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TOKYO MINERAL SHOWがアノマロカリスの化石やアンモライト、ビスマス鉱石や透明骨格標本、菊花石にラピスラズリの原石etcをみれ超楽しい

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池袋サンシャインシティで開かれている東京ミネラルショー2017に行ってきました!鉱物の即売会で、国内外の業者さんが所狭しとブースで鉱石を販売していました。

入り口で「写真撮影はNGですか?」と聴くと「ブースで許可を得ればOKですよ」との答え。「Excuse me. Can I take a picture?」と尋ね、OKを得た上で撮影してきました。

今回の目玉は澄江(チェンジャン)・バージェス動物群化石で、カンブリア紀のユニークな生物が展示されて。中でもアノマロカリスの化石がみたくて足を運びました。

現場で一番心がときめいたのはオパール状の遊色を持ったアンモナイトであるアンモライト。まこと心奪われる美しさ。

その他にも恐竜の化石や水晶、透明骨格標本や岐阜の菊花石、珊瑚やラピスラズリの原石など盛りだくさん。ビスマス鉱石がみれたのも嬉しかったです。会場には虫入り琥珀のガチャポンなんかも◎

今まで宝石を持とうという気になったことはなかったのですが、十月生まれで誕生石がオパールなのでいつかアンモライトを自宅に飾れたらいいな何て思いました★

by wavesll | 2017-12-01 22:42 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

東博常設展にて好い写楽や好い月岡芳年、そして刀や絵師の仕事をみる

東洲斎写楽 ≪中島和田右衛門のぼうだら長左衛門と中村此蔵の船宿かな川やの権≫
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東洲斎写楽 ≪紀伊国屋納子 三代目沢村宗十郎の孔雀三郎≫
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月岡芳年 ≪英名二十八衆句 古手屋八郎兵衛≫
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月岡芳年 ≪英名二十八衆句 笠森お仙≫
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月岡芳年 ≪英名二十八衆句 福岡貢≫
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歌川広重 ≪名所江戸百景・蓑輪金杉三河しま≫
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寺崎広業 ≪秋苑≫
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≪小袖 染分綸子地若松小花鹿紅葉模様≫
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岸連山 筆 ≪猪図≫
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喜多川月麿 ≪相州江の島巖屋の図≫
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荻生徂徠 ≪文語≫
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徳川綱吉 ≪和歌≫
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三井親和 筆 ≪詩書屏風≫
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円山応挙 ≪波濤図≫
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≪熊毛植二枚胴具足≫
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≪紅糸威二枚胴具足≫
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≪白糸威二枚胴具足≫
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≪瓶形四君子図七宝水柱≫ ≪瓶形梅桜文七宝水滴≫ ≪重丸瓶形花文七宝水滴≫
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≪火事羽織 紺木綿地刺子人物模様≫
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≪火事装束 猩々緋羅紗地波鯉模様(抱き茗荷紋付)≫
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≪太刀 長船景光(号小龍景光)≫
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≪太刀 備前元重 銘 備前長船元重 観応二二年十二月日≫
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≪刀 関兼元≫
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≪刀 相州正宗(名物 石田正宗)≫
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≪刀 長曽祢興正 銘 東叡山於忍岡辺長曽祢興正作之≫
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≪刀 堀川国安 銘 国安≫
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≪刀 来国光≫
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≪脇指 畠田光守≫
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≪脇指 相州貞宗(号 石田貞宗)≫
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≪黒漆小脇指 無銘 貞宗(号 石田貞宗)の拵≫
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≪獅子造鱗文兵庫鎖太刀≫
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≪沃懸地葵紋蒔絵合口≫
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≪沃懸地葵紋蒔絵螺鈿打刀 銘 助真の拵≫
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≪梨地笹龍膽車紋蒔絵糸巻太刀 銘 貞真の拵≫
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この写楽とか芳年とか、かなり好きな感じでした。

最近の刀剣ブームでかなり見る機会が増え、段々と「この刀いいねぇ」と想うようになったりw

ここには載せていませんが国宝室には万葉集が。また信長の肖像画の掛け軸なんかも。常設展と言っても結構な頻度で展示替えしているので、特別展を見るたびに新鮮に楽しめて満足感高しです◎

by wavesll | 2017-11-28 19:07 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

フランス人間国宝展 at 東京国立博物館 表慶館が素晴らしかった

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東博・表慶館にて開かれたフランス人間国宝展に最終日に行ってきました。

日本の通称人間国宝(重要無形文化財の保持者)認定を基に、フランスにおいて認定されたメートル・ダール/Maître d' Artの保持者たちの作品群。日本伝統工芸展とか好きな人にはかなり響きそうな展覧会でした。

まず入ると陶芸家ジャン・ジレルの≪Tennmoku(天目)≫が。
曜変天目の再現としては瀬戸の陶工の長江さんの方が見事なように感じましたが、ジャンさんの作品もメタリックな天目として愉しめました。

そして奥に入ると鼈甲細工、革細工、金銀細工の部屋が。

クリスティアン・ボネによる鼈甲が光に透ける≪花瓶≫はアールヌーヴォー的な卵にもみえて。セルジュ・アモルソによる革鞄≪クフ王≫シリーズは品の良さと格好良さを非常に感じさせられました。

そして≪グラス チューリップ≫がメインヴィジュアルにも使われたロラン・ダラスプの金銀細工。
ファンタジー世界の砦のような≪パンチボウルとレードル≫、銀の枝が伸びる≪枝付き燭台≫、≪キャビア船≫、≪トレイ≫、≪ゴブレット≫も好いし、コップで表現された≪ドン・キホーテとサンチョ・パンサ≫なんてのも。≪一輪挿≫も粋でした。

階段を上に上がると麦わら象嵌細工、壁紙、真鍮細工の一室。

フランソワ=グザヴィエ・リシャールによる和紙の壁紙≪オービフォールド≫が明暗の変容をするライティングに映えて。

その中に包まれるナタナエル・ル・ベールの真鍮細工が何しろ素晴らしい。

アーク・ノヴァのような≪マヨルカ≫と≪無限≫。臓器のような身体性を感じさせる≪灰色≫。≪トルソー≫というなの壺。肺がイマージュさせられる≪呼吸≫。金と黒の須恵器 子持高坏のような≪テーブル オペラ≫、緑・黄緑、そして木の茶の≪テーブル シャイアン族≫。そして本展随一の印象を受けた黒孔雀のような≪テーブル 春の月≫が美事でした。

リゾン・ドゥ・コーヌの≪ルクソール≫という家具もシックとゴージャスが両立していて素晴らしかった。

第四室は 傘、扇。これがまた素晴らしく良くて!

