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カテゴリ:展覧会( 262 )

野村絵梨・髙橋瑞稀「流動的身体の旅」展@六本木GALLERY MoMo Projects

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髙橋瑞稀 ≪言語学習のための世界地図≫
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髙橋瑞稀 ≪流動的身体≫
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髙橋瑞稀 ≪A storage≫
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髙橋瑞稀 ≪First impression≫
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髙橋瑞稀 ≪學學≫
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野村絵梨 ≪Sober≫
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野村絵梨 ≪ふち≫
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野村絵梨 ≪ふち≫
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野村絵梨 ≪<うつし><うつる>≫
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野村絵梨 ≪素面≫
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六本木GALLERY MoMo Projectsにて2人展「流動的身体の旅」を観てきました。

髙橋瑞稀さんの作品は地形を認知的に切り取り・再生しながらアクリルを使って飛び地をつくったりする半立体。中国語・ドイツ語と共に学んでいるプログラミング言語学習から地理的な思念からのシンプルな方向性を見出だし、ラフにそして新領域を魅せてくれました。

野村絵梨さんの立体作品の技量にも感服して。連なる頭部の中に電灯のある部屋が成っているというのが凄かったです。絵画にしても編み込みがあったり新感覚な美しい伸身と感じました。

ラフな感覚はコミュニケーションの粒度を想像の余白をたっぷり取った上で伝えてくれます。半立体絵画の影がまた新しいモチーフの比喩を産む面白さとか少し想像の補助線というかきっかけが要るかもしれませんが、『境界線を越えて自分自身のエリアを成していく』強さを作品から感じました。

新領域を拓く面白みがあって。六本木へ行かれる方にオススメです。ぜひ影に注目したり、像をいろんな角度でみてみたり、探る面白さを味わってみてください◎会場は六本木ヒルズのそばのビルの2Fで、8/11(日)まで。
by wavesll | 2019-08-09 18:49 | 展覧会 | Comments(0)

ヘンミモリ@Art Complex Center of Tokyo「洸」展

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アートコンプレックスセンターオブトーキョー・ACT アート大賞展優秀賞グループ展 前半「洸」でヘンミモリさんの作品群をみました。

幾度か展示を拝見させていただいていて、今回は蜜蝋を使った作品は立体性を増し、金箔を使ったりさらなる進化を遂げていてかなりワクワクさせられました。

by wavesll | 2019-07-24 23:02 | 展覧会 | Comments(0)

井上裕起展「salaMandala / アイイレナイ」@日本橋高島屋

salamander[WARBARD]
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salamander [SUBMARINE]
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salamander[TANK-B]
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salamander[TANK-G]
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salamander[B-29]
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salamander[SHIDEN-KAI]
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salamander [RAIDEN]
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salamander [OSPRAY]
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salamander [Incompatible]
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salamander [ROBOT PT-W]
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salamander [ROBOT PT-B]
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salamanDharma [世界征服]
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salamander [HIKESHI]
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鯢百態[火消之図]
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鯢百態 火消之図スカジャン
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salamander [IREZUMI]
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FRPによる立体作品集。戦闘機や火消し、達磨などにサンショウウオが成るというキュートなユーモラス、そして危うさもある奇想の魅力。サンショウウオのフラジャイルさに日本を重ね想いました。

by wavesll | 2019-07-19 06:11 | 展覧会 | Comments(0)

岐阜提灯・大内行灯@日本橋高島屋

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by wavesll | 2019-07-18 23:23 | 展覧会 | Comments(0)

山田薫風 長崎鼈甲コレクション@日本橋高島屋

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by wavesll | 2019-07-18 22:07 | 展覧会 | Comments(0)

オートモアイ「Permanent Boredom」@TAV GALLERY

≪Permanent Boredom #3≫
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≪Permanent Boredom #2≫
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≪Permanent Boredom #4≫
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≪Permanent Boredom #5≫
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≪Permanent Boredom #6≫
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≪Permanent Boredom #7≫
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≪楽園≫
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≪Bathroom≫
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≪Permanent Boredom #1≫
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≪百合の花があるテーブル≫
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≪帰路≫
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阿佐ヶ谷TAV GALLERYにて開催中のオートモアイさんの個展へ行ってきました。

マティスを想わせるフォーヴな色遣いの部屋が、けれど印象的なモノクロに紅を引いた女性がいて。幾重にも重なる透明なレイヤー感や植物的な室内に物語を感じさせる小物が現代的で。のっぺらぼうな女性はWebのアノニマスを表現したものなのかな?とても気に入りました。

なんとこの個展、今夜20:00までです。阿佐ヶ谷駅から十分も歩かずにいけるギャラリーなので、是非是非お近くまでいらっしゃった方にはお薦めです◎写真より生の方が明るく良くみれてほんといいですよ◎

by wavesll | 2019-06-30 16:08 | 展覧会 | Comments(0)

横浜浮世絵展@神奈川県立歴史博物館 港街の進取と猥雑な謙虚さ

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過日、馬車道の神奈川県立歴史博物館にて横浜開港160年 横浜浮世絵展をみてきました。
開港から鉄道開通くらいまで、この地で一気に開化していった横濱の風景。それを描いた横浜浮世絵を前期・後期で340点展示するという大きな展示。ひとりの浜っ子としてまじまじとみてきました。

まず最初の「横浜開港前夜」に出てくるのは北斎の≪富嶽三十六景 神奈川沖浪裏≫、前期にはこの数十年前に逆側からの波が画かれた≪賀奈川沖本杢之図≫が展示されていたそう。それもみたかった。開港の前年に亡くなった広重(初代)による≪冨士三十六景 武蔵野毛横はま≫も。

そして第一章「街ができるー横浜開港ー」では、まず貞秀≪増補再刻 御開港横浜之全図≫では生麦や子安から対岸の本牧までの大パノラマが広がって。そして田んぼの真ん中には当時の国際社交場というか遊興の場として作られた港崎(みよざき)遊郭が描かれた貞秀≪横浜本町景港崎街新廓≫が。

村だった横浜が一気に発展する姿がひらける様を描いた貞秀≪野毛村切通シヨリ横浜入口吉田橋野毛橋本町エモン坂大門遊女屋町井横浜本村遠景≫が。

そして国芳も横浜浮世絵を2枚描いていてそれが三井の越後屋の店など商紋ののれん街が画かれる≪横浜本町之図≫や港崎遊郭の岩亀楼の提灯なども描かれた≪横浜廓之図≫が。桜が華々しい。

芳員≪横浜海岸波止場繁栄之図≫には開港資料館に今もあるタブノキが描かれて。また広重(二代)の≪武陽横浜一覧≫と≪横浜一覧之図≫には通常浮世絵にはないすやり霞が。

NHKBSP「TOKYOディープ」でも旧い街の中核文化として遊郭が各地で取り上げられていましたが、横浜浮世絵にも遊郭がよく描かれました。

中でも埼玉の岩槻の人が開いた岩亀楼は一大娼館で。芳員≪横浜港崎廓岩亀楼異人遊興座敷之図≫や、「岩」をデザイン記号化してその下に亀の絵が画かれた団扇を持つ女性たちが画かれた芳年・年麿≪神名川横浜之風景≫や≪横浜岩亀楼≫、そして前期の広重(二代)≪横浜巌亀楼上≫はシャンデリアも。扇のデザインをあしらった襖の意匠も美しい。前期の国貞(初代)・国時≪源氏君花街遊覧≫の暖簾も楽しい。他にも港崎遊郭にあった国明≪横浜五十鈴楼之図≫なんてのも。

そんな遊郭で外国人たちも遊んで。芳幾≪五ヶ国於岩亀楼酒盛の図≫には米・英・仏・露・オランダ人が清国の芸人をみて遊んで。芳員・員重≪横浜港崎廓岩亀楼異人遊興之図≫では外国人たちが畳に座っている珍しい光景も。港崎遊郭は後に焼け落ちますが、当時の人々には川崎のラブホテル・迎賓館のように記憶に残ったことでしょう。

また万延元年(1860年)につくられた多数の国々が出てくる双六もあって。貞秀≪横浜細見大双陸≫に描いてある「どろ銀」はメキシコ銀貨のこと。広重(二代)≪万国入船寿≫には蝦夷の人や、胸に穴の開いた「胸穿国」なんてのも描かれてました。

