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カテゴリ:展覧会( 247 )

国立公文書館にて≪平成≫を観る

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竹橋駅からほど近く、国立近代美術館の先にある国立公文書館にて小渕さんが掲げた≪平成≫の書がみれると聴き、訪れました。

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現在国立公文書館では江戸時代の天皇という特別展をやっていて、その最後にかの書はありました。

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生で観ると「戌」っぽいというか、踊るような筆致。平成の時代、もう再来週には終わっているんだなぁ。

書の隣には平成と令和の原典となった書物の頁が開かれていました。

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また大日本国憲法や終戦の勅書、日本国憲法の原本も展示してあって。思わず「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び」を探してしまいました。
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國の歴史を伝える国立公文書館、なんと無料で観ることが出来ます。平成の終わりにこんな歴史探訪もいかがでしょう?

by wavesll | 2019-04-20 19:56 | 展覧会 | Comments(0)

奇想の系譜展 後期@東京都美術館

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奇想の系譜展後期@東京都美術館をみてきました。

前期後期みた展覧会は久しぶりでしたが1500円が全く悔いなく最高だったのが『奇想の系譜』執筆のきっかけとなった曽我蕭白≪群仙図屏風≫!早くも今年壱の画が出たかも!黄色の鶴、毒々しい桃、カエルは白い粒粒が立体的で、黒くMADな仙人オヤジと透ける扇の女仙人にデジタルノイズな景観に青眼の虎千変万化に流転するサイケデリックで鮮やかな画はPhotoshopのコラージュ的とも言えるが水流の様な樹に龍仙対決の風と波濤と一つの気脈がしっかりと流れていて!こーれは凄かった!

蕭白は他にも破いた手紙を噛む水色の着物が綺麗な≪美人図≫や顔が壊れているのに指が綺麗な≪柳下鬼女図屏風≫ビチビチの鯉と鳳凰、さらに亀、そしてDJ系のアー写のようなポーズが印象的な≪群仙図屏風≫、風に融けるような獅子と大人しい虎の≪獅子虎図屏風≫にディズニーキャラのような≪虎図≫も良かったです。

入ってすぐの伊藤若冲では赤白黄鶯色の≪白梅錦鶏図≫の紅黒白斑の長い尾っぽがよく、≪蝦蟇河豚相撲図≫のひょうきんさ、≪達磨図≫のイっちゃってる目線に≪乗興舟≫は前期から場面変えで静かな夜景が拡がっていました。

長沢芦雪はピンクの犬が可愛い≪降雪狗児図≫にこれもディズニーキャラ的な≪旭日大亀図≫が良かった。

そして岩佐又兵衛。凛と矍鑠とした≪自画像≫に、≪山中常盤物語絵巻 第五巻≫では牛若?の若武者の着物が美しく、≪浄瑠璃物語絵巻 第四巻≫は牛若と姫の恋物語で絢爛豪華な着物のグラフィックはYOJI YAMAMOTOならぬMATABEI IWASAといった感。彼の豪奢なデザインセンスは直線的な面でみせられるより着物のように立体的な曲面で一層映えるなと。

≪伊勢物語 鳥の子図≫でも北欧デザインのようなすっきりした唐草模様の着物が綺麗で。その他も鼻息荒い≪雲龍図≫や猛牛に自在に乗る≪老子出関図≫も良かった。

狩野山雪では棕櫚が南国感あって川沿いに老師たちがリラックスしている≪蘭亭曲水図屏風≫に脱穀などの風景がなんとも澄んだ空気感のある≪四季耕作図屏風≫、そして武骨な男たちが活躍する≪武家相撲絵巻≫が前期から展示替えでやってました。

最終階ではまず白隠慧鶴。鬼を擦って食べると仏性に気付けるという≪鐘馗鬼味噌図≫に、おぼっちゃまくんのキャラみたいな≪布袋図≫にこれまたおぼっちゃまくんテイストの≪南無地獄大菩薩≫もにんまりさせられました。

鈴木其一は前期でも感動した≪百獣百鳥図≫ではエメラルドブルーの孔雀と赤い猿に魅せられて。≪四季花鳥図≫ではひまわりの緑の惑星感、≪牡丹図≫の彫刻感、≪朴に尾長鳥図≫は田中一村感がありました。

そしてラスト、歌川国芳。≪宮本武蔵の鯨退治≫では鯨の尾のにじみがまた良くて。≪七浦大漁繁晶之図≫でもそうですが、ナウマンゾウからゴジラまでの巨大な生物との狩りの歴史が日本にはありますね。≪大物浦平家の亡霊≫のカラーの幽影に≪鬼若丸の鯉退治≫ではダイナミックな水紋に歌舞伎な服装が良かった。

≪文覚上人那智の瀧荒行≫は小さく表れる仏神がまた良かった。そして≪龍宮玉取姫之図≫がタイやタコやカニやイセエビが擬人化して刀で戦っていて面白かったw≪東都首尾の松之図≫はヤドカリの目線で。

≪みかけハこハゐが とんだいゝ人だ≫は想っていた以上にヒトの身体が活かされていて。≪其まゝ地口 猫飼好五十三疋≫は東海道五十三次をやっぱり猫が好き風に一枚絵にした絵でした。

この奇想天外な世界が展開される展覧会も明けて本日4/7が最終日。お薦めです。

by wavesll | 2019-04-07 03:23 | 展覧会 | Comments(0)

トルコ至宝展 チューリップ(ラーレ)の宮殿 トプカプの美@新美

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「トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美」を新美にてみてきました。

イスタンブールでトプカプ宮殿を訪ねた時、工事で宝物殿が閉まっていて、今回日本でのトプカプ宮殿展の開催は嬉しい驚きでした。


本展は何しろ最初の間がクライマックス。金・ダイヤモンド・ルビー・エメラルド・真珠・七宝と贅をつくした≪ターバン飾り≫や、ズドンとした存在感の≪スルタン・マフムート2世の玉座(支配者の肘掛け椅子)≫がのっけから凄くって。

