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Fuji Rock Festival 2018 JULY 29 SUNに行ってきた!

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行ってきました!初フジロック!楽しかったー!

RSRとか行ってたくせに何か今まで苗場が自分の中でハードル高くて行かなかったのですが新幹線込みで片道7千円で横浜から行けると知って”来年から行けなくなるかもしれないし、行くか!”と肚決めて行ったのでした。

今回台風の影響が与那国に続いてあって天候は不安だったのですが越後湯沢に着くと晴天!こりゃいいぜ!
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と、ここで誤算だったのがシャトルバスの列に並ぶと乗るまで小一時間かかったこと。まぁフジへ向かうきらきらした人たちを眺めるのもまた愉し。

さらにフジロック渋滞もあったのか越後湯沢から苗場までも小一時間かかって。みたいと思っていた鼓童のライヴはじまっちゃってるじゃないか。

ただバスの中で清志郎の「いな~かへ行こ~う」が流れたりして超気持ちあがって!そしてテント群とプリンスホテルがみえて「苗場だ!」と!
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そして到着!ただし!あ、雨が!大雨じゃないか!Webでチェックすると苗場は昨夜も相当な風雨でテントが飛ばされた人も多かったとか。ま、まじか。

いきなり山の洗礼。雨用に速乾性重視で着てきたサッカーユニフォームと登山用のズボンの上から夜間の寒さ対策のためにもってきたライトダウンを羽織る。逆にもうバチクソに愉しむしかないw!
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”ここがあのグリーンステージか”と。鼓童の終わり20分弱に間に合って!

鼓童、めっっっちゃかっこいい!ROCKS!!!!!!なんかクラブ音楽みたいな感覚の音の時にモッシュピットへ近づいて、そして大太鼓のツイン叩き、さらに群太鼓!最高!トラディショナル・ビート・ミュージックはもう大好物で。大雨の洗礼もふっとぶ歓び、そして気が付けば雨は去っていました。
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鼓童後、フィールドオブヘヴンへ向かう途中でみた川、おお、これがかのところ天国か!まさにフジの景色ってこれだよなー!来たなーフジロックへ!
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フィールドオブヘヴンではWestern Caravanが演奏。フィドルとかが入った抜けのいい音像が本当にご機嫌で。こういう音聴けるのは嬉しいなー。
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雨が降り出して彼らが「Rain, Rain」と歌う中食べたラムチョップ、小さいけど美味かった!
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グリーンからヘヴンが大体20分強くらい歩いてかかって。ヘヴンの隣のジプシーアバロンではみんな大好きケロポンズが。子連れのファミリーたちが楽しんでました。キッズランドもあるし、フジロックは親子連れで楽しめるフェスなんだなと。ヘッドフォン型のイヤーマフで爆音対策してた子供たちもケロポンズを楽しんでるようでした。
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と、“まだゴリゴリのロックを聴いてねぇ”と想ってた際にホワイトから聴こえてきたギターの音、ベンジーのバンド、THE INTERCHANGE KILLSだ!このバンドベンジーのVoもいい感じですげーいいんだよなー!と馳せ参じて。

まずホワイトステージの音がすっごい良い!ギターの音最高!やっばい!そして”まだこの先長いし体力保っとかないと”何かぶっ飛ばす楽曲達。パイナップルサンド、デリンジャーといったブランキー曲も好いし今の曲もいいソニックで!

気が付けばモッシュピットで體をぶつけていて。ラストはスカンクからのデビル!果てた!
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そこからグリーンステージに移動するともうSuchmosは終わっていて。VOLT-AGEは好きだから聴きたくもあったけどベンジーのバンドが好過ぎたから仕方ないw

そこからレッドマーキーでHINDSをみようとするも大雨でみんな雨宿りしてて中に入れず。しょうがないとオアシスで海老油そばを食べながら、かわいいVoを聴いて。全然並んでなかったけどそこそこ美味かった。風邪ひかないように大蒜めっちゃいれて。
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オアシスエリアという飲食エリアには地酒の屋台もあって。酒好きとしては惹かれざるを得ないwこのうまい助というのが本当に美味しくて◎ラジオのブースで日高さんがいて“おぉ!”と想いながらグリーンへ。次のActはAnderson Paak!!!!
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PAAKはもうね、最高で!こんなにも楽しいのか!なんというかもっと洒落た音像のイメージだったけれど、ガンガンにブチ上げるステージング、サークルも巻き起こすし、そしてドラムをたたき始めるとまた超ハジけて!こんな凄いドラムプレイしながら歌っちゃうの!?という衝撃!

そこから最後は洒落た抒情性まで持ってったり、もうほんとにハッピーな、ラヴ!身体性のマジックというか、エレクトロニクスと人力のシームレスな音づくりの今の最前線感、音のハートへ迫るラヴがありました!
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PAAKの興奮も冷めやらぬまま、再びホワイトへ。御目当てはKALI UCHIS. ここ数年ラテンな音がPOPの先端にあると感じていたのですが、渋谷タワレコで試聴した時に”この音は確かにいいね”と想ったアーティストで。出演発表された時は凄い騰がったのでした。
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で、みにきたら超弩セクシーな格好に度胆を抜かれてw

で、ちょっと音としての刺激が思ったより少なくて”やっぱりジャック・ジョンソンも気になる”と徐々に後ろへ下がっていったのですが、ステージ後半になるにつれ音楽がどんどん良くなっていって。安西先生ではないですが交代ができず、最後までみてしまいましたw

