千夜一夜物語
先日の3連休までYoutubeで公開されていたこのアニメ映画。ちょうど「あんぱん」も人気で、やなせたかしがキャラクターデザインなどに関わった虫プロによる「アラビアンナイト」。やー!これ面白かった!
冒頭の、主人公アルディンがとことこバグダッドへ歩いてくるシーンの立体感もそうだし、途中で実写が挿入されるなど映像表現にも凝っていて。
そしてなんと言ってもエロティシズム。ミリアムを奴隷市場からさらってからのまぐわうシーンとか、バストトップも普通に出るし、抽象表現も入り混じりながらの性交シーンもあるし、このアニメ映画が大人向けの「アニメラマ」として企画されたというのも得心。
といいつつ前述の部分だとか、全体的な「女性のモノ化」というか、令和の価値観だとちょっと楽しめないところはあるかも、特に女性だと
個人的には女、財宝、権力を追い求め駆動するアルディンの冒険譚はわくわくさせられるところがありましたね、昭和の男の夢というかw
昭和な男というと此の映画の音楽(冨田勲さんが手掛けたもの!)が60s末なサイケロックで、それこそ昭和の劇映画なテンションというか、昭和の映画のテイストが匂い立って。さらに歌がチャーリー・コーセイでこれがきっかけでルパンの主題歌に登用とか凄いなぁ!
まぁよくも悪くも昭和な感性ではあり、逆に”ここから50年で、女性の感性・女性の思想でつくられた「物語」が本当にメインストリームにも出て、今世紀はLGBTQが物語のフロンティアとして開拓されている、「オジンの愉しみ」も絶滅は厭だけど、世の中のセンスって広がってよくなってきてるなぁ”と想って。
感覚が昔よりも今の方がより自由に拡大していると言えば、アルディンはオデュッセウスよろしく女性たちの島に辿り着き肉林になるも彼女たちの正体は蛇の化け物で…というくだりがあるのですが、ケモナーな今の感性なら「蛇がなんだ!愛は種族を越える!」とかフィクション感性は令和には来ている気もしますしね。
そういいつつ、手塚イズムなピカレスク、そして最後の飄々とした感じとかは時代を越えて響くものがあると想いました。
個人的にはやなせさんのデザインのアルディンはモロに中東の人ってデザインですが、アラジンと魔法のランプのアラジンは中国人で、もしかしたら金(Jin)さんという話もあるので、そこら辺を攻めても面白かったかもなと想ったり。といいつつやっぱりアラビアンナイトですからね。キャラクターとしてアラブ人の方が確かにしっくりきますね。
とまぁやっぱり流石テヅカ、「実」のあるアニメでした◎