≪スルタン・アブデュル・ハミト2世の花押(トゥーラ)≫の黄金や≪スルタン・ムラト4世玉座図≫ではピンクのうるわしさがまた良くて。

そして≪スルタン・メフメト4世の宝飾短剣≫はなんと柄がエメラルド!≪儀式用宝飾水筒≫も金銀財宝がぎっちり。≪宝飾兜≫もアラビア文字が美しく、≪立法者スルタン・スレイマン1世の刀剣≫は鳥と花、植物、文字で金色に彩られ、メフメト作≪直刀≫は赤い珊瑚やトルコ石・ダイヤモンドが美しく、≪柳装飾の盾≫も紅に美しかった。

また≪カフタン≫という上着や≪スルタン・ムラト4世のシャルヴァル(ズボン)≫、≪皇子用のカフタンとチャクシュル(靴付きズボン)≫、真珠母貝や銀金で彩られた≪ベルト≫、≪射手用指輪≫や≪射手用箙≫もエメラルドやルビーできらめき、碧玉、金、ルビー、エメラルド、七宝で輝く≪宝飾筆箱≫や黄金の法具のような≪宝飾手鏡≫に翡翠が美しい≪宝飾翡翠カップ≫、そして七宝やルビー、エメラルド、トルコ石の≪壁掛け時計≫と宮廷のエクスクルーシヴな暮らしがみえます。

そして今回の展覧会で初めて知ったのはオスマン帝国のチューリップ文化。チューリップはアラビア語でラーレと言いますが、この文字を組み替えるとアッラーにもなり、アラビア文字の数字の加算でもアッラーと同じになり、さらにはスルタンの属するカユ族の紋である三日月(ヒラール)の意味にもアナグラムで成るという。様々なアイテムにチューリップの意匠が使われて。

≪兜≫はゴールデンチューリップ。≪長靴≫はネオンサインみたいだし、≪付袖≫のスリーヴに、≪宝飾吊るし飾り≫は水晶が凄い。銀金に象牙も使われた≪宝飾ベルト≫に≪バックル付きベルト≫も美しい。≪鞄≫、≪ピストル・ケース≫もシンプルに美しいし、≪新生児用掛布団≫もチューリップ柄。≪ハサミとケース≫も麗しく装飾されて。ガラス製の≪吊るしランプ≫や象牙の≪葦ペン削り板≫や赤珊瑚の≪匙≫も素晴らしかった。

また文物も展示してありました。ルーミー文のチャケリー≪詩集のワニス塗り表紙≫を初めとして、アブドゥッラー・ブハーリー≪ピンク色の燕尾型チューリップ≫や≪論文集≫、メフメト・ラースィム≪スルス書体・ナスフ書体のアルバム≫、≪『偉大なる祈り』(Hizb el-Azam)の花束文様≫、デルヴィーシュ≪バラ色の燕尾型チューリップ≫、メフメト・アシュキー≪『チューリップ花暦』(Riale-i Takvim-i Lale)≫や≪『書道手習い本』(Elifba Cuzu)≫にセイイド・ハーフズ・ヒュセイン・ルトフィー・ザーラーヴィー≪『善のしるし』(Delail-i Hayrat)≫、ムスタファ・ハリーム・オズヤズジュ≪ナスフ書体扁額≫も、美しいカリグラフィと植物の輝き、そして淡いピンクの遣い方が非常に印象的でした。

ここから器などのパート。一番印象的だったのは、トプカプ宮殿でみて”おっ!これは面白い”と想っていた中国の陶磁器にオスマントルコで宝石を埋め込んだ≪染付宝飾皿≫・≪宝飾碗≫・≪染付宝飾碗≫・≪宝飾皿≫。黒と金の≪亜鉛製皿≫もなかなかだったし、イズニクのタイルのキャプションにはイスタンブルでみたスレイマニエモスクをつくった建築家ミマール・スィナンの記述も。時が下るとタイルの産地はイズニクからキュタフヤに遷ったそうです。

紅に輝く≪聖遺物用箱≫や≪聖遺物(髭)用風呂敷≫にはメヴラーナ美術館で観たムハンマドの髭を思い出して。≪礼拝用敷物(セッジャーデ)≫や丁寧な暮らしを思わせる≪ナプキン≫、エメラルドブルーにピンクの≪香炉≫にムハンマドの香りだという≪バラ水入れ≫、≪七宝製バラ水入れ≫はパステルで、≪エディルネ木画の葛籠≫には魔法的な幾何学模様が。螺鈿っぽい加工がしてある≪梯子≫や≪サイド・テーブル≫には宮廷のハイクオリティさをみて。アフリカの夕景のような≪ザール・ベルデ(壁用カーテン)≫、ピンクの七宝にクリスタルガラスな≪水タバコ≫、≪スルタン・アフメト3世肖像画≫の細密描写。

1/20スケールで銀と木でつくられた≪スルタン・アフメト3世の施水場模型≫、ベイコズ・ガラスでつくられた≪チューリップ用花瓶(ラーレ・ダーン)≫に外で使われたという≪サーイェーバーン(日陰テント)≫、≪靴下≫も花柄、花の意匠をつけた≪轡≫なんてのもありました。

そして≪スルタン・スレイマン1世のものとされる儀式用カフタン≫や≪染付カラック(芙蓉手)様式皿≫や植物がみずみずしくカラフルに描かれたヨーロッパやフランスの≪皿≫や取っ手がカクカクしている≪コーヒー・セット≫。ドイルからは絵画にも描かれた≪備え付け時計≫、フランスからは三角形の文様の≪暖炉時計≫がありました。

そして最後の間はトルコと日本の交流。エルトゥールル号の義援金を持って行った山田寅次郎が著した≪『土耳古畫觀』≫に寅次郎が持って行った≪金太刀≫、さらにはドルマルクチェ宮殿に展示されている鹿が画かれた有田焼の≪花瓶≫に龍と鳳凰のデザインの有線七宝の≪花瓶≫に鳩の有線七宝の≪花瓶≫、皇室からスルタンへ贈られた≪勲章(大勲位菊花大綬章)≫、オスマン帝国から贈られた≪紫天鵞絨地花文刺繍卓被≫がありました。

最初の間の密度で絢爛豪華さが続いたらもっと凄まじかったなとは思いつつ、オスマン帝国宮廷とラーレ(チューリップ)の関係やピンクの水彩の美しさなどトルコへの想いを掻き立てられる展示でした。

by wavesll | 2019-04-05 01:34 | 展覧会 | Comments(0)

