DIC川村記念美術館へ行ってきました!
DIC川村記念美術館は来年での閉館がアナウンスされていて、佐倉駅前からのシャトルバスは平日にも関わらず補助席も出るレベルでした。
京成佐倉駅から30分、JR佐倉駅から20分でミュージアムに到着するのですが、その道程は町を離れ、田園、そして山の中へ入っていく感じで、アートビオトープ那須の感覚を想い出しました。
そして美術館に着。DICというのは元々は大日本インキ化学工業という会社で、この美術館はDICの研究所の隣につくられたものでした。
フランク・ステラ《リュネヴィル》
清水九兵衛《朱甲面》
美術館前にも野外アートが。
建物も素敵で、エントランスの天井には紙で出来た花?のシャンデリアがあって。
そして展覧会をみに室内へ。
アンリ・ファンタン=ラトゥール《花瓶の花》から始まる展示はアンリ・ル・シダネル《薔薇と藤のある家》やカミーユ・ピサロ《麦藁を積んだ荷馬車、モンフーコー》やモネ《睡蓮》やルノワール《水浴する女》、ピエール・ボナール《化粧室の裸婦》、ジョルジュ・ブラック《マンドリン》やブランクーシ《眠れるミューズII》といった印象派から始まる押さえておきたい定番がきっちり揃っていて。
《肘掛椅子に座る女》の隣にあるパブロ・ピカソ《シルヴェット》には”
JUDEのあの曲はこんな娘を歌ったのかも”と想ったり。
藤田嗣治(レオナール・フジタ)《アンナ・ド・ノアイユの肖像》のホワイトバックに浮かぶ、まるで古代遺跡のような女性。画家は女性の美を最も見出せる優れた眼を持つ人々だなぁ
マルク・シャガール《ダヴィデ王の夢》の大きな暖かさ。マリー・ローランサン《ピクニック》もいいし、モーリス・ユトリロ《メクス村(ムルト=エ=モゼール県》の雪景色の村の美
そしてレンブラント・ファン・レイン《広つば帽を被った男》!レンブラントがあるとは感嘆!DICのコレクションはこの画から始まったそう
マックス・エルンスト《入る、出る》《石化せる森》も格好いいし、ルネ・マグリット《感傷的な対話》なんてシュルレアリスムも。さらにマン・レイの《だまし卵》みたいな作品やパウル・ヴンダーリヒ《座長》のような立体作品の魅力さ
ヴォルス《稜堡》やクルト・シュヴィッタース《無題(色のついた半月)》などの西川勝人展へのインタールードとしてのドイツのアーティストたちの作品をみて
そしてジャクソン・ポロック《緑、黒、黄褐色のコンポジション》!やっぱりポロックでしか味わえない迸りがある!まるでグレートウェイヴのような波濤を感じたり。一枚の画としてはこれが一番感動したなぁ!
その隣にあったサム・フランシス《無題》も綺麗だった。またサイ・トゥオンブリーの画と立体の《無題》もよくて
その奥の部屋にあるエルズワース・ケリー《ツルマメの葉 I (インゲンマメI)》と《モクサック》のシンプルの極致な綺麗な美!
そして…ロスコ・ルーム。《シーグラム壁画》として描かれた作品の内七点が赤暗い光量の中この間に掛けられていて。
その赤い画は時に錆びた鉄に、時に焦茶の皮に、樹板に、赤色偏位の銀河を航行する様な、マンハッタンヘンジのような夕陽や、朧にみえる□がビルに、門に、構造体そのものに。最初はまるで酒蔵のような密度のある空気を感じていたこの空間をゲシュタルト崩壊するほど揺蕩い、ああこの赤黒さは血液のようだ、ここは子宮?琉球墓?或いはガフの部屋?と。
ロスコルームを境により抽象的なアート空間へ。追悼 桑山忠明コレクションと追悼フランク・ステラ コレクションのメタルなオブジェ的な画に、西川勝人 静寂の響きの、例えばドローイングでの微かな天使の痕跡のような表現に、心の凹凸を顕すような立体作品、最後の間は自然光での作品鑑賞で、素晴らしかった。
花のステンドグラスを観た後でアートが点在する庭園を歩いて。
ヘンリー・ムーア《ブロンズの形態》
佐藤忠良《緑》
ジョエル・シャピロ《無題》のそばには鳥の親子が歩いてた
そして再びロスコルームへ。人波が一瞬途切れ、ただ一人の客として刹那の完全なる宇宙の至福を味わって
帰路
美しいトポスだったなぁ、DIC川村記念美術館。
この自然のなかにぽっつんとある感じが貴くて
作品水準の感覚としてはPOLA美術館に近いというか、小旅行先としての佐倉の魅力を紹介するとなれば、例えば面としての箱根エリアのように、成田線ですぐの成田山と組み合わせた観光コースなんかも紹介してもいいかも。このエリアで泊まって、DICとれきはくを週末にハシゴしてもいいし
横浜からも日帰りで行ける立地でもあるし、確かに遠さは感じるけれど、地域の遺産として存続して欲しいなぁ