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東京バレエ団「かぐや姫」 金森譲振付によるSFな御伽噺バレエ

Kaguyahime - Jo Kanamori - Tokyo Ballet
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深夜に起きたらちょうどNHKBSプレミアム4Kのプレミアムシアターで東京バレエ団の「かぐや姫」が始まって。

日本人のバレエにはちょっと穿った見方を私は持っていたのですが、このバレエの素晴らしさには大変に感銘を受けて。

Noismの金森譲が振付をしているのですが、上にYoutubeを載せた冒頭の竹林に翁が向かう場面から竹の精?達の演舞からしてどこか超現実的な世界で、そう、かぐや姫ってSF的な世界なんだなって。

竹からみつかった稚児がすぐに成長して美少女として登場するのですが、それがまるで『フィフス・エレメント』のミラ・ジョボビッチみたいな恰好で。
先ほど日本人のバレエに斜めの目線を向けていたと書きましたが、日本人のSFにもどこか気恥ずかしさを私は感じていたのですが、このバレエ「かぐや姫」はSFとしてもとても美しく映えていて実にルックが壮麗で。それはかぐや姫を演じる秋山瑛の綺麗さが大いに輝いているのもあると想いました。

物語構造的には高畑勲『かぐや姫の物語』を経た、いま描かれるべき竹取物語の姿が描かれていて。山村の初恋の相手(捨丸?)への想いを強くかぐやは持ち互いに惹かれていたけれど、翁の立身出世の価値観から都へ連れて行かれ、そこでの軋轢のある宮廷生活で二人は離れ、再び会おうとするも、ようやく再開した時には捨丸には妻子がいて、直截的にはそのショックからかぐや姫は月の使者を呼び寄せて。

一種の現代的な恋愛・純愛の(一面では排他的にもなる)価値観と、社会的な栄生・権力の対比、そして現実の愛情も決して甘いだけではないという現世の写し絵の中で月の姫が物語を生きる姿。これは面白かったですね。

日本はガラパゴスだガラパゴスだと前世紀の終わりから言われていましたし、バブル期のカネに物言わせる栄華は去ったけれども、21世紀の日本人が令和の世になってグローバルなレベルで勝負をするチャレンジ・スピリットが今こうして萌芽・生長しているなと近年感じていて。なんか20sも半ばになってきて、新しい時代の黎明から昇れる朝日が顕れてきているなと感じています。

by wavesll | 2024-09-23 12:00 | 舞台 | Comments(0)
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