことから飲んだ薬のせいで人をばったばったと死に至らしめる位の激臭を放つことになってしまった男の顛末をみせて。これがまたしてもスタッフロールをみると音楽で三宅純さんや村上ポンタさんが関わっていて。これは冒頭の山梨の朝番組のショットとか、”あぁこういう現実の再現みたいのもアニメの快楽の一つだよなぁ”と。

さらに三本目の『大砲の街』ではキャラクターデザインがまるで欧州の絵本のようなヴィジュアルで。ちょっと音楽はトルコの軍楽も入ってるかな?こういう画風のアニメもすっごくいいですね。『彼女の想いで』と『大砲の街』を手掛けたのはスタジオ4℃で、『最臭兵器』はマッドハウスが手掛けて。この『大砲の街』にはジブリも関わってるみたいで。さらにOP/EDのテーマ曲は石野卓球によるもの。

こうしてスタッフロールを中心に話してしまったのですが、みていて普通に凄く楽しいというか、世にも奇妙な物語の良作回をみているような愉楽があって。これは製作期間とか手間的に難しいのでしょうが、こういうクオリティが例えば1クールアニメとかでみれたら、最上の娯楽だし、いいスタッフがいい仕事を貰って実力を発揮する最高のサイクルを、ブラックだといわれる日本のアニメ産業が成し遂げられないものかなぁなんて思ったりしました。いや、ほんと良作なアニメ・オムニバス映画でした。


by wavesll | 2023-11-14 04:52 | 映画 | Comments(0)
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