人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ハイライト・オブ・令和7年の音楽リスニング 4. アジア


欧米の次は此の地球上で最も人口があり広い地域、アジア。経済成長と連動するように音楽が生まれる地としてもどんどんプレゼンスを増していますね。

欧州から東へ、キャラバンの隊列で行きましょう


Ibrahim Maalouf『Trumpets Of Michel-Ange』


Ibrahim Maaloufのこの2024年の盤を新年を祝うファンファーレとして愛聴して。

イブラヒムさんの特長がなんといっても微分音トランペット(クォータートーントランペット)。4分音まで出せることでアラブ音階にも対応したこの楽器を発明したのはなんとイブラヒムさんの御父上で

このジャケ写は100年前の楽団で、レバノンのウェディングの時なんかにも鳴るものだそうで。中東世界のこういう音だとトルコの軍楽なんかにも通じる感触を持ちましたね。ただアルバム終盤の「Capitals」なんかはもう完全にダンスミュージックとして弾けてる音だし、祝祭のファンファーレな感覚がありました。マリのコラとコラボしている「Timeless」なんかは中東と西洋だけに限らない全球を繋ぐ音で。そして最後の合唱アカペラ「Au Revoir」には、いま中東は戦火の中にいるけれども民衆の力は間違いなくあり、音楽でUnite出来るというメッセージな気がしました。


Gaye Su Akyol - Hepsi Kafamda Memur Be

アナドルロック(ターキッシュサイケデリア)というとアナトリア半島のロックで、元々は1960sなどに人気だったものが幾度もトルコでリヴァイヴァルというか脈々と命脈が続いているジャンル

Gaye Su Akyolはこのアナドルロックに90sなオルタナな音楽性を変幻させる作風で、滅茶苦茶面白い!「Hepsi Kafamda Memur Bey」は一種正統的にすら感じるオルタナロックな一曲で大変感銘を受けました。


Muslimgauze - Veiled Sisters


1999年に37才の若さで夭折したマンチェスターの音楽家Bryn Jonesによるパレスチナ解放機構へ捧げられたヒスノイズの様な打音が印象的なヒプノティックテクノ。ガザの人々のことを考えると本当に心が苦しくなります。イスラエルの無法は絶対に許してはいけないと強く感じるとともに、こんなにも素晴らしい音を奏でるパレスチナサイドのミュージシャンがいたことはとても嬉しいです。


Hamid Al-Saadi - Maqam Al-Iraq


Hamid Al-Saadi(1958年イラク生まれ)は、イラクのMaqamの全レパートリーをマスターした唯一の現存歌手。ユネスコの無形遺産に登録されているイラクのマカームは、アッバース朝の昔からバグダッドで何世代にも渡って口承で受け継がれてきた伝統的な長編の歌詩の楽曲たちのこと。この盤はChalghi Baghdadiの伝統楽器演奏とサントゥールのAmir ElSaffarの演奏を従え、Hamidがイラクの伝統的なマカームを謡うもの

心に静かな安寧を与えてくれる音楽でした


Turan Ethno-Folk EnsembleのER TURAN


Turan Ethno-Folk Ensembleはカザフスタンの民俗音楽バンド。この喉歌や口琴などの民俗楽器の音!カザフスタンは中央アジアですが、ユーラシアを横断する音楽文化圏の帯を感じさせます。Turan Ethno-Folk Ensemble「Ceddin Deden」はトルコの軍楽「メフテル」の音、やはりテュルク文化圏だなぁ!近年中央アジアの音楽に非常に魅了されているところがあります。東洋と西洋を繋ぐこの地域の音楽はきらめく鉱脈ですね


Enji Live at FRUE

モンゴルのジャズ。エアリーでフェアリーな唄から度肝を抜くオルティンドーの謡いも

Night「Am I Not?」from『Ramite - The Music, Volume 1』


ネパールはカトマンズベースの現代民謡バンド、Night。2006年結成で今も活動を続けているヴェテランバンドで。ネパール伝統の楽器で奏でられる音楽はインドともチベットともブータンとも勿論中国ともまた違った上にどれのエッセンスも混淆したような味わいのある汽水域な山の音。特に「Am I Not?」後半の、まるでトゥバのホーメイのような謡はちょっと超絶。こんなのに出逢えるからグローバル音楽Digはやめられないw


Shakti - Mind Explosion (50thAnniversary Tour Live)


Shaktiというと英国人ギタリストJohn McLaughlinとインド人タブラ奏者Zakir Hussainを中心に結成されたバンドで、残念ながらザキール・フセインは逝去されてしまったのですが、彼らのラストツアーのライヴ盤の音源に”うぉっ!”と想って。実はその前にスタジオアルバムも発表していたのですが、それは初期のガンガン行ってた頃のアルバムが念頭にあると円熟したというか落ち着いてしまった印象だったのですが、このライヴ盤は丁々発止のPlayといいキレッキレで最高で◎


