HWI - humanly possible (bandcamp)
この快楽中枢を融けさせる音は凄い。エイジアン・ミュージック・ニュー・ヴァイブズで紹介された韓国の電子音楽家HWIによるこの1stはKim DoeonやシリカゲルのKim Hanjoo、またLang Leeなどの声での参加がありつつ、実験性とポップさを両立させた多幸感あふれる電子音になっていて。
何でも韓国では「渋谷系」はDaishi Danceやm-floなどのゼロ年代の電子音楽的なJ-POPを指すらしく、本作にも”渋谷系”的感覚がインサートされているのかもしれません。いやしっかしこの音は凄い!
シュルレアリズム的、あるいは未来派的なジャケットが顕すように、この苛烈な現実情勢の中で一種の超現実を以って人間性を再帰させる意図があるというようなことがbandcampの解説に書いてありました。
今の分断の怒号があふれる情勢に於いて、単なる正論の声を上げるだけではますます軋轢が暴発してしまう際に、一種脳内麻薬で柔和な精神状態を創ることでポジティヴな世界にするメッセージが届きやすくなるところはあるかもしれません。それは鮮烈なフェイク情報が跋扈する現代に於けるFightの仕方なのかなと。幾ら「倫理的正義」が唱えられても、結局藝術としての悦びが無ければ廣くは響きませんからね。
イマ盛り上がるアジアの音楽シーンで昇り龍となっているアジアの虎、韓国、KPOPアイドルだけでなくこうしたインディ的なアーティストが風通し良くいい音楽を創っていくフレームワークがあるのは凄くいいなぁと想いました。