Ambrose Akinmusire - Honey From a Winter Stone (bandcamp)

この盤に出会ったのは5月の事。世界の快適音楽セレクションで「Owled」を聴き”現代の音楽としてとてつもない境地にある音だ”と想ったのですが、この盤は秋冬に愉しみたいという思いもあって今まで寝かせていて。で、元町から切り抜きしたアルザス地方にもみえないこともない景と合わせてのプレゼンテーションにして◎
現代ジャズ・シーンにおける最高峰トランぺッターにして、コンポーザーとしても高い評価を受けるアーティスト、Ambrose Akinmusire。サックス奏者のスティーヴ・コールマンにその才能を見いだされ、19歳の若さにしてコールマンのバンド、ファイブ・エレメンツに加入、2007年にはセロニアス・モンク国際ジャズ・コンペティションで優勝し、同年カーマイン・カルーソー国際ジャズ・トランペット・ソロ・コンペティションでも優勝、一躍ジャズ界の注目の的となった彼は、2010年に名門Blue Noteと契約をかわし、同レーベルより5枚のアルバムを発表、NONESUCHへ移籍しての2枚目が本作だ
そうです。
「このアルバムは私個人が直面した恐怖や葛藤、そして多くの黒人男性が耐えてきた、肌の色による差別や存在の抹殺、そして誰が自分たちのコミュニティの代弁者になるのか、またそれはいかなる理由によるものかという問題についての作品だ」と彼は本作を説明して。静謐な焔のようなJAZZと、そこに重ねられるRAP、全体としてのトーンは国もジャンルも違いますが
cero『e.o』にも通じるものがあるというか、深い内省を湛える音楽世界から音楽は始まって。されど音量は抑制されながらもこのRhythmの爆ぜりは淡々と炸裂を繰り返していって。
そして到達する「MYanx.」の超絶。ここに於いて現代JAZZと現代HIPHOPの最前線が繰り広げられて。これが2025年のフロントライン。
その先の景色、悠久な歴史の大河の中に個人の爆発が浮かぶような感覚。その織り込まれた多重な現代史性を感じました。なんとラストトラック「s-/Kinfolks」は30分弱にも及ぶ大作で街と荒野そして惑星外へと発せられるノイズと音楽の狭間で〆られて。人々の記憶が、時空に座標して。
これはちょっと、弩急な作品に感じますね。もっと語られるべき名盤だなと想い、その切欠になればと筆を認めました。