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第四回 酒と小皿と音楽婚礼― Folk And Pop Music Of Myanmarと常陸野ネストだいだいエールでスパイシーに

Sublime Frequencies: Princess Nicotine: Folk And Pop Music Of Myanmar (Burma)


ここ数日、冷える日が続いていますね。明日は南関東も雪だそうで。
こんな日はちょっと体にスパイスを効かせるような刺激的な音楽はないものかとYoutubeを回遊していたところ見つけたのがこのアルバム、『Princess Nicotine: Folk and Pop Sounds of Myanmar (Burma) Vol 1』です。

世界の辺境・秘境音源を出し続けているSublime Freaquenciesが出したミャンマー(ビルマ)のコンピレーション盤。冒頭の雷のようなチャルメラっぽい音が脳天をつんざくところから始まり、異界のような摩訶不思議な音楽が次から次へと繰り出され、心身が東南アジアの見知らぬ地へ持ってかれます。

地理的にもタイとインドに挟まれ、更に中国の影響も感じさせる彼の地のハイブリッドで分類不能な危険な香りがする楽曲群。CDで手に入れようとすると新品だとAmazonで9000円超だそうです。
タイトルにあるPrincess Nicotineとは1909年に撮られたサイレント映画の登場人物のようです。煙夢の妖精に捧げられた音楽といったところでしょうか。いや、しかし、この音源の蠱惑さは堪らないものがありますね。

こんな音に合わせるお酒は、香辛料が効いたようなテイストのビールなんてどうでしょう?
c0002171_2164063.jpg常陸野ネストだいだいエール
茨城の酒本が造っている地元のみかんを使った柑橘系ビール。飲んでみるとスパイシーに苦くて、このミャンマー音楽の異界の様な雰囲気にうってつけな味だと思います。

実際のミャンマーだと暑いのできっとションベンビールが売れているのではないかと思います。ミャンマーに行った友人によると現地の料理はとてもあぶらっこいらしいので、薄くて軽く、キレの良いのが合いそうです。ただまぁ今ここ冬の日本でこの音を聴きながらミャンマーの風土を想像するときは、こんな感じのビールがイマジネーションを掻き立ててくれるのではないでしょうか◎

ちなみにYoutubeにはこのミャンマーのシリーズのVol 3まるごとやVol2の数曲その他Sublime Freaquenciesの音源が多数上がっているので、ここら辺Digるだけで数日過ごせそうですね(笑)


Sublime Frequencies: Music Of Nat Pwe: Folk And Pop Music Of Myanmar Vol. 3

こちらはサインワイン・ロック歌謡といった雰囲気ですね。いいなぁ、ミャンマーの音楽。
by wavesll | 2015-01-29 21:18 | La Musique Mariage | Trackback | Comments(0)

第三回 酒と小皿と音楽婚礼 ― Astor Piazzolla/Maria de Buenos Airesで安ワインを上質な葡萄酒へ

c0002171_20555269.jpg小春日和の夜、胃一仕事終え、駅傍のまいばすけっとでチリワインを買ってきました。

サンタ・ヘレナ・アルパカ カベルネ・ソーヴィニオン/メルロー。雑誌一個人の1500円以下で楽しめる極旨ワインの第三位。これ、結構まったりと美味くて、なんと売値が599円なので重宝してるんです。ちなみに白はあんま味しなかったなwおススメするなら赤ですね。ハウスワイン的に使うにはありだと思います。

そんな安ワインを音楽でエクスクルーシヴにできないかと。いつもこの企画は曲先ですが今回は酒先で、ほろ酔いで書いています。月曜から飲んじまってどうしたものか(苦笑

只実は、どんな安ワインも格式高い葡萄酒にしてしまう魔法の音楽が存在していると確信させる円盤があるのです。

1968 - Astor Piazzolla - Maria de Buenos Aires

それがこの『ブエノスアイレスのマリア』です。タンゴの第一人者にして革新者、アストル・ピアソラがスランプから起死回生↓オペリータ(タンゴ・オペラ)。こいつがかかればどんな酒でも深紅の味覚が広がること請け合いです。

アストル・ピアソラとオラシオ・フェレールによって1968年にブエノスアイレスに捧げられた、吟唱そして器楽によって創られた、生まれながらに既に破滅への道を辿り夜の世界に生きたヒロインの生と死と再生の物語。

