2018年 11月 15日 ( 1 )

価値基準の変貌こそがヒトのサガか 人間ってナンだ?超AI入門 第7回「恋愛する」




人間が感じる愛情、「好き」「愛おしい」「愛している」。人間は様々な感情を様々な対象に抱く。

好きだと思う感情はどこから?心から?では心ってどこですか?

人間が恋するとは?愛情は何処で感じる?その本質に迫る。

AIと人間は恋が出来るのか?

ヒトはすぐ人間以外に恋する。

人間が感じる愛着や愛情、それは脳波から読み取ることができる。

「好き度」「ストレス」「興味」を満倉靖恵(慶應義塾大学理工学部准教授)のリアルタイム感性取得装置では数値化しグラフに顕わせる。

データは15年かけて、ストレス時などにどんな脳波か取得・分析し、機械型学習と最適化手法で学ばせた。

脳に走る「マイクロボルト(100万分の1ボルト 非常に微量な電気)」が感情によって全く異なり、そのパターンを学習させる。

AI彼氏などを創りたい時に、自分が好いと想ったときの脳波をAIに埋め込むと、AIが「この言葉を言ったらいいんだ/悪いんだ」を学べる。

オキシトシンなどのホルモンと脳波の状態をデータでとると「好きになった瞬間」もみることができる。ナンパ待ちの子もいつかわかるかも。

AIからみると「好きになる」は感情・情動の話で、大脳皮質や海馬で処理した抽象度の高いものというより生物としてかなり昔から創り上げられてきたこと。

感情は電気信号に現れる。それをAIに埋め込むことは可能。でもAIに心の綾がわかる?

人間の感情が複雑になる恋愛、そんな時にAIがお手伝いするというのは野暮か?AIが恋愛相談することもある。千差万別の恋に一定の法則をみつけられるかも?

自由文の入力で恋愛相談がいけるシステムがある。これは大量の質問と回答を学習し、長文生成技術でQ&Aをする。

長文生成技術は、LSTM(Long Short Term Memory)という技術を使う。LSTMはRNN(リカレントニューラルネットワーク)の中の一つ。

RNNは前の言葉へ遡りその成果を利用して次の言葉を解析する手法。膨大な会話データを入力されたAIは例えば「こんにちは」といわれる『挨拶の状態』と分析し「こんにちは」と返す。すると『挨拶が終わった状態』と判断する。そのように話の状況を分析して発話する。

けれどRNNは前の会話を忘れてしまう欠点があり、長期的に記憶を保持することが難しい。そこで出てくるのがLSTM。これはある入力が入った時には忘れるのだけれども、基本はできるだけ覚えておく。『引継ぐかどうか』を入力によって決める。Forget Gateを開かない以外はできるだけ覚える。LSTMが出来たことによって、長文での質問に長文の答えが出せるようになった。

長文の単語の順番を抽象的に覚え、無駄な處は割愛しながら分析できる。長くても文脈をつかまえられる技術を得た。

恋愛の相談ができるAIがあるが、AIと恋はできそうか?

完璧な人よりちょっと抜けたり頓珍漢なことを言う人が好きだが、意表を突かれたりきゅんとすることが再現可能か?
質問と回答の対話関係を学ばせて「天然ボケ」の集団の会話をデータ化できれば、「天然ボケ」もプログラミング可能。

恋愛の鍵となる会話。そもそも会話ってなんだ?