次のパートは外国人を描いたものがたくさん。

芳幾≪万国男女人物図会≫には脚長国や臂長国、女人国なんてのも描かれて。貞秀≪生写異国人物 阿蘭陀婦人拳觴愛児童之図≫はピンクのドレス、貞秀≪生写異国人物 亜墨利加女官翫坂逐之図≫や貞秀≪生写異国人物 払郎察小娘犬散歩之図≫では洋犬も。芳虎≪万国尽 孛漏生人≫はなぜか黒人風に。芳豊≪アメリ加黒んぼ≫という作品もありました。

芳虎≪武州横浜八景之内 本村乃夕照≫・≪武州横浜八景之内 美代崎乃秋の月≫・≪武州横浜八景之内 波止場の帰帆≫・≪武州横浜八景之内 岩亀楼夜の雨≫・≪武州横浜八景之内 吉田橋乃落鳫≫・≪武州横浜八景之内 道行の遠鐘≫・≪武州横浜八景之内 野毛乃哨嵐≫・≪武州横浜八景之内 朝市乃月≫は八景ものでも外国人にフォーカスした横濱らしい作品。

他にも芳員≪横浜名所野毛切通 和蘭陀人≫・≪横浜名所港崎町 仏蘭西人≫・≪横浜名所弁天 亜墨利加人≫・≪横浜名所波止場 魯西亜人≫・≪横浜名所異人屋敷 英吉利人≫という作品や波止場で遊ぶ外国人を描いた貞秀≪横浜休日 魯西亜人遊行≫・≪横浜休日 阿蘭陀人遊行≫・≪横浜休日 亜墨利加人遊行≫・≪横浜休日 仏蘭西人馬遊行≫・≪横浜英商遊行≫なんて作品も。芳盛≪港崎横浜一覧≫や≪港崎横浜一覧 蒸気船ノ図≫はフランス人などが描かれて。

貞秀≪横浜交易西洋人荷物搬送之図≫は波の表現が素晴らしい。貞秀≪墨利堅大船之図≫は実は英国の船なのだとか。

貞秀≪横浜異人家飲食之図≫で飲食する外国人。芳虎≪外国人遊興之図≫では岩亀楼が。芳員≪神奈川権現山外国人遊覧≫で画かれる成仏寺にはあのヘボンも住んでいたとか。貞秀≪五箇国人物歩図≫では休日にどんたくする様子が。貞秀≪横浜異人商館之図・横浜異人商館売場之図≫は六枚つづりの正方形の大作でにぎわいが描かれて。広重(二代)≪横浜繁栄之図≫も良かった。

そして生麦事件が起きた翌年に描かれた芳虎≪横浜之新港ニ五箇国之異人調練之国≫と、その後に描かれた芳年≪仏蘭西英吉利西三兵大調練之図≫、そんな状況に対してのうっぷん晴らしか、体力自慢の白人を力士が投げ飛ばす芳幾≪横浜角力の誉≫なんて作品も。

またこの時期には外国の光景も浮世絵として描かれました。芳員≪亜墨利加国蒸気車往来≫・≪亜墨利加洲内華盛頓府之景銅板之写生≫・≪北墨米利加州≫なんてイラストレイテッド・ロンドン・ニュースを基にした浮世絵や気球が画かれた芳虎≪亜墨利加国≫、なぜか椰子が画かれた芳虎≪仏狼西国≫や時代が下ってかなり上手い芳盛≪各国繁栄尽 英吉利 ロンドン VIEW IN LONDON.≫なんても。

またこの時期は外国から動物たちが連れてこられて。芳豊≪紅毛舶来猛虎之演技≫芳幾≪猛虎之写真≫では豹が、芳員≪文久三亥年天竺国舶来 大象之写真於東都両国観物≫や芳幾≪中天竺馬爾加国出生の大象≫もありました。

そして第三章「ヨコハマの明治」へ。

大判錦絵10枚つづりの大作、貞秀≪改正横浜細見図 横浜細見図其二≫や、乳母車などが画かれた芳員≪外国商館の門前の風景≫、三つの塔がある広重(三代)≪横浜海岸異人館之図≫に実は築地ホテルな芳虎≪横浜海岸通之図≫、吉田橋(かねのはし)が画かれた貞秀≪横浜鉄橋之図≫・≪横浜鉄橋其二≫。広重(三代)には≪横浜吉田橋ヨリ伊勢山太神宮遠景≫なんて作品も。また芳虎≪横浜弌覧之図≫では七福神が馬車を駆って。広重(二代)≪武陽横浜一覧 Map of Yokohama≫も紫のすやり霞があって洒脱でした。

広重(三代)≪横浜商館天主堂ノ図≫は今は山手に移動したカトリック教会、広重(三代)≪横浜亜三番商館繁栄之図≫も緑の壁が映えて。

芳虎≪横浜異人館之図≫には西洋式の建築の前に人力車に乗った和装の女性が。国輝(二代)≪横浜仏国役館之全図≫も日中欧米文化が交じり合ったクレオールな感覚が。広重(三代)≪横浜海岸通り之真景≫は後の山下公園。広重(三代)≪横浜各国商館真図≫もハイブリッドなウォーターフロントの風景。

この時期は列車の光景もよく描かれました。

一景≪六合陸蒸気車鉄道之全図≫や舟が渡る多摩川が画かれた広重(三代)≪六郷蒸気車鉄道之全図≫や馬車からの時代を感じさせる広重(三代)≪河崎鶴見蒸気車鉄道之図≫や煙の白い弧の連続表現が印象的な広重(三代)≪横浜往返蒸気車全図≫、またしても七福神がでてくる芳虎≪七福人 種紙会社より海岸鉄道眺望の図≫は輸出産業の生糸が。

海沿いを走る広重(三代)≪横浜海岸鉄道蒸気車図≫や広重(三代)≪東京横浜蒸気車鉄道之図≫、また国鶴(初代)≪横浜ステーション≫は今の桜木町。

また焼け落ちた港崎から移転した遊郭のある土地を描いた広重(三代)≪横浜新埋地高島町揚屋三階造海岸遠景之図≫という作品も。

そして最後の間。
貞秀≪横浜弌覧之真景≫には関内側からみた大パノラマが。象の鼻や馬路公苑の競馬場も描かれて。

国利≪開化名勝図之内 横浜本町時計台≫はブリシェンス設計。国利≪開化名勝図之内 横浜弁天橋ヨリ海岸遠望≫の弁天橋は今もあります。国利≪開化名勝図之内 横浜高島町神風楼≫は廓。このシリーズには国利≪開化名勝図之内 横浜海岸波止場≫も。国利は≪大日本名所図会 横浜伊勢山太神宮≫というのも描いています。

国松≪横浜名勝競 内田町よりステイションの図≫・≪横浜名勝競 本町神奈川県庁より時計台の一覧≫・≪横浜名勝競 伊勢山下瓦斯本局雪中の一覧≫ではガスの煙突も。国松は≪横浜高島町神風楼之図≫も描いています。

また国鶴(初代)≪新坂横浜名所≫では本町や神奈川、競馬場、波止場などが描かれて。国鶴(初代)は≪横浜繁栄本町通時計台 神奈川県全図≫というのも描いています。

そして「金川(かながわ)」から来たという清綱≪金港美人揃 ときは町 八百藤≫・≪金港美人揃 太田 豊玉葊≫・≪金港美人揃 相生三 嘉以古≫・≪金港美人揃 羽衣壱 三階 相模屋≫・≪金港美人揃 尾上五 富貴楼≫・≪金港美人揃 住よし町 千登勢≫という美人画シリーズも。

そして鉄道開通とともに横浜浮世絵は徐々に描かれなくなっていって。最後の辺りに描かれたのが明治20年(1887年)の静斎≪横浜伊勢山風景図≫。真っ紅な空。

横浜という村が一気に進化していく様をみながら、浜っことしてはルーツとなるアイデンティティの不在も感じつつ、けれどその際の先端、一種ピジンなエアサイドが横浜の気風かと。漁村としての根っこは今も子安に息づいていますしね。

港街の進取と猥雑な懐の広さ。それは一種の謙虚さでもあるかもと。今はなき港崎(みよざき)遊郭ではシャンデリアと扇の紋様の襖の内で国際的な宴が開かれていました。横浜浮世絵には桜が多くあります。それは国際的な地になることで日本らしさへ意識的になったというのもあるのかも、と。

いいものはどんどん学び、自分のものへ摂取していく。その姿勢は最近余裕をなくして傲岸さが覗く日本に必要なものかもとも。異人あふるる明治横浜の春なホスピタビリティーと鷹揚さと機敏さは令和日本の先取りだったのかもしれません。会期は今週末まで。

by wavesll | 2019-06-20 20:11 | 展覧会 | Comments(0)

