Faraj Suleiman - As Much As It Takes
パレスチナ北部のアッパーガリラヤ出身で今はパリをベースに活躍するピアニスト、Faraj Suleiman。彼が今年9月に発表したアルバム『As Much As It Takes』がとてつもなくかっこよくて。
「パレスチナ音楽」のイメージをかなり刷新する、中東を感じさせながらも極めてクールで、そしてアグレッシヴなジャズ。これは凄みを感じる。
今、パレスチナはイスラエルからのジェノサイドに襲われている報道が日々届いて、Farajさんも心を痛めていると想います。ガリラヤというとイエスが説法をした山の上の垂訓教会がありますし、そもそもベツレヘムもパレスチナですが、今年はベツレヘムではクリスマスを祝う行事の中止が呼びかけられているそうです。
そうした時に音楽をかけるなら、ネゲブ砂漠を吹き荒ぶ風のような、パレスチナの文化的アイデンティティを感じる音が聴きたい。Farajさんの音は今のこの厳しすぎる荒涼とした中東情勢の中で、真情に訴えるものを感じて。アラビア語の挨拶、「アッサラームアレイクム」は「あなたに平和がありますように」とも訳せますが、すべての人に「سَلَام サラーム」が訪れるのを切に祈念します。