ミシェル・ウルトーによる傘たち。椿姫な≪日傘 日本≫やレースがひらりとする≪花嫁≫、≪イシス:豊饒の女神≫の舞う赤。老婦人が持ってたら凄くイイ感じの≪パゴダ≫、確かにアール・デコな≪アール・デコ≫や確かにアフリカな文様の≪アフリカ≫。

跳ねるデザインの≪突風≫や植物な白岩感のある≪フォンタンジュ嬢≫、淑女のスカートの中を覗いてしまったようなコケティッシュさのある≪土星≫、赤が映える≪日傘 スペイン≫、本当に上品な落ち着きのある≪銀杏≫、どれも素晴らしかった。

そしてシルヴァン・ル・グエンによる扇がまた好くて。日本で生まれた扇子が現代フランスの感性でリファインされていて。

”こんなのありかよ!”というようなボウボウが出た≪イソギンチャクの夕べ≫や、立体の羽根の≪香り立つポップアップ≫。そして透明な”トゲ”がでた≪ウニ≫、≪ホワイト・ウェディング≫も立体的で。前衛扇子。

四角と丸のカタチの≪非対称なスルタン妃≫や畳むと三角形になる≪ピラミッド≫。珊瑚の様な柄の≪ゴルゴン≫、抽象画な≪セルジク≫にそれが折り目で立体的になっている≪セルジク 折り紙≫、空に風に流れる雲が描かれた≪風の神アイオロスに捧ぐ≫や、≪マラルメに捧ぐ≫も美がありました。

菱形の折り目達がついた≪ダイヤモンド≫や広告が織られた≪200%≫、PSのゲーム『IQ』のようなヴィジュアルの≪格子(ピックに捧ぐ)≫や人の顔とグラスのだまし絵が描かれた≪ジュリエット・グレコ≫。≪孔雀の太陽≫も美しかった。

対になる白鶴が表現された≪鶴≫、立体裁断な≪星々のきらめき≫、木の感じがいい≪秋の夕暮れ≫にクリスタルも使われた≪カロリーナ≫。柄の部分が蓮な≪蓮(黒/革)≫にまさに黒蓮が表現された≪蓮(黒)≫。

ヴェールがついた≪霧氷の花びら≫に広げた時逆三角形になる≪トライアングル≫、マジシャンのような≪ホワイト&ブラック≫といい、非常にアヴァンな扇、大変愉しめました。

そして吹き抜けの空間を抜けるとピエトロ・セミネリの折り布が。

まず目に飛び込んでくる≪トレーン≫が凄い!黒い鳳凰の尾のよう!圧倒され、思わず”すげぇな”と呟いてしまいました。

そして≪権力者≫、≪強さ≫、≪義務≫はどことなく東洋というか、スルタンな感じを思わせる作品。≪力の荘厳≫は鎧のようで、≪隠遁者≫は恐竜の鱗のよう、≪深き淵より≫も美しい黒の連なりでした。

第6室は銅盤彫刻、紋章彫刻、エンボス加工(ゴブラージュ)

ジェラール・デカンの紋章彫刻による≪明日≫はガラスに動物たちを浮き上がらせる連作。金の円柱の≪方舟≫とこれも動物が彫られた≪陶印≫も良かった。

ロラン・ノグのエンボス加工による≪構造と動き≫はミニマムな複雑性というか、白地に立体的な構造が編まれていて、”こんなの家に飾ったら最高の空間になりそう”と想いました。

≪ITO≫は細い糸のような線で幾重にも円が重なる作品。紙に死神などがエンボス加工で画かれた≪黙示録≫も。

リアルな大和絵のような金色の空を見上げる≪雲1≫、≪雲2≫や≪三連作 風景≫も素晴らしかった。

さらにファニー・ブーシェの≪継承≫は神域の空間が広がっていて。白いふわりとした布の花の上に銅の球が浮かんで。感銘を受ける、非常にシンボリックな逸品でした。

そして階段を降りるとネリー・ソニエによる羽根細工が。

花を中心に植物が羽根で形づくられる≪沼地のはずれで 蜜採集≫や羽根で竜魔がつくられた≪ドラゴン≫、木のウロが羽根によってつくられて金の虫が這う≪窪み≫の感じなんかアルチンボルドに通じるものを感じて。

アクアリウムのような≪ツグミと鯉 分け与える≫や実際の林檎の木に羽根を飾った≪夏の盛り 思いがけない樹木≫なんて作品も。

そして最後の部屋はエアニュエル・バロウによるガラス作品。ガラスの巨大な波があらわれている≪探究≫には金沢国際ガラス展でみた作品群を想い起しました。

この展覧会、フランスの現代工芸を観ることが出来てなんか世界が広がった気がしたし、表慶館の建築も凄く雰囲気があって行って良かったです。今後も表慶館で開かれる展覧会、ちょくちょくチェックして行こうと想いました!

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by wavesll | 2017-11-27 21:28 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

シャガール 三次元の世界展@東京ステーションギャラリーにて大理石の彫刻と陶器によって浸透率が高められ、絵へ導かれる

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東京ステーションギャラリーにてシャガール 三次元の世界展をみてきました。

シャガールって今まで熱心には観てこなかったというかメルヘンな感じがちょっと体に馴染まなかったのですが、立体のシャガールって凄く良くて。

陶器は立体のキャンバスで思う存分表現に遊んでて、彫刻はきらきらが散りばめられた大理石の聖明さにシャガールの闇か光化されてる感じ。そして絵の濃部に辿り着く。いい展覧会でした。

まず最初の部屋で目に入るのが≪誕生日≫。宙に浮かんでひょいっと恋人にキスする姿。その”カタチ”が唯一無二だと感じて。そしてその傍に大理石に彫られた≪誕生日≫が。この”新しいシンボリックなカタチの創造”が特異点としてのシャガールを感じました。

同じ部屋には≪ふたつの頭部と手≫という大理石の彫刻が。まるで角砂糖のような質感が素敵で。展覧室に入って最初の作品≪町の上で、ヴィテブスク≫は故郷の街の空を飛ぶ恋人たちが記号的に描かれていてプロトタイプ性を感じました。

そして愈々陶器の展示が。≪青いロバ≫には小学生が紙粘土でつくったようなピュアさが素晴らしくて。このための下絵も展示してあって制作過程がわかる展示としてもいいし、下絵等の途上の品もそれ自体が作品として魅力的でした。≪二羽の鳥≫もそうですが、シャガールのメルヘンな色遣いが陶器に色づいた透明な色彩がとても美しくて。