ルート・ブリュック展@東京ステーションギャラリー 幻想の具象から抽象に飛翔する未来視の作陶。そして黒・暗に有る深い精神性の落ち着きと幸せ

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≪雄鶏の皿≫
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≪茂みの少女≫
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≪静物(矢車草とカリフラワー)≫
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≪静物≫
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≪静物(スズランと梨)≫
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≪お葬式≫
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≪結婚式≫
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≪東方の三博士≫
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≪馬車≫
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≪無題≫ ≪庭の少女たち≫
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≪ペリカンの皿≫
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≪無題≫
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≪鳥の群れ≫
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≪鳥≫ ≪ついばむ鳥≫
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≪草むらの鳥≫
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≪鳥とりんご≫
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≪鳥≫
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≪イースターの鳥≫
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≪母子≫
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≪鳥≫
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≪ライオンに化けたロバ≫
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≪ノアの方舟≫
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≪子羊の扉≫
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≪肘掛け椅子≫
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≪無題≫
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≪静物≫
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≪無題≫
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≪無題≫
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≪鳥籠≫
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≪散髪≫
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≪無題≫
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≪無題≫
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≪コーヒータイム≫
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≪無題≫ ≪ポストカードのスケッチ≫ ≪お菓子の包み紙のスケッチ≫
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≪ビルゲル≫
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≪三つ編みの少女(ルート)≫
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≪三つ編みの少女(ルート)≫
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≪三つ編みの少女(ルート)≫
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≪カレリアの鐘楼(アダムとイヴ)≫
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≪カレリアの家≫
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≪トウヒとフクロウ≫
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≪カレリアの家≫
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≪カレリアの礼拝堂≫
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≪ストーブ≫
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≪水差しとレモン≫
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≪魚≫
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≪魚の皿≫
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≪ボトル≫
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≪梨籠≫
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≪果物の皿≫
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≪ヴェネチアの宮殿:リアルト橋≫
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≪聖体祭≫
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≪シチリアの教会≫
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≪シチリアの教会≫
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≪ヴェネチアの宮殿:ジョルノ≫
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≪ヴェネチアの宮殿:鳥の扉≫
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≪最後の晩餐≫
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≪ヴェネチアの宮殿:柱廊≫
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≪家族のアルバム≫
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≪ふたりの少女≫
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≪牛≫
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≪木の上のザアカイ≫
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≪ダンス≫
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≪ピリッタ≫
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≪三つ編みの聖母≫
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≪キルト≫
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≪母子≫
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≪お葬式≫
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≪ライオンに化けたロバ≫
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フィンランドの国際的な陶磁器芸術家ルート・ブリュックの展覧会をみに東京ステーションギャラリーへ行ってきました。

会場へ入ると彼女の娘さんのマリア・ヴィルカラによる≪心のモザイクールート・ブリュック、旅のかけら≫という作品が展示してあって。これはルートの作品のタイルを再構築した作品。色味が入った初期の作品から白黒へ行きつく彼女の人生の旅路があらわされていました。

このマリアさんの作品以外の3Fの作品は撮影可能でした。3Fと2Fで作風がガラリと変わるので2Fも撮影したかったのですが、実際スマホのシャッター音が五月蠅かったし、会期途中で2Fが撮影禁止になったたことで鑑賞に没頭できたのは良かったです。

建築家への道をあきらめ、美術学校を卒業したルートはアラビア製陶所にてデザインの仕事を任されるようになります。

彼女のデザインは少女が視るファンタジックな世界で、どこか棟方志功にも通じるけがれなき魂を感じさせて。鳥の作品群なんかその性格まで感じさせる筆致の妙。また色彩の操り方が抜群に上手い。黒かったり暗かったりするのだけれども、澄んでいて、静謐で。精神的な落ち着いた、それでいてユーモアさえ感じられる豊饒な作品群でした。

ストックホルムに生まれ、夏は母の故郷のフィンランド・カレリア地方で休暇を過ごしたルート。カレリア地方はソ連に奪われてしまい、楽しさの裏に暗さをもった郷愁として現れますが、一方でイタリア旅行での陽光の体験は大きなインスピレーションを彼女に与えました。またキリスト教的な作品群も、宗教心と日常生活をつなぐというか、彼女の聖母子像はルート自身とアラビア製陶所で出会った最大の理解者である夫との間に出来た子どもたちを表したりしていました。

彼女の作品は2.5Dというか、平面なのだけれども立体であって。メインヴィジュアルにもなっている≪ライオンに化けたロバ≫などにはその創造性と面白みがいかんなく発揮されています。

そして蝶の研究者でもあり画家でもあった父の死から、彼女の藝術はさらなる高みへメタモルフォーゼしていきます。それは撮影NGである2Fのエリア。ぜひとも生で体験してもらいたい。

2Fに入るとまず展示してあるのが≪蝶の研究者≫という父を描いた作品。そしてその向かいの壁には≪蝶たち≫≪蝶≫の連作というカラフルな正方形に収められた色とりどりの蝶の作陶がインスタレーションのように展示されて。その壁の続きにはルートがデザインした蝶の壁紙も。ここで彼女の作風がファンタジックな具象から、よりデザイン的、抽象的な表現へ変貌していっているのが示唆されます。

≪ヘキサゴン≫というのはまるで蜂の巣を切り取ったかのような八角形の構造の連続体のオブジェ。中国の景徳鎮のような色味のもの色とりどりの花々が画かれたデザインのものがありました。

≪レリーフ≫という作品は小さな構造体を積み重ねて大きな構造をつくる、マインクラフトのような作品。この建築的な表現はブリュッセル万博でつくられミラノ・トリエンナーレにも出品された≪都市≫という作品でもいかんなく発揮されています。

また≪”アッシュ・トレイ”≫シリーズは四角い灰皿の感覚がどこか古代中国の青銅器を想わせて。一方で≪宴のテーブル:薔薇の卵≫はロマノフ朝のインペリアル・イースター・エッグを想わせました。≪宴のテーブル:ガチョウの皿≫では発注主のオファーで昔の具象なファンタジックな作品も。

その後も彼女の藝術はどんどん抽象度を高めて。≪皿≫シリーズは円筒形の皿を面ごとに一色で塗り分けるという、もはやモノ派な作風。

そして1960年代に彼女は黄金色の抽象的なタイルの半立体的な構造による宗教的作品を作るようになって。≪レリーフ(アダムとイヴ)≫は金の十字がタイルの組み合わせで表され、≪レリーフ(イコン)≫ではキリスト像が黄金の中にホログラムのように浮かび上がり、さながら大聖堂の祭壇を抽象化したよう。≪黄金の深淵≫ではその構築体は『ブレードランナー2049』のヴィジュアルを先取りするような、古代なんだけれども未来な超文明を感じさせました。

彼女は旅から化学反応を起こすことがあったそうで、インド旅行で創られた≪ジャイプル≫という作品は円を抜く意匠が印象的で、≪赤い太陽≫はどこか男性的でもある鉄錆のような燃える太陽が小さな円柱の突起で表され、なんとも存在感を放っていました。

ここから彼女の作品は完全に具象を離れ、タイルのカタチと色味の建築的デザインによってつくられていきます。ソ連に奪われた土地の名を関した≪スイスタモ≫やクロアチアの挨拶を関した≪ドバルダン≫もそう。≪無題≫は明るい色味が白に映えて。≪レリーフ≫はパレットのような構造体。≪レリーフ≫は黄・黄緑・オレンジ・桃色などが白に映えて。≪レリーフ≫はレゴ的な白いタイルの半立体性が楽しい。≪忘れな草≫は水色や藍色も白に映えて。

そして≪無題≫はゲーム盤のような黒一色に色が射す作品。≪ソーホー≫は黒地にと白が粒粒で美。≪花束≫はロボットが認識したようなカクカクになった世界の視野。≪青≫のデザイン性に≪2≫の明るさ。

≪泥炭地の湖≫は明るいマットな黒がなんとも美しい質感をもたらしている大作。≪水辺の摩天楼≫はまるで都市版『黒の夢』のような黒で表された都会の躍動。≪木≫の白タイルに広がる木のグラフィカルさがまたこれが凄いんだ。テキスタイル≪セイタ≫の展示も。