後にピアソラの第二夫人となるアメリータ・バルタール演ずるマリアが生きたブエノスアイレスの場末でも、Alpacaのような安ワインが飲まれたいたのかなと、熱っぽいバンドネオンを聴きながら飲んでます。そしてこの娼婦と聖母が重なる歌曲は、サウンドの面でも特別美しいものがあり、これは叶うる限り良い音質で、そして満足できる音量で鳴らしてもらいたい。音の美味に酔う、美しい感動を味わうことが出来ます。現在は残念ながら少しプレミアがついてしまっていますが、払う価値のある、素晴らしい円盤であることは太鼓判を押せます。PCで聴くときはヘッドフォンで鳴らしてほしいですが、酒飲んでる時に耳圧迫されるのもあれですものね。出来ればオーディオで聴いてもらいたい逸品です。

特にDisk1二曲目TEMA DE MARIAの打音と弦楽器が入るところと五曲目FUGA Y MISTERIOの美しさと言ったら!悪魔に魅入られたような麗しき音楽。これ、コテコテのタンゴでもない、ドラムが結構効いているサウンドなので、「ピアソラ苦手なんだよなー」という人にもイケるんじゃないかな。インストゥルメンタルに半分セリフの如き詠唱が入るので、ポエトリーリーディングものとしても聴けるし、そのままタンゴ・ミュージカルとしてブロードウェイのサントラをきくつもりで聴くもよし、酔いに脳を委ねれば、そこは色とりどりの壁、ブエノスアイレス、ボカ地区へ誘う、耽溺盤ですね、これは。
by wavesll | 2015-01-26 21:37 | La Musique Mariage | Trackback | Comments(0)

第二回 酒と小皿と音楽婚礼- Egberto Gismonti / Dança das Cabeçasとおうすの里の献上梅

今日は原美術館 開館35周年記念コレクション展に行ってきました。横尾忠則、草間彌生、アラーキー、李禹煥、杉本博司などがきらりと光る、面白い展示。なかでも榎本康二『干渉(Story - No16)』、野口里佳『潜る人』、名和晃平『Pixcell-Bambi #2』が気に入りました。

特に榎本康二さんの作品は薄いクリーム色に塗られたカンヴァスの左に、黒々とした長方体がぬらりと光っていて、右下中方には薄茶に紙魚のような楕円が横に伸びて配置されていた。そのコンポジションが、その大きさ(部屋の端の壁一面)も相まって、立体的な感動があって、とても魅力的でした。検索したのですが、画像は見つからず…12日までなので、是非品川でこの連休にご覧ください。

そして、webでは容易に手に入らないという意味では、今日マリアージュする音楽もそうかもしれません。

エグベルト・ジスモンチ/輝く水
c0002171_23595373.jpgブラジルの音楽家、凄腕のギタリストでありピアニストであり、作曲家のEgberto Gismonti.彼は幾度か来日公演を行っており、東京フィルとの共演は動画サイトにもあったりします。

私自身は数年前のブラジルEMI盤の再発の時期辺りに知り、一気にハマってしまい、渋谷シアターオーブでの息子さんとのコンサートに行きました。こんな音ギターから出るんだというようなギタープレイと、神の御業を思わせるソロピアノの響きに、心の底から驚嘆させられた夜でした。

一昨年、アントニオ・ロウレイロのライヴの際に話した方が、エグベルトさんの家にも行ったことがあったそうで、今は若い人たちを教育してオーケストラを組んでいるそうで、是非オケで来日公演なんて実現してほしいなと思います。

そんなジスモンチ氏ですが、今回取り上げるのはEMI盤ではなく、ECMが出している『Dança das Cabeças』。直訳すると『頭領の踊り』ですが、『輝く水』という邦題がつけられています。

鳥の鳴き声からフルートとビリンバウで始まり、アマゾンの密林の中で響くエクスペリメンタルな序盤から、徐々に精緻且つ勢いのあるブラジリアン・ジャズになるこの盤は、EMIの奔放さとECMの静謐さ双方を兼ね備えた名盤だなと、改めて今聴いていると惚れ惚れしてしまいます。

さて、この音源なのですが、実はYoutubeに上がってはいるのですが、どうにもこういう生楽器が効いた繊細な音源はYoutubeでは音が悪すぎてCDと比べると魅力がまるで伝わらないように思います。東京近郊の方は渋谷TSUTAYAにあるので借りるか、内容では損はさせない本当にいい出来のアルバムなので、是非お買い求められることをお勧めします。

ジスモンチ氏はヨーロッパでクラシックを学ぶのですが、その時師事したナディア・ブーランジェ女史に「あなたの音楽のどこにブラジル人らしさがあるのでしょう」と言われ、故郷の音を研究します。その際ジャングルで原住民と暮らしたこともあったそうです。その上で数々の名曲を創るのですが、この一枚もブラジルの原生林に響くジャズといった趣で、とても味わい深いです。