その傍の絵画だと≪逃避 / 村の上の雄鶏と雄山羊≫の山羊がまた象徴的に昏さがあって対照的でした。≪彫刻された壺≫の大きく口が開ききった壺に、”あぁこの人は自分の立体のキャンバスとして陶器に絵を描いているのだな”と。≪把手のついた壺≫のフリーキーに突き抜けた色彩がまた良くて。

マティスのような≪井戸端の女≫や内臓のように肉体的な≪預言者エリヤの馬車≫そして≪横たわる女≫のテラコッタの素焼きも魅力的。≪水浴する女≫はテラコッタとブロンズ製の二品が。

≪青い婚約者たち≫の男に女二人の絵が立体化した感じも物語性があっていいし、≪キマイラ≫は古代から発掘されたような惹きがありました。

≪空想の動物≫も白い石膏製と黒いブロンズ製で、組み込まれた恋人像が白は骨、黒は筋肉のように感じました。≪緑の夜≫の仄かな灯り。≪ラ・バスティーユ≫は昏く赤い影が。≪山羊に乗る子供≫のブロンズ像は毛並みが植物の様でした。

テラコッタの≪雄鶏≫は溶けかかったしっとりした肌質で、石膏の≪雄鶏≫は木を彫ったような質感。墨絵の≪画家と雄鶏≫には年賀状感も。≪鳥≫と≪鳥=魚≫は神話的な古代性を感じました。

≪黒い手袋≫は肉感のあるまなざし。シャガールは少女趣味に感じていたけれど、やはり男の絵なのだなと。≪たそがれ≫は世界で恋人と二人だけで寄り添って生きる様が。ここまで描けるのは自己陶酔がある男の弱さや良さなのだなと。

≪二つの顔のある頭部≫は逆さに繋がった男女の顔が描かれた絵画。≪大きな人物≫は最初の妻ベラとベラがなくなった後再婚したヴァヴァの融合像。シャガールにとって青は特別な色なのだなと。

≪二つの顔を持つ紫色の裸婦≫のムラサキが鮮やか。≪月明りに照らされる二重の顔≫は2人の女性のペルソナが。ヴァンスの石で創られた≪恋人たち≫はがっちり触れ合い離れない感じ。大理石の≪自画像≫は白くてきれい。≪黄色い顔の自画像≫もテーマカラーはブルー。

≪サン=ジャン=カップ=フェラ≫の『Bバージン』な青。≪二重の横顔≫はギリギリな造形が面白い。≪青い羽根の振り子時計≫も大きな鳥と柱時計が印象に残る幻想的な絵。≪小舟と魚≫も月夜の青で。

シャガールは色味がつくと昏い方向に傾いていく気がする一方で大理石の彫刻はきらきら輝く粒子が白に明度が高くて、シャガールの昏さを明るく昇華して非常にいいなと想いました。

≪女と動物≫はまるで3DCGをぐりぐりやってるような鑑賞体験。油彩の≪緑の目≫の大きな目や≪ヴォテブスクの上に横たわる裸婦≫は故郷の灰空に浮かぶ女性の身体が。≪恋人たちと山羊≫は愛し合う二人に山羊が交わる感じ。≪雲の中の恋人たち≫は恋人たちを金色の光が包んで。

≪波の上のロバと鳥≫は仏画のような穏やかな描写。≪恋人たちと木≫は隆起する大理石の質感が見事。≪赤い雄鶏≫のカップルを見つめる優しい赤鶏のまなざしが良くて。≪雄鶏と女≫≪鳥と恋人たち≫、≪雄鶏と恋人たち≫のための下絵の鳥もいい。鳥はポジティヴな象徴に感じました。

≪女と魚≫の身体の斜めな立体平面感。魚だと≪通りの魚≫や≪魚のある動物≫は食が様々な場面で画かれて。食という意味では≪鳥の上の女≫のまな板感と皿に描かれた≪腕をあげる女≫も良かった。

ユダヤ人であるシャガールは旧約聖書をテーマに様々な作品を残していて。

イシュタルの青い門が描かれた≪青いアーチの前の人物≫もいいし、≪聖書の女 ラケルとレア≫や≪聖書の女 サラとリベカ≫の白い大理石に描かれた平面彫刻が綺麗で。

≪エルサレム(嘆きの壁)≫が実際の東京駅のレンガの壁に置かれる演出も良かった。その隣にはもっと引いた光景が描かれた≪エルサレム≫も。

そして絵画では白眉の≪過越祭≫。聖なる夜の墨夜に赤と緑、そして黄色が入り、天使が闇の中で福音を鳴らす。凄く好きな作品でした。

≪アブラハムの犠牲≫は大理石の生成の形に彫られていて。≪モーセと十戒≫もいいし、≪モーセ≫が彫られたロニュの石の古代遺跡感が素晴らしい印象を与えて呉れて。≪竪琴を弾くダヴィデ≫のための下絵の色味のコラージュ感がこれはこれで特別で。

≪ダヴィデ王≫の天使が訪れる瞬間。大理石の≪ダヴィデとバテシバ≫の荘厳な雰囲気。ロニュの石で創られた≪バテシバI≫と≪バテシバII≫は遺跡をみるかのよう。≪聖母の前のキリスト≫のための下絵のコラージュの良さ。≪十字架降下≫は仏画のゆうな朴訥とした感じ。≪燭台≫はとぼけているのがいい。

≪『聖書』のための挿絵:≪カルメル山上のエリヤ≫(テリアード版『聖書』第2巻、版画86)≫と≪『聖書』のための挿絵:≪夢に現れた神に智慧を与えてくれるよう願うソロモン≫(テリアード版『聖書』第2巻、版画77≫は銅版やエッチングの過程も展示してありました。

大理石の≪アダムとイヴ≫も朗らかに笑って。≪天蓋の花嫁≫の二人の花嫁。≪キリストと雪の村≫の空を飛ぶソリ。≪ヤコブの梯子≫は人々の歴史が梯子の垂直で顕わされて。≪キリストの磔刑≫は傷口が赤くにじんでいました。

≪ダヴィデ王≫の二柱の彫刻。≪橋の上のキリスト≫の昏重さの一方で≪二人の裸婦と山羊≫の菩薩な顔。≪花束を持つ恋人たち≫のプロヴァンスの石の古代な風合い。≪聖母子≫は生成りの力強さがあり≪聖母とロバ≫のシンプルさも良かった。

花をシャガールは愛したらしく、とても詳細に明るく描かれていて。≪青い花瓶の花束≫の熱や≪花束の中のカップル≫の幸せそうな姿。黒髪が華になっていく≪夜の裸婦≫の女の子の可愛らしさ。≪燭台と白いバラ≫の机一杯に広がる華束。≪赤い背景の花≫の燃えるエナジー。