新・北斎展 HOKUSAI UPDATED@森アーツセンターギャラリー

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北斎研究家の故・永田さんによるコレクションを元にした。春朗、宗理、北斎、戴斗、為一、画狂老人卍の全期に渡る展覧会。ラス日に滑り込みみました。

第1章春朗期にも面白い作品が。≪「新板七へんげ 三階伊達の姿見 沢村宗十郎」≫は着せ替え出来るつくり。≪熊に団子を与える金太郎≫はふっくらと逞しい。≪「浅草金龍山観世音境内之図」≫は遠近法的。≪「浮絵一ノ谷合戦坂落之図」≫も上手いし、≪「浮絵忠臣蔵夜討之図」≫や≪「風流子供遊五節句 さつき」≫なんて作品も。

≪「能登守教経勇力」≫や≪「梶原源太景季」≫も良かったし、磯子から江ノ島までのパノラマを描いた≪鎌倉勝景図巻≫には大仏も。≪『前々太平記』≫や≪市村座絵本番付≫、≪『昔々桃太郎発端話説』≫の鳥人も面白かった。

そして第2章宗理期。

≪「すみたかハ」≫の傘の描写。≪「ぎやうとくしほはまよりのぼりとのひかたをのぞむ」≫と≪「よつや十二そう」≫のうねる風景描写。≪成身院童子経曼荼羅≫のカミの描写。首を伸ばす二匹と一匹の≪亀図≫にはほっこりしました。≪合筆 所作事尽≫も美人でした。

≪玉巵弾琴図≫の龍と西王母の対峙。≪美人愛猫図≫は胸元の猫が色っぽい。≪娘図≫はリラックスした現代的なポーズ。≪大原女図≫と≪京伝賛遊女図≫はさっと画いた線が素敵。≪来燕帰雁図≫の燕の胸のふっくらした様子がまたいい。≪見立浅妻舟図≫はジブリ『かぐや姫の物語』のよう。≪福助図≫なんて奇妙な画も。≪寿亀図≫のカメもやはりいい。≪柳下傘持美人図≫の着物のドットがまたいい。

≪『柳の絲』≫にはポニョの波をみて。≪『春の戯うた』≫はハイ。≪『絵本隅田川両岸一覧』≫はイスタンブールの風景みたいだし、≪津和野藩伝来摺物≫は武家の一年の暮らしを彩りきりとったスナップ集。

そして愈々第3章 葛飾北斎期。

≪「新板浮絵富賀岡八幡宮之図」≫と≪「新板浮絵神田明神御茶の水之図」≫は見知った土地が描かれているのが面白くて。≪しん板くミあけとうろふるやしんミセのづ≫は江戸のペーパークラフトで、湯屋の描写に道後温泉を思い出しました。

≪吉原遊郭の景≫の五枚綴りの美女たち。浮世絵の女の顔は萌え絵にも似た定型性があるなぁ。≪鳥羽絵集 門付͡瞽女≫のしこめ。≪鳥羽絵集 見立礼拝≫や≪「風流おどけ百句」つくね芋・むかひ酒・つつはらみ≫も良かった。≪謎かけ戯画集 鍋の中・手習子・江戸子≫なんて謎々な作品も。

≪「風流源氏うたがるた」≫もいいし、≪在原業平≫の太ペンな筆さばき。

≪雨乞小町≫のかっこいい美人図に≪「かな手本忠臣蔵」≫のキャプションでは北斎のお母さんは吉良方の家臣の孫だったという歴史のつながりの驚きを知って。≪富士見西行≫のいい顔。≪狂歌師像集 夷歌守・棚珎厚丸・三條小判志・山寶亭長尉斗・太羅多欄油小売安方・八声明近・柏古枝・一丁亭羽狩≫の太羅多欄油小売安方の帽子が良かった。

≪人形図≫はまるでいきているみたい。≪扇に桜図(校合摺)≫は輝くばかり。≪五美人図≫はツヤがいい。

≪猿図≫は擬人化された神の使いとしてのサルが。≪宝尽くし図≫はめでたい意匠が擬人化のように配置されて。

≪布袋図≫では人をダメにするソファでのほんわかした図が。≪相撲玩具で遊ぶ童子≫も可愛らしい。≪茶筅売り図≫の千成瓢箪のようなプレゼンテーションが良かったし≪鯉亀図≫は自在置物の様。

≪『復讐奇話 絵本東嫩錦』≫や≪『阿波之鳴門』≫も良かったし≪『新編水滸画伝』初編初帙≫の大蛇、馬琴とタッグを組んだ≪『鎮西八郎為朝外伝 椿説弓張月』前編≫や中国拳法みたいなポージングの≪『飛騨匠物語』≫、竜女がかっこいい≪『勢田橋竜女本地』≫に、≪瀬川仙女追善集『露の淵』≫も良かった。

北斎期でも開花し始めていますが、ファンタジックな筆致が第4章戴斗期では全開になって。

≪鴛鴦図≫の感情が見えるような筆運び。≪寿老人図≫のなんとも極楽な絵図。≪花魁図(画稿)≫の流し目がいい。≪芋の図≫なんて逸品も。アサヒビールを想起w

そして≪『北斎漫画』≫。あらゆるものを描いたこの絵手本帖の展示では版木もありました。

≪『北斎漫画』四編≫では天狗や竜、≪『北斎漫画』五編≫の葵上などの伝説の人物、≪『北斎漫画』六編≫の銃、≪『北斎漫画』十編≫の仙術、≪『北斎漫画』≫十一編の毘沙門天のでっらかっこよさ!≪『北斎漫画』十二編≫のギャグに≪『北斎漫画』十四編≫にはアザラシも。万物を描いたこのデザインは≪鐔・印籠・根付・目貫≫と工芸にメディアミックスも。

また絵手本では≪『己痴羣夢多字画尽』前編≫や≪『略画早指南』≫、≪『画本早引』前後編≫は子どもでも楽しめそうなデフォルメが。≪『三体画譜』≫や≪『伝神開手北斎画鏡』≫も良かった。

