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兵庫県知事選によせて

昨夜は茶の間とSNSに衝撃が走りましたね。

パワハラの告発者が自殺し、議会から不信任を突き付けられた前兵庫県知事だった斎藤元彦が再選されて。

彼は議会から満場一致でNOを突き付けられ退任時に誰一人職員の見送りがなかったことから、再選されてしまい少なくとも短期的には県政は機能不全になるでしょう。

石丸もそうですが東大京大のコミュ障というか、相手を説得する能力に著しく欠けていて、相手の気持ちを慮れず、権力を振りかざし「抵抗勢力」と対決するアティチュードがあって。政治家の力量って如何に利害調整し破滅・破綻・戦争でなく自分の意見に全体をハンドリングするかでしょうし、端的に政治能力が欠落していて。

まぁ国政も強行採決が常態化とか、最早品性も何もなく「それをやっちゃぁおしめぇよ」が長く続きすぎましたね。ダイアローグがこの国の政治から欠損してしまった。

さらに今回の選挙戦では先の都知事選で石丸陣営が行ったネット戦略がさらに進められて行われたというか、圧倒的物量な斉藤支持ポストに関してはクラウドワークスにて石丸ともども斉藤支持のネット工作の金銭報酬仕事案件が求人され、恐らくは選挙演説にも動員があった上でSNSに上げられた演説に集まった群衆画像には加工疑惑もあって。

と、共に「利権にメスを入れた斉藤は嵌められた」というストーリーを件のネットチームやN国の立花孝志などが展開し、さらに週刊現代もそれをアシストする記事をXで公開し、「かの職員は不倫をばらされたくなかったから自殺した」というストーリーが立花などが出した音源などでまことしやかに触れ回り、かなりの人が「ネットで真実」を信じ込んでしまったことがあります。

よく”意識高い系のヒト”が「投票率を上げなければならない」といいますが、今まで投票に行っていなかった人の掘り起こしをハッカーによってハックされてしまったのが今回の選挙で。

多分、投票率を上げた時にまともな候補より陰謀論トンデモ候補の方が有利になってしまうのは、まともな候補の政策論議はプラス面もあればマイナス面もあって、ともすればクソ同士の中でマシなのを選ばなきゃならず投票に行く魅力が低いのに対し、トンデモ候補は己に関してはプラス面だけを嘘ついて騙り、対抗馬には虚実ないまぜにマイナス面を騙り尽くすから善悪がはっきりとみえて魅力的なのでしょう。

「欲望の資本主義」だったかな?で「現代の最大の商品はFake(嘘)だ」みたいなことが言われていましたが、ネットやSNSの隆盛により物理空間の比重が情報認識の上で下がったことで、現実・事実より「コンテンツ/ナラティブ/ストーリー/ネタ/フェイク」に人々が没入するようになって。

皆さん私なんかより世間知に長けてるのだから、提示されてるファクトを検討して欲しかった。パワハラで2人殺した疑惑の斎藤元彦は百条委員会で真実を誓約した上でパワハラ行為を認めてるのに選挙戦終盤でパワハラしてないと言う、政治人として誠実さを欠く真っ赤な嘘つきであり、統一教会の新聞である世界日報が斎藤元彦を応援していました。

本来は立花が出した音源や週刊誌の記事など、真偽が不確かな情報を新聞・テレビなどのマスメディアがファクトチェックすべきだったところですが、今回彼を支持した兵庫県の人々にとっては議員・公務員・マスメディアこそが「悪のエスタブリッシュメント」で陰謀の主体と捉えられていたのでしょう。U.S.のトランプ支持もそうですが、所謂「いい暮らしをしている自分は真面目だと思っている人達」が“俺は努力してるしこれ位はいいよね”と当人的にはそれぞれがちょっとずつ獲てきた取り分がイマ既得権益だとヘイトされているのかも。