≪逆さ世界のヴァイオリン弾き≫のふわっとした印象。≪アルルカンの家族(タピスリーのための下絵)≫の太さの生命力。≪地上の楽園≫と≪村の恋人たち≫のエデン感。≪雄鶏と恋人たち≫の大理石に彫り込また姿。大理石とブロンズの二体の≪女=雄鶏≫も良かった。

≪黄色い家と屋根の上のロバ≫のファンタジックさもいいし、≪ラ・コリヌ(ロバ、魚、月、二羽の鳥)≫と≪ラ・コリヌ(二羽の鳥とウサギ)≫はなんとエルサレムの石でつくられて。

1970年近くになるとシャガールの画がネクストレベルへ行く感じが。≪ダヴィデの詩篇≫の闇に赤が煌々となる鮮やかさ。≪時の流れに(逆さブーツのマントを着た男)≫の花火のような彩り。≪ギターを持つ女≫はカラフルverなアイヌ美術の様。

≪回想≫≪画家と妻≫の色で区分けされて塗られた表現がまた”次の展開”を予期させて。≪ダヴィデとバテシバ≫のための下絵や≪黒い月≫のための下絵のピンクなコラージュも綺麗で。≪シバの女王の到着≫のための下絵はレインボー。≪騎手≫のための下絵は金の輝き。

≪紫色の裸婦≫は下絵も凄くいいし、粒立ちのいい色味の煌のアルルカンの画ヂカラにやれられました。そして≪アルルカン≫も下絵が幾何学的な色付けで凄く良くて。

そして最後に展示してあったのは≪ヴァヴァの肖像≫。異色肌ギャルのような緑の肌で。その隣の下絵は素肌のヴァヴァで。そして最後に大理石の≪ヴァヴァ≫は穏やかな表情で。シャガールが愛に包まれた生涯を送ったことを感じさせられました。

シャガールの展覧会、最初は立体物がとても心に沁みて。そして絵画には濃密な感情が色づいて。シャガール自身も特に大理石の彫刻で魂が洗われていくような感覚。光と闇の間を航行していくような鑑賞体験となりました。

そしてどの作品にも”シャガールならではのカタチ、色”があって。それってオリジナリティに達した特別な芸術家にだけの領域なのだなぁと感じ入りました。

by wavesll | 2017-11-25 13:33 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

アニマルハウス 謎の館@松涛美術館で三沢厚彦さんや舟越桂さん達の彫刻空間に心動かされる

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三沢厚彦 アニマルハウス 謎の館に行ってきました。
松涛美術館を舞台にメインとなる三沢さんの動物の彫刻に、舟越桂さん、小林正人さんと杉戸洋さんそして写真家の浅田政志―の作品が展示されるという構成。

白井晟一氏設計による松涛美術館の建物自体も内部に円柱状の空間があって噴水に橋が渡してあるという特別なあつらえで、そこにキャプションなしに展示が並ぶさまは正に”謎の館”。

2Fの展示室にはソファがあって、そこでどっかり寛ぎながら低い目線でこのアニマルハウスを楽しむことが出来ました。

三沢さんの動物彫刻がアフリカというかエジプトというか、ヨーグルトの酸味のような不思議さがあって外国の絵本のようなアニマを感じました。

さらに良かったのが舟越さんの彫刻、そして絵で。

絵は女性のヌードなのですけれども”生成り”とでもいうか、素材をそのまま受け止めて描き顕わしているようでとても善い眼差しを感じました。

そして彫刻!これが本当に素晴らしくて。今回はじめて直に舟越さんの作品を観たのですが、メディア越しに見ていると少し冷酷というかとっつきづらいイメージがあったのに対し、直に見るとそれこそアニマや生成りさを感じるというか、人の温かみが伝わってきて。その上で聖なる領域へ通じている感覚とでも言うか。

今回の展覧会の全作品の中でも舟越さんのおなかがどっかり膨れていて両手が翼のように背中から生えた女性像が知性と神秘性、そして動物性を湛えていて一番好きでした。SCLLの感覚にも似てるかも。

舟越さんの普段の生活の中でメモられた言葉たちの紙片も展示してあって、「太陽が銀河系を回るのにかかる時間は2億年」とか、科学的な知見のメモに目が留まりました。

またアーティスト同士のコラボ制作もしているようで、オカピの像なんかは頭は舟越さん、胴体は三沢さんがやっているそう。またこれがいい感じにケミストリーと纏まりが両立していて好かった。

この展示、なんと500円。このヴォリュームならかなりのお値打ちでは。建物を味わうだけでも愉しい展覧会となりました。今週末まで。お薦めです。

by wavesll | 2017-11-23 18:14 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

代官山にてバスキア

JEAN-MICHEL BASQUIAT ≪Untitled≫ (1982)
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MARK GROTJAHN ≪Untitled (Blue Butterfly Dark to Light IV)≫
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CHRISTOPHER WOOL ≪Untitled≫ (1990)
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MARK GROTJAN ≪Untitled (Pink Cosco II Mask M40.c)≫
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ANDY WARHOL ≪Flowes≫
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代官山ヒルサイドテラスにてZOZOTOWNの前澤さんが落札したバスキアをみてきました。

迸る熱力は離れてみると内爆発しさらなる外爆発を予期させ、近くで観ているとアステカなんかにも通じる精力の渦巻きに当てられのぼせる感覚。若き日のバスキアが今まさにみなぎるエナジーでレヴォリューションを起こそうとした勢の様が良かった。生で観ると瑞々しい鮮やかさがより響きました。

今回の展覧会は第4回 CAF賞 展のExtra Trackで、公益財団法人現代芸術振興財団主催学生向けアートアワード受賞作では

小山しおり ≪continued story≫
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が気に入りました。またヒルサイドテラス常設のこの壁画も好みでした。

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by wavesll | 2017-11-05 21:16 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

藝大美術館「素心伝心ークローン文化財 失われた刻の再生」にて敦煌莫高窟 第57窟等のクローンをみる

敦煌莫高窟第57窟
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敦煌莫高窟 第57窟南壁≪部分≫再現模写
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高句麗古墳群江西大墓≪四神図≫
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江西大墓≪四神図≫再現模写
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新疆ウイグル自治区 キジル石窟 第212窟
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アタカマイト
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壁画断片 仏陀坐像
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バーミヤン東大仏天井壁画
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バーミヤン石窟K洞 壁画 仏坐像
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パキスタン 仏伝浮彫 占相・祝宴・勉学
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パキスタン 仏陀説法図
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ストゥッコ 仏陀像頭部
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タジキスタン ペンジケント遺跡発掘区VI 広間1壁画≪ハープを奏でる女性像ほか≫
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ミャンマー・バガン遺跡 ミンカバー・グービャウッヂー寺院壁画(部分)
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法隆寺釈迦三尊像
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法隆寺金堂壁画
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東京芸術大学大学美術館のシルクロード特別企画展「素心伝心」クローン文化財 失われた刻の再生に先日行ってきました。