そこからグリーンへ。10分も移動にかからずジャックジョンソンもみれて。気持ちえかった。ロケーションといいこのピースフルさ、ええ◎
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再びオアシスで五平餅とコシヒカリビール、Yummy Yummy★
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そして”何にも事前知識仕入れてないミュージシャンも聴いてみたい”と想ってチラ見しようとふらっと行ったserpentwithfeetが衝撃で。槍で心臓を射抜かれるような衝撃。

エレクトロニクスとシンセで歌うSSWなのですが、クィア的感性なのかな、本当に切実な心持が刺してくるというか、聴きながら”今日はこれからボブディランみるけど、今日という日を『ディランを観た日』でなく『serpentwithfeetに出逢った日』として記憶するかもしれない”と想ったほどでした。これから音源もcheckしていきたいです。
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そして、愈々、ディラン…!
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ディラン、格好良さの究み。

今はアレンジが凄くて聴いてもどの曲かほぼ分からないと聴いて楽しめるか不安だったけど、ピアノが入るロックは賑やかだったりふくよかになるのがこのバンドは何てタイトでソリッドな音か!音だけで御馳走。

そしてブルースハープ!『アイデンティティ』の『プヒー』じゃないか!ラスト『風に吹かれて』の吹き抜けるヴァイオリンと力強い言い切り。この体験は家宝。
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掴めそうで掴めずしかし人生の果てを刻むような印象を残した風のようなライヴでした。しばらく何も耳にいれたくないけどフジロック会場ではそれは無理で、ダーティープロジェクターズ聴きながらオアシスで食べたプリンスカレーは”これなら松屋の方が美味いかも”レベルに感じて。

ただ、その後レッドに無理くり入って聴いたダープロには心が温められて。今までダープロをちゃんと聞いてこなかったのだけれど、男女混合で電子と器楽の混交の多人数バンドは現在の解だなと、すっごく好みの音像でした。
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そこからグリーンへ行く途中から聴こえた『Here Comes The Sun』の演奏。ヴァンパイア・ウィークエンド!VWも男女混合多人数編成で、すっごい多幸感のある音!

もうね、文化系少年の夢のバンドと言うか、優男な曲から、攻撃的な音像、そしてA-Punkをはじめとする最高なスマッシュヒット群。なんとHAIMのダニエルがスペシャルゲストで登場して。最高にハッピーな音で、気が付けば夜空には丸い月が。なんて幸せな夜だろうか。

そしてVWのライヴ中にポカリのブースで大学時代の先輩にばったりwまじでこういうことあるんだなーw「活躍はかねがね拝見しております」と挨拶。あの世代の方々はレジェンドクラスで。

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そこから今回苗場で20周年で且つグラストンバリーが休みの年だから実現したアンフェア・グラウンドというステージへ向かう途中に聴いたCHVRCHESのローレンの透き通った声が夜光景と相まって最高でした。
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アンフェア・グランドでクラブの箱の雰囲気を楽しんだ後、ボードウォークのミラーボールを撮ったところでスマホの電源が終了。充電池持ってくればよかったかなと思いながらCHVRCHESのEDMに近いくらいにビートの効いた音を木道から聴いて。そしてカメラとか気にしなくなったここからがフジのさらなるディープな領域への開始となったのでした。
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グリーンへ行くとTOKIKOが愛の賛歌を歌っていましたがそこを華麗にスルーしオアシスの地酒屋で秘密の上善を飲んでレッドのCHAIへ!

CHAIのライヴ、めっちゃ良かった!これはみれて良かったなと想うノリのガンガンさ。やっぱ勢いと愛嬌がある若手バンドは最高。NEOカワイイ彼女たちはまるで中国の陶器に描かれる天女たちのように映りました。最高にノリのいいガールたちだった★

で、外に出ると「フィジカル、フィジカル♪」の音が。”お!まだスパンクハッピーのライヴ続いているのか!?”とGAN-BAN SQUAREに観に行くと菊池成孔とODが踊っててwそしてceroの高城さんを交えたトークが聴けたのも夜電波リスナーとしては良かったw更に地酒屋でラストの泰然も飲んで。

そこから”噂に聴くパレスもみたい”とMAPをみると場外なのか。で、行ってみるとルーキー・ア・ゴーゴーとかもあるエリアで。クリスタルパレスの小屋の中に入ると、コロンビアから来たFRENTE CUMBIEROが最高に最高な最高の音をやっていて!弦もドラムもホーンもどいつもこいつも達人!後から考えると名前からしてあれが本場のクンビアかと!これ、ほんともうお客さんも月曜の午前に突入してるから最高に踊れる人ばかりで心の底から音楽への愛が湧きいずって。深夜のベストアクトは彼らでした!

そして登場したのが我らがレペゼンTOKYO MOON松浦俊夫!十数年ぶりの出演らしく「東~マツーラートシオー」と行事の声から始まるPLAYは相変わらず最高で。

しばらく踊った後、パレスオブワンダーの外でやっていたMARTINEZ FAMILY WITH JOSSELIOのサーカスをみつつ場内のレッドへ戻り、CHIP TANAKAをみて。ファミコンの音を使ったテクノが興味深かった。何しろ本業というのがスバラシかった。

と、ここでやっぱり松浦さんの音でも踊りたいし、キューバのバンドも気になるとパレスへ。松浦さんの終盤のジャキジャキのサウンドに騰がって騰がって!

