これはApple Musicによるとこの1年で最も長時間聴いていたアルバム。確かに謎に満ちていて、聴いても聴いても聴き甲斐がある盤でした。 米国のラッパーQuadecaの4thアルバム『Vanisher, Horizon Scraper』は波音から始まり、無論ラップも入るのだけれども、それ以上に音響作品、音楽作品としての毛色が強くて。時に聖性を持ったコーラスが、時に電子音の隆起が、時にブラジルな音がというように様々な音楽要素が織り込まれた反物のように"物語"が展開していって。 cero『e o』の時も一聴だけではかみ砕けない大いなる「謎」を感じたのですが『Vanisher, Horizon Scraper』にも大いなる謎を感じて。波や大地、廃墟というような大いなる環境の中で人が果てを目指す物語が、その土地々々の遷移が、様々な音楽要素のタペストリーのグラデーションとして表されているのではないかと。そしてそれらを通底するのは波であり風の吹き抜ける呼吸。その息吹がこの作品に特別に美しい波動をもたらしていました。 記憶に新しい、液体金属の蔓生い茂る刃伽藍のようなプログレッシヴ・ヘヴィネス!ドラムのDanny Carey ヒンドゥーの神なんじゃないか腕何本あんだ!?とぶっ飛ばされましたね。これはもう悶絶というか神の業をみました! Toolに優るとも劣らないというか、ある面では凌駕するくらいの感動があったのが立川でみたMedeski & Martin。人生のライヴで三指に入るクラスというか、とめどない音の奔流、何処でもあって此処でしかない多次元の狭間の量子としてLIVE(生きる)する体験でした Les Claypool - Of Whales and Woe FRUE本祭2日目のトリは1990年代のオルタナティヴ・シーンを席巻したバンド、プライマスの中心人物にして伝説的ベーシスト、レス・クレイプールのジャズ・プロジェクトで。 彼の『Of Whales and Woe』を開いてみると、”なんだこの変態的に豪気なベースは!?”と驚愕して。タッピングやスラップ奏法を駆使した超絶技巧。これは唯一無二の音でした! イギーのライヴも超越的だった!ってか俺、今年はバケモンばっかりみてますねw 初っ端の「T.V. Eye」からどこかパンクロックに収まらないというか、突き抜けるキーボードや厚みを増すホーンが効いたエクスクルーシヴな音で。そして「Raw Power」のグァッと来るプリミティヴな迫力!そしてこの日の一つの最高潮でもあった「Lust For Life」冒頭のまるでスクラッチのようなイントロの特殊効果、あっれにはワクワクさせられたなぁ!さらに「I Wanna Be Your Dog」!さらに「Search And Destroy」!イギー御年77歳!翌月で78歳!まるでバガボンドの幼少期の佐々木小次郎の敵の不動幽月斎のような骨と肉と霊気はまるでパンクゾンビ!ヤヴァかった! まぁ今年の年ベスからこれは外せないでしょう。 こういう愛情のある霊性さが先端の音作りと同居している止揚がこの盤を大変面白くさせていると感じました。曲たちが有機的な繋がりをもってアルバム全体で一曲にも感じられるような配置になっているのもニクい。人生の充実って本当に愛で成しえるものですね 今年はCommonが来日してくれてサマソニでもライヴしてくれて。それこそ当時に横浜モアーズのJAZZY HIPHOP試聴機で聴いてたなぁ、20th anniv盤がまた楽しませてくれました イマのラップの前線をみせてくれた、というか個人的には『YEEZUS』の先を魅せてくれたのがこの盤 恐らくマキシマムの極みな表現であった『YEEZUS』のその後が創られるとすればそれはさらなるインフレーションではなく、一種こじんまりとしたダウンサイジングが必要だったのかもなと『MUSIC』を聴くと感じたところで。リブートというか、エッセンスを抽出した上でDRAGONBALL DAIMAのようにもう一度小さなカラダで冒険を始める必要が「物語の先」を描く上で必要だったのかなと。ワクワクさせられる音でした これも好い盤だったなぁ!『Scary Monsters And Nice Sprites』というとんでもない怪作以後で一番凄いの来たなというかシグネイチャーなサウンドを効かせながらもきっちり次のステージへ移行しているというか、EDMに於いてのCalvin Harris - Funk Wav Bounces Vol.1以降の、よりゆったりとしたモードも織り交ぜ緩急の効いたまさに2025年のスクリレックス・サウンドで。かっなり楽しませられました! Sissy Spacek - Entrance さらに尖端音楽へ。