Q)文化財は唯一無二の存在であり、その真正性は本来、複製が不可能です。その一方で、文化財の複製の歴史は古く、文化財の記憶をより広く長く継承したいという思いは、普遍的・根源的なものであるといえます。

東京藝術大学は、劣化が進行しつつある或いは永遠に失われてしまった文化財の本来の姿を現代に甦らせ、未来に継承していくための試みとして、文化財をクローンとして復元する特許技術を開発しました。本展では古代シルクロードの各地で花開いた文化を代表する遺産がクローン文化財として甦ります。

絹の道シルクロードは仏教の道でもあります。インドで生まれた仏教は、シルクロードを通ってギリシア・ローマ、イランなどの文化と融合し、グローバルな文化様式が育まれ、さらに中国において大きな変容を遂げ、東アジア仏教美術の古典様式が形成されました。シルクロード各地の文化財は、それぞれに関係性をもちながら多文化・多様性を体現しており、極めて今日的な意義を有しているといえましょう。

しかし、シルクロードの文化財は現在、様々な危機に面しています。2001年に爆破されたバーミヤン東大仏天井壁画、流出後に第二次大戦の戦火で失われたキジル石窟航海者窟壁画、保存のため一般公開が困難な敦煌莫高窟第57窟、模写作業中に焼損した法隆寺金堂壁画など、この度、再現する作品はいずれも唯一無二の歴史的・芸術的価値が認められながら、惜しくも失われていたり、実物を鑑賞することが難しい作品ばかりです。

クローン文化財の制作にあたっては、オリジナルの精細な画像データを取得し、三次元計測や科学分析を行って、空間・形状・素材・質感・色を忠実に再現します。また、クローン文化財に加えて、生涯にわたりシルクロードを歩き、撮り続けた並河万里の写真や、本展のために現地で撮影した映像、臨場感のある音など、五感でシルクロードの世界を体感いただけます。
(UQ

クローン藝術の面白さを愉しめました。
特に敦煌莫高窟は四方が完全に再現されていて、まるでVRで石窟に迷い込んだような気になりました。

欲を言えば天井も床も再現してほしいし、もし敦煌莫高窟を全窟完全再現したテーマパークとかが出来たらかなり行ってみたいと想いました。大塚国際美術館みたいに街おこしになるかも。

"それは流石に費用が"ということもあるでしょうし、取敢えずはいつかGoogleがストリートヴューで公開して呉れたらいいなぁと思います。

またクローン藝術として現在はもう失われてしまったものを記録から再現するという試みもしていて。新疆ウイグル自治区 キジル石窟やバーミヤン東大仏天井壁画等、本当に意義深いなと感じました。

東千仏洞石窟のミニスカートの女神といい、中国西域のエメラルドグリーンの麗しさには目をみはるばかりでしたが、今回その顔料がアタカマイトだというのを知って。本当に、根源を刺激する発色だなと。

360°の空間展示と言う意味ではインスタレーションや例えばチームラボが宇宙と芸術展で披露した空間映像作品などもそうですが、クローン文化財もその一角に大きなプレゼンスをこれから成していく感覚がありました。

さらに
Q)本展終了後、クローン文化財の一部は、故国に「帰還」する予定です。シルクロード美術の伝統は残念ながら多くの地域で途絶えてしまいましたが、終着点の日本では幸運にも今日まで継承してくることができました。クローン文化財の「帰還」をとおして、シルクロード美術の道が円環を描き、新たに脈動することを願ってやみません。(UQ

とのこと。未来への遺産としてこの手法は普及、発展してほしいですね。
by wavesll | 2017-11-02 07:51 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

第69回正倉院展@奈良博レヴュー

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正倉院展をみてきました!
あべのハルカスでの北斎展から谷町四丁目G CURRYでの牛すじGカレーを挟み、近鉄奈良駅についたのは13:14分位。

”どれくらい並ぶのだろう?去年の正倉院展では1.5hくらい並んだな”と想っていたら、なんと全然列が短い!北斎展や京博の国宝展に美術クラスタが分散したのかもしれません。

開場に入るとすぐに目に飛び込んでくるのが上にも画像を載せた≪羊木臈纈屛風≫。

ろうけつ染めの屛風。日本でつくられたことが確実だそうですが、実は天平期に日本には羊がいなかったそう。伝搬した西方文化に心躍らせ想像の翼を羽ばたいた古代の人々の思いが素晴らしい。

また、見ている内に気づいたのですが、木の幹をエメラルドグリーンの猿が登っていて。尖っているというより円やかなハイクオリティの美しさが正倉院好みですね。

この隣にはもう一つろうけつ染めの屏風である≪熊鷹臈纈屛風≫が展示してあるほか、≪臈蜜≫の展示も。ミツバチの巣から作った蝋なのですね。

≪鳥花背八角鏡≫は鳳凰、麒麟、狻猊が描かれた鏡。≪槃龍背八角鏡≫は双竜と亀の鏡。また≪緑綾帳≫は青銅色に美しく、≪木画螺鈿双六局≫の木画という技法も面白かったです。

正倉院展では古代の楽器が去年も展示されていましたが、今年も大理石製の縦笛の≪玉尺八≫と樺巻装飾の縦笛の≪樺纒尺八≫が笛の音と共に展示され、西方の竪琴≪漆槽箜篌≫はオリジナルと再現品の二品が展示されていて、ロマンが掻き立てられました。

そして≪碧地金銀絵箱≫は本展覧会の白眉の一つ。エメラルドブルーに金と黒で彩られたヒノキ製の箱は英国茶会にでも出てきそうな玲瓏さがありました。

≪蘇芳地六角几≫は仮玳瑁というタイマイのようにみせる加工が面白かった。

≪玉長坏≫と≪玉器≫はウイグルのホータンからの素材でできた逸品。古代の行路にワクワクします。

≪緑瑠璃十二曲長坏≫もハイライトの一つ。下からのアングルも鏡でみれ、エメラルドのような緑の透明な美を愉しめます。そしてよくみるとウサギの文様が彫られていて◎

≪金銅水瓶≫も印象的な逸品。注ぎ口の鳥の意匠も面白いですが、首の処の幾何学的なデザインがロボロボしていて気に入りました。

≪犀角坏≫はインドサイの角の盃。≪斑犀合子≫はサイの角の腰飾り。古ならではだなぁと。

鼈甲の蔓が巻き付いたようなカタチの≪玳瑁杖≫は今回の一番うれしい発見の品でした。プリンスみたいなハートのデザインが面白い≪錫杖≫も良かった。

水晶・真珠・瑪瑙などでつくられた≪琥碧誦数≫は青ガラスが泡のような≪雑玉誦数≫や水晶が雫のような≪水精玉≫と合わせて麗しの宝石ショッピングで売って欲しい◎念珠の箱である≪亀甲形漆箱≫も黒に金のロゴが真に好い感じでした。