そしてCUBANA FIESTAも素晴らしくて。自分たちをINTERACTIVOと紹介していたから同じバンドメンバーでの別名義なのかな?やっぱり中南米の音はほんと愛が、愛があって。踊りあかしました。リーダーは「ボブ・ディランをみるのは夢だった」と言っていて。ライヴ後、シンガーに「Muy Bien」「Me Gusta Tus Musica」と声をかけ握手し、DJを聴きながらパレスを後にし帰りのシャトルバスの列に並びました。

11:40くらいから28:20位までこのようにほぼほぼ遊び倒してwこれは一人でないと無理なスケジューリングかもしれないw

初フジで感じたのは演者との近さ。全体的にモッシュピットへ行きやすいんですよね。大学生が参加するにはテスト期間で厳しく、チケットも2万だし色々とハードルが高く、さらに椅子で後方でみるヒトが多いのも要因でがっつく人率が低いから逆に観ようと想ったらかなり近くで観れるのは嬉しかった。

さらに音が好い!山の中で夜でもデカい音出せるのは地元との信頼関係のなせる技、音質がまた好くて!音の質が違ったらディランもまったく違った体験になっただろうし、本当にいいフェスだなぁと大好きになりました。

今回からYoutube配信も始まって。TUNE-YARDSとかエレカシとかyears and yearsとかイースタンとかSuper OrganismとかFishboneが良かったなぁ。自分が行った日はGreensky bluegrassが物凄い良かったらしく、「また来る」といったのを期待したり◎まだまだフジロックは深い未知があるなと。Day dreamingとかも気になるし◎またいつか行きたい!最高の夏の日となりました★★★★★★★

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by wavesll | 2018-07-31 23:38 | Sound Gem | Comments(0)

ボルダリング触発想念徒然

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初めてボルダリングをやりました。傾斜がつくと難易度ガチ上がり。何気に開始の石での姿勢維持が難しい。アトラクションでなく継続して向上していく活動といった感じ。夏のプール以外のスポーツ・レクリエーションをみつけられ大収穫。他人を気にせずに勝手に鍛練できる個人競技なのが性にあってて。で、今日は筋肉痛でしたw握力の消耗も半端ないw

此処の処「プレイヤー」と「鑑賞者」のことを考えていて。スポーツをやるというのはまさにプレイヤーになることですね。

運動やってる輩の輩振りには辟易させられることがしばしばあるのですが、自分で運動やると“そうか、自分が主体なのと肉体疲労+脳内物質分泌で自分の目的以外の事がどうでも良くなるのかもしれん”と。仕事で精神疲労すると重い作品とかより軽いポップを求めたりしますが、他者に構う気持ちが薄くなると共に自己肯定感が増進するのだなと。

文化系にしても自分で創作している人は己に関するところのみを集中しているというか、鑑賞・批評的な人の方が“社会的正しさ”とかに拘泥する印象があって。「挑戦している人には批判する時間はないし、批判している人には挑戦する時間はない」というのはある程度当たっているところもあるなぁと。

私自身はヲタな側の人間なので、双方の感覚を知るとどうにもどっちつかずな蝙蝠な心持ちになります。

最近Instagramにアカウントだけつくって漠然と眺めているのですが、あの空間もプレイヤー的と言うか、顔出してガンガン陽るく第一運動している人が多くて、相対的にTwitterの場ってネガティヴさとかポリコレ棍棒な空気が溜まっているなと想ったり。

“何てセンスが粗いんだ”と言う側に身を浸せば、対岸は“何故そんなにセンシティヴなのだ”となって。そして「双方を知ればいい」とつい言いそうになりますが、総花的にリソースを分割すると一点に突き抜ける者には勝てないというのも人生で学んだことで、ポートフォリオを雑に薦められる立場にはないのも現状です。どの念能力を伸ばすのもストラテジーで。

ただ、日本ではあまりにも社会的な論議の情報が薄く、そうした言論の流布・討議の場としてTwitterは機能していたりするなとは想ったりします。例えば「鰻を食べることは現状問題がある」みたいな話はTwitterだと大勢を占める意見となっていますが、TVのみを視聴してそうな人には「そもそも問題自体ないでしょ、しゃらくさい」と一笑に付されることもしばしば。問題を意識した上で露悪的になるとか以前な状況で。

ドイツ人が「日本人はそんなに仕事をして家族と過ごしたり社会のことを考える時間はあるのかい」と言ったというような噺がありますが、日本の場合は労働の強度が高すぎる故に社会的な意識が削られているというか。なんでも“我慢”も有限資産なのだそうです。物理的でないものでも“減るものじゃなし”ではなく、減るのだそう。ヤポネシアの人は色々我慢しすぎて自制心が壊れてた結果、痴漢もするし鰻も食べるし差別上等になってるのかもしれません。南米とかで”これでも社会が回るのか”というカルチャーショックを浴びるのも一手かもしれませんね。

そうした意味で、TwitterやらSNSをやれている層はある程度の余裕が生活に在る層なのかもしれません。日本のハードな労道社会状況だとWebでアウトプットするのもリスクもあるし、子どもがいたりしたらそれこそ眼前の状況に注力しないと回らないし。

古い友と会った際「まだブログやってんのw?」と言われることがあります。彼等は仕事で自己実現度合いが高いのかもしれないし、私は子どももいなく暇というのもあるのでしょう。誰に需要があるか謎に読書感想文を自主的にあげる始末w ただ下手だとしても、好きなのだなぁと。R.バックにとっての飛行機のような愛するコトとしてWebに文章を綴る生活習慣があるのだなと想います。ここら辺は”なんでそんなWebを大事に思うのw?”とか理解されづらい處ではありますが。