そして最終的にルートはタイルがもたらす光と影によってその藝術を成す高度まで達します。

≪無題≫は平面の中でどれだけ立体の複雑さとシンプルさを表せるかという作品。映像にあったタイル製作の音はウユニ塩湖を踏みしめたような音でした。

≪色づいた太陽≫は白一色の地に円柱のドットや立体の斜めの平面が組み合わされて、まさに光と影で表された無色の彩。≪ジャイプル≫も白い影な作品。

そして≪鳥≫はついに鳥という具象を飛翔する方向の白いベクトル表示で表すという抽象性。≪霞≫は太陽が水に映っているような世界観。

≪春の雲≫は白い地に雲が浮かび、雨を降らせる。あぁ、この感覚はエレクトロニカに似ている。1981年に奏でられたエレクトロニカ。

≪レリーフ≫は落ちていく氷が照らされて。またフィンランド大統領私邸にあるという壁画作品≪流氷≫の素描なんかも展示されていました。

幻想的な、けれども幼子のような、それでいてその色の透明な深い艶がなんとも魅力的な絵付けの初期から、高度に抽象化され、その高密度な芸術性が圧巻の後期まで、その進化はまるでファミコンからPS4以後までのゲームのグラフィックの進化を見るようなダイナミズムで。

そしてその魅力は物理的な質量にもあるなと。2.5次元の質感。CGの話でいえば、今後の進化は3Dホログラフィックになるのだろうなとか思ったり。音楽でいうと最後の白の光と影の作品群はスケッチショウに近くて、その前の黒いマットな質感は、そうですね、Yosi Horikawaが今年に出した『Spaces』に近いかも。これを20世紀にやってるのだからまさに未来視。それでいて黒のマットとクリスタル、そして射し色の音楽はまだ誰もやってないかも。

ラップランドそして最も心に浮かんだのは”あぁ、黒や暗いことって不幸せでなく、そこに静謐な幸せがあるのだ、それをこの人はラップランドで美事に顕したのだ”ということ。深い精神性をたたえた作品群は、こうして一つの流れとして魅せてもらうことで大きな変貌という心の軌跡もみせてもらえました。本展は明日が最終日。是非、お薦めです。




by wavesll | 2019-06-15 16:55 | 展覧会 | Comments(0)

ウィーン・モダン展@国立新美術館 前近代から近代への都市の変貌、革新の火花

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クリムト展@東京都美術館に続いて新美でのウィーン・モダン展をみてきました。

ウィーンという都市がいかに”近代”を生み出したか。その旅の始まりはヨハン・アダム・デルセンバッハ≪ローテントゥルム門側から見たウィーン旧市街≫(1750年以前)、そしてマルティン・ファン・メイテンス≪マリア・テレジア(額の装飾画:幼いヨーゼフ2世)≫ (1744年)とハインリヒ・フリードリヒ・フェーガー≪鎧姿のヨーゼフ2世≫ (1787-88年頃)の威容から始まります。この2人の治世から近代化の萌芽が始まりました。

そして18世紀末19世紀初頭にはフリーメイソンのネットワークもこの都市に花開きました。そのメンバーには≪作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト≫も。街には≪プラーター上空に浮かぶヨハン・シュトゥーヴァーの熱気球≫が浮かび、ヨハン・ヒエロニムス・レシェンコール≪ヨーゼフ2世のモニュメント≫はピラミッドのよう。またフリーメイソン会員ではないですが啓蒙思想に影響を受けたフランツ・クサーヴァー・メッサーシュミット≪究極の愚か者(「性格表現の頭像」シリーズより)≫も展示してありました。

マリア・テレジアの死後に皇帝ヨーゼフ2世は都市を改革していきます。宗教への寛容政策、ヨーゼフ・シャファー、ペーター・シャファー≪総合病院の眺め≫の建設、また公園の設置や磁器工房の奨励。

そしてナポレオンの侵攻を経て、ウィーン会議から革命までの間のビーダーマイアー時代がやってきます。ジャン・ゴドフロワ(ジャン=バティスト・イザベに基づく)≪ウィーン会議での各国代表者たち≫ (1830年)は「会議は踊る、されど進まず」な様子が描かれ、その画にも描かれたオーストリア宰相≪メッテルニヒのアタッシュケース≫の実物の展示も。またこの時代の作品で面白かったのがカール・ルートヴィヒ・ホフマイスター≪絵画時計ー王宮書斎での皇帝フランツ1世≫という本物の時計が埋め込まれた作品なんてのがありました。そしてヨハン・クリスティアン・シェラー≪ウィーンのバリケード、1848年5月26日≫という蜂起の様子はまるでレミゼラブルのようでした。

シューベルトの時代の都市生活は様々な家具・調度品と共に絵画展示が展開されていました。

製作:ダンハウザー家具工房≪机≫ (1820-30年)は丸い底面と円錐な柱が印象的、様々な≪椅子≫たちもどれもデザインが見事で、今みてもIKEAレベルを大きく超えてるフォルムと質感。銀食器たちも本当にシンプルかつ洗練された美を放っていました。≪ボンネット≫と呼ばれる帽子も。そしてヴィルヘルム・アウグスト・リーダー≪作曲家フランツ・シューベルト≫の横には≪フランツ・シューベルトの眼鏡≫(1820年頃) の実物展示も。ユーリウス・シュミット≪ウィーンの邸宅で開かれたシューベルトの夜会(シューベルティアーデ)≫ではブルジョワな麗しき男女が集っていました。

ビーダーマイアー時代の絵画ではフリードリヒ・フォン・アメリング≪3つの最も嬉しいもの≫ (1838年)が素晴らしかった。男が口説く女性、そして彼女が持っているグラス(酒)と楽器(音楽)が画かれるのですが、その女の子のはっとさせられる綺麗さは本展覧会のベストガールでした。

またフェルディナント・ゲオルク・フヴァルトミュラー≪教会に向かう春の道≫ (1863年)、フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー≪バラの季節≫ (1864年頃)は光がパキっと描かれて、国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア展の露西亜の四季画を少し想いださせられました。あれは19世紀後半から20世紀初頭の作品群だったかな。

ビーダーマイアー時代にはルドルフ・フォン・アルト≪ゴシック様式の石柱「糸紡ぎの十字架」からみたウィーンの眺め≫など、中世から発展していくウィーンの変わりゆく都市景観が描かれてもいました。

そしてウィーンの市街地の拡張、フランツ・ヨーゼフ1世による城壁の撤去によるリンク通りの開発の時代。フランツ・ルス(父)≪皇帝フランツ・ヨーゼフ1世≫の隣にはフランツ・ルス(父)≪皇后エリーザベト≫の郷ひろみのアイドル時代のような若々しい2人の姿が。

ここで”おぉ!エリーザベト!”と想った方はきっと東京都美のクリムト展に行かれているはず。そう、クリムトの師匠であったハンス・マカルトがこの2人の銀婚式のパレードの演出をしている等関わりがあるのです。

この展覧会ではハンス・マカルトの作品群が結構力を入れて展示してあって、ハンス・マカルト≪真夏の夜の夢(ウィーン市立劇場緞帳のための習作)≫ (1872年)はバロックでロココな感覚、ハンス・マカルト≪1879年の祝賀パレードのためのデザイン画ー大工組合の旗手≫、≪1879年の祝賀パレードのためのデザイン画ー菓子製造組合≫、≪1897年の祝賀パレードのためのデザイン画ー織物製造組合≫はパステルで祝祭的な、ファンタスティックな感覚。

女性画も描いていて、ハンス・マカルト≪メッサリナの役に扮する女優シャーロット・ヴォルター≫の白い姿はどこか神話性を帯びていて。一方で紅に染まったハンス・マカルト≪ドーラ・フルニエ=ガビロン≫の華奢な美しさにははっとさせられて。ハンス・マカルト≪ハンナ・クリンコッシュ≫のふくよかな黒い羽衣服には幸福な安心感を覚えました。

そんなハンス・マカルトの下で修業を積んだクリムトと学友のマッチュの作品も共に展示されていて。グスタフ・クリムト≪旧ブルク劇場の観客席≫は貴族やブルジョワ100人以上の観客たちが顔がきちんと描かれていて、まるで写真のコラージュ作品のような精彩さ。やっぱりこの人抜群に絵が上手い。フランツ・フォン・マッチュ≪古代の即興詩人(ブルク劇場北階段のための習作)≫・≪中世の神秘劇(ブルク劇場北階段のための習作)≫には古代趣味があって都美での展示を思い起こさされて。

