最近本を読んでいます。
スノボ旅行前に読んでいたのは遠藤周作の『海と毒薬』。いつ現代に戻ってくるのかと思っていたら過去で終わってしまいました。主要人物の戸田の「良心の痛みなんてものは相対的な世間の評価でしかなく、自分自身は何が悪いのかわからない。自分が後悔するくらい悪に堕ちたい」という気持ちは分かる気がします。解説では、これは善悪の基準が不明確な汎神論の弊害だといわれているが、どうなのでしょう。僕はときどき、「今はもっと感情が高ぶらないといけないのに全然冷めてるなぁ」と思うときがあります。そんなときの言葉はいつも薄っぺらくて嫌になります。何故僕は薄っぺらいのかという問いの答えとして、一本善悪の価値基準が通ってないからというのは有用かもしれません。
スノボ旅行には稲垣足穂の『生活に夢を持っていない人々のための童話』を持っていきました。これに収録されている『オルドーヴル』という作品の一節が『教科書に載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』の冒頭に引用されていたからです。詩がズラーっと並んでいて、正直読めませんでしたが、トべました。
スノボ旅行後に読んでいたのは谷崎潤一郎の『痴人の愛』。30近くのおっさんが、15歳の少女を引き取って、自分好みの女に仕立てようとしたら、その女がとんでもない妖婦で、逆に征服されて、金も名誉も誇りも何もかもすっからかんになってしまうという話。
正直ナオミは下品すぎてそんなにいいとは思いませんでしたが、誘惑される様子は、さながら姐妃が紂王をテンプテーションにかけるかのようでこちらまで届くかのような色香の描写は凄まじかったです。情欲に狂った人間が読みたい方は是非。
そして今図書館に行って、『燃えよ剣』と『細雪』を借りてきて、遠藤周作の『スキャンダル』を予約してきました。楽しみです。