イカ、カレイ、イセエビが画かれた≪『北斎画式』≫もいいし、≪『今様櫛キセル雛形』≫に≪『新形小紋帳』≫のデザインもいい。≪『忠義水滸伝画本』≫のバトルポーズ、≪『和漢絵本魁』≫の土蜘蛛との闘い、北条時政が大蛇と対峙する≪『絵本武蔵鐙』≫、≪『絵本早引 名頭武者部類』≫や≪『絵本和漢書』≫、≪『画本彩色通』≫、円の≪『諸職絵本新鄙形』≫も奇想でした。

第5章 為一期。ここにてさらなる画の展開をみせます。

≪富嶽三十六景≫は太田記念美術館でみていたので≪「富嶽三十六景 隅田川関屋の里」校合摺≫があったのが嬉しかった。

≪「諸国名橋奇覧 山城あらし山吐月橋」≫の穏やかな名景。≪「諸国名橋奇覧 摂州阿治川口天保山」≫の山河一体ぶり。≪「諸国名橋奇覧 かうつけ佐野ふなはしの古づ」≫のくいっと曲がるカーヴ。≪「諸国名橋奇覧 かめゐど天神たいこばし」≫の良さに≪「諸国名橋奇覧 足利行道山 くものかけはし」≫の虚空さ。

≪「諸国瀧廻り 和州吉野義経馬洗滝」≫と≪「諸国瀧廻り 東海道坂ノ下清滝くわんおん」≫のいなたい感じも良かった。

≪「奥州塩竈松嶌之畧図」≫の島々、≪「千絵の海 甲州火振」≫の水描写、≪「千絵の海 絹川はちふせ」≫の波の表情、≪「千絵の海 相州浦賀」≫の磯の表情。

≪「琉球八景 筍崖夕照」≫の宙に浮かぶ嶋、≪「琉球八景 城嶽霊泉」≫の中国風の景、≪「琉球八景 中島蕉園」≫の芭蕉の南国さ。

≪紫陽花に燕≫の紫陽花の乾いた美に≪菊に虻≫の湿度の美。≪雪の松に鶴≫のレインボーさ。

≪「百物語」 笑ひはんにゃ≫のエグい笑み。≪「百物語 お岩さん」≫≪「百物語 さらやしき」≫、≪「百物語 こはだ小平二」≫のデロリと肉が落ちる様。

≪詩哥写真鏡≫のシリーズも良かった。≪詩哥写真鏡 伯楽天≫の天空へ浮かぶ山、≪詩哥写真鏡 清少納言≫の覗く輩たち。≪詩哥写真鏡 春道のつらき≫の山と川の対比。≪「詩哥写真鏡 少年行」≫・≪詩哥写真鏡 木賊刈≫も良かった。

≪「鎌倉江の島大山 新坂往来双六」≫には渋谷や二子、川崎、厚木など見知った土地が描かれていてほんと時空が繋がる気がして。

≪「馬尽 轡町」≫の小人さ≪「馬尽 竹馬」≫や≪羅漢図≫も良かった。

≪六歌仙図≫が半ば立体的にも見えるような北斎の色彩画。これホント北斎が辿り着いた世界だなぁと。

≪工芸職人用下絵集≫と≪未刊絵手本版下絵≫もしみじみと良くて。≪『絵手本訓往来』≫や≪『花吹雪縁柵』≫、≪『出世奴小万之伝』≫、≪『唐詩選画本 五言律』≫と≪『唐詩選画本 七言律』≫も充実してました。

そして頂へ、第6章 画狂老人卍。

≪「唐土名所之絵」≫。なんでこんな地図だけなのにアートになるのか、スゴい!さらには≪「地方測量之図」≫という測量士たちをモチーフとした画も。なんて題材選びだw!≪雪中筍掘りの図≫なんてテーマもw

そしてこの展覧会で最も心動かされたのが≪田植図≫。笠のリズム、ドットの美、そして不思議な、ちょっと怪しさすら感じるオーラが『田植え』という画で展開される。こーれは画狂老人卍だけが辿り着けた世界だったなぁ。

≪向日葵図≫のジョジョ感。≪狐狸図≫の淡彩な僧侶。のんべえな≪鬼図≫もいいし、絶筆の≪富士越龍図≫はあらためていい。竜だと≪『画本葛飾振』(版下絵)≫も良かったし、≪『訂正補刻 絵本漢楚軍談』第二輯≫の女たちに≪『釈迦御一代記図会』≫や≪『画本千字文』≫にコミカルな≪『絵本忠経』≫に≪『絵本孝経』≫も良かった。

また≪鶴屋金助宛北斎書簡≫と≪本間北曜宛北斎書簡≫では北斎の手紙での字もみることができました。

そして最後を飾るのは≪弘法大師修法図≫。病魔の鬼と戦う空海の凄まじい法力バトル。凄かった。

この展覧会の一つのウリは春朗・宗理期の作品をまとまった量みれることでしょう。けれど面白くなってくるのは北斎期以降。しかし二周目にみてみると春朗だって結構上手い。イチローを想うというか、日々鍛練で地力を上げ練達したのだなと。戴斗期の『北斎漫画』は3000を越えるモチーフを描いて。

最も有名な作品である為一期の《富嶽三十六景》は既に他で何度かみていたが今回墨線のみの校合摺も。去年のあべのハルカス北斎展の方がポップでしたがこちらはマニアックに凄い。それにしても最終日とはいえこんなマニアな展覧会入場に1hかかるとは流石北斎。

最終形態画狂老人卍になるとあらゆるものに対する(馬を除く)デッサン力、『雪の中で筍を取る』といったモチーフの選眼力、西洋に學んだか2.5Dにみえる色遣いを会得し最早唯一人の高みへ。《田植図》をあんなにも幽玄に描く画家をほかに知らない。最早もののけの域。努力を一生続けた天才の技。

”伝導率を上げるってほんの少しの向上を日々積み重ねていく道なのかもな”と。ほんの少しの差異が閾値を越えるか越えないかを決める。最初期、美人画や役者絵でカチっとして綺麗だけど無個性とも言える絵を描いていた北斎(春朗)、様々なポーズで描けるデッサン力がついてファンタジックな画も自在に描けるようになる。そして総合力の綜合によって画狂へ。

何というか、この横綱相撲振りは心身の剛健さも予期させる。狂うには剛健でないと。前後期合わせて500点近い大ヴォリュームでの展覧会でした。

by wavesll | 2019-03-28 06:41 | 展覧会 | Comments(0)

