2018年 02月 25日 ( 1 )

「仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-」展@東京国立博物館にて秘仏たちをみる

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特別展「仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-」を東博にて観てきました。

会場に入るとまずこの仁和寺を完成させた≪宇多法皇像≫が。そして部屋の中央にはこの画に描かれた法衣≪刺衲袈裟≫が展示されていました。こういう試みは面白いですね。また天皇の直筆、宸翰も数多く展示され≪霊元天皇宸翰和歌懐紙≫は19才のみずみずしさがありました。

序盤の見どころは円勢・長円作≪薬師如来坐像≫。白檀でつくられた小さな薬師如来の表面には截金のような細工が施され、大変に美しいものでした。

そして序盤の目玉、空海ほか筆≪三十帖冊子≫。唐の経典を空海その他が写したもの。小さい字で、急いで書いたのか手早く書かれた印象でした。そしてこれら≪三十帖冊子≫を収める箱の≪宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱≫がまた綺麗なものでした。

この展覧会では密教の奥義書が沢山展示してあって。最高の悟りへ至る十段階が記された≪秘密曼荼羅十住心論 巻一、巻二≫もその一つ。

さらに目玉が最強の儀式、孔雀経法に関連するもの。室町時代の≪孔雀明王像≫のトロピカルな古色と江戸時代の源證筆≪孔雀明王像≫のアジカンのジャケのような筆致での孔雀の首の角度、共に素晴らしいものでした。

そして≪孔雀経 巻中、巻下≫、無双の大秘法、それは「持ち出すな」という但し書きの≪孔雀明王同経壇具等相承起請文≫や安易に使うことを批判した≪覚法法親王消息・寛暁消息・返事案≫も重要文化財なことからも伺われます。

素晴らしい仏画も多く、平安時代・大治2年につくられた中国大陸風な≪毘沙門天≫とインド風な≪伊舎那天≫の十二天像や日光・月光もいる≪薬師十二神将像≫、数学的な理力を感じさせる≪虚空菩薩像≫も素晴らしかったし、≪五秘密像≫は細い吊り目でなんともいい波動が。十二支が描かれた≪薬師十二神将図像≫に加え、室町時代・大永2年≪仏涅槃図≫は動物・神将大集合◎

法具では鎌倉時代の≪金銅火焰宝珠形舎利塔≫と≪金銅都五鈷杵≫が良かった。

そして曼荼羅が素晴らしかった。≪別尊雑記 巻二十六 虚空蔵≫はレオナルド・ダヴィンチのウィトルウィウス的人体図のよう。≪唐本曼荼羅図像(千臂軍荼利ほか)≫や天体が描かれた≪北斗曼荼羅図像≫も良かった。

エキゾな色彩の≪両界曼荼羅≫とスカイブルーが美しい≪尊勝曼荼羅≫、そして何より奈良・子島寺の≪両界曼荼羅(子島曼荼羅)≫の金剛界は黒金の脈打つCGアートのような轟迫力がありました。

御室には様々な宝物があり、平安時代の日本の最古の医学書≪医心方 巻一、巻九≫も興味深かった。≪古筆手鑑≫は古代のエヴァーノートのようでした。最古の制作年代がはっきりしている日本地図である≪日本図≫では左に北、右が南に日本が描かれていました。

若かりし頃が描かれた鎌倉時代の≪聖徳太子像≫、近衞道嗣筆≪後深心院関白記≫には天気の記述が毎日一字で「晴」とか書かれていました。海幸彦、山幸彦の話が描かれた狩野種泰筆≪彦火々出見尊絵 巻三、巻六≫も鮮やかに龍王との世界が描かれていました。≪清水寺仮名縁起絵≫や≪金銅装戒体箱≫も良かった。≪覚深法親王像≫は衣の緑と赤が良く狩野孝信筆≪牡丹図襖≫は剥離がまたいい風合いになっていました。

そしてここから各地の秘仏満載の仏像次元。まずは写真がOKだった仁和寺の修業の場である観音堂の完全再現!素晴らしかった!裏手へ廻るとそこの壁画も完全スキャンされて再現されてました!

仁和寺の仏たちでは≪吉祥天立像≫は西アジアな美。≪愛染明王坐像≫は愛ゆえの怒りを感じさせられ≪文殊菩薩坐像≫は美青年でした。また修業中のゴータマ・シッダールタを彫った院智作≪悉達太子坐像≫という珍しい題材もありました。

大阪・金剛寺≪五智如来坐像≫は金色の鍵として天界を明けるよう。光背の影が美しい。≪大日如来坐像≫は飾りが緑青に錆びていい感じ。

宮城・龍寶寺≪釈迦如来立像≫は黒糖の飴のような輝き。神奈川・龍華寺≪菩薩坐像≫は木目が渦のように活かされた仏。三重・蓮光院≪大日如来坐像≫はすきっとした御仏。

福井・明通寺の≪降三世明王立像≫はカーッと威嚇する明王、≪深沙大将立像≫は阿吽の”うん”の方で、非常に豪鬼。そして福井・中山寺≪馬頭観音菩薩立像≫は憤怒のカッコよさ。

大阪・道明寺≪十一面観音菩薩立像≫の優美さ。兵庫・神呪寺≪如意輪観音菩薩坐像≫の炎の光背にちょっと小生意気な顔。広島・大聖院≪不動明王坐像≫の鬼婆感。

そしてこの展覧会の宝玉は素晴らしい千手観音。
香川・屋島寺≪千手観音菩薩坐像≫の全て受け止め掬う感覚。徳島・雲辺寺、経尋作≪千手観音菩薩坐像≫の祈り救う感覚。

そして何よりも心動かされたのが大阪・葛井寺≪千手観音菩薩坐像≫。腕と手が伸びる様は上海万博のUKパヴィリオンの如し。その表情は高次元空間から顕現したかのような、言葉では定義できないなんとも沁みるものでした。

これだけの様々なタイプの仏像を愉しめる展覧会もそうないと想います。加えて仏画・曼荼羅も逸品が多く、大変滋味深い仏教美術体験となりました。

by wavesll | 2018-02-25 21:36 | 展覧会 | Comments(0)