1964年に開発された「イライザ」。この単純な対話システムであってもある程度会話は成立してしまう。

ではどういう会話システムなら人は恋に落ちるだろうか?恋愛はかなり感情が入る。感情と言葉の関係は、人間の脳と人工知能を探ると解かることがある。

脳の仕組みをカナダ・トロントで、AIとの比較から世界的な人工知能開発者ジェフリー・ヒントンが語る。

「人間の脳は最大のニューラルネットワークよりも10万倍から恐らく100万倍の強いつながりがある。もっともっと大きい。現在のニューラルネットワークを脳組織で表すと1粒の塩の大きさしかない。しかし私たちの脳は1リットルもの大きさがある。スケールが違う。それがどれほど重要な事かはわからないが、しかし理由もなしに私たちが大きな脳を持っているとも思えない。

ですからニューラルネットワークが一般知能を備えるにはもっと大きなスケールが必要なのではないかと思う。まだそのような根本的な質問への答えはない。しかし脳は何かが決定的に違っていて機能の仕方も違う。それはスケールかもしれないし学習に別のアルゴリズムを使っているために一般知能を得ることに長けているのかもしれない。

今のところニューラルネットワークは脳とは比べ物にならない」

人間並みに何でもできる汎用AIの開発は長年の夢。その実現のために脳を模倣する研究がされているが、脳の構造は京大で複雑、コンピュータ上で再現するには険しい道のり。

全脳アーキテクチャの研究がされている。AIの登場によって大脳全皮質の機能が分析され、脳全体の機能が露わになってきている。

非常におおざっぱで不正確な表現にはなるが、大脳新皮質がディープラーニングに似た知的処理、大脳基底核が強化学習、そのための報酬を与えるのが情動を司る扁桃体。運動をつかさどる小脳は教師あり学習を行って、ある体の動き方を滑らかになるように会得していく。海馬は短期記憶で反復や計算を行う。

全脳アーキテクチャ:脳の各機能を再現した人工知能。それらを組み合わせて汎用型AIの実現を目指す。

脳は中心の古い脳で本能、外側の新しい脳が知的処理を担当。新しい脳である大脳皮質をディープラーニングの抽象化技術で再現を目指す。古い脳で学習に関わる大脳基底核は成功と失敗を学びながら覚える強化学習、悲しみや歓びなど情動に関わる扁桃体など、古い脳の方が人間の本能に関わるため再現が難しいとされている。

では恋愛はそこでやっているのか。やはり扁桃体がドライヴしている。強化学習も生物として原始的。言葉に関わるのは大脳新皮質と海馬。人間の場合様々な部位が関わっている。海馬や大脳新皮質は分析が比較的容易だが、古い脳の部分は進化の過程で年月をかけて上手にできたものなので、「人間がなぜ感情を持つのか」「なぜ或る時に嬉しくなったり哀しくなるのか」「なぜ人を好きになるのか」は人間が種として獲得してきたことなので、コンピュータでは簡単には処理できない。扁桃体は難しい。

情動の中にも「悲しいけどちょっと嬉しい」とか「怒っているけどちょっと悲しい」とかある。「この言葉は逆の意味」とかもある。

元々は進化で得たものだけれど、人間が文化の中で発露させているものもある。扁桃体は基本的には生存上いいものが嬉しいようにでき悪いものが悲しいようにできていて、AI的に言うと目的関数があるが、恋愛は評価軸自体を変えることが起こりえる。本来それは生物として危険であり、それが故に色んな矛盾が起きたり文化に根差したりする。

恋愛とは価値観が変わる冒険。AIに愛はまだ難しい。

この番組をみていると、AIにおいて人間の一番大きな役割は「価値基準、価値観の設定」なのだなぁと想っていたのですが、恋愛や例えば子どもを持ったりすると価値基準自体が大きく変貌することがあるとの指摘に、”そうだ、変わること、大きなライフイベントで『正解』自体が身体としてがらっと変わり得る”というのが大きいなと。それすら進化の過程で得た本能なのではと。

自分自身の変貌を自覚すると、或いは旅などで異なるルールで営まれる世界を知ると、異なる他者に対しても”自分もそうあるかもしれない”という想像力が喚起されるような気がします。AIはある意味で価値観を増長強化する働きがあるかもしれませんが、硬化させずにしなやかに新環境・新時代へ自らをメタモルフォーゼさせていくのが人間の人間らしい特徴なのかもしれないなんて思いました。






by wavesll | 2018-11-15 01:15 | 小ネタ | Comments(0)