Sissy Spacekが紡ぎ出すノイズは、単なる器楽を超えミュージック・コンクレートでありながら”音の記名性”というよりもサウンドそのものの存在性として採音を使って彼らの世界を精確に顕しているように感じて。これはちょっと本当に素晴らしいものでした じゃあ20sのRockはどうなっているんだって、アーカンソーのエモ・バンドの2022年作がノイズが綺羅めいて。 序盤に聴いていて”あれ?もしかしてこれ日本のバンド?”と想うエモ/ハードコアな音。そしたら日本語で女の子が唄い出して 聴いていてかなり粗い話にはなるのですが”これって鬱にならなかった銀杏BOYZ『光のなかに立っていてね』であり『Beach』だな”と。Julian Casablancas + The Voidz『Tyranny』といい2014年のロックにはノイズがありましたね。 このnounsが大きくそれらと異なるのはサウンドが重苦しくなく、軽やかに疾走している点。ノイズって綺羅めきだなぁと想って。その砂嵐のようなスパンコールを怒涛のカオスと共に、潰れずにアドヴァンスしていて。Parannoulも参加しているみたいで、やっぱりこれ日本のエモさが米国によって超強力に出力された感覚がイマの音を感じさせました その先の極北というか、オーストラリア出身で現在アイスランドをベースに活動するインダストリアル/エレクトロニック・ミュージシャンがマスロック/プログレッシブメタルなバンドCar BombのギタリストであるGreg KubackiとMy Discoなどのバンドで活動するオーストラリア出身のベーシストLiam Andrewsという二人の音楽家の参加により、メタルともいえるサウンドを鳴らして この『Scope Neglect』が凄いのは「メタルのクサさ」が完全に除去され、鋭利な巌の音楽としてのMetal Musicが提示されていて。アイスランドだから氷塊ともいえるかも。メタルの再発明というか、”こんな表現の仕方がロックにあったのか”というコロンブスの卵でした YHWH Nailgun - 45 Pounds 今年のフジロックでもライヴしたニューヨークを拠点に活動する4人組のエクスペリメンタル・ロックプロジェクト リズムと言いカオスかつ明るさがあるというか、ポストパンクのビートの流れを21世紀流にエヴォルさせた感じ。攻撃性も複雑性も物凄いのに電子性が上手く効いてるのか軽やかでポジティヴなエナジーを感じるのがいい意味で衝撃的でした。 なんかをみても、完全に日本もトランスナショナルな協業の中にあるというかシティポップ含め日本のカルチャーが米国含むグローバルな価値体系の中で大きくフィーチャーされているのだなぁと 広い意味のロックとしてビヨンセのカントリー表現は沃野を感じました。特にこのシングルはアルバムよりも好きでした Apple Musicの50s Rock Hits Best Playlist と初期ロックンロールをがっつり聴けたのは嬉しかったですね また Girls Pop Oldies Goodie from Kenrocks Nite ver.2 なんてリスニングもしましたねー。 そのロック史と時に交わり並走したのがジャズ。とりわけマイルスはロックを飲み込む勢いでサウンドを進化させていましたね。この『Bitches Brew』録音前夜のマイルス・デイビス (tp), ウェイン・ショーター (ts,ss), チック・コリア (elp), デイヴ・ホランド (b), ジャック・デジョネット (ds) による”ロスト・クインテット”によるアコースティックからエレクトリックへの過渡期の演奏はイマ聴いても新鮮さが凄かった! そんなジャズの2025年のフロントラインは静謐な焔のようなJAZZと、そこに重ねられるRAP、全体としてのトーンは国もジャンルも違いますがcero『e.o』にも通じるものがあるというか、深い内省を湛える音楽世界から音楽は始まって。されど音量は抑制されながらもこのRhythmの爆ぜりは淡々と炸裂を繰り返していって。 そして到達する「MYanx.」の超絶。ここに於いて現代JAZZと現代HIPHOPの最前線が繰り広げられて。これが2025年のフロントライン。その先の景色、悠久な歴史の大河の中に個人の爆発が浮かぶような感覚。その織り込まれた多重な現代史性を感じました。なんとラストトラック「s-/Kinfolks」は30分弱にも及ぶ大作で街と荒野そして惑星外へと発せられるノイズと音楽の狭間で〆られて。人々の記憶が、時空に座標して。弩急な作品でしたね さぁ2025年の音楽ハイライト飛行、次の目的地は…
by wavesll
| 2025-12-31 08:21
| Sound Gem
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