Hanumankind - Run It Up ( Prod. By Kalmi )


Hanumankindは1992年生まれのラッパーSooraj Cherukatのプロジェクト。彼の父の仕事の関係でナイジェリアや中東、イタリアを経てヒューストンに居を構えることになって。「Run It Up」はそんなサウスなトラップがこのビート感がガタムというかタブラというか、マジインドなんすよね。リリックもインドの武術について語っているとかなんとか。これは面白かったなぁ


『チョーミン楽団が行く!』@Peter Barakan's Music Film Festival


ミャンマーの「サイン」と呼ばれる伝統的なオーケストラの一つを率いるチョーミンさんを中心にこのサイン(サインワイン)のカルチャーを撮影したドキュメンタリー『チョーミン楽団が行く!』を角川シネマ有楽町で開かれたPeter Barakan's Music Film Festivalでみました。

このサインワインには近年大嵌りしていて。まっことオリジナリティのある旋律打楽器。これ日本にも楽団来て欲しいなぁと想いつつ、ミャンマーの軍政の苛烈さを想うと心が痛みます。グローバル音楽リスニングは世界の情勢と不可分ですね


Salin - Rammana

今年のジャズ界隈で話題になった盤。タイ出身で現在はカナダで活動する打楽器奏者/作曲家であるSalinのタイ音楽とアフロビートやジャズを融合させた「アフロ・イサーン・ソウル」。このシックな融合具合が絶妙でした。


Noise Figure - 1TD


"うぉぉ!このキーボード?ギター?の唸り最高じゃん!"とアガって。このNoise Figureというバンド、日本語での情報はまだかなり少ないのですがSession動画をみるとあの音はキーボードのプレイっぽい感じですね。イマ東南アジアのロックがかなり面白いことになっています。


Voice Of Baceprot「Mighty Island」&『The Other Side of Metalism』


ヒジャブを被ったインドネシアのガールズメタルバンド、Voice Of Baceprotはアジカン主催のNano-Mugen Fesで来日もして

彼女たちの音源を聴くとこれまではかなりゴリゴリのメタルをやっているのですが、シングル「Mighty Island」ではインドネシアの土着さが出る節回しパートもあったりしてまさに私の好みど真ん中な感じで最高なんですよ。イスラミックフィメイルメタル!さらに民俗的にも、インドネシア語なのかな?そういったものがメタルサウンドで発せられるからかなり面白い!民俗メタルってホント鉱脈というか、個人的には大きな潮流に感じますし、こういうのがフェスに入ると物凄くいい飛び道具になりますよね◎!


The Panturas: Wahana Ombak Banyu Asmara FULL CONCERT


今年のフジロックでのめっけものだったのがこのThe Panturas!

フォークミュージックが根付くジャティナンゴール(バンドン)出身ながら、独自のサーフロックを奏でるバンドとしてシーンに旋風を巻き起こしている。ディック・デイルやザ・ベンチャーズといったサーフロックのレジェンド、さらにはクアルテット・ビンタンやエカ・サプタといったインドネシアの往年のロックバンドから影響を受けたサウンド。

2025年のシングル「Knights of Jahannam」ではスンダ音楽が大胆に採り入れられた私好みの民俗みがある闇鍋ロックで、フジロックでも現地のチャルメラ?みたいな楽器もフィーチャーされていて。2022年のフェスイベントのライヴは遊園地のライドのような日本語でのナレーションも入る出囃子?の演出から始まるインドネシア語でのいかしたサーフロック!ちょっとガムランみもあったりして。これ最高な奴


MAHANYAWA - Live at Music Unlimited 33


MAHANYAWAはSenyawaと内橋和久のコラボユニット。Senyawaはインドネシア出身のRully Shabara(vocal)とWukir Suryadi(bamboo instruments, flute etc)によるデュオ・プロジェクト。内橋さんはdaxophoneやguitarを操る日本のジャズ/オルタネイティヴのレジェンド。

Senyawaは単独やコラボレーションで数々のアルバムを出していてApple Musicにもあるのですが、個人的にはRullyさんの聲の霊性さ・アヴァンギャルドさが一番発揮されているのがこのユニット。内橋さんの奏でるダクソフォンという楽器が非常に前衛的な音が鳴り、その相乗効果が物凄くて。長い竹に弦を張った自作楽器を自在に操るWukirさんの音も好かったです


Suboi - Dâu Thiên Hạ


Suboiはヴェトナムのミュージシャンで、オバマが来越したときに歌ったアーティストでもあり、宇多田ヒカル "Too Proud featuring XZT, Suboi, EK (L1 Remix)" | GERILA Dance Communityでのコラボなど、現代ヴェトナム音楽シーンを代表するスター