IMPOSSIBLE ARCHITECTURE展&瑛九展@埼玉県立近代美術館

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埼玉県立近代美術館にてインポッシブル・アーキテクチャー展をみてきました。

「建てられなかった建築展」。正直建築展の場合、図面と白い紙での模型だけだと面白みが薄いところがあると個人的には感じるので、その壮大な計画が建築図面だけでなく木製模型やCG映像などでもあらわされていたのがとても良かったです。特に木製模型は建築の日本展@森美に続きやっぱり魅力的な展示物だと感じました。

会場に入るとまず飛び込んでくるのがウラジーミル・タトリン≪第3インターナショナル記念塔≫。レーニンの時代の共産主義のモニュメント。模型だけでなく、長倉威彦による鉄塔城が実際に町中に在るようにつくった映像がまた良かった。

また前川國男の≪東京帝室博物館建築設計図案≫のところに掲げられていたジョサイア・コンドルが作った最初の≪東京帝室博物館本館≫の写真が京博のように優美な姿で”これもいいなぁ”なんて思わされました。

そして展示はMETABOLISM 1960:都市への提案 という建築家たちの運動の篇に入ります。

この中でも最もぶっ飛んでいた計画が菊竹清訓≪海上都市1963≫。房総の山を核爆弾で破壊し、その岩石と土砂で東京湾を埋め立てそこに皇居などをうつし新首都「ヤマト」を打ち立てるというwヤバイw実際この発案はその後のメガフロート建築にもつながったそうです。

他にもここでは同じく菊竹清訓≪国立京都国際会館設計競技案≫や黒川紀章≪東京計画1961-Helix≫の二重らせんのビルの木造模型があって面白かった。

またこの時代、中空に建築をつくる計画というムーヴメントがあって、コンスタン(コンスタン・ニーヴェンホイス)≪ニュー・バビロン≫やヨナ・フリードマン≪可動建築/空中都市≫の展示も。ヨナ・フリードマンは2017年にクラウドコンピューティングを駆使し宅地と緑地の新しいバランスの都市計画を提案していました。

磯崎新≪東京都新都庁計画≫ではフジテレビ新社屋みたいな球体のある模型が。レム・コールハース/OMA≪フランス国立図書館≫でも幾何学な楕球形が使われていて、1980年代後期のトレンドだったのかもしれないと感じました。

また変わった展示ではもはや建築されることすら意図していないダニエル・リベスキンド≪マイクロメガス:週末空間の建築≫の図面が図形楽譜のようで面白かった。さらに今回一番巨大な展示物として、養老天命反転地の荒川修作+マドリン・キッズがフランス・エピナール市モーゼス河につくろうとした≪問われているプロセス/天命反転の橋≫なんて作品も。

そして21世紀の「インポッシブル・アーキテクチャー」へ。

藤本壮介≪ベトンハラ・ウォーターフロントセンター設計競技1等案≫はセルビア・ベオグラードでの建築のコンペ案。ぐるぐる回転する回廊がラゾーナ川崎をもっとすごくしたみたいな公共空間を形作っていました。

また山口晃≪新東都名所 東海道中「日本橋 改」≫会田誠≪シン日本橋≫は悪名高い日本橋の首都高を地上から消すのではなくさらにその上に巨大な太鼓橋を架けるといういう案でこいつはユーモアあるし楽しい計画だなと◎

そしてあえて「建築可能だった計画」として展示されたのがザハ・ハディド・アーキテクツ+設計JV(日建設計、梓設計、日本設計、オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン設計共同体)≪新国立競技場≫。様々な書類から、未来の日本のフォルムを提示していたのに極めて政治的に潰されたこの計画に懸けていた意気込みが伝わりました。


メインビジュアルにお使われている≪ヘルシンキ・グッゲンハイム美術館≫はWeb上から利用可能なオブジェクトをDLしそれをキットとして建築の装飾を形成する手法で、まさしく現代の神殿的な建築だなと。それと同じ手法が活かされた≪西57丁目のタワー≫はゲームオブスローンズのキャラから愛称がカリーシと呼ばれているそうです。映像に流れていたCreepの合唱での「I'm a creep, I'm a weirdo」が建築家たちの心の声に聴こえ印象的でした。

IMPOSSIBLE ARCHITECTURE展をみたあと1Fに降りてコレクション展をみたのですが、ユトリロやモネ、ピカソなども良かったのですが、埼玉ゆかりの画家瑛九の展示が結構良くて。特に≪田園≫はこの日にみたArtの中でも1,2を争うくらいの素晴らしさでした。ライト・デッサンという鑑賞者が光量を操作できる展示だったのですが、空と大地がぶわっと迫ってきて。瑛九氏を初めて知ったのですが、本当にとても良かった。

その他屋外の彫刻作品なんかも面白いのが多かったです。インポッシブル・アークテクチャー展は明けて本日24日まで。渋谷から小一時間かからずに行けます◎

by wavesll | 2019-03-24 05:42 | 展覧会 | Comments(0)

髙橋瑞稀の電子時代に昇華された今様奇想の日本画@西荻・数寄和「春の瞬き」東京藝術大学大学院修了五人展

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西荻・数寄和にて髙橋瑞稀さんをはじめとする東京藝大大学院修了者の五人展「春の瞬き」をみてきました。

髙橋さんの画をみるのは卒業・修了展ぶり。その時の≪シナプスの地形図≫が長時間煮詰めてクオリティ密度を高めきったのに対して、この≪ルテンの風景[a transition]≫は冬から春へ遷り変る季節の芽吹きが軽やかに展開されて。
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バオバブの木にまた別の植物の花が咲き誇り、空へ、海へ大地へ抜けていく。一枚の画面の中で季節が遷移するのは≪四季花鳥図屏風≫みたいな日本画の感覚もありつつ、視点が変幻し、木が山脈に成り大地が桃色に成りというメタモルフォーゼは顔料の鉱物感が鮮烈にあらわれ、視線がぐにゃりと移動していくような最近の写真動画を思わせるキュビズム体験でした。

≪視覚処理の過程 [What I saw also what my brain saw.]≫
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これは他者をみたときに第一印象は表面的なものしかみえずからっぽだけれども、中身を知る毎にその複雑な内面がより焦点がシャープになって捉えられるという様を現したミクストメディア作品。絹地を使ったりテクスチャーが複雑でまさに自由自在に駆け抜けてる感があります。とても面白い。

