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BS1スペシャル 「独占告白 渡辺恒雄 ~戦後政治はこうして作られた 昭和編・平成編」をみての呟き

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今年に逝去した読売新聞主筆、ナベツネこと渡辺恒雄。彼に2019年から2021年にかけてインタビューした番組がNHKで再放送されていて。

ちょっと凄い番組だったので、それをみながら呟いたものをここに推敲して記録しておきます。

ナベツネの戦中時代の語りで、学生時代反戦であった、それも「こんなの負けるに決まってるんだから」反戦というのは、当時のインテリ庶民は当然の情勢判断が出来ていた、それでも政府が暴走するのを止められなかったというのは、にんともかんとも、と思わざるをえない。「次」を我々は止められるか…?

ナベツネ、山村工作隊への潜入で殺されかけてのスクープ取材から政治部へ異動、そしてナベツネの前で現ナマが飛び交う戦後政治をみてきた。自由民主党の結成時もみた。昔の、人間の迫力、胆力の極みみたいな時代だなぁ

ナベツネの頃の同期みたいな記者は三宅さんとか、西山太吉か。西山太吉て山崎豊子のアレじゃないか。昔の人間より今の人間の方がテクニカルな知識はあるのだろうが、昔の人間の脂の乗った人間的迫力は、ちょっと凄いなあ

日米安保のために児玉誉士夫から、岸信介が大野へ総理を譲る密約をみせてもらったが、いざ総裁選になると岸は大野との密約を反故にして池田勇人を総理に。クリーンになって無菌状態で育った政治家と、暗部と権謀術数と裏金が飛び交う中でのしあがってきた政治家、どちらが胆力があるか。

自民党の要人、大野伴睦と韓国の軍事政権No.2キム・ジョンピルを引き合わせ、日韓国交正常化に於いてキーとなる働きをナベツネしたのか。本当に政治・外交というのは人間同士の機微というか、コミュニケーションそのものなんだな。ネット世代とは人種が違うと言える。ナベツネ、戦後を造っている。

ワークライフバランスなんて言葉もないというか、家庭も顧みず仕事に全身全霊、時に法律とも対決する。今もコンサルとかIT系はそうなのだろうか。メディア人、ジャーナリズムに於いてナベツネは一種の鬼というか、根性が筋金入っていたなぁ

中曽根と正力松太郎は原発によるエネルギー自給で一致する。時の米国大統領ケネディの選挙パフォーマンス術本をナベツネが翻訳し、中曽根がそれで勉強。当時の日本国総理は闇将軍田中角栄。中曽根と角栄を結びつけたのもナベツネ。凄すぎて笑けるなこりゃ。そして中曽根総理は官邸に権限を集中。

昭和から平成へ。冷戦崩壊そして昭和の金権政治はもう持たず小選挙区制の導入は55年体制崩壊で細川政権が行う。

ただ令和の今からすると死票は増え、政治は極から極へ行き、政治改革は政治家の器を小さくもしたなぁ。

ナベツネが画策した自自連立政権。野中と小沢を取り持つ。だが自民の狙いは公明連立だった。公明は自民と連立する緩衝材として自自連立体制をつくることを望んでいた。そして自自公連立政権ナベツネは池田大作とも懇意だったのか。宗教と哲学の話を飯を食いながらしていたのか。自由党は連立から抜けるが、自自連立の政策的合意として党首討論が始まったのか。

読売巨人軍オーナーとしてナベツネは野球協約をそらんじる迄勉強した。ルールを武器としてブレーキとして使った。が、1リーグ制騒動あったなぁ。ナベツネの「たかが選手が」の失言で潰れた。ただ未来の今からみれば巨人は沈み、パ・リーグはホークスをはじめとして躍進したな

ナベツネ、運動音痴だったのか。経営者としての合理的戦略はあったが、野球選手や野球ファンの心情への理解は、なかったんだなぁ。哲学専攻だものな、ナベツネ

ナベツネは自衛権を持つように憲法改正することを幾度も読売新聞で提言報道するが、それは「ほんとうのリベラリズム」を始めるためだと。骨抜きされ“かつての道”に戻らないためだと。小泉の靖国参拝も批判。ナベツネは靖国は戦争礼賛に利用されてるという。

ナベツネ、反戦だが憲法改正論者、一面的な人物ではない

ナベツネは安っぽいイデオロギーに支配はされてないんだよな、あくまで己の智を総動員して日本を良くしたいリアリストだった。近年のネトウヨ的、神社本庁とか統一教会に毒されたエセ保守とは一線を画す、戦争観はリベラルながら政治思想は保守の人間。それは戦争を体験した者のリアルだろう。

第一次安倍内閣が終わる直前からナベツネは自民と民主の大連立を画策。実家は読売で覚えてる。当時の福田康夫総理は大連立は考えていなかったがナベツネからのアプローチ・提言はあった。

ナベツネは大蔵省の事務次官斎藤次郎を間に立て小沢と折衝。これは日本民主党と自由党で自民党が出来たのをモデルに。

福田の希望で森を立て小沢と会談。仲介したナベツネもパレスホテルにいた。話は進み小沢福田党首会談。しかし民主党内がまとまらなかった。

あの時大連立が成立していれば、民主党議員もノウハウを学べ、民主党が政権運営をあんな素人じみた大失態し日本人がトラウマを負うこともなかったよな…

俺は個人的には平成日本のターニングポイントはこの自民党・民主党の大連立の頓挫だったよなあとしみじみ思ってる。

渡辺恒雄、巨人だったな、実際に話す姿は傲慢というよりも忌憚のなさと可愛げすら感じた。多重の意味で昭和期は水面下で動けていたのが、平成で自身があまりに巨人になりすぎて大っぴらに政治の現場で動けなくなったのは、もどかしいものだったな。こういう巨人は、今の日本からは生まれづらいだろうな…。

by wavesll | 2024-12-29 13:34 | 小噺 | Comments(0)
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