Quadeca - Vanisher, Horizon Scraper (bandcamp)Quadeca - Vanisher, Horizon Scraper (Full Album Movie)
インターネットで音楽を知ることは、一種ネットの迷図の中ですれ違い通信して手に入れた地図で旅する感覚があって。
米国のラッパーQuadecaの4thアルバム『Vanisher, Horizon Scraper』はXで李氏さんが大変に推されていて。
このアルバムはフジロックの頃にリリースで、私はフジロックが終わってから一聴してみて”これは確かに大変な作品だ”となって。
いわばcero『e o』のようなとんでもない密度で練り込まれている音楽作品、米国ということを加味すれば20sの『Smile』的な試みとでもいえるくらいのアイディアの坩堝。
波音から始まるこの作品は、無論ラップも入るのだけれども、それ以上に音響作品、音楽作品としての毛色が強くて。時に聖性を持ったコーラスが、時に電子音の隆起が、時にブラジルな音がというように様々な音楽要素が織り込まれた反物のように"物語"が展開していって。
イマ”物語”と書きましたが、実はYoutube上にはフルアルバム・ヴィジュアル・ヴィデオがULされていて。ある船乗りが誰もいない世界(モン・サン・ミシェルなども登場する)を彷徨う様が描かれて。波に還っていく。このYoutubeだと音質の関係かよりラップにフォーカスして音楽が聴こえますね。
cero『e o』の時も一聴だけではかみ砕けない大いなる「謎」を感じたのですが『Vanisher, Horizon Scraper』にも大いなる謎を感じて。それを解き明かすためと言っては何ですが、Apple MusicをPCでかけるだけでなく時にスマホで聴いたり、Youtubeでも聴きましたし様々なシチュエーションで聴いてみました。個人的には音質が出来得る限り好くして聴いた方がこの作品から感動が押し寄せる気がします。
映像作品でも伝わった部分はこの作品は一種のフォークロアであり、ロードムーヴィーでもあるということ。波や大地、廃墟というような大いなる環境の中で人が果てを目指す物語が、その土地々々の遷移が、様々な音楽要素のタペストリーのグラデーションとして表されているのではないかと。
そしてそれらを通底するのは波であり風の吹き抜ける呼吸。その息吹がこの作品に特別に美しい波動をもたらしているなぁと。いや、本当にいい作品に出会えました。この謎はこの夏中を通して解明に挑もうと想います。