自分自身がWebに文章をボトルメールのように投げるのは、感覚が刺さってくれる受容体のある人がフェイス2フェイスでは見付けづらかったのもあるかもしれません。オタクは人間とでなく話題と会話しているなんて揶揄もありますがやっぱり内容のあるコミュニケーションが好きで。またこうして勝手に音楽や本の感想をUpしている人間ですが、学生時代は読書感想文などは嫌いで。今でも他者の評価に曝される文を書く時は強張ってしまいますが、センスの合わない教師の評価を受けるために文を書くのも本を読むのも無価値に想え、渋々芥川の『鼻』とか『蜘蛛の糸』とか極薄の奴で書いたものでした。

昔は「俺の文章全然反応が返ってこない」なんて懊悩がありました。ただこのBlogも十年を超え、過去の自分の文章が他者の文章のような距離感で読めるようになると己の文章の問題点がみえてきて。端的に言って一人よがり。基本情報が足りえていないので分かっている人しか分からず、そして分かっている人にはクオリティの掘り下げが物足りない半端な代物であるということ。未だにこの課題が私の文章では解消されていないなぁと。インスタントな文章より推敲を積み重ねて長く読まれる記事に仕上げるのも一策なのかもしれないと想ったりしています。

と、こんな感じでつらつら想念が湧き出でたのでした。最近はすっかり付き合いが悪い人間になっていたのですが、誘いに応じて自分の土俵から出て新体験をし身体と脳が活性化したのか、旅の夜のような異化体験が起きて。縁を大事にするという意味だけでなく、他者の企画に乗るのは世界次元を拡げてくれるなぁと。

行きたいライヴや展覧会、旅が多過ぎて“自分は他者の声を聴くのは好きだし尊重してる”と思っていても、それは”自分が大きな関心を寄せる対象”に限られていたのかもと。身近な人からは“あいつは好きなものは好きだけど大好きじゃないものは一顧だにしない”とか思われてたりする恐れもあるかもと。

下手にWebでヴォランタリーに情報発信していると、ついつい「面白い噺をなるだけこちらに負荷かけずにFreeに発信して呉れよ」とか思ってしまい、こりゃブラック企業な発想だなと(苦笑 Tweetで発信してくれるサービス精神ある人ばかりでもないし、顔を突き合わせないとアイスブレイクしない、或いは適切な会話のキャッチボールからでないと噺が零れない人の方が多いですものね。

昔は文章を読まれても何の反応もないことに「搾取されてる」みたいな頓珍漢な怒りを覚えたこともありましたが、相手の時間と気力をコストとして払わせてしまっていたよなぁと今は想います。みなそれぞれ辛苦了しながらやってるのだと。頼まれてもいないのにネタを披露しておいて「ネタつくる苦労も分かってくれよ」はお門違いな主張ですね。その上で個人的な我儘でTwitterのフォローはなるだけネタを発信してくれている方に限ったり、できるだけちゃんと読みたい故にフォロー数を絞ったりさせて頂いて。ROMの人がなるだけ視界に入らないようにしています。尊厳をダンピングしないのは肝要で。

他者発の企画に乗るというJUMPもそうですし、ヒトの文章を読むこともそうですが、自分にない領域を始めるにはMPの消費があって。そしてボルダリングなんかはHPの消費もある。スピード、己のスピードでやれることが最もrelaxできることで、B'zの稲葉さんでなくても自分のスピードでやれないとすぐに潰れてしまうものだなぁと。

そして自分のスピードを大事にするように他者のスピードも大事にしたい。ビジネスでなくプライベートはせめてそうしたい。そうした時に、非同期なコミュニケーションとしてのWebの在り様はまだまだ究めるValueがあるなぁと想った處でした。

by wavesll | 2018-07-27 03:33 | 私信 | Comments(0)

堀辰雄『風立ちぬ』 綺麗で甘いだけでない現実のえぐみが描かれた純愛小説

夏はプールなんかも好いですが、何か本を読みたくなるもので。

家の中で積読というか、買ったはいいが読まずに放置していた本を物色していたら堀辰雄の『風立ちぬ』がありました。”おそらく宮崎駿のアニメが公開されたときに買ったのだろうな、よし、薄いしこれ読むか”と手に取り、そして惹き込まれ、読み切りました。

舞台は1930年代前半。主人公は(おそらく)そこそこ資産のある家の息子。あの時代は高等遊民なんて言葉もありましたね。彼がある夏の日に病弱な令嬢、節子と出会い、そしてサナトリウムにて死の影を感じながら二人、生を幸福に生きようと愛の罅をもがく様が描かれて。

こう書くと”『セカチュウ』みたいな未熟な者同士の『純愛モノ』かよ”と想ってしまうのですが、この本は堀辰雄自身の経験が反映されているらしく、小説家の目は現実の苦さもありありと映し出します。

例えば主人公が小説の途中から節子さんのことを指す主語が「病人は~」となります。そして偶に「節子は~」となる。いかに相手を愛していたとしても、病人と暮らすときに差し込い涌かざるを得ない昏い想い、相手のイメージが「病人」とラベリングされてしまう悲劇が冷徹に画き出されます。

一方で主人公の方も言ってみたらプー太郎ですから、サナトリウムに付き合うという名目はあるけれども、どうにもモラトリアムに浸かっているひ弱さがあって。そして彼は節子さんに「我が仕事として此の日々を小説としたいがいいか」と持ち掛けOKを得るのですが”こうした私小説は現代においては様々な問題からリリースされずらいだろうな、さしずめアラーキーのようなことになるだろう”なんて思いながら読んでいました。

