基本的なつくりのコンセプトはGlee以降の、ミュージカル的というかポップミュージックに登場人物と物語の心情を語らせるもので。私自身こういう作品は好きで”ウルフルズ楽曲をテーマにした「マンマ・ミーア」みたいなの日本でもやればいいのに”と想っていたのですが、今回楽曲に関する字幕は無くて”歌詞が分からなくても物語を理解できるかな”という不安を冒頭で感じつつも、ウェストエンドのスマッシュヒット『Some Like it Hip Hop』、『Into the Hoods』、『Everybody's Talking About Jamie』など手がけたケイト・プリンスによるコレオグラフィーは雄弁にストーリーを伝えてくれて。
ただ同時にこの音楽舞踊舞台をみながら改めて思ったのは”Rockというのは不良な若者を代弁する音楽なのだな”ということ。社会人なり立ての20代そこそこの時に大学の後輩が「社会人になってから『RENT』をみたら家賃を踏み倒すとかロクなもんじゃないなあいつら」とネットに書き込んでいて当時は私は「Seasons of Love」に感動しボヘミアン側に共感していたのですが、”こんな境遇なのだから移民先で傍若無人に暴力性を発揮するのも致し方ないだろ、PTSDだ”といわんばかりの演出には、今の欧州での惨状や川口のクルド人を想うと首を縦には触れないなと想ってしまいます。
「Message In A Bottle」は2023年の作品で、その後欧州ではバックラッシュが起き極右が台頭、移民・難民への社会包摂のための文化教育の難しさを感じざるを得ません。また物語は難民1世の顛末でエンディングを迎えますが、実際に欧州をみると一世の後の二世などの世代、つまり「その国の国籍」なのだけど「宗教・民族的に白い目・差別的境遇から暴徒化する世代」という生々しい状況が起きていて、問題は非常にこじれ、移民難民受容の難しさを想います。兎角最近は「坩堝」という包摂・同化も拒否して「サラダボウル」を目指す言説も主流にしようとしていますしね、まぁこれはローマ帝国の版図統治の知恵かもしれませんが。