いわゆるweb2.0的な動きと呼応するように、政府やNTT等の通信企業は「ITからICT(Information and Communication Technology)へ」というスローガンをここ1・2年使用しています。確かに「静的なインターネットから動的なインターネット」という動きは「インターネットを通じたコミュニケーションの加速」と言い換えることができるかもしれません。
しかし、ITという概念自体、コミュニケーションを内包するものではなかったでしょうか?振り返ってみればパソコン通信の時代からインターネットの面白さは遠隔地にいる見ず知らずの人とのコミュニケーションであったし、ほめぱげをリンクしあうのも一種のコミュニケーションでした。掲示板やチャットは最初期からのウェブサイトの機能であったし、2chは日本最大のコミュニケーションプレイスといえます。それらと、ここ1・2年の「web2.0」とは何が違うのでしょうか?
結局それは「情報発信ツールとしてのインターネットの真の意味での普及を前提とした次世代サービス」という点ではないでしょうか。Blogやmixiによって「固有の情報発信の場を個人が持つ」ことは一般化しました。少なくとも、現在大学生以下の世代ではほとんどの人がなんらかのサイトを持ったことがあり、更新していると思います。
blogによって、2chに代表されていた「匿名のインターネット」は「実名のインターネット」に今急速に変わっていきました。匿名/実名の定義はここでは「過去ログから、個人のパーソナリティがわかるか否か」としておきます。
そしてmixiによって「リアルでの人間関係」がwebに拡張されることで、真の意味でのインターネットの実名化が進んだと思います。つまり、インターネットが真の意味で現実化しつつある状況が、ここ数年で生まれてきているのだと思います。
つまり、web2.0的なサービスとは、今まで個人がバラバラに活動していたインターネットの世界を社会化するサービスといえると思います。コメントとトラックバックにより記事単位でのコミュニケーションを可能にしたBlogや、人間関係そのものをエンタテイメントとしたSNS、個人のミクロな情報収集をマクロに纏め上げることで新たな価値を生み出したSBMなど、web2.0的なサービスは確かに「繋がり」≒「Communication」を利用しています。
この「繋がり」はリアルでの人間関係を強化するとともに、web上の人間関係も強化するものだと思います。この新たな人間関係そのものが、web2.0といえるのかもしれません。
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