そして小説家は”この悲劇を小説のネタとして捉え、形よくまとめようとする傲慢さ”も書くのです。その指摘は半ば弾劾。厳しい視線が己の姿勢に向けられたのは痛みをもネタにしようという小説家の業への罪悪感からでしょう。

力のない自分へのコンプレックスの結露か、節子さんが彼女の御父上の訪問に対して非常に喜ぶことに主人公は敏感に反応します。彼女との彼の日々は、社会から隔絶された八ヶ岳山麓のサナトリウムで、あまりに微に細に入った心模様となって、しかしそれゆえに非常なリアリズムを以て立ち現れていました。

と此処まで読んで”古典とは言え、ネタバラシが酷いのではないだろうか”と眉をひそめた方もいらっしゃるかもしれません。ただ私はこの小説の本質的な魅力はプロットの骨組みにあるというよりも描写の筆力、殊に風景描写の筆致にあると想うのです。

移り変わる季節の中で、主人公と節子の心理状態、さらには生命の燈火がどうなっているかが彼らがみる風景の中に顕わされて。直接的な表現でなく、映像的、あるいはトーンによる詩情で物語が展開されるのが感心されます。

最初の方は”元祖スウィーツ小説か”とあっさり読んでいたのが、最後は重く胸が締め付けられて。主人公と節子は確かに未熟で、力がなかった。けれど、そこには生きることで二人倖せを求めよう、二人の生活を歩もうとした純粋で甘いだけではない、けれど確実に存在した彼らの軌跡があった。そう読めました。

by wavesll | 2018-07-25 05:06 | 書評 | Comments(0)

高田みどり・バシェ音響彫刻コンサートat川崎市岡本太郎美術館 開拓かれゆく一音一音

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高田みどりさんによるバシェ音響彫刻(勝原フォーン)の演奏を川崎市岡本太郎美術館にて聴きました。

蓮の葉による建築のようなバシェ音響彫刻。今回何故このArt楽器のライヴが岡本太郎美術館で開かれたかというと、バシェ音響彫刻が大阪万博で披露されたからだそうです。

ライヴの始まりは、抜き足で高田さんが登場してきたかと想うと素手で葉を撫でて。そこから素手で叩いたり、弓で弾いたり、撥で叩いたり。スピーカーとなる蓮の葉の他、弦も張られていて指で弾いたり弦を叩いたり擦ったり、様々なアプローチから音が発せられて。

とてもストイックな音。建造物のようなバシェ音響彫刻から海鳴りや象の嘶きのような音。実験ジャズや物音系フィーレコのような音像でした。

音楽演奏もどこか神に捧げる儀式というか舞踏的要素も孕んで。鳴らすところを寸止めにしたり、手を押し付けたり。そして最後一番高いところに在る葉を見上げ、”叩くのかな?”と想像させた上で、最後までそれを鳴らさずにコンサートは一旦終了。

その後同窓だというバシェ音響彫刻のプロジェクトの方と共にトークの後、二人で演奏して。そしてコンサートは幕を下ろしました。

高田さんは今回初めてバシェ音響彫刻を演奏されたそうです。この楽器は武満徹なんかも楽曲を書き卸しているそうですが、未だにフロンティアが拡がる莫邪。

楽器演奏における最適解どころか定型すらまだ明確に決められていないからこそのエクスペリメンタルな冒険が新楽器にはあります。そんなExplorerの姿が心に残るコンサートとなりました。

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また岡本太郎美術館の展示自体も好かったです。今行われている企画展は太郎のパブリックアートの展示で、彼の画はFRP等を使ってパブリックアートとなることでさらに魅力が増大しますね。

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≪若い太陽の塔≫
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≪日の壁(レプリカ)≫
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≪駆ける≫
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≪花ひらく≫
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≪遊ぶ≫
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≪太陽の神話≫
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≪群像≫
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≪若い夢≫
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≪縄文人≫
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≪万国博覧会 基幹施設の鍵≫
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≪河童像≫
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≪見つめあう愛≫
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≪眼と眼 コミュニケーション ≫
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≪喜び≫
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≪あしあと広場≫
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≪天に舞う≫
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≪未来を拓く≫
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≪躍進≫
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≪いこい / 太陽と月 / 風 / めざめ / 赤≫
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≪太陽の塔 ≫
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≪生命の樹 生物配置図≫
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≪生命の樹≫
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≪太陽の鐘(模型)≫
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≪子どもの樹≫
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≪明日の神話≫
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≪樹霊I≫
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≪母の塔≫
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by wavesll | 2018-07-23 04:19 | Sound Gem | Comments(0)

太田記念美術館 江戸の悪 PartII に石川五右衛門の釜茹でを眺めにいったらヴィランの冷気にあてられた

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"暑い時には熱いものを"と想い、石川五右衛門の釜茹での浮世絵を表参道の太田記念美術館で開催されている江戸の悪 PartII にみにいきました。

そのお目当ての歌川国芳 ≪『木下曽我恵砂路』≫が初っ端に。これは舞台を画いた作品らしく、舞台上でこれをやってしまうとはとんでもない演出だなと。歌舞伎って浮世絵の実体化版だなと惚れ惚れしますね。