そしてこの時代と言えばウィーン万国博覧会(1873年)。当時ウィーンの芸術家たちに大きなインスピレーションを与えた日本の展示がジョルジ・クレス≪ウィーン万国博覧会ー日本館≫・≪ウィーン万国博覧会ー日本館と日本庭園≫、オスカー・クラーマー≪ウィーン万国博覧会ー日本館と日本庭園≫という写真で展示されていました。

また19世紀末のウィーンと言えば「ワルツの王」ヨハン・シュトラウス。ヴィルヘルム・ガウゼ≪宮廷舞踏会≫の多幸感。ヴィクトル・ティルクナー≪作曲家ヨハン・シュトラウス (子)≫の胸像も。

そしてウィーンは愈々近代都市として羽化していきます。その時代の治世の想像を掻き立てるのがフランツ・フォン・マッチュ≪シェーンブルン宮殿書斎での皇帝フランツ・ヨーゼフ1世≫や螺鈿な貝細工が美しい、分離派のメンバーであるオットー・ヴァーグナー≪カール・ルエーガー市長の椅子≫

そのオットー・ヴァーグナーは近代建築の先駆者と呼ばれ、オットー・ヴァーグナー≪美術アカデミー記念ホール:模型≫製作:ヴェルツェル・ホルマン(1898年)では薄紅色の壁に金色の意匠が美しい建築が、またオットー・ヴァーグナー≪カイザリン・エリザーベト・プラッツ、市営鉄道のパヴィリオン:透視図(ウィーン市総合整備計画のための設計競技案より)≫では近代都市の交通システムとしてのチャレンジなプロジェクト、オットー・ヴァーグナー≪市営鉄道の皇帝専用パヴィリオン(ヒーツィング)≫は2度しか使われなかったそう。

オットー・ヴァーグナー≪郵便貯金局:天井構造図≫のところにはオットー・ヴァーグナー≪郵便貯金局のアームチェア≫、オットー・ヴァーグナー≪郵便貯金局メインホールのスツール≫の実物展示も。

モダニズムは文化施設にもつけることを示すオットー・ヴァーグナー≪ウィーン市立皇帝フランツ・ヨーゼフ博物館(カールスプラッツ)設計計画:ファサード≫というもの等も。そして近代教会建築の走りとなったオットー・ヴァーグナー≪聖レオポルド教会(シュタインホーフ)≫は白と金の美麗と聖性が。

また花を陶器で表すことで永遠化しようとしたオットー・ヴァーグナー≪マジョリカ・ハウスの陶器製ファサード(リンケ・ヴィーンツァイレ40番地)≫や当時の最先端アイディアであった集合住宅をつくったオットー・ヴァーグマン≪コロヴラートリンクのホテル・ウィーン≫とオットー・ヴァーグナー≪陸軍省(シュトゥーベンリンク)のための設計競技案趣意書≫やオットー・ヴァーグマン≪ウィーン市22区の理想的設計案ー『大都市』(1911年)に基づく模型≫展示も。

そしてここから愈々クリムトの本編。

グスタフ・クリムト≪自然の王国(『アレゴリーとエンブレム』のための原画No.39)≫・たゆんたゆんな≪一日の4つの時(『アレゴリーとエンブレム』のための原画No.26)≫・≪青年期(『アレゴリーとエンブレム』のための原画No.8)≫・しっとりした肢体の≪寓話(『アレゴリーとエンブレム』のための原画 No.75a)≫・≪物語(『アレゴリーとエンブレム』のための原画 No.74)≫・≪牧歌(『アレゴリーとエンブレム』のための原画 No.75)≫・金の額縁に花を描いた≪愛(『アレゴリー;新連作』のための原画 No.46)≫・≪彫刻(『アレゴリー:新連作』のための原画 No.58)≫・≪6月(ユノ)(『アレゴリー:新連作』のための原画 No.53)≫たちがなんとも美少女がエロティックで美青年の裸身も美しかった。

そしてウィーン分離派の創設。

グスタフ・クリムト≪第1回ウィーン分離派展ポスター(検閲前)≫は検閲後で木の枝で隠される股間が描写されていて、都美でも展示されていたグスタフ・クリムト≪第1回ウィーン分離派展ポスター(検閲後)≫から答え合わせをした気分。

アルフレート・ロラー≪分離派会館会館記念ポスター≫はオリンピックのロゴのよう。モーリス・ネーア≪ウィーン分離派メンバー≫の写真も。


そしてここからクリムトの素描群が。グスタフ・クリムト≪裸婦(ウィーン大学学部絵≪医学≫のための習作)≫・≪男性胸像(ウィーン大学学部絵≪法学≫のための習作)≫・≪ドレープのある衣をまとう前かがみの男性(ウィーン大学学部絵≪法学≫のための習作)≫・≪裸婦立像(ウィーン大学学部絵≪法学≫のための習作)≫には都美での≪医学≫・≪哲学≫・≪法学≫を思い起こさせられて。

そしてグスタフ・クリムト≪横たわる裸婦(≪水蛇II≫あるいは≪遊女の対話≫のための習作)≫や≪半裸で寄りかかる女性(≪乙女≫のための習作)≫・≪横向きでうずくまる裸婦≫・≪半裸で寝そべる女性≫などが何ともエッロい艶があってどきどきさせられました。

都美でもカール・モルやコロマン・モーザーなどの画が展示されていましたが、本ウィーン・モダン展でもクリムトに連なる画家たちの作品が多数展示されて。

ウィーン分離派の画家たちではスーラなマクシミリアン・レンツ≪シルク=エッケ(リンク通りとケルントナー通りの角)≫に黄色のドレスだけど何ともアンニュイなマクシミリアン・クルツヴァイル≪黄色いドレスの画家(画家の妻)≫、ドガ的なバックヤードなカール・モル≪コーヒー工場にて≫。線の筆跡で落ち着いた情景を描くカール・モル≪朝食をとる母と子≫≪書き物机に向かう画家のアンナ・モル≫

SFな古代の惑星感のあるヴィルヘルム・ベルナツィク≪炎≫に彼は分離派ではないけれどフランツ・フォン・マッチュ≪画家の子どもたち(レシとハンス)≫、レストランでクールに誘惑するヨーゼフ・エンゲルハルト≪ゾフィーエンザールの特別席≫にキレイなクラシック感のあるヴィルヘルム・リスト≪白と黒の絵画≫に平面さが現代的なコロマン・モーザー≪少女≫もありました。

ウィーン分離派はグラフィック方面も物凄くて、アルフレート・ロラー≪『ヴェル・サクルム』表紙(1898年第1号豪華版)≫の桶にカール・モル≪『ヴェル・サクルム』表紙(1898年第10号豪華版)≫の木、フェルナン・クノップフ≪『ヴェル・サクルム』表紙(1898年第12号豪華版)≫は幾何学な感じ。

そしてウィーン分離派展ポスターが壁一面にあって。コロマン・モーザー≪第5回ウィーン分離派展ポスター≫は緑の天使、ヨーゼフ・マリア・アウヘンタラー≪第7回ウィーン分離派展ポスター≫、アドルフ・ベーム≪第8回ウィーン分離派展ポスター≫はF1レースなデザイン。アルフレート・ロラー≪第9回ウィーン分離派展ポスター≫のピンク、ヨハン・ヴィクトール・クレーマー≪第11回ウィーン分離派展ポスター≫は青赤緑の花、アルフレート・ロラー≪第12回ウィーン分離派展ポスター≫はゲームなデザイン。コロマン・モーザー≪第13回ウィーン分離派展≫の女子三連星。アドルフ・ベーム≪第15回ウィーン分離派展ポスター≫のガンダム感。アルフレート・ロラー≪第16回ウィーン分離派展ポスター≫は化粧品の広告感、マクシミリアン・クルツヴァイル≪第17回ウィーン分離派展ポスター≫のシャンプーな感じ。グスタフ・クリムト≪第18回ウィーン分離派展ポスター≫はダダなフォント。フェルディナンド・ホドラー≪第19回ウィーン分離派展ポスター≫はアメリカン・パンク・ジャケ感。オットー・フリードリヒ≪第21回ウィーン分離派展ポスター≫は白根ゆたんぽ感。レオポルド・シュトルバ≪第23回ウィーン分離派展ポスター≫は黒白の60sロックジャケ風、エルンスト・エック≪第40回ウィーン分離派展ポスター(国際ポスター展)≫は楽譜風、リヒャルト・ハルルフィンガー≪第40回ウィーン分離派展ポスター(国際ポスター展)≫のガソリンカンパニー感。エゴン・シーレ≪第49回ウィーン分離派展ポスター≫の仄暗さ。これだけまとまって見れたのは嬉しかった。

