
ル・コルビュジエ展を観にパナソニック汐留美術館へ行ってきました。
コルビュジエというと国立西洋美術館などの建築で高名ですが、本展でも西美などの建築に関連する展示もあるのですが、主にコルビュジエの画業に焦点を当てた展覧会で。
コルビュジエの画って西美のコレクション展でみたりもしてきたのですが、かなりいいんですよね。本展でかなり堪能できました。
またコルビュジエと親交のあったジャン(ハンス)アルプ《バラを食べるもの》なんてブロンズ作品も。パックマンみたいだったなぁ◎
《水着を着た三人の女》や《赤と青の人物》のような素描や、ヴィラE. 1027というアイリーン・グレイがつくった建築にコルビュジエが寄せた壁画の写真展示なんかもありました。
そして
《二人のダンサーと旗》!躍動する黒人の踊り子?の絵画。フォーヴ的な色彩の爆発もさることながら、やっぱりフランスという地域性なのかアフリカンな気脈が入ってきてそれがより藝術にパワフルさを与えていると感じましたね
さらにコルビュジエの作品はタペストリーへも向かって。
《奇妙な鳥と牡牛》(1957)のモチーフはピカソ《ゲルニカ》(1937)からも影響を受けたのかな?
《静物》は非常に未来的な、テクノロジーをみつめる視点も感じて。一方で
《誕生日》の二人の少女のタペストリーにはメヒコの壁画性みたいのも想ったり。
また油彩の
《静物》にはまるでディズニーランドのピザ屋のようなメカニカルなパン屋をみるような感覚があって。《展覧会ポスター「ル・コルビュジエ 造形芸術 1919~1937」展》や《展覧会カタログ「巴里1955年ー芸術の綜合への提案 ル・コルビュジエ、レジェ、ペリアン3人展」》、
《牡牛XIV 東急文化会館の緞帳 下絵》なんて展示もありました。
そして次の章ではカンディンスキーとの共鳴が取り上げられていて。
そして
カンディンスキーの《『小さな世界』》のIからXIIまでの連作が展示されていて。個人的な感想にはなりますが、結構印象派をみてきて、ここ数年はキュビスム以降、特にカンディンスキーとかの抽象絵画に興味が向いていたので”コルビュジエ界隈”としてがっつりカンディンスキーを観れたのは嬉しかったです。まる幾何学な使徒のような美
コルビュジエが再びメインになり、彼の建築家としての仕事にも光が当てられて。《ムンダネウム世界文化センター計画、世界博物館(スイス。ジュネーブ)1929年。平面、断面、北西と北東からの眺め》や《国立西洋美術館(東京)1955-59年 19世紀ホールの写真壁画スケッチ》のピンクとオレンジの図もあったり。無限成長美術館というコンセプトがあったのですね。
そして展覧会も終盤、インド・チャンディガールで都市計画に携わった頃の作品は《手》や
《女のいるコンポジション(ウルミラー・チョードリーへの献辞入り)》などインドの砂の色を彷彿とさせて。この頃関わったインド初の女性建築家ウルミラー・エリー・チョードリーとの《チャンディガール都市計画(インド、チャンディガール)1950-65年 知のミュージアム計画案 電子知識研究所の4部門の平面図》もそうでしたね。
そして上映される《映像インスタレーション「電子の歌」》、原始から核戦争を経ての未来への啓示。文明というものがもたらす混乱については《論考「やがてすべては海へと至る」》に於いても語られますが、後の情報通信まで予見するような、テクノロジーに関する慧眼がコルビュジエにはありました。
いわゆるこういう抽象絵画とかシュルレアリスムから至っていく20世紀のArtは、どこかオジな感じがして今までそんなにハマらなかったのですが、コルビュジエの、ピカソやマティスも血肉化したようなArtたちには凄い瑞々しさを感じて。20世紀Artが今フレッシュに眼前に現れてきてくれた気がしました。
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