そして本展覧会でも白眉の一つ、豊原国周≪神力谷五郎豪傑期最図≫
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この威容。いかにも無頼な龍の文様と眼光。たまらない。この絵は天保水滸伝に着想を得たもので、同じく天保水滸伝から歌川国定(三代豊国)≪近世水滸伝 競力富五郎 中村芝翫≫≪近世水滸伝 夏目子僧新助 岩井粂三郎≫も龍虎相見える藍の深さが非常に格好良いものでした。

この展覧会は様々な観点から”悪人”を顕わすもので、最初は盗賊などの犯罪人たち。歌川広重≪青野ヶ原ニ熊坂手下ヲ集ム≫ はいかにもな盗賊たちの顔、顔。月岡芳年≪芳年武者无類 源牛若丸 熊坂長範≫の貴公子牛若の空中戦。

五右衛門の作品は他にも無款≪『楼門五三桐』≫や歌川国貞(三代豊国)≪東海道五拾三次之内 京 石川五右衛門 東海道五十三次の内 京二 真柴久吉 ≫というような作品も。

浮世絵をみると”ほほう、日本史にはこんなキャラも登場するのか”と想うことも多くて。女装の盗賊を画いた歌川国貞(三代豊国)≪豊国漫画図絵 弁天小僧菊之介≫もその一人。中世・近世の印象的なシーンとしては月岡芳年≪英名二十八衆句 稲田九蔵新助≫の”あんこう斬り”の吊るし斬りの場面も大変に凄惨なものでした。

また著名人だと大岡越前をモチーフとした歌川国貞(三代豊国)≪ 『晴模様染衣更着』≫の水色の着物のぱりっとした感じや、当時の名優、市川小団次の訃報に寄せた豊原国周≪小仝三升五人俤≫のきわっとした目つきもスゴくて。歌川豊国≪斧定九郎 松本幸四郎≫もい~いツラしてましたw

悪の代表として侠客も取り上げられています。大阪の侠客達を画いた歌川豊国≪『仕入染雁金五紋』≫の威風。月岡芳年≪東錦浮世稿談 神田伯勇 幡随院長兵衛≫は湯殿で襲撃され血みどろになりながら鱈腹水を飲み干す様を描いたもの。

歌川豊国≪『助六由縁江戸桜』≫と歌川国貞(三代豊国)≪梨園侠客伝 髭のゐきう≫の髭の意休の白髪の格好良さ。

歌川国芳≪国芳もやう正札附現金男 野晒悟助≫以前観たのより発色が変わっていましたがやはり素晴らしかった。国芳の同じシリーズだと≪国芳もやう正札附現金男 梅の由兵衛≫も黄色赤青が鮮やかに反応していました。

歌川国貞(三代豊国)≪東海道五拾三次之内 赤阪 沢井又五郎 東海道五十三次の内 赤坂 沢井助平≫で画かれるアジアの獅子のようなぎょろっとした目つき助平さんは名前の通り遊郭を覗くのが趣味の人だとかw歌川国貞(三代豊国)≪『名高殿下茶店聚』≫も良かった。

月岡芳年と共に英名二十八衆句を画いた落合芳畿≪英名二十八衆句 邑井長庵≫は娘を遊郭に売り渡し父親が得た金を奪うために殺人を犯す医師を描いたもの。豊原国周≪雲上野三衣策前 河内山宗俊 市川団十郎≫もまた悪僧で。

歌川国貞≪『菅原伝授手習鑑』(車引)≫は隈取のかっこいい作品。ダース・シディアスだ◎異様な格好という点では歌川国貞(三代豊国)≪見立三光之内 日 平清盛≫の中国皇帝のような冠も凄かった。清盛を画いた絵だと月岡芳年≪平清盛炎焼病之図≫は病苦を閻魔などであらわした作品。ちょっと絵が一時期の江川達也が参考にしてたようなスタイル。

歌川豊宣≪新撰太閤記 此人にして此病あり≫ は信長が鉄扇で光秀をぶつところを描いた作品。歌川国芳≪『東山桜荘子』≫は蛇を纏う人物が格好いい作品。

そしてこの展覧会の白眉が月岡芳年≪新撰東錦絵 鬼神於松四郎三郎を害す図≫
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キルビルのように復讐を果たす”鬼神のお松”が遂に本懐を遂げるシーン。男の苦悶の表情とお松の冷徹な表情の対比が素晴らしく、水面も美しくて。これが一番好きな画でした。


豊原国周≪異種薔薇犯妻会 当ル卯の夏 高助 原田お絹≫、≪異種薔薇犯妻会 当ル卯の夏 半四郎 写真お若≫、≪艶色七人毒婦≫の毒婦たちがクリムゾン・レッドの背景に映えていました。

そして妖術使いの篇。歌川芳艶≪両賊深山妖術競之図≫と月岡芳年≪袴垂保輔鬼童丸術競図≫は怪盗袴垂保輔と鬼同丸(鬼童丸)が深山で妖術競べをする図。

楊洲周延≪東錦昼夜競 玉藻前≫は九尾の狐の正体を現す場面。変身シーンは昔から光線が出るんですねw 歌川国安≪『音菊高麗恋』≫では日本人にもインドに行った天竺徳兵衛という商人がいたのかと軽いサプライズがありました。

歌川国貞(三代豊国)≪『児雷也豪傑譚語』≫はガマガエルに乗った児雷也とナメクジに乗った綱手がまさにNARUTOの世界。歌川国貞≪豊国揮毫奇術競 須美津冠者義高≫はネズミの道士。

