Blood Orange - Essex Honey (Album on Youtube)Blood Orange - Somewhere In Between (Official Lyric Video)
Blood Orangeの本年のアルバム『Essex Honey』は、Tokyo Moonかで先行曲をエクスクルーシヴで聴いたとき”最高のアルバムが来るぞ!”と想っていたのだけれど、夏にフルで配信になった際、聴いて”あれ何か違うな、もしかしたらこの業火のような夏には合わず、秋になった方が合うかもしれない”と寝かせていて、今ようやく全編聴いて
で、”最初の2曲がかなり印象を落としていたな”とは一聴目で想って
特に1曲目の「Look At You」はかなりスローな立ち上がりで。2曲目の「Thinking Clean」は途中でビートが入ってから面白くなるのだが、この冒頭で面白くなるまでかなり長い。昔のCD屋の店頭試聴だったら切っていたかもしれないし、それこそサブスク時代にこれはちょっとかなりの冒険だ
そして始まる3曲目の「Somewhere In Between」が冒頭のカットアップから最高で!正直”この曲から始めればいいのに!”と想った。そこからはずっと素晴らしい気持ちで音世界を堪能できて
ただ、Apple Musicのライナーノーツを読んでいるとこの5th Albumの製作途中に母上が他界されてしまったそうで。そしてエセックスはBlood OrangeことDev Hynesの故郷であり、本作のテーマも"Homeとはなんなのか”であるそうだ
ここにおいて1曲目の意味合いが変わってくるというか、この時代に「Album」というものをわざわざ聴こうとするリスナーのことをBlood Orangeは信頼して、一つの物語のインタールードとしての冒頭を構成したのかもなと
1曲目で朧の中から音が立ち上がり、2曲目でその靄の中からBeatが立ち上がり、3曲目で本稿が立ち上がる。当然歌詞もアルバム・コンセプトに沿って書き上げられているのだろう。物語、唄としての音像をこのAlbumにDev Hynesは込めたのだなと
そうして2周目に聴くとまさに完璧に聴こえて。コンセプトアルバムだけれど曲と曲の間をぶつ切りにしているのも、一聴目から面白いなと想っていたけれども、敢えてこうしたコンセプトアルバムなのだなと
夏の狂熱が去って、日々季節が深まる中で、躰をくるむ風の様な心地を与えてくれるリスニング体験になった
Youtube載せたけど、これ、多分いいオーディオで聴くのが一番いい気がする。もしくはいいヘッドフォンで聴いたらいい逍遥の相棒になってくれそう。
cf