何を以って「エヴィデンス足りうるか、信じるに足りる情報か」という時に、伝統的な報道機関と同等、いやそれ以上にネットの情報が重視されてしまった事実。もっといえば、例えば立花の出した音源だとかにレガシーメディアが怪文書として向き合わなかった、”そんなネットなんかとるに足らないものを相手にしない”とあぐらをかいていたことも今回の結果に繋がったと思いますし、兵庫県の人々も遊びで票を投じたのでなく、よくよく真面目に最良の道を考えて投じたのですから、外野からとやかく言われたり馬鹿にされたら不快千万でしょう。

とはいえ、トランプと斉藤の当選という日米の選挙結果は、恐らく日本の国政選挙にも今後、同じような勢力が同一あるいは更に巧妙な手口で空中戦を仕掛けてくるでしょうし、社会を攪乱しようとする勢力を他人事として放っておくのは恐ろしいものが切実にあります。少なくとも今後はどの候補もネット対策を本格化しないとどうにもならなくなりますね。若年層を考えるとXもそうですがそれよりTikTokやYoutubeの動画での情報発信が主戦場になりそう。

と同時に、そもそも行政やマスメディアが信頼されなくなったり陰謀論が跋扈するようになる素地は、「法治国家への不信」から生まれていると感じます。自民党の裏金に加え統一教会、創価学会、日本会議による政治家への支配もそうですし、卑近な處だとLUUPやメルカリ、リクルート、ソフトバンク、経団連、竹中派遣会社などの政商の働きかけで法正義が歪んだり、あるいは川口・蕨のクルド人や中国人の犯罪が法の下の平等とは違うように感じる扱われ方を警察がしていたりするところに疑義を持つことが陰謀論の入り口になっていたり。

またテレビでいうとやたらめったら韓国を取り上げていることが”それっておかしくない?”と想われたり。今回の兵庫県知事選でも外国人参政権に関して稲村氏がポジティヴだという情報が出回り、それを火消しをしきれなかったのも敗因に思えて。レイシズムというのは最大のポピュリズムなのは米国大統領選でも明らかでしたね、陰謀論側はそこを衝くもので、はっきりとそこに応える必要が、少なくとも稲村氏が勝つためには必要だったかもしれません。また「しばき隊」等が悪い印象を撒き散らしたのも敗因だったと思います。外国人参政権のこともそうですが、一度否定したらそれで済むという問題ではなく、幾度も幾度も蟲のように出てくるネガティヴ・ポストをモグラ叩きしていくコストを今後の選挙では勘案しないといけないでしょう。明確にそれを大々的にアピールする必要があったけれど、リベラルの支持層を失うのを恐れたのかもしれませんね。

民衆のゼノフォビアであったり、貧困からのルサンチマンであったり、あるいはそもそもの法治国家への不信を利用して、理性というよりパトスに於いての選挙戦が、ネットを主な舞台に展開された兵庫県知事選、その手法が成功を収めてしまいました。根本的な解決には、法の下の平等と公平・公正な社会の成立と、経済的な余裕が必要で、それがないと世代などで分断を仕掛けられ、本当の巨悪がぬけぬけと笑っている世の中が続いてしまうのは暗澹たる気持ちがあります。さらに言えば今後ますますディープフェイクを始めとする生成AIによる偽情報も出回ることになるでしょう。ポストトゥルースの時代に於いて信頼性の高いジャーナリズムのプレゼンスが喫緊に求められます。

ただ、そもそも上に書いたような「良識ぶったサヨクの正論・態度」自体が嫌われている感もあって。それを反知性主義だなんだ言っても、多数決の正義で選挙は決まるのだから、本当の意味でリベラルが向き合うべきなのは、いわば大衆の欲望というか抑圧というか、少なくとも彼らのパトスを肚落ちした上で「伝わる論理」を語ることであろうと思います。

最後に私自身のパトスを述べれば、立花孝志という人物は、最初はメディアやネット民も面白がっていたキャラがどんどんと危険な存在感を増してきているのは、オウムと似た匂いを感じますね。撹乱分子というかカネの流れ等を探り監視する公安マターな気がします。

by wavesll | 2024-11-18 18:51 | 私信 | Comments(0)
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