歌川国貞(三代豊国)≪『しらぬい譚』≫は蜘蛛の妖術を会得し戦う姫の画。歌川国貞(三代豊国)≪豊国揮毫奇術競 蒙雲国師≫は正体が蛟の妖術使い。歌川国貞≪『大和大和花山樵』 ≫もカッコよかった。

歌川国芳≪木曽街道六十九次之内 鵜沼 与右ェ門 女房累≫はレインボーな魂魄が印象的。歌川国貞(三代豊国)≪『東海道四谷怪談』≫は絵の中に折り返しがあって、障子の裏表にお岩と小平がみれるという仕掛け絵。豊原国周≪歌舞伎座 中満久 皿屋舗化粧姿鏡≫は逆さ傘でお菊の幽体を防ぐ画。

歌川国貞≪見立三十六歌撰之内 在原業平朝臣 清玄≫で清玄というストーカー坊主がいたことを今回初めて知って。ストーキングされていた桜姫を画いた月岡芳年≪新形三十六怪撰 清玄の霊 桜姫を慕ふの図 ≫も。確かに桜姫、可愛い。清玄は大分人気だったらしく、彼を女体化した女清玄を画いた歌川国貞≪『隅田川花御所染』≫なんて作品も。

その他、好いた男にまた会えるかもと放火の罪を犯した八百屋お七の事を歌川豊国≪『封文其名題』≫や処刑のシーンを画いた歌川国芳≪『恋模様振袖妹背』≫で知りました。

妖刀による凶行を画いた歌川国芳≪源氏雲浮世画合 鈴虫 福岡貢≫や同じく福岡を画いた月岡芳年≪英名二十八衆句 福岡貢≫のカッコよさ。

歌川国芳≪遇躬八芸 武蔵野秋月≫もワッルい面でよいよい。歌川国貞(三代豊国)≪梨園侠客伝 団七九郎兵衛 かわら崎権十郎≫も気合の入った刺青がいかす。歌川国芳≪鏗鏘手練鍛の名刃 佐野治郎左エ門 ≫の血飛沫もまた危険な格好良さ。

落合芳幾≪英名二十八衆句 げいしや美代吉≫、この人の描く血の滲みは情念が伝わる。歌川芳房≪清盛布引滝遊覧義平霊難波討図≫は雷となった悪源太義平の怨霊の図。悪にも色々な意味が日本にはあって、舞台上では歌川国貞(三代豊国)≪『三幅対戯場彩色』≫に描かれる善玉・悪玉みたいな役回りも。

盗賊、侠客、悪の権力者、毒婦、妖術使いetcetc...様々な”悪”の冷気にあてられた夏の夕となりました。

by wavesll | 2018-07-22 03:19 | 展覧会 | Comments(0)

ピクセル・ダビデ@キャットストリート

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by wavesll | 2018-07-21 20:19 | 街角 | Comments(0)

ベネディクト・アンダーソン『定本 想像の共同体』ーナショナリズムの産出、exクレオール世界の認知

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ベネディクト・アンダーソンによる『定本 想像の共同体』を読みました。

ナショナリズムを生む"国民意識"というImagined Communitiesが歴史上どのように生まれ得たか。氏はこの起源を近代において宗教共同体と王国というシステムが崩壊し、そこに前後して出版技術の革新による言語・フォークロアの元で欧州に於いて”国民意識”が生まれたとします。

そこから世界各地に国民意識、ナショナリズムは広がっていくのですが、本書を読んでいて面白いと感じたのは南米アメリカにおけるクレオールのナショナリズム勃興の話や東南アジアにおける植民地下での国民意識の創成が語られていたこと。いわゆる受験世界史だと南米や東南アジアの歴史はなかなか学ぶことが無かったので、新鮮に感じました。その点でアフリカにおけるナショナリズムの話も読んでみたかった気がします。

クレオール、つまり「植民地生まれ」という存在が如何に行政的な出世の巡礼が制限されていたか、それは即ち生まれによって人間が差別されるということで、現代においても人種差別や移民問題など、極めて重要な意味を持つ歴史的ファクトだと感じました。

王室による公定ナショナリズムと帝国主義、そして革命のモジュール化。数世紀に及ぶ全球的な論考を浴びることで自分自身も細石なスケールでなく巖のスケールに器が拡がるような感覚が生まれて。ここら辺の歴史絵巻は映画『山猫』におけるガリバルディと貴族の落日をみた気持ちにも通じるものがありました。

著者の縦横無尽な博覧強記ぶりには本当に感銘を受けて。例えば『ヴェトナム(越南)』という国名は当初『ナムヴェト(南越)』にしようとしていたところ中華から横やりが入って決まったものだとか、思わず”ほう…”と零れるような話が盛りだくさんで、その夥しい知見を編み上げる手腕にほれぼれとする書物でした。

スヴァールバル諸島のロングイェールビーンのような労働ビザなしで働けるフリーゾーンもある一方で、軽い處ではW杯などもそうだし、ここ数年のグローバル化へのバックラッシュもそうですが、今でも「国家」という意識は大きなプレゼンスを以て鮮烈に存在しています。されどそれは(歴史の中で強化されてきた)想像の存在であるという論考に目を瞠って。

本書で取り扱わなかった範囲としてアフリカの他中東もそうだと想います。本書をさらに拡充させるそれらの地域の研究もその後為されているのでしょう。日本に於いて海外の報道はただでさえ少なくて閉口ですが、普段注目されない土地へ光を当てる巖のような書籍へさらに手を伸ばしていきたい、掘り下げていきたい。そんな開拓心に駆られる読書となりました。

by wavesll | 2018-07-21 00:02 | 書評 | Comments(0)