≪モニターで見た花の風景 [Some flowers I saw on a monitor.]≫
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≪ブレインストーミング≫
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この二品も絹地を使ってデジタルな画面が演出されて。特に≪ブレインストーミング≫の方は極彩色の鳥にも花にもみえますが、その実はMRIでみた脳の画像だそう。今は医療技術で一部を彩色で抜き出すことも可能だよな…などと考えるとまた愉しい。VJ的にイメージの奔流がザッピングされる感覚も感じました。

Webに載せる許可を取ってなかったので他の方々の作品の写真はULしていませんが、良き作品がたくさんありました。また髙橋さんの作品も明日、そして最終日の明後日は展示数が増えるそう。これは奇想の系譜展とかみた人にも現代における潮流としてみてもらいたいなぁ。生がディスプレイ越しより断然いいです。西荻もいい町なので、諸々ぜひぜひ◎

by wavesll | 2019-03-21 03:52 | 展覧会 | Comments(0)

塩田千春 ≪6つの船≫ at GINZA SIX

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by wavesll | 2019-03-18 09:00 | 展覧会 | Comments(0)

奇想の系譜展@東京都美術館 ”奇想は満腹”な人にも薦められるBest Compilation

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上野・東京都美術館で奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールドをみてきました。
実をいうと”あー外人が好きそうなやつでしょ?奇想系もお腹いっぱいだよなー”なんて思っていたのですがなかなかどうして!確かにこりゃベスト・コンピだけど魅せるものがある。初展示作品も数あったのに加え岩佐又兵衛展としてもみれるくらいまとまっていたのも嬉しかったです。

本展を裏づけしているのは辻惟雄氏が美術手帖に連載し1970年に著した『奇想の系譜』という書。近年ベルギー奇想の系譜展@Bunkamuraなどとみに多用されている”奇想”ですが、そもそもこのコンセプトからいうと本展覧会は真打といえます。

本展では『奇想の系譜』に取り上げられた若冲、蕭白、芦雪、又兵衛、山雪、国芳に其一と白隠を加え、それぞれの絵師を一人づつ展示していくスタイル。

最初に登場するのが伊藤若冲。2006年のトーハクから2016年の動植綵絵な東京都美展、そしてその後のアートシーンでまさに目玉の日本画家となった若冲。ここでも素敵な作品をみることが出来ました。

先ず現れるのが≪象と鯨図屏風≫。象の官能的ともいえる仏のような目が印象的。そしてモデルの撮影のカットアップ映像のような≪鶏図押絵貼屏風≫は近年見出されたもの。

そして目玉が≪旭日鳳凰図屏風≫。動植綵絵の数年前に描かれたこの色鮮やかな鳳凰図。白い頬に桃紅がさして。トリコロールのような青赤白の彩色。下方にある波のデザインも素晴らしく、時間を超越した美がありました。

その他も大阪から京都への船での光景を描いた≪乗興舟≫や紫陽花を二色の藍で画いたこれぞ若冲な≪紫陽花双鶏図≫、バッタやカマキリが画かれた≪糸瓜群虫図≫となかなかな出品でした。

第二の絵師は曽我蕭白。トーハクでのボストン美術館展の≪雲龍図≫も印象的でしたがここでも逸品が。

シャカが前世で帝釈天が化けた悪鬼に試される≪雪山童子図≫のユーモラスさ。青鬼がなんとも魅力的で。中国の名勝を描いた≪楼閣山水図屏風≫も良かったし、三鋭角の富士が興味をそそられる≪富士・三保松原図屏風≫も大パノラマで。

そしてイチオシは≪仙人図屏風≫。この狂った境地に達したジジイたちの顔w!最高じゃないかw爺のMADNESSでいうと画狂老人卍も想起しました。

また大迫力な≪唐獅子図≫も良かったしデフォルメされた山水描写がイラスト的現代性のある≪虎渓三笑図≫も良かったです。

次に登場するのは気になってた長澤芦雪。こうしてアラカルトで摘めるのが本展のいいところ。

何しろ芦雪は顔つきがいい。≪群猿図襖≫のサル達のいいツラ。アフタヌーンで連載しそうなタッチ。≪雲龍図≫も目がなんかきさくで。そして≪猛虎図≫のトラもマンガの主人公になりそうな魅力的な顔つき。

≪山姥図≫の赤子と婆のなんともごうつくな顔が良すぎwそして≪猿猴弄柿図≫の人間みたいな猿の親子の顔。素晴らしかった◎

また≪白象黒牛図屏風≫の白象についている鴉のバカ面と黒牛についている仔犬の超可愛らしさw他にも3平方cmに描かれた≪方寸五百羅漢図≫≪なめくじ図≫なんて面白いのも。≪牡丹孔雀図屏風≫には三井家の剪綵を想起しました。

その他童が透ける≪牧童図≫や白黄赤青が綺麗な≪花鳥図≫、≪方広寺大仏殿炎上図≫なんてモチーフの画や快く天を舞う≪龍図襖≫で〆られました。

そして個人的には一番の発見となったのが岩佐又兵衛のPart.

何しろ凄いのが辻氏が修士論文に選んだ≪山中常盤物語絵巻≫。その第四巻は源義経の母親・常盤御前が賊に惨殺される場面が。凄惨な事件が展開する絵巻なのですが、目を引いたのは登場人物の着物の柄。どれも違う柄のデザインが非常に美しくて。続いて展示される≪堀江物語絵巻≫でも侍たちの鎧がなんとも金柄で彩られて美麗。岩佐又兵衛がこんなにも着物・鎧に拘っているとは嬉しいサプライズでした。

そしてトーハク国宝展ぶりにみた≪洛中洛外図屏風≫。火炎太鼓も登場する細やかに描かれた祭りの風景に”リロードするたびに違うこれの誰かがウォーリーになるウェブサイトつくったら面白そう”とか思いましたw2/24まで展示されていた≪豊国祭礼図屏風≫も気に成るな~。

その他やはり着物の柄がイケてる≪伊勢物語 梓弓図≫に工房作とも言われる伝岩佐又兵衛≪妖怪退治屏風≫も妖怪たちがいきいきとしていて。そして後期もがらりと展示が変わって重文が多数登場するので岩佐又兵衛展として楽しむ御仁はもう一回かも。