Dâu Thiên Hạはそんなスターとしての懊悩を歌いつつ、音楽的にはヴェトナムの民俗性にあふれていてかなり好きでした。


FAUXE - Ikhlas


シンガポールベースの電子音楽家Fauxeがマレーシアにて採集した音の素材を詰め込んだTraditional Malaysian Tamil and Hawaiian Malay Musicともいえる電子的でHIPHOPでエクスペリメンタルな盤でアルバムの後半に行くにつれて実験性がはっちゃけていって。ちょっと語弊もあるかもしれませんがシンガポールの冥丁というか、あぁいう音が好きな人にはがっつり刺さるのでは?という感覚がありました


歐開合唱團 - 最好的日常


台湾の泰雅タイヤル族の4姉弟が参加の西洋と臺灣のスタイルをハイブリッドさせたコーラスグループ。現代的な響きというか、西洋のスタイルと台湾のスタイルが混じり合った旋律とハーモニーが麗しくて◎ドゥーワップ的な感覚すら感じさせて。

この盤には「泰雅古訓 gaga」のような台湾原住民族な歌唱楽曲もありつつ「日出東方 pasiwali+Danny Boy」のような欧米の民謡も入ったり、台湾と西洋が混淆した響きがとても魅力的で。特に「餵奶歌」のように高次元でハイブリットしているのはありそうでなかった感じで大変好きでした◎


海朋森 『我不要别的历史』『她从广场回来』『成长小说』


成都のインディー/シューゲ/オルタナ/ポストパンク揺滾。中国語でロック、それもこういう殺気を感じさせるリアルなロックをやっているだけでもかなり面白かったです


함중아와 무서운아이들 - 사랑은 정에 울고 / 아름다운 여인 'N' 張露 - 群星會 38


함중아와 무서운아이들はどうやら「ハム・ジュンアと恐ろしい子供たち」という意味の名で、混血歌手ハム・ジュンアが1980年代初頭、既存グループ「ヤンキーズ」解散後に結成したハム・ジュンア(Vo)、パク・ジェグン(b)、ソン・チャンヨン(dr)によるバンド。もう一人は中華ポップスの先駆者として1940年代から中国そして香港で活躍したという張露 (CHANG LOO)。こういう音を聴きながら日本酒のおでん出汁割でもいきたいです。


FRANCO ROMANO & NAMI a.k.a 나미와 머슴아들 (나미 데뷔 앨범)


韓国歌謡の感覚とソウル・ファンクが交ることで起きる面白味というか、「裏シティポップ」的にも聴けて面白かったです。韓国の70sのソウル/ファンクなバンドは鉱脈かもしれません


나훈아 (羅勳兒, ナ・フナ) - 울긴 왜 울어(なんで泣く)


日本の演歌とも形成に大きなかかわりのあるトロット(韓国演歌)。ちょっとしたパラレルワールドみがあってこういう濃いのを聴くのは愉しいのですが羅勳兒(ナ・フナ)の「울긴 왜 울어(なんで泣く)」もまた最高で。

聴くと感じるのが日本の演歌がロックの泣きのギターなどの方向性にアレンジ進化していったのに対して韓国のトロットは電子的というかダンスミュージック方向にアレンジ進化していった感があってここら辺の進化の方向性にお国柄を感じたり。羅勳兒氏は「トロットの帝王」と呼ばれているようで。こういうオッサンな歌を聴くのが中年にさしかかってくると好くてwマッコリかソジュでもいきたいっすねw


SamSan - Jul Jul Jul Pak Pak Pak


ジャケットとかみると原宿系というか、音もインディーポップなんだけれども隠し味に韓国の伝統音楽である国楽のエッセンスが入っていて。韓国のアーティストは結構伝統音楽をポップフィールドに巧みに落とし込んでいるものが多くて、とてもいいと想います


Park Jiha - All Living Things


まるで彼の地の白磁のような透明感のある白美のサウンド。韓国伝統音楽をベースにミニマル・ミュージック、アンビエント、ニューエイジなどの電子音楽領域の音を一人でのPiri, Sa enghwang, Yanggeum, Flute, Glockenspiel, Bells, Voice, Electronicsで奏でた多重録音によって成す韓国の異才マルチインストゥルメンタリスト/コンポーザーのパク・ジハの作品、これは素晴らしかったですね


ユーラシアをゆく旅路は朝鮮半島まで来て。グローバル音楽ジャーニー、次の遊覧先は何処ぞ?


by wavesll | 2025-12-31 10:01 | Sound Gem | Comments(0)
<< ハイライト・オブ・令和7年の音... ハイライト・オブ・令和7年の音... >>