≪東南院古文書 第三櫃 第十八巻≫という東大寺の荘園に関する越前国の報告書は本筋とは関係ないけれども「糞」という漢字が書かれていて、”古代のフォントハンターだったらこの「糞」は使いたいな”と想いましたw古文書だと紀伊国・淡路国の決算報告書、阿波国の納税基礎数報告書である≪正倉院古文書正集 第三十七巻≫も細い字で綺麗でした。

≪黒瑠璃把白銅鞘金銀珠玉荘刀子≫はメスみたいな古代の小刀。≪沈香把仮斑竹鞘樺纒金銀荘刀子≫も木を巻き付けた技巧が面白かった。

また≪紐類残欠≫という水晶玉の腰飾りの網袋の組みひもは『君の名は』効果かもと。

≪赤紫黒紫羅間縫帯≫はドット欠けの美。≪雑帯≫は古代のギンガムチェック。≪最勝王経帙≫は経巻のつつみで迦陵頻伽が描かれていてその残片の≪組帯残片≫も印象的。そして竹ひごで編まれた≪竹帙≫が”これはアフリカか!?”と想う位ヴィヴィッドで好きでした。

聖語蔵からは≪阿毘達磨大毘婆沙論 巻第七≫の筆運びが美しくて良かった。また鳩摩羅什の経典を写した≪仏説菩薩蔵経 巻下≫もありました。

国宝展、北斎展からするとデザート的な見応えでしたが、正倉院展をデザートにできることに此の秋の関西のアート展の底知れなさを感じます。

国宝指定の基準の一つに”他に類のない独自の意匠”というものがあるそうですが、≪羊木臈纈屛風≫なんかはその域に達していると感じたし、その他≪碧地金銀絵箱≫や≪玳瑁杖≫など幾つも素晴らしい名品があり、好い展覧会でした。
by wavesll | 2017-10-30 08:29 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)

北斎 -富士を超えてー @あべのハルカス美術館 画業の究み、天然自然の筆致の奥義

あべのハルカス美術館にて北斎展を観ました。
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6時半の羽田発に乗り、伊丹から天王寺へ。大体8:40過ぎにあべのハルカスに入り、16Fへ。
そうするともう少しだけ入場列が出来ていて、そちらに並びました。

別にチケット列もあったのですが入場券も販売は10時からなので、事前にコンビニなどで券を買っておくのが良いかと想います。入場の際に言えばオリジナルのチケットと代えてもらえます。

”開場の1時間前に着いちゃったよ”と想ったのですが、これ、お薦めです!何しろ一巡目に入った時に空いた状態でほぼノーストレスでみれます。

2周目をしようとまた最初に戻ると、人混みで絵がみれるって状況ではなくて。そうした意味でも8:50くらいから並ぶとエクスクルーシヴな時間を過ごせると想います。

中に入ると、北斎の60才を越えた時期からの作品群が。≪玉巵弾琴図≫の妖玄な女性。≪獅子図≫の金地に墨でバッと描かれた獅子達。≪為朝図≫の鮮やかな武の姿も良かった。

北斎はダ・ヴィンチのスフマートのような柔らかい質感の色彩の作品を幾つも出しており、このスタイルでは≪節家の商家≫≪花見≫≪端午の節句≫や子供たちの弾ける元気さが楽しい≪初夏の浜辺≫などがありました。

≪千絵の海 総州銚子≫の荒ぶる波に踊る船、砕け散る波頭が印象的な≪波濤図≫が次に。

≪東海道名所一覧≫は地図としてのアート。後にこれの大陸版≪唐土名所之絵≫なども描かれました。

その後は≪富嶽三十六景≫。太田記念美術館にて≪冨嶽三十六景≫全46枚をみた後だったのでここは駆け足で。照明の光量もあり、太田記念美術館でよりヴィヴィッドな色彩で。参考資料で≪凱風快晴≫の初期ver,であるピンク富士のパネルもありました。

次に展示してあったのが≪諸国滝廻り≫シリーズ。≪諸国滝廻り 東都葵ヶ丘の滝≫の水流描写の立体感。≪諸国滝廻り 美濃ノ国養老の滝≫の直角に落ちる轟滝。≪諸国滝廻り 木曾海道小野ノ瀑布≫の岩肌のようにストレートな滝姿。≪諸国滝廻り 和州吉野義経馬洗滝≫の蛇行と馬がまた良くて。

≪地方測量之図≫なんて面白い題材の絵も。

また≪諸国名橋奇覧≫も面白くて。≪諸国名橋奇覧 飛越の堺つりはし≫という凄い橋景色や≪諸国名橋奇覧 三河の八つ橋の古図≫には尾形光琳の≪八橋図屏風≫を想起したり。≪諸国名橋奇覧 すほうの国きんたいはし≫も線雨がシンプルによかった。

ここから植物彩画。≪百合≫のデザイン性、≪芥子≫の美、≪牡丹・蝶≫の香ってくるような描写。≪朝顔・蛙≫は楚々としてました。

≪垂桜・鷽≫の鮮やかな青に浮かぶ花々。≪辛夷花・文鳥≫の可愛らしさ。≪藤・鶺鴒≫の洒落たデザイン性。≪杜鵑花・子規≫の晴天。

≪長春・黄鳥≫の霜降りのばら。≪白粉花・鵤≫のこれまた可愛い鳥の表情。≪鳶尾草 瞿麦 翡翠≫のカワセミの良い表情。≪小薊・鵙≫のアザミのとげとげな美、≪虎耳草・蛇苺・鵙・翠雀≫のこまっしゃくれた鳥の顔が好い。

そして個人的に大のお気に入りになったのが≪巌頭の鵜図≫。黒羽の中に銀河な輝きがあって。花鳥図から恒星へ行く素晴らしさ。大変気に入りました。また≪桜に鷲図≫も好ーいフォルムでした!