そして次の間はエミーリエ・フレーゲとグスタフ・クリムト。弟エルンストの妻の妹エミーリエは姉妹でコルセットから解放した改良服をつくる事業を営んでいて、クリムトとは私生活のパートナーの関係でした。

メインヴィジュアルの一つでこれだけは写真撮影可能だったグスタフ・クリムト≪エミーリエ・フレーゲの肖像≫(1902年)は角度を変えてみると銀がきらめいて、ハットとドレスの虹光の平面的装飾が美しかった。KとGをあしらったロゴも。

また写真展示ではアッター湖で遊ぶクリムトとフレーゲがみれて、都美で≪アッター湖畔のカンマー城 III≫をみていたので嬉しかった。またコロマン・モーザー≪フレーゲ姉妹ファッション・サロンのウォール・ランプ(再製作)≫・≪フレーゲ姉妹ファッション・サロンのテーブル(再製作)≫・≪フレーゲ姉妹ファッション・サロンの椅子(再製作)≫というのがあったり、≪グスタフ・クリムトのスモック≫の実物展示も。

クジャク石があしらわれたオットー・ブルッチャー≪エミーリエ・フレーゲの印章≫に銀のオットー・ブルッチャー≪パウリーネ・フレーゲの印章≫も立体性が美麗でした。ヨーゼフ・ホフマン≪ブローチ≫・≪エミーリエ・フレーゲの櫛≫もなんともカッコよかったです。

このヨーゼフ・ホフマンとコロマン・モーザーが1903年につくったウィーン工房の作品群も多数あって。


またあのヴィトゲンシュタイン家のヨーゼフ・ホフマン≪ヘルマン・ヴィトゲンシュタイン邸のキャビネット≫・≪ヘルマン・ヴィトゲンシュタインの花瓶≫、コロマン・モーザー、ヨーゼフ・ホフマン≪ヘルマン・ヴィトゲンシュタインの印章≫もかっこよく、コロマン・モーザー≪ヘルマン・ヴィトゲンシュタインのための装飾プレート≫もカッコよかった。

ヨーゼフ・ホフマン≪花瓶≫でも腰がきゅっと締まっていて、ヨーゼフ・ホフマン≪柄付きバスケット≫はスケルトン仕様だったり白が美しかった。

また当時一流の社交場だったヨーゼフ・ホフマン≪キャバレー・フレーダーマウスのソース入れ≫もアメコミSF風、ヨーゼフ・ホフマン≪キャバレー・フレーダーマウスのスープ用蓋付き容器≫のレトロフューチャー、ヨーゼフ・ホフマン≪ティーセット≫の黄金。ミヒャエル・ポヴォルニー、ベルトルト・レフラー≪角形花瓶≫のファンシーなトリの陶器はコロマン・モーザー≪シクラメンのある静物≫にも出てきて。

ヨーゼフ・ホフマン≪ゲーム盤とこま≫の化粧箱感。ダゴベルト・ペッヒェ≪花瓶≫の白黒とタゴベルト・ペッヒェ≪花瓶≫の黄白黒も。

またウィーン工房のアクセサリーがまた良くて。ヨーゼフ・ホフマン≪ブローチ≫はクリムトの≪ユディト I≫のネックレスのよう。ダゴベルト・ペッヒェ≪ブローチ≫はメノウ、ダゴベルト・ペッヒェ≪王冠≫は象牙製でセラミックみたいな白、エドゥアルト・ヨーゼフ・ヴィマー=ヴィスグリル≪ピン≫もメノウ、カール・オットー・チェシュカ≪ブレスレット≫も美しかった。

またマリア・シュトラウス=リカルツ≪ハンドバッグ≫、マックス・スニシェク≪ハンドバッグ≫、ダゴベルト・ペッヒェ≪ハンドバッグ≫もハンドクラフト感が良く、ミサンガな感じの布製のダゴベルト・ペッヒェ≪ネックレス≫、マリア・シュトラウス=リカルツ≪ネックレス≫とマックス・スニシェク≪ネックレス≫も布製のガラス玉みたいな感じでどこか南米的。

ウィーン工房のグラフィックも素晴らしくて。

コロマン・モーザー≪≪アスター≫書籍見返しデザイン案『ディー・クヴェレ[泉ー文様パターン集]』≫はハートダイヤ、コロマン・モーザー≪≪収穫の時≫壁掛けデザイン案『ディー・クヴェレ[泉ー文様パターン集]』≫ボールを抱えたマリア、コロマン・モーザー≪≪聖母マリアの祝日≫色紙デザイン案[泉ー文様パターン集]≫の鉄、コロマン・モーザー≪≪千羽のオオガラス≫書籍見返しデザイン案『ディー・クヴェレ[泉ー文様パターン集]』≫のエッシャー感、コロマン・モーザー≪≪赤い木の実≫絹地デザイン案『ディー・クヴェレ[泉ー文様パターン集]』≫の丸、コロマン・モーザー≪≪アルレッテ≫絹地デザイン案『ディー・クヴェレ[泉ー文様パターン集]』≫花と水紋。

ヨーゼフ・ブルックミュラー レタリング:ルートヴィヒ・ユングニッケル≪タイトルページ デザイン案(型紙図案)『ディー・フレッヒェ[平面]』第1巻第5号、65頁≫、ヒルデ・エクスナー≪ポスターデザイン案「ウィーン」『ディー・フレッヒェ[平面]』第1巻第5号、74頁≫の工業的な村、エマ・シュランゲンハウゼン≪ポスターデザイン案「ウィーン」『ディー・フレッヒェ[平面]』第1巻第5号、75頁≫の未来のエントランス感。ミッツィ・エーベルト≪文様パターン(上)≫アデーレ・ベッテルハイム≪文様パターン2種(下)≫の王と綱。花を撒くアグネス・シュパイヤー≪ポスターデザイン案『ディー・フレッヒェ[平面]』第1巻第9号、136頁≫、マックス・ペニルシュケ≪書籍表紙デザイン案(上)≫アドルフ・オットー・ホルプ≪文様パターン2種(下)『ディー・フレッヒェ[平面]第1巻第10号、151頁』≫の月と2人の女。

そしてベルトルト・レフラー≪キャバレー・フレーダーマウスのポスター≫と≪キャバレー・フレーダーマウスのフライヤー≫のアメリカンなSF感。またヨーゼフ・ホフマン≪キャバレー・フレーダーマウスのロビー≫のモンドリアンに洒落た美容室な感じ。

ウィーン工房と、1905年にウィーン分離派を抜けたクリムトたちが起こしたクンストシャウという展覧会のポスターも。ベルトルト・レフラー≪クンストシャウのポスター≫は黄髪に青服の少女、ルドルフ・カルヴァハ≪クンストシャウのポスター≫はもはやポップアート、三菱一号館美術館でのフィリップス・コレクション展でも輝いていたオスカー・ココシュカの≪クンストシャウのポスター≫にはちょっとした濁りのカッコよさ。

ルドルフ・カルヴァハ≪ユーモラスなグリーティング・カード≫の黒の宇宙で子どものエルフが動物と遊ぶ様子も良かった。レオポルディーネ・コルベ≪装飾的な花かご≫の青・紫・苺。

エゴン・シーレ≪女性の肖像≫のアシメに消えていく洒落た滲みの魅力。

ダゴベルト・ペッヒェ≪ウィーン工房のポスター ー マリエンバードのメルキュール邸内の店(テキストなし)≫の乙女なグラフィックス、ヒルダ・イェッサー=シュミット≪ウィーン工房のポスター ー ライプツィヒのファッションと装飾芸術の店≫の富裕な感じ。マリア・シュトラウス=リカルツ≪ファッション≫≪婦人帽ファッション≫のクールなハイブランド感、メラ・ケーラー≪ファッション≫の高級感。アルノルト・ネハンスキー≪復活祭≫の金色な古代魔術感も良かった。

そして愈々エゴン・シーレ。

エゴン・シーレ≪自画像≫ (1911年)はメインヴィジュアルにもなっている、苦悩とチャーミングさが溢れている、指がとにかく長い自画像。彼のアートスタイルは表現主義と呼ばれ、尊敬するクリムトたちからさらに新しい表現でした。

