2018年 01月 02日 ( 2 )

パリ・グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展 at 三菱一号館美術館

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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレーにて≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪エルドラド、アリスティド・ブリュアン≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪コーデュー≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪ジャヌ・アヴリル≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪マルセル・ランデール嬢≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪メイ・ベルフォール≫
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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ≪メイ・ミルトン≫
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テオフィル・アレクサンドル・スタンラン ≪シャ・ノワール巡業公演のためのポスター≫
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正月の清冽な空気の中、三菱一号館美術館パリ・グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展へ行ってきました。
三菱一号館美術館は19世紀末のグラフィックの収集品があり、同じく良コレクションがあるファン・ゴッホ美術館と共にこの展覧会を開催したという運び。

最初に展示されるのはウジェーヌ・グラッセ≪版画とポスター(『版画とポスター』誌のためのポスター)≫。高尚である版画が擬人化された美女と低俗であるとされたポスターの擬人化の美女が描かれたリトグラフ。版画・ポスターの関係性は今消滅しつつあるオタク・サブカル的なものなのかもなんて感じました。

この時代にはポスターが貼られた景色を描いた絵画も。ルイ・カリエ=ベルーズ≪鍋修理≫なんかかなりいい感じでした。またまさに販促ポスターであるピエール・ボナール≪「フランス=シャンパン」のためのポスター≫にその始まりから広告は美女とアルコールそしてパーティーなのだなとw

この展覧会でとても印象的だった画家がエドゥアール・ヴュイヤール≪自転車≫。もうほんと現代的でアディダスのアドみたいな感性が最高で。自転車の画だとこの展覧会の主役、アンリ・ド・ドュールーズ=ロートレック≪シンプソンのチェーン≫も好きでした。やっぱり自転車が描かれると欧州って感じがしますね。

モーリス・ドニ≪『ラ・デペッシュ・ド・トゥールーズ』紙のためのポスター≫を始めとして淡い色調の物が多くて、日焼けとかもあるのかなと思いスタッフの人に”これはこの色味を意図したものだったのですか?”と聴くと”展示品はどれも状態のいいものです”との答え。この時期の欧州は原色より薄い色調が好まれていたのかもしれません。

ロートレック≪ディヴァン・ジャポネ≫のツンとした眼差し。研ぎ澄まされた人間観察からの表現だなと。ロートレック≪ジャヌ・アヴリル(ジャルダン・ド・パリ)≫ なんかは醜く歪んだ一瞬の表情を捉えて。

この時期のパリの文化発信地である場のポスターも多くて。アンリ=ガブリエル・イベルス、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック≪「カフェ・コンセール」表紙≫のカフェ・コンセールなどもそう。

そして撮影OKの部屋に展示してあった「シャ・ノワール(黒猫)」という名のキャバレーのポスターであるテオフィル・アレクサンドル・スタンラン≪シャ・ノワール巡業公演のためのポスター≫も素晴らしかったし、ロートレックは≪ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ≫という作品も描いています。

ロートレックだと≪マルセル・ランデール嬢≫のこの顔力!そして≪アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレーにて≫の諧謔的な表情には浮世絵のような感触も味わいました。カミーユ・マルタン≪「レスタンプ・オリジナル第2年次の表紙」≫もちょっと北斎的な植物構図を感じて。

この時代はリトグラフの時代。
リトグラフは、石版石(石灰岩)や金属板(アルミ板・ジンク板)の平らな版面(平版)を、油性インクを引き付ける部分と水分を保つ部分(インクを弾く部分)に化学的処理で分離し、水と油の反発作用を利用して専用のプレス機により刷る版画です。 版面に直接描いた絵を、ほぼそのまま紙に刷り取れるのが特徴です。


かなりの作品群が展示してあったフェリックス・ヴァロットン。≪お金(アンティミテ』V)≫は男女の怪しみが捉えられて。


ロートレック≪座る女道化師(シャ=ユ=カ=オ嬢)(『彼女たち』より)≫≪ムーラン・ルージュの女道化師≫は同じ女性を描いた作品。シャ=ユ=カ=オ嬢の芯の強さが感ぜられて好きでした。


テオフィル・アレクサンドル・スタンラン≪ボディニエール画廊にて≫は黒猫と三毛猫が可愛らしくて。エドゥアール・ヴュイヤール≪仕立屋≫は1895年の『OK COMPUTER』。 モーリス・ドニ≪恐れ≫は暗青のちょっと仏教性を感じる二人の絵。ピエール・ボナール≪通りにて≫とマヌエル・ロブ≪版画を見る二人の女性≫は日常の一瞬を刷った感覚。ピエール・ボナール≪パリ共和国衛兵隊≫は墨絵の如し。

そして次の部屋が本当にずばんと好みで。シャルル・マリー・デュラック≪図版1(『風景画連作』より)≫。全て違う色で刷られたというこの作品は水面の波紋の描写が卓越していて。絵の下には鯉?も。

アリスティード・マイヨール≪少女の横顔≫は黄色のバックが素晴らしい効果を生んでいて。同じくアリスティード・マイヨール≪波≫はまさに版画的な肉感のある波の背景が印象的。

そしてエドゥアール・ヴュイヤール≪街路(風景と室内)より≫ の抽象と具象のあいだの街路のテクスチャー。エドゥアール・ヴュイヤール≪吊りランプのある室内(『風景と室内』より)≫は生で観ると黄緑と黄色と橙でエーテルが爆ぜアウラが凄い!エドゥアール・ヴュイヤール≪二人の義姉妹(『風景と室内』より)≫の白黒に身を包んだ姉妹と背景のミロやゴッホのようなきらめきを持った色粒、素晴らしかった。

ケル=グザヴィエ・ルーセル≪縞模様のドレスの夫人(『風景画集』より)≫は妖精的な領域へ。ケル=グザヴィエ・ルーセル≪ニンフのそばで戯れるキューピッドたち(『風景画集』より)≫ではまさに神話的情景へ。同じくグザヴィエ≪泉(『風景画集』より)≫のGreat Waveのような緑。


フェリックス・ヴァロットン≪怠惰≫にははっとさせられるぐずさと色気があって。同じくヴァロットン≪『群衆ーパリの野次馬たち』(オクターヴ・ユザンヌによる序文他)≫にパリのモノクロな服装を想ったりしました。

アルフレド・ミュラー≪グスタフ・ファン・ザイプ『梯子』およびグンナール・ハイベルク『バルコニー』の劇場プログラム≫ は名画のポスターのよう。ロートレック≪ドイツのバビロン≫は慧可断碑図の達磨のようにシンプルな線がいい。

この時代、版画はプライヴェートな発注で官能性を高めていたそうですが、物議を巻き起こしたというロートレック≪悦楽の女王≫をみるに、公共空間ではかなり生真面目な空気があったのではとも感じました。

その分ジョルジュ・ド・フール≪『神秘的で官能的なブリュージュ』表紙≫のエンボス加工に秘めた艶を感じたり。



そして最後の作品が白手袋をしてしてめくっていけるピエール・ボナール≪ポール・ヴェルレーヌ『平行して』(ファクシミリ版)≫。文章を読めなかったのですが、究めてプライヴェートな性愛?の挿絵があって、これが版画の官能性か…!と。

三菱一号館美術館は上趣味な展覧会をやってくれて。今回も好ましいひとときを過ごすことが出来ました。展覧会は1/8まで。

by wavesll | 2018-01-02 18:59 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

銀座のSerpentineなBVLGARI

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by wavesll | 2018-01-02 14:50 | 街角 | Trackback | Comments(0)