≪滝に鯉≫は登竜門を描きながらも上を目指さない鯉が主眼だと聞いて面白いなとw≪露草に鶏と雛≫は下絵もあり、それが良かった。

≪雉に蛇≫のキジの尾とヘビの対応が面白く、≪鷹図≫の反り感も最高でした。

また美しい≪若衆図≫や生活用品を描いた≪馬尽 馬除≫、≪馬尽 竹馬≫なんてのも。

北斎は半ば仙水としての中国も描いていて。≪花和尚魯智深図≫の太鼓腹、≪詩哥写真鏡 李白≫の今にも詠いそうな體の表情、≪詩哥写真鏡 杜甫≫の雪景色。月を望む≪詩哥写真鏡 安倍の仲麿≫≪詩哥写真鏡 春道のつらき≫なんてのも。

≪鬼児島弥太郎・西方院赤坊主≫も迫力がありました。

≪百人一首うばがゑとき 柿の本人麿≫の斜めの煙は≪百人一首うばがゑとき 源宗于朝臣≫では煙が滝の様。

≪歌占図≫も文人振りも良かったし、≪女三の宮図≫や≪白拍子図≫のカクっとした服飾がまた良くて。

≪『和漢絵本魁』初編より「那智の滝に文覚荒行 其二」≫は滝の飛沫がオーラのようで。これは根付にもなっていました。≪百物語 笑ひはんにゃ≫の不気味さw≪蓮上釈迦図≫もどこかインチキ臭いお釈迦様がw

≪日蓮波題目画稿≫は海に朱で画こうとしている日蓮が。≪釈迦御一代記図会≫の鬼の凄味。≪鍾馗図≫の亀甲のような腹も凄かった。

≪画本葛飾振≫の侍のカッコよさ。≪『大日本将軍記』初輯≫も素晴らしく、≪下絵帖≫なんかも。≪肉筆画帖≫は鷲や蛇が良かった。≪『富嶽百景』下絵 「写真の不二」≫には朱で下書きが入っていました。≪『富嶽百景』下絵 「夕立の不二」≫≪『富嶽百景』下絵 「文辺の不二」≫も良かった。

≪北斎自画像≫は”此のジジイ本当に楽しそうにはしゃぎやがる”とw≪老人像≫には狂気すらあけすけに見せていて良かった◎≪日新除魔図 閏九月廿一日≫なんてのをサラっとかけちゃうのが凄い。画狂だ◎

娘の応為の作品も飾られていました。≪月下砧打ち美人図≫や≪女重宝記≫では北斎より女性の綺麗さ、強さが描かれていて。≪関羽割臀図≫では腕の手術をされながら囲碁を打つ豪壮な画。≪応為書状≫では親しみが持て且つかっこいい字でした。

そして再び北斎。≪鳳凰図天井絵彩色下絵≫、凄い。正に火の鳥。

そしてここからがクライマックス。≪濤図≫。小布施の上町祭屋台天井絵であるこの濤は、北斎の波の究極。浪のなかにクエーサーのような飛沫が閃いて。

銀河、自然天然の、すべてをぶっとばすような美しさに偉大なるArtの力を感じました。額縁も北斎が下絵を描いていて。中には羽が生えた天使?も北斎は西洋画も研究していたそうなので本当に天使かもしれません。

北斎の画力は人生を重ねるごとに究極へ向かっていて。晩年の作は真に神域へ迫っていました。

≪鬼図≫はのん兵衛オヤジな雰囲気が伝わってきて。≪富士に松図≫は2本の松を中央に置く構図が美味い。≪流水に鴨図≫は水面の波が時空を越えていくような感覚。≪画本彩色通≫も凄い。

≪河骨に鵜図≫の荒涼さ。≪胡蝶の夢図≫は文人のオッサンの優男な感がいい。≪狐狸図≫はブリーチのあいつじゃないかw

≪七面大明神応現図≫は日蓮が龍を呼び起こす図。≪源三位頼政図≫も凄い画。≪李白観瀑図≫は自然の前で人がなんと小さいことか感じさせてくれました。

そして≪富士越竜図≫。魅入られました。北斎が辿り着いた富士の極致。

「己 六才より物の形状を写の癖ありて 半百の此より数々画図を顕すといえども
七十年前画く所は実に取るに足るものなし 七十三才にして稍(やや)禽獣虫魚の骨格草木の出生を悟し得たり
故に八十六才にしては益々進み 九十才にして猶(なお)其(その)奥意を極め 一百歳にして正に神妙ならんか 百有十歳にしては一点一格にして生るがごとくならん
願わくは長寿の君子 予言の妄ならざるを見たまふべし 」

と云った北斎。人生を進むごとにどんどん上手く凄くなっていく筆。この富士は、不死の希と、しかし魂が天へ昇っていく感覚があらわれるような覚りを感じました。

≪雲竜図≫はそんな神域が闇から呼び起したような迫力があって。

そして≪雪中虎図≫の夢幻。北斎翁が最後に辿り着いたのはファンタジックなときめき。画聖は天へ浮かんでいきました。こんなクライマックス、画業の究み。高みに至る人生の軌跡に感動しました。
by wavesll | 2017-10-29 07:19 | 展覧会 | Trackback | Comments(2)

太田記念美術館にて葛飾北斎≪冨嶽三十六景≫全46枚をみた

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表参道の太田記念美術館にて葛飾北斎 冨嶽三十六景 奇想のカラクリ展をみてきました。

冨嶽三十六景は実は36枚ではないことを御存じでしょうか?私は初めて知ったのですが、人気がありすぎて10枚追加し全46枚あるのです。そしてこの展覧会はその全作が展示されるというもの。

生で観る冨嶽三十六景は、浮世絵の実物に加え保存のため照明の光量も抑えているため、色味のヴィヴィッドさはそこまででもないのですが、実物大の浮世絵に顔を近づけてみると、その筆致というか摺致から線一本一本の迫力が伝わってきました。