そして狩野山雪の展示に。

文殊と普賢の化身と想われたという≪寒山拾得図≫のマッドな魅力。≪梅花遊禽図襖≫はコの字になった梅の姿に鳥がまた美しい。≪蘭亭曲水図屏風≫は柳の緑の描写が良かった。そして≪韃靼人狩猟・打毬図屏風≫のエキゾにエキゾを重ねた日本画さ。トラがとても鮮やかに浮かび上がる≪龍虎図屏風≫≪武家相撲絵巻≫なんてものもありました。

2Fへあがると白隠慧鶴が。

80才を越えて画かれたド迫力な萬壽寺≪達磨図≫。達磨はほかにも描かれていて永明寺の≪達磨図≫は怖いくらいの表情。

他にも注連縄だけで裸で金をせびる≪すたすた坊主図≫やドットな濃淡が印象的な≪無≫、”両手は拍手、では片手では?”という≪隻腕≫、そしてヘタウマな≪蛤蜊観音図≫とほっこりさせられました。

いよいよ展覧会も終盤。そのクライマックスは鈴木其一。


そして本展覧会での最上の画との出会いに感じたのが若冲から影響を受けたともされる≪百鳥百獣図≫。これが美事!緑の山に獣と鳥が画かれた双幅の掛け軸なのですが、下部には犬や猪などの身近な獣があり、上に行くほどにファンタジックさが上がっていき最後は麒麟に。鳥の方は一番上には白い鳳凰がおりました。

また≪貝図≫は西洋の静物画のようで。誠に時空間を超える筆致が奇想にはあるなぁと。

最後は歌川国芳。俺たちの国芳・わたしの国貞展@Bunkamura以来のがっつり国芳。

”これぞ奇想”ながしゃどくろの≪相馬の古内裏≫。これがメインにならないのも凄い。”象もそうだけど巨大動物は仏な目なのか”という≪宮本武蔵の鯨退治≫。海の生き物だと透明な烏天狗も登場する≪讃岐院眷属をして為朝をすくふ図ー鰐鮫ー≫も良かった。

≪吉野山合戦≫は牛若丸と弁慶が登場しているようにみえるのですが、五重塔を超えるくらい跳躍している牛若は佐藤忠信による身代わりだと図録で知りました。

また可笑しい浮世絵も。≪みかけハこハゐがとんだいゝ人だ≫は人体の集合でつくられた顔の図。≪朝比奈小人嶋遊≫はエドモンド本田みたいな巨人が登場。≪猫の当字 ふぐ≫はトラフグとネコたちによる「ふぐ」の字。

最後は≪一ツ家≫≪火消千組の図≫という顔料で画かれた大画で〆。

ほんと良くまとまっている楽しい展覧会でした。奇想ってここ十年くらいずっとブームな感があるけれど、江戸の日本画がダイナミズム。それが明治以降は油絵との差別化のため淡泊になったのかなぁ。けれど再びの現代の奇想の日本画、その芽吹きは今もあるしこれでまた羽搏くと信頼しています。またメインビジュアルの一つにも使われている蕭白の≪群仙図屏風≫は後期(3/12~)からの展示。まだまだ見どころいっぱいの上野の狂想曲は続きそうです。

by wavesll | 2019-03-07 21:30 | 展覧会 | Comments(0)

顔真卿ー王羲之を超えた名筆展@東博 書の初心者にとっての名筆世界への接続・眼を開く

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東博にて特別展「顔真卿ー王義之を超えた名筆ー」をみてきました。
今まで石川九楊展などの例外もありながら、書のみのがっつりとした展示というのは自分にとっては新領域の世界で。東博の国宝展で仏画に目覚めたように、あるいは京博の京のかたな展で刀剣に目覚めたような体験ができたらいいなと思って赴いたのでした。

展覧会を見終わり、正直まだ個々の具体的な違いを述べるレベルではないけれど、書の面白さには眼が開かれたと感じました。春節が終わっても中国人客が全体の1/2くらいで会場は物凄い混んでいて≪祭姪文稿≫は70分待ちでみれるのは一瞬でした。ただでさえ書の展示はみるのが遅々として進まず時間がかかるのですが、中国の人は漢文を読める分さらに鑑賞列が進まず、これから行かれる方は朝一一択かも。

展覧会場に入るとまず甲骨文から楷書への書の遷移の部。≪説文木部残巻≫は唐時代につくられた最古の字典で篆書を解説。殷時代の≪甲骨文≫は亀の腹甲や牛の肩胛骨からつくられるそう。そこから霊妙な篆書が続きます。篆書だけの展覧会とかも会場規模によっては縄文展のような感覚で成功できるかもなんて思いました。重りに描かれた≪銅権≫なんてのも。

そして早くも王羲之の登場。≪楽毅論ー越州石氏本ー≫や≪定武蘭亭所ー犬養本ー≫。最初王羲之の書の魅力や凄味がすぐにわからず”なんか鋭さの欠けた感じがするなぁ”なんて思ったのですが、書道の旅を一旦終え二周目にこの端正な流麗さが目に見えて、王羲之のオリジナリティを強く感じることができました。

そしてそこから虞世南≪孔子廟堂碑≫のようにするっとした筆、そして楷書の最高傑作ともいわれる欧陽詢≪九成宮醴泉銘≫のより躰を纏った字体に心くすぐられて。『とめはね!』にも出ましたよね。「以」の字なんかほんといいカタチしてる。

数は少ないですが絵画も展示されていて。仇英款≪九成宮図巻≫の日本にない山景の緑に玄宗と楊貴妃の別荘を描いた郭忠恕款≪明皇避暑宮図≫の建築画も素晴らしかったです。

そして褚遂良。彼の書はPCのフォントを見なれてる私にも素直に響く現代性を感じて。≪雁塔聖教序≫が素晴らしく、この「之」とかまじでカッコよくて。そして王義之と褚遂良の≪黄絹本蘭亭序≫なんかも凄いWネーム。さらに乾隆帝の跋と印まであってトリプルネームでした。

