A-WA - Habib Galbi (Album on Youtube)
この九月で惜しくも終わってしまったJ-WAVEでサラーム海上さんがやってられたOriental Music Showはアラビア、南アジア、北アフリカ、地中海などのオリエンタルな音楽を取り上げるという唯一無二なプログラムで、毎週未知の音楽の扉を開いてくれていました。
このA-WA「Habib Galbi」は番組のOPテーマで、まさにオリエンタルなフレイヴァーを感じさせる楽曲だなと思っていたのですが、実は彼女たちは
バルカン・ビート・ボックスのVo.トメル・ユーセフが発掘&プロデュースしたイスラエルの女子3人組で、
故オフラ・ハザが歌ったことで有名になったイスラエルに伝わるイエメン民謡を、バルカン・ビート・ボックス直系のダンスホール・サウンドで三人のユニゾンで歌っているもので。
イスラエル国内でアラビア語の歌がこれほど大きくヒットするのは初めてであり
逆にイスラエルのアーティストが、アラブ諸国でも公然とヒットするというのもこれが初めてとのこと。
今、世界は米国大統領にトランプを迎えることになり非常に危機の瀬戸際な状態というか、トランプ、ネタニヤフ、プーチンが悪の枢軸として殺戮を撒き散らしていく世界の不安定化が非常に恐ろしい状況で。特にイスラエルはガザをジェノサイドするだけに飽き足らずレバノンにも戦禍を拡大し、イランともミサイルを打ち合うという邪悪な国家の極み、極悪の限りの民だなという印象で。
私は実際イスラエルの音楽を聴くのはどうにも厭な気持ちになります。ただサラームさんは
OTYKENなどのロシアのバンドを紹介したり、
Rusan Filiztek等クルド人の音楽を紹介していたりしていて。それは民族と民族が憎しみあったとしても、音楽はサラーム(平和)をもたらすという信念故でしょう。
マルクスは下部構造が上部構造を規定するといい、芸術や宗教よりも経済の生産能力こそが人間社会を決めると言って。その意味ではユダヤ人は商才に長け、さらには政商的な動きにも強いですからパレスチナを圧倒しているでしょう、才能を伸ばす仕組みもあるから、こうして素晴らしい音楽も造れる。ただ私個人としては村上春樹がエルサレム賞のスピーチで述べたように壁と卵なら卵の側に立ちたいです。
そうした時に、いわば「敵性音楽」にどう向き合うか、魅力が在るのは間違いないけれど、それを楽しむのは虐殺への加担ではないか?という葛藤と、この曲が成したようにアラブとユダヤへの架け橋に音楽が成れるのではないかという夢想の狭間で、グローバル音楽聴きとしては懊悩をせざるを得ないなぁというのが正直なところです。
音楽に限らずカルチャー全般への話で「その人間の人間性や思想がクズでも、藝術作品に罪はない」という意見があり、私もそれに賛成していたのですが、今回のパレスチナ・ガザ地区やレバノン等でのイスラエルによるジェノサイドにおいて、例えばタランティーノとかがイスラエル支持に回った時に、本当に好きな藝を生み出す者が本当に許せない思想の支持者であるという、「その人間の人間性や思想がクズでも、藝術作品に罪はない」というこの問題に関する本当に苦しい局面に置かれた想いで。それは
Pinhas & Sonsや
Gilad Hekselman等イスラエルジャズの質の高さへの、いやそれ故のアンビバレンツな想いがあります。
今、真情として聴くとしたらパレスチナの音楽だと感じます。例えば
NTSのMIXであったり、
であったり。
この民族紛争の終わりない仕返しの連鎖に対してネタニヤフがやろうとしている「パレスチナ問題の最終的解決」以外の道を、本当を言えばイスラエル人自らが自分たちの邪悪さを認識し悔い改めることで開けないものか…。それも含めて、今はイスラエル国家が行う所業を否定しつつも、現実的な解は見出せませんね…。