エゴン・シーレ≪ひまわり≫の枯れた向日葵のもとに咲く紫と橙の花々。エゴン・シーレ≪ノイレングバッハの画家の部屋≫はゴッホをツヤツヤにした感じ。若かりし時に逝った精神の危うさも感じて。

彼が画くポートレイトからは実にその人物の気性が伝わって。エゴン・シーレ≪美術批評家アルトゥール・レスラーの肖像≫はカクカクした格好のバックに広がる赤いアウラ、その妻であるエゴン・シーレ≪イーダ・レスラーの肖像≫にもあるクールなカラフルバー、エゴン・シーレ≪オットー・ヴァーグナーの肖像≫は逆三角形の顔、エゴン・シーレ≪少女裸像(ゲルトルーデ)≫は明るくカクカクしながら湿度が凄い。エゴン・シーレ≪ひざまずく裸婦≫の青白いヌード。

エゴン・シーレ≪踊り子モア≫の気怠さ、エゴン・シーレ≪座る人物像≫のシャカシャカした感じ。エゴン・シーレ≪男性裸像≫はベーコンのよう。エゴン・シーレ≪アルトゥール・レスラーの肖像≫は大人。エゴン・シーレ≪マリア・シュタイナーの肖像≫の漫画的な感覚、エゴン・シーレ≪作家ローベルト・ミュラーの肖像≫の厳しさ、エゴン・シーレ≪背を向けた裸婦≫の針金アート感。そしてエゴン・シーレ≪死の床につくグスタフ・クリムト≫画狂老人卍のような凄味がありました。

表現主義を描いた画家たちがこのレントゲンによるX線の発見やフロイトの『夢診断』が出たウィーンに続いていきます。

オスカー・ココシュカ≪座る裸婦≫の消えていくカラダ。オスカー・ココシュカ≪母と子≫の不気味さ。オスカー・ココシュカ≪大股で歩く裸婦≫は江川達也のエロが画くなってからの肉体に似てて、オスカー・ココシュカ≪「クンストシャウ、サマーシアター」の演目、「殺人者、女たちの希望」のポスター≫は人体人形とアダムスファミリーって感じ。

オスカー・ココシュカ≪羊飼いと羊と二人の泥棒≫・≪眠る羊飼いと家畜たち≫・≪女性と3人の子どもたち≫・≪窓辺の女性≫のクリスマスカード感。

オスカー・ココシュカ≪『夢見る少年たち』1.眠る女≫のムンク感、≪『夢見る少年たち』2. 帆船≫の古代感、≪『夢見る少年たち』3. 船乗りの呼び声≫の絵本感、≪『夢見る少年たち』4. 遠き島≫の挿絵感、≪『夢見る少年たち』5. 会話する男女≫の神話感、≪『夢見る少年たち』6. 眠れる人々≫のアラビアンナイト感、≪『夢見る少年たち』7. 目覚める人々≫の聖書感、≪『夢見る少年たち』8. 少女リーと私≫の綺麗さ。この画にはココシュカの詩もついていて、その内容は思春期の苦悩や性愛の衝動とのことでした。


リヒャルト・ゲルストルは≪パレットを持つ自画像≫の他≪作曲家アルノルト・シェーンベルクの肖像≫も描いて、シェーンベルクとは親交もあったのだけれども、彼の妻に恋愛感情を持ちゲルストルは自殺してしまいました。

そしてアルノルト・シェーンベルクも絵を描き≪作曲家アルバン・ベルクの肖像≫やファンシーな筆致の≪グスタフ・マーラーの葬儀≫が掛けてありました。マーラーはオーギュスト・ロダン≪作曲家グスタフ・マーラーの肖像≫という哀しさを感じさせる彫像も。

グスタフ・ヤーガーシュパッハー≪作家ペーター・アルテンベルクの肖像≫はなんか妖怪感が。

マックス・オッペンハイマー≪建築家アドルフ・ロースの肖像≫という絵をかいて。このアドルフ・ロースは当初ウィーン分離派を激賞しながら、その後袂を分かち、『装飾と犯罪』という書を記しました。

会場では最後に≪アドルフ・ロース邸の居間のスツール(小)≫と≪アドルフ・ロース邸の居間のアームチェア≫、そして装飾を配したアドルフ・ロース≪ゴールドマン&ザラチュのオフィスビル(ミヒャエラープラッツ3番地、1909-11年建設)≫とこのロースハウスが画かれたウルバーン・ヤンケ≪アドルフ・ロースによる講演「ミヒャエラープラッツの私の建築」のためのポスター≫がありました。

ウィーン・モダン展。確かにクリムト、そしてシーレの作品はありました、がそれを言うならハンス・マカルト展でもありオットー・ヴァーグナー展でもありオスカー・ココシュカ展でもありました。真の主役はウィーンという都市。マリア・テレジアからWW Iにかけて建築、絵画、デザイン、音楽、都市システムと全分野で全近代から近代へ羽化する物語が描かれ、その意味でクリムトは境目にいたのだなと。都市が最も勢いを持ち創造性を持つ時期というのはありますね。

特に技術と芸術の関わりでは写真の登場から絵画がメタモルフォーゼしていったのだなとも。東京都美術館のクリムト展を先に見たのですが、逆でも行けるかもしれないけれどハンス・マカルトやフランツ・フォン・マッチュ、エリザーベト、第一回ウィーン分離派展ポスターとか先に知れたことでより楽しむことができました。

by wavesll | 2019-06-09 03:56 | 展覧会 | Comments(0)

クリムト展@東京都美術館 女性の表情の真域 金色の装飾の平面と立体の人物の際立ち

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クリムト展 ウィーンと日本 1900 於 東京都美術館をみてきました。

今年の目玉ともいえるクリムト展。実際に見てみると結構軽やかにリズムつけてみれる感じで良かったです。3周で2hくらいみたかな。

会場に入るとモーリッツ・ネーア≪猫を抱くグスタフ・クリムト、ヨーゼフシュテッター通り21番地のアトリエ前にて≫。生涯独身ながら14人の子どもを作ってモデルと浮名を流したクリムト。若い頃の写真もあったけれど壮年の写真はちょっとハゲてて、けれど”モテてそうだな~、リリーフランキーに通じるものがある、ギュスターヴ・モローとは対照的。”という感じ。

けれどそれぞれの地獄があって、同じく画家だった弟エルンストと父を亡くし、姉クララは鬱だったそう。ウィーン工芸学校の同級生フランツ・マッチュ≪ヘルミーネとクララ・クリムト≫では妹ヘルミーネがおどけた表情をしていて。

グスタフ・クリムト≪ヘレーネ・クリムトの肖像≫ではエルンストの娘ヘレーネが茶髪おかっぱで白いブラウスというなんか今っぽい可愛い絵で。そして彫金を学んだ末弟ゲオルク・クリムトとグスタフ・クリムト≪踊り子≫は後の金での装飾を思わせる金色の銅板レリーフでした。

学友で共に学んだマッチュとエルンストとクリムトは芸術家カンパニーというグループで仕事を請け負うようになります。そんな学生時代の課題かマッチュとクリムトで同じモデルを描いた≪レース襟をつけた少女の肖像≫はそれぞれの視点を見比べられて面白かった。課題かグスタフ・クリムト≪男性裸体像≫なんてのも。

また学校での師のハンス・マカルト≪ヘルメスヴィラの皇后エリーザベトの寝室装飾のためのデザイン(中央の絵:『夏の夜の夢』)≫はクリムトらも手伝った作品だそう。こうしてみると西洋の美というのは本当にごてごて足し算の美なのだなと。

そこからクリムトの≪音楽の寓意のための下絵(オルガン奏者)≫や≪カールスバート市立劇場の緞帳のためのデザイン≫などは古風に複雑な意匠ですがフランツ・マッチュ≪ソフォクレス『アンティゴネ』上演中のアテネのディオニュソス劇場(ブルク劇場天井画のための下絵)≫はかなりシンプルな構図。

またこの古代趣味は建築のための下絵であるグスタフ・クリムト≪15世紀ローマ≫・≪15世紀ヴィネツィア≫・≪古代ギリシャI、II≫にもみられて。

エルンスト・クリムト≪甲冑のある静物≫もなかなかの腕前でエルンスト・クリムト≪フランチェスカ・ダ・リミニとパオロ≫もアーモンドの花?が咲き誇る中でちょっと生命的ではないけれど美麗な人物画でした。フランツ・マッチュ≪女神(ミューズ)とチェスをするレオナルド・ダ・ヴィンチ≫は金のデザイン装飾の平面的な背景と人物の前に宝飾品が3D的に浮かび上がって面白い絵でした。

