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ミラノ スカラ座 2023 - ドン・カルロ / ヴェルディ 愛憎と宗教の異端を描く重厚なオペラ

Don Carlo (Teatro Alla Scala)
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『ドン・カルロ』はヴェルディによる、16世紀のスペインを舞台にしたスペイン国王フィリッポ2世(バス/実在のスペイン国王フェリペ2世)と若き王妃エリザベッタ(ソプラノ)、スペイン王子ドン・カルロ(テノール)、王子の親友ロドリーゴ侯爵(バリトン)、王子を愛する女官エボリ公女(メゾ・ソプラノ)、カトリック教会の権力者・宗教裁判長(バス)たち多彩な登場人物が繰り広げる愛と政治をめぐる葛藤を壮大で重厚な音楽によって描いているオペラ

この物語の愛憎のねじれの起点は、元々王子ドン・カルロの恋人だったエリザベッタをフィリッポ2世が王妃にしたこと。カルロは未だにエリザベッタを愛し、エリザベッタもカルロを愛している。さらにそこに王妃の女官エボリ公女がカルロに惚れていてという四角関係が物語の横軸

そこに入り込むのが宗教の要素。そもそもフィリッポ2世のモデルとなったフェリペ2世はカトリックとしてプロテスタントを弾圧しており、さらにエボリ女官の口からはマホメットやアラーといった言葉が。そして王宮の権謀で暗躍する宗教裁判長。イベリア半島という、カトリック、プロテスタント、そしてイスラムが交じり合う土地で、宗教をめぐる顛末が縦軸として展開して

恋愛においても、あるいは宗教においても「異端」というのはつらい立場。本来なら自然天然にのびのびと精神が羽ばたけるはずなのに、権力や世間体で「異端」「道ならぬ」という烙印を押されると物語は悲劇的にどんどん重く、陰鬱に。オペラだと結構現代的なガジェット演出なんかを飛び道具的に入れてくるものもありますが、ミラノ スカラ座2023-2024シーズンのこの「ドン・カルロ」では極めてオーセンティックに、重厚にこの物語を表していました

このストレートなオペラの真骨頂というか、オペラならではの見せ場で、各登場御人物が心の底からの感情の吐露の「歌詞が違う歌の多重奏」の場面が音楽的には一番のクライマックスでしたね。心にズガンとくる、本格的歌劇でした

by wavesll | 2025-11-23 16:41 | 舞台 | Comments(0)
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