Babadu - All I've Got To Give X 久米島 シークヮーサー搾りで暑気払い 第142回酒と小皿と音楽婚礼


八重山から横浜に帰ってきて思うのは沖縄よりこっちの方が遥かに暑いということw!特に与那国は風も強く、体感気温はかなり快かったなぁと。本州、暑すぎるw

そんな時は泡盛を愉しむのも一興。
今日はとびっきりのHAWAIIAN SOUL & AORのANTHEMと共に久米島の米島酒造でつくられるその名も「久米島」を飲んでいます。

久米島の泡盛というと「久米仙」が有名で、こちらはたった3人でつくられているため中々島外には出回らないのですが、島内ならばスーパーとかで普通に入手できます。

味はまろやかに濃くて、美味しい。今夜はシークヮーサーを搾って爽やかに飲んでみました。エレピやフルートから始まる流麗なVoの調べに泡盛。うだる暑気をいなす乙な夜となりました。

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by wavesll | 2018-07-20 19:58 | La Musique Mariage | Comments(0)

Viking clapping of Iceland fans X 花酒 与那国 与那国米仕込み60度 2007年蒸留 第141回酒と小皿と音楽婚礼



サッカーW杯ロシア大会の熱い一ヶ月が過ぎましたね。幸いW杯ロスにはならなかったのですが、今回のW杯は過去一番に見入った大会となりました。

試合がハイレベルなのは勿論、グループリーグのポルトガル対スペインのようなビッグネームのぶつかりだけでなく、ジャイアントキリングの面白さがあふるる、本当にみていてハラハラする凄い大会でした。我らが日本代表も台風の目となってくれました。

そんな中でアルゼンチンと互角以上の闘いをしたアイスランドもグループリーグの時に耀きを魅せてくれたチームでした。
そして、フィールドレコーディング好きとしては彼らのサポーターが行うヴァイキング・クラップという応援方法の、地鳴りのような拍手にとても心惹かれたのでした。

今ではアイスランドの代名詞ともなっているヴァイキングクラップ、元々は映画『300』の演出をスコットランドのマザーウェルFCのサポーターたちが取り入れ始まった等の諸説があるそうですが、2016年のEUROをきっかけにアイスランドサポがブレイクさせ、フランスやイラン、日本の日産マリノスサポなどにも広まったそうです。小机にフィーレコに行こうかなw

で、YoutubeでW杯の興奮を想い出しながらかけている時に、”そうだ、この音を聴きながらヴァイキングも飲まなかったような強い酒を飲むのも一興か”と封を開けたのが花酒 与那国 60度。
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日本でアルコール度数60度の酒をつくることが認められているのは与那国島のみ。それは、与那国島では埋葬された骨を浄めるために、花酒と呼ばれる酒が使われ、手向けとして呑まれてもいた歴史があったからとも言われています。

そしてこの一本は2007年蒸留の古酒(クース)。時を経るごとに角が取れて芳醇な味になっていくそう。確かに飲むとカーっとくるのですが、鮮烈な味の向こうに甘みがあるというか、上質なテキーラにも似た豊饒の世界が味わえます。

ただ、与那国島の方々は普段は30度の泡盛を水で割って飲まれているらしく、花酒なんかは舐めるものでテキーラのように飲むなんて蛮勇なことはしないそう。

ヴァイキングクラップという新しく形づくられた伝統に、古来から連綿と続く鮮烈な馨りを合わせて。心模様は旅の空のような冒険へ出かけることが出来ました。

by wavesll | 2018-07-18 00:19 | La Musique Mariage | Comments(0)

内藤正敏 異界出現展@東京都写真美術館


TOPで開かれていた内藤正敏氏の『異界出現』展の最終日に滑り込んで観ました。

与那国島という異界の中で過ごしたばかりで、日曜美術館アートシーンで気になってはいたけれど、正直満腹状態だよなと思いながら向かったこの展示。実際、普段の展覧会のようにがっつりみるというよりはさらっと流したのですが、強烈に突き刺さる写真があって。

それは山形・出羽三山の湯殿山麗にある南岳寺に祀られている鉄龍海上人の即身仏を写した写真。特にカラーで撮られたものが衣服の生々しさと、印相がはっきりと刻まれた指が鮮烈な印象を残して。

与那国島旅行で私は浦野墓地という子宮を模した伝統的な墓に大変に興味を惹かれたのですが、人様の墓地という点で写真を撮ることを避けて。即身仏という聖体を写真に収めるという行為に、被写体を撮ることへの覚悟や人々との関係構築の真摯を感じて。

その深みがあるからこそ、東北のイタコ等を撮った『婆バクハツ!』シリーズや出羽三山の≪心浄坊勝尊像 正善院≫や≪お沢仏 御後三宝荒神像 大日坊≫、≪お沢仏 波分不動明王 大日坊≫、≪能除太子 正善院≫等の仮面への深淵な洞察があるのだなと。

初期作品のポリマーの化学反応などを撮ったSF的な写真群も良かったし、『東京 都市の闇を幻視する』シリーズでは70年代から80年代の東京の夜の濃い匂いが伝わって。

今のようにFacebookで人物に勝手にタグ付けで特定されてしまったり、Webを通じて不用意に拡散してしまう時代ではない好い意味で匿名性の闇があった昭和時代の大都市がゆるした”あそび”も感じて。700円でさらっとみれたけれど印象を焼き付けた展覧会となりました。

by wavesll | 2018-07-17 00:54 | 展覧会 | Comments(0)