ちなみにナディア・ブーランジェさんはあのアストル・ピアソラも教えていたそうです。彼女を起点に音楽を探るのも、ちょっと面白いかもしれませんね。

c0002171_041733.jpgさて、この一枚に合わせる一品は、京都、おうすの里の献上梅です。

蜂蜜に漬けてある梅干しなのですが、この甘みと酸味の味わいが口に広がるのがエクスペリメンタルブラジリアンジャズの密林の響きと相まってたまらなくβエンドルフィンを放出させてくれます。

案外、合わせる酒は焼酎なんかも行ける気がしますし、凍頂烏龍茶なんかも合いそうだなと思います。

まぁ、とはいえ、聞いて良いと思わなかったら買う気はしないよ、という方のために、Youtubeにある、そしてこの『輝く水』のテイストにも近い派手すぎない動画を、貼っておきます。




このレーザーディスクからリッピングされた動画が一番エグベルトのライヴ音源で好きな動画かもしれません。是非楽しんでください!ただ、曲のタイトルが間違っているので、そこだけは注意です。これで気に入ったら是非『Dança das Cabeças』と献上梅のマリアージュを楽しんでみてください^^
by wavesll | 2015-01-11 00:49 | La Musique Mariage | Trackback | Comments(5)

第一回 酒と小皿と音楽婚礼 - Andre Mehmari & Francois Morin / Arapora & 薫り華やぐヱビス

c0002171_22313778.jpg
明けましておめでとう御座います。
雪降る元旦は久々でしたね。

私は御節を食べたり、スパークリングワインを飲んだり、草間彌生の富士山の番組を観たり(上の富士山の絵画です)、横浜へ筆ペンと年賀葉書を買いに行ったり、ちょっと本を読み始めてみたり、まったり過ごした1月1日でした。

で、ちょっと2015年、このblogで前々からやりたかった企画を開始しようかなと思います。

それは食べ物・飲み物と音楽の組み合わせ。
音楽って口にするものと本当に好い相性があるものってあると思うんです。

個人的には自分が好む音楽は、前菜とか、ちょっとしたおやつとか、酒や珈琲と合うものが多い印象で、ちょっと摘む位の小皿料理と音楽の婚礼には、付き合いたての時間のような心の湧きたちに似た浮き立つ気分があると想います。

自分としてもこの企画の試みは、「味」という文章ではどうにも伝わらない部分を以下に描写するか、という意味で挑戦でもあります。まぁ、気楽に、それこそ音楽の力を借りながら、ちびちびと連載を続けていきたいなぁと思います。ご笑観して下さったら幸いです。

では、1回目は御屠蘇ということで、アルコールに合う音楽を。

André Mehmari (piano) & François Morin Duo
c0002171_22545174.jpg現代ブラジル最高峰のピアニストと、仏国気鋭ドラマーのインプロヴィゼーション。

アンドレ・メマーリは以前からその誉れは聴いていたのですが、一昨年の日本公演を収めたピアノ・ソロ・ライヴ盤で惚れ込み、愛聴していたところ、昨年末にこの円盤を見かけ、試聴したところ冒頭のピアノとシンバルの華やかな凛々しさに一気に惹きこまれ、ここ2週間ほどヘヴィーローテーションしているのがこのアルバムです。

さて、この音楽にあう酒は何だろう?と想うと、やはりしゅわっと泡立つアルコールがいいのではないかと思います。シャンパン、スプマンテ、スパークリングワイン等々、この系統ならばなんでもいけそう。でテリーヌなんか摘んじゃったら最高ではないでしょうか。

c0002171_23162881.pngそこで自分が薦めるなら、一昨年にサッポロが売り出した薫り華やぐヱビス。こいつでいきたいですね。

ジュエル・ロブションが監修したというフランス・ソーヴィニヨンの麦を使ったこのエビスビール、初めて飲んだ時は苦味に物足らなさを感じたものですが、逆にシャンパンのように飲めるビールだなと悟ってからはコンビニやスーパーで見かけては買って飲んでいました。

この華やかな風味と苦味はこのアルバムの味と見事にマッチすると、記憶の中のロブションエビスを想い返すとはっきり感じます。というか、飲みたいなー、合わせたい!調べたら通販で今でも買えるそうです。

初春に ロブションヱビスで 歳神と 鍵盤太鼓に 舌鼓哉 ー鴎
by wavesll | 2015-01-01 23:24 | La Musique Mariage | Trackback | Comments(0)