本記事では、各景に一言コメントをつけていこうと想います。冨嶽三十六景はWikipedia Commonsで公開されていて各画にはそこからLinkを張りました。

46枚の順番はつくられた順ではなく、今回の展示の順番でコメしていきます。タイトルの”冨嶽三十六景”は省略しました。

≪凱風快晴≫:富士の赤が美しい。鰯雲のような雲の姿も雄壮さを湛えている。

≪相州梅澤左≫:ベロ藍(プルシアンブルー)の富士もさることながら、鶴が一羽一羽個性が伝わるような描写が素晴らしい。

≪常州牛堀≫:展示してあったものは藍と白の鮮やかなもので、船の勇美さが良かった。

≪山下白雨≫:北斎は富士山の特に山肌に非常に拘りをもって微細を描いているように感じた。右下の黄色の文様は雷だそう。そのデフォルメ具合も凄い。

≪甲州犬目峠≫:歩く人の大きさから景色の雄大さが伝わってくる。

≪五百らかん寺さゞゐどう≫:冨嶽三十六景には富士を眺める人々が良く描かれていて、これもその一つ。背中だけでも性格が顕れるような描写力が見事。

≪東海道吉田≫:このGIFでも有名な絵。茶屋に集まる人々の江戸時代らしいちゃきちゃきした感じが好き。

≪礫川雪ノ且≫:三十六景唯一の雪景色。しんとした雪景と、人物たちの華やいだ空気の対比が印象的。

≪東海道程ヶ谷≫:左端の人物の立ち姿、好きだ。

≪御厩川岸より両國橋夕陽見≫:水のもにょもにょした感覚が見事。

≪隅田川関屋の里≫:地を這う霧の造詣がスピード感を増す効果が。

≪ 神奈川沖浪裏≫:やはり凄い。白波はつづらのようにも見え、”そうかこれは富士の氷雪に呼応しているのか”と。

≪駿州江㞍≫:紙が吹き飛ばされることで目に見えない風が実体として描かれた逸品。

≪武陽佃嶌≫:様々な形の舟達が快く配置されている。

≪ 甲州伊沢暁≫:薄桃の射す朝景。みじたくしている人々の姿がまたいい。

≪甲州三坂水面≫:冨嶽三十六景はもちろん実在の場所を主題としているのだけれども、北斎はそこにモキュメンタリー的な手法と言うか、画としての面白さを求めて脚色を施したものも数多く在り、影が点対称に映るこの絵もそんな一枚。

≪遠江山中≫:本来あり得ない上と下から同時に鋸が挽かれる様を描いた作品。

≪東海道品川御殿山ノ不二≫:本来この方向から眺めると富士山はみえないが、そこは巧いフィクションとして描いている。

≪甲州三嶌越≫:真ん中の碧の巨木が大変に魅力的で、この巨木は他の処にあった矢立の杉を山深さを顕わすためにここに挿入したらしい。

≪青山圎??枩≫:無論東京からではこんなに大きく富士山はみえないが、ここではダイナミックに誇張されている。

≪隠田の水車≫:今の渋谷川の水車。水は本当は上には回らないが、ここでは絵の面白さのためにこうした演出が為されている。

≪ 尾州不二見原≫:円のリズムが非常に快い。

≪深川万年橋下≫:「冨嶽」なのに富士山がこんなにも小っちゃく、富士をみつける楽しみがあるともいえる。傘を深くかぶった釣人が格好いい。

≪登戶浦≫:鳥居が連なって海から立つ感じ、江川海岸の海中電柱っぽさある。

≪上總ノ海路≫:生で観るとグラデーションの美しさに吉田博に繋がるものを感じた。

≪本所立川≫:材木馬の縦の線の景観が美しい。

≪身延川裏不二≫:46枚目に描かれた一枚。富士は山嶺群の中に。

≪江戶日本橋≫:記念すべき冨嶽三十六景の一枚目。日本橋の雑踏ではなく、江戸城の遠景が描かれているのが興味深い。

≪江都駿河町三井見世略圖≫:三十六景の2枚目。これも三越の賑わいでなく屋根の人物たちや凧にフォーカスされているのが面白い。

≪東都浅艸本願寺≫:屋根がでかい。そしてまた凧。北斎、凧好きかも。

≪東都駿䑓≫:丘の緑の彩色、松から富士山に抜ける空円が美しい。

≪従千住花街眺望ノ不二≫:吉原の風景も北斎の目線だとこう切り取られる。

≪相州七里濵≫:湘南・七里ガ浜を江の島抜きで画くとは北斎もなかなかに狙うなぁw

≪下目黒≫:北斎は冨嶽三十六景で、有名な場所だけでなく通常取り上げられないような場所も描いている。これもそんな一枚。

≪武州千住≫:堰枠がアクセントになっていい感じ。また人体描写が素晴らしい。

≪相州仲原≫:なんでもないスナップショットのようで、きちりといい演技が人物に施されているのが見事。

≪駿州片倉茶園ノ不二≫:茶畑が描かれた逸品。また冨嶽三十六景に出てくる馬は愛らしさがある感じがいいなぁ。△とOのリズムが気持ちいい。

≪駿州大野新田≫:牛たちが逞しくも可愛らしい。

≪武州玉川≫:川の水面の線描の美しさと青と白のグラデーションが素晴らしい。

≪相州江の嶌≫:定番の観光ポストカードのようなデザイン。

≪相州箱根湖水≫:シンプルにデザインされた芦ノ湖の風景に山岩の斑点が面白い効果を生んでいる。

≪ 東海道江尻田子の浦略啚≫:36枚目の冨嶽三十六景。海の図像画線が真に綺麗。

≪東海道金谷ノ不二≫:そしてこれが37枚目。これは本当に凄い画!海波のデザイン性、そして波のリズムは丘にも伝わって。この絵をしれて良かった!

≪甲州石班澤≫:これもまた凄い。とてつもないスケール感があるのは漁師の”孤”が描かれているからかもしれない。

≪信州諏訪湖≫:描かれた時代にはもう失われていた幻の水城の風景を文書記録から蘇られた逸品。

≪諸人登山≫:実は冨嶽三十六景でこうした富士山の近景はこの一枚だけ。富士に登る人たちの勢いと風情が偲ばれる。

そしてこの展覧会では北斎以外にも、娘の葛飾応為の柔らかい夜の光が美しい≪吉原格子先之図≫や雅な≪源氏物語図≫、女性の身の施し方のマニュアル本に応為が挿絵を入れた≪女重宝図≫や歌川広重などが三十六景と同じ場所を描いている作品群、そして北斎が三十六景を描くときに参考にしたという河村岷雪≪百富士≫等も展示してありました。
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三十六景以外で特に身を見張ったのが北斎が三十六景を描き上げた後に描いた≪富嶽百景≫。白黒で画かれた富嶽百景の冊子が見開かれていたのですが、≪海上の富士≫という作品など、波濤から鳥達が生成され飛んでいく美事な奇想が描かれていて、”Great Wave”の先にまた進化した浪がありました。

北斎の絵の上手さ、取り分け人物の人格が顕れるようなカラダの描き方が抜群で。引き締まってきびきびした職人たち。ホクホクして楽しそうな町人。旅慣れた渡世人など、本当に上手い。

そして富士山。静岡の方に行くと、富士山が本当に良く見え、山に抱かれているような畏敬を富士に想います。江戸の都も富士山に抱かれていたのだなぁと。

そして最後に拙写真を。太田記念美術館から帰る夕闇の代々木公園からみえた富士山の影です。現代も富士の山は東京を抱いているのだと沁みました。

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by wavesll | 2017-10-27 22:29 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)