次のパートではクリムトとかかわった女性たちの都のコーナーで。グスタフ・クリムトの子どもを産んだ≪マリー・”ミッツィ”・ツィンマーマンと息子グスタフ≫なんて写真も。息子もグスタフなのかwまたエルンストの妻の妹に宛てた≪グスタフ・クリムトからエミーリエ・フレーゲに宛てた書簡(7通)≫ではハートが画かれたり踊るような文字だったりしました。

さて、1873年ウィーン万博では日本の美術が注目を集め、アーティストにもかなりのインスピレーションを与えて。ハンス・マカルト≪装飾的な花束≫ではアシメの構図を、ユリウス・ヴィクトル・ベルガー≪アトリエ≫には屏風があったりユリウス・ヴィクトル・ベルガー≪室内にいる日本の女≫ではまさに黒髪で着物の女性が描かれて。

そして勿論クリムトも日本の美術から影響を受けました。グスタフ・クリムト≪女ともだち I(姉妹たち)≫では黒い背景の中で二人の女性(一説には遊女からインスピレーションを受けたそう)が淫靡な表情で現れて。そして何より面白いのが市松模様の柄が配置してあったりカラーバー的な長方形を縦横に多数積み重ねた柄があって。これこれ、こういうのがみたかったんだよ!

またグスタフ・クリムト≪17歳のエミーリエ・フレーゲの肖像≫では額縁に梅が描かれて清楚さを香らせたり、クリムトが持っていた本(オスカー・ミュンスターベルク『日本美術史』アーネスト・フランシスコ・フェロノサ『東洋美術史綱』、『日本の春画三十六選 菱川師宣、鈴木春信、喜多川歌麿』)があったり、グスタフ・クリムト≪赤子(ゆりかご)≫では着物風の色とりどりの衣がうねうね積み重なった山の上に赤ちゃんがいる画が。

日本美術の記号性と”見立て”の想像力、そして平面性、これらが欧州で積み上げられた美術技法とクロスすることでまさに弾ける魅力を放っていました。

そしてクリムトは1897年にウィーン分離派という美術グループ/運動を立ち上げ、いよいよその才能をエクスプロージョンさせます。

1899年のグスタフ・クリムト≪ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)≫は金の上部にシラーの詩が書かれ、裸の女性は虫眼鏡を持ち何とも淡い暗さをたたえた肌の色、その後ろには水の文様、下部の前方には蛇が。古代の紋を思わせる装飾で、観客に阿らないアートの挑戦が宣言されています。

そしてメインヴィジュアルにもなった1901年のグスタフ・クリムト≪ユディト I≫。金の部分はグスタフがデザインしゲオルクが作って、ホロフェルネスの首を持つユディトはしかし恍惚で官能的な表情を浮かべ、オレンジのバストトップが美しく、黄金のチョーカーは南米も想わせて。その金色の絵画はなんとも柔らかな魅力を輝いていました。

会場ではウィーン分離派展のポスターが何枚もあって。グスタフ・クリムト≪第一回ウィーン分離派展ポスター(検閲後)≫はギリシャ的。ヨーゼフ・マリア・オルブリヒ≪第2回ウィーン分離派展ポスター≫は建築のむこうに星が浮いているSF的な分離派会館?≪第6回ウィーン分離派展ポスター≫は菊川英山≪鷹匠図≫に基づくモティーフ。≪第10回ウィーン分離派展ポスター≫はアフリカ的。アルフレート・ロラー≪第14回ウィーン分離派展ポスター≫はデザイン的な絵画。

そしてこの第14回ウィーン分離派展のテーマがベートーヴェンで、クリムトは第九をテーマに≪ベートヴェン・フリーズ≫という巨大壁画を作成しています。なんとその原寸大複製が展示されていてこれにはたまげた!幸福へのあこがれ、黄金の騎士、ゴルゴン三姉妹、悪の化身テュフォン、詩の女神、そして合唱隊に導かれた歓喜の歌の接吻。実際に第九を聴いてみると最後の歓喜の歌までは地味に感じる部分もあるのですが、この壁画も結構白いスペースがたっぷりとられたり楽曲を絵画化してる感じがいい。金銀宝玉のきらめきも印象的でした。

また≪『ヴェル・サクルム(聖なる春)』≫という機関誌も第1年次第1号、第1年次第3号、第2年次第12号が展示されていました。

そしてグスタフ・クリムト≪鬼火≫では青緑に浮かび上がる女性たちがまだらの鈍い塊が薄闇に浮かぶ様が描かれていました。またその額縁が金の渋い地の掠れが本当にいい味を出していて。この女の妬み、嫉み、怒る表情がリアルでした。そして青白い鬼火が火花散らして。

クリムトは風景画も描いています。またこれがいい。グスタフ・クリムト≪アッター湖畔のカンマー城 III≫では点描タッチで描かれたゴッホの風景画のような画。そして(こちらの方が輪郭を描いて色を塗る点でゴッホから影響を受けているそうですが)グスタフ・クリムト≪丘の見える庭の風景≫はもうほんと生命が蠢く気持ち悪さすら感じる植物描写がなんか鈴木其一とかも想起させて。凄かった!この時期の作品が正方形なのは望遠鏡を使って景色をみたからだそうです。

そこから肖像画。グスタフ・クリムト≪オイゲニア・プリマフェージの肖像≫は銀行家であるパトロンの妻。黄色の背景にドロップキャンディーを敷き詰めたかのようなカラフルで装飾的な衣服、そしてちょっと誇らしさのある表情の幸福そうな女性。この装飾的な衣服の平面性と人物の立体的な筆致の対称性がケミストリーを産んでいるのかも。この服飾の輝く筆致、岩佐又兵衛とクリムトで二人展やったらドリームマッチになるなとか妄想が膨らみました。

またグスタフ・クリムト≪白い服の女≫は白い服に妖艶な目をした女が太極図のように白黒陰陽分かれた背景に浮かんで。

そしてクリムトは三男の死から、生命の円環をテーマに作品を描くようになっていきます。

クリムトはウィーン大学の講堂の天井画の依頼を受け、≪医学≫・≪哲学≫・≪法学≫と描きますが、その性的描写や反学問的な表現から大学と衝突し引き上げてしまいます。会場では≪≪医学≫のための習作≫と失われてしまった≪哲学≫のサイアノタイプと≪法学≫の写真がありましたが、まるでミュシャの≪スラヴ叙事詩≫のようなスケール感と透明感ある輝きに惚れ惚れさせられました。

グスタフ・クリムト≪亡き息子オットー・ツィンマーマンの肖像≫はチョークで画かれた言葉に記せない哀しみがありました。そしてグスタフ・クリムト≪リア・ムンク I≫は24才でピストル自殺した女性の絵、この他グスタフ・クリムト≪死の床の老人≫という作品も。

グスタフ・クリムト≪女の三世代≫は銀金が滝のように流れ落ち花開き、そして黒、そしてカラフルな丸群で柄になった背景に赤子と母親、そして老婆が画かれた大作。女の一生を描いたという意味でも、顔をみせない老いさらばえた老婆の身体を描いたことはクリムトにとって大いなるフロンティアの開拓だったように思えました。

そして最後の作品はグスタフ・クリムト≪家族≫。黒一色の中で陰影のように子供に手を添える母。彼等3人は生きているのか眠っているのかわからない。ただ死の影が濃く表れていました。ここがクリムトにとって大いなる転機になったそう。最晩年の作品もみたい、というところでEXIT.

最初はその平面の装飾性の化学反応、次に光柔らかな輝く筆致に目を捉われながらもどこか”プロデュースに長けていて、ちょっとアウラの濃さのない画家なのではないだろうか”なんて思ったりしていたのですが、3周目、≪ユディト I≫をみていたときに”この表情をみつめさせる、描ける画家は稀代なのでは”と。そこから彼の画がく女性の顔をみるとその悦楽、その憤怒、まさに女性と切結びそのリアルを見てきたからこそ描ける真実の美があって。これはなかなか書けないよ、流石だよ、となりました。

そしてクリムトとエゴン・シーレとの邂逅の藝術的生成は、新美での展示をみるのを楽しみに。なかなかどうして、軽やかでいて実に濃い展示でした。




by wavesll | 2019-06-06 20:52 | 展覧会 | Comments(0)