そこから髪の毛レベルに細かく再現した王羲之の≪妹至帖≫と≪大報帖≫の流れるように麗しい筆致の再現。そして息子の王献之≪地黄湯帖≫は軽やかなれど勇ましさも感じて。

そしてここから皇帝たちの筆が。唐太宗≪晋祠銘≫や則天武后≪昇仙太子碑≫の達筆さ。唐玄宗の書は写真撮影OKな巨大な≪紀泰山銘≫や≪石台孝経≫の美しさ。

そして宮中で記された≪大般涅槃経巻第四≫、≪妙法蓮華経巻第二≫、≪妙法蓮華経巻第三≫、≪金剛般若波羅蜜経残巻 ≫は美文字の極致。国が圀で表示される則天文字が使われる≪大方広仏華厳経巻第八≫に、これまた美麗な≪世説新書巻第六残巻 ─豪爽 ─ ≫に『詩経』が画かれた≪毛詩並毛詩正義大雅残巻≫は天上的な綺麗さ。

欧陽通≪道因法師碑≫も良かった◎石への書の彫りは内容を考える人と書を書く人、そして彫るヒトと浮世絵のような構造がありますね。

そしてここから愈々真打、顔真卿。彼の生みだした顔法という書法は最初の≪王琳墓誌≫からして、王羲之のクールな書と比べて熱血の血潮があって。本展をみながら”プロフェッショナル仕事の流儀でみた書体デザイナーの藤田氏がこの展示みてたらフォントハンティングしまくりだろうなー”と想っていたら明朝体は顔真卿の書からつくられたそう。今ならばディープラーニングで名筆から新フォントをつくったりもできそうですよね。

そして≪祭姪文稿≫。若くして戦で死んだ顔季明を祭る文は、あれほどの書の達人の文字が千々に乱れ、書き直され、繰り返される「嗚呼悲哉」の最後にある2度目は慟哭の後のかすれきった息のようでした。急かされ流されて「嗚呼悲哉」を確認するので精いっぱいで、乾隆帝の冒頭の文や詩、その他の跋もきちんとみたかった。

待ち時間の間にみれる映像では筆の運びが写されていて。石川九楊展で「書は文字をみるのではなくそれを描く人の筆運びや身体をみるのだ」と聴き、アニメ的・そして立体的に想像することで脳を駆動するのは音楽を聴いて演奏を思念の中に立ち上げるのに近いのかも、なんて考えて。

そして顔真卿の”三稿”といわれる残りの≪祭伯文稿≫と≪争坐位稿≫も展示され、特に≪祭伯文稿≫は壮麗で流れるような美がありました。

乾隆帝の冒頭の文もやはり美しい顔真卿≪自書告身帖≫に、楷書の傑作≪裴将軍詩≫も素晴らしかったなぁ。

そしてある意味顔真卿以上の衝撃があったのが懐素≪自叙帖≫の穏やかから狂草にエクスプロージョンする勢いの凄さ。張旭≪肚痛帖≫も良かった。

そして次の間は日本における唐時代の書の受容で、三筆などが展示されて。

欧陽詢に影響を受けた≪金剛場陀羅尼経巻第一≫に伝聖武天皇≪賢愚経残巻≫、そして王羲之を内に秘め炸裂させる空海≪崔子玉座右銘≫にしゃらりとした伝嵯峨天皇≪李嶠雑詠断簡≫に伝橘逸勢≪伊都内親王願文≫、如泥人といわれた藤原佐理の≪詩懐紙≫と≪国申文帖≫、伝藤原行成≪臨王義之尺牘≫と日本の書も充実していました。

現代書道をみたとき、”グルーヴとリズムと音圧でHIPHOPのようだ”それも洋楽的だと感じたのですが、今回中国書と日本の書が展示されることで自分の中での書のイメージがさらにHIPHOPになりました。”黒さ”なんかも相似と言うか、本場を如何に会得しそしてオリジナリティを出すか。本場のノリが時を経て移り変わるとこも似てたり、女性が仮名文字を使った様に自由な空気は先端で共鳴したりするなぁと。

そして宋代の書。黄庭堅≪草書李太白憶旧遊詩巻≫の自由闊達さ。そして米芾≪行書虹県詩巻≫は焼町土器のような魅力が突き抜けていました。

そして最後の間、狂草を筆動する董其昌≪行草書羅漢賛等書巻≫に加え董其昌≪臨懐素自叙帖巻≫はさらに懐素をリスペクトしていました。王鐸≪臨顔真卿帖軸≫はこの時代にも顔真卿が息づいていたのを感じ、傅山≪草書五言律詩軸≫はジョージア文字の様。そして顔真卿の書法を過去のものにしたという趙之謙の≪行書五言聯≫などの作品で展覧会は〆られました。

そして二周目、最後にもう一度見た≪祭姪文稿≫、やっぱりみれたのは一瞬で「嗚呼悲哉」をみるので精一杯でしたが、その劇文の鼓動に触れて、”亡くす”というのはその人の、そしてその人との未来の可能性を喪失することなのだろうなと想いました。そして、本当に悲しい気持ちはぽっかり空いた喪失からじわじわと、でも急激に味わうもの、表出するものなのかもしれないと感じた書体験でした。

by wavesll | 2019-02-21 02:16 | 展覧会 | Comments(0)

PhotoLog of 旧博物館動物公園駅「アナウサギを追いかけて」

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過日、期間限定で公開されている旧博物館動物公園駅へいってきました。
この駅は2004年まで実際に使われていて、今回その構内を使ってのArt展示でリファインしての2/24までの金・土・日での公開となっています。

Twitterで整理券の並びの情報を得て10時に整理券配布のところを9時過ぎには到着したのですが、もう午後の券に成ってしまって。みんなみたいんだなぁ。

駅構内は思ったよりもこじんまりとした空間での公開。石造りな感じがいい雰囲気で、中では動物の骨格標本の展示が。何気にそれぞれの動物にあわせたフンまでつくられていて藝が細かいwパンダのファンファンの頭部の骨は本物だそうです。

落書きがそのまま残されていたり、東京芸大が関わっているだけあって日本では軽視されがちな近代建築の保存・活用のモデルケースとなりそう。今でも京成の列車はこの駅を通過しているらしく、走行音が聞こえたりとなかなか愉しい体験となりました。

by wavesll | 2019-02-18 03:40 | 展覧会 | Comments(0)