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野村絵梨・髙橋瑞稀「流動的身体の旅」展@六本木GALLERY MoMo Projects

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髙橋瑞稀 ≪言語学習のための世界地図≫
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髙橋瑞稀 ≪流動的身体≫
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髙橋瑞稀 ≪A storage≫
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髙橋瑞稀 ≪First impression≫
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髙橋瑞稀 ≪學學≫
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野村絵梨 ≪Sober≫
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野村絵梨 ≪ふち≫
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野村絵梨 ≪ふち≫
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野村絵梨 ≪<うつし><うつる>≫
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野村絵梨 ≪素面≫
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六本木GALLERY MoMo Projectsにて2人展「流動的身体の旅」を観てきました。

髙橋瑞稀さんの作品は地形を認知的に切り取り・再生しながらアクリルを使って飛び地をつくったりする半立体。中国語・ドイツ語と共に学んでいるプログラミング言語学習から地理的な思念からのシンプルな方向性を見出だし、ラフにそして新領域を魅せてくれました。

野村絵梨さんの立体作品の技量にも感服して。連なる頭部の中に電灯のある部屋が成っているというのが凄かったです。絵画にしても編み込みがあったり新感覚な美しい伸身と感じました。

ラフな感覚はコミュニケーションの粒度を想像の余白をたっぷり取った上で伝えてくれます。半立体絵画の影がまた新しいモチーフの比喩を産む面白さとか少し想像の補助線というかきっかけが要るかもしれませんが、『境界線を越えて自分自身のエリアを成していく』強さを作品から感じました。

新領域を拓く面白みがあって。六本木へ行かれる方にオススメです。ぜひ影に注目したり、像をいろんな角度でみてみたり、探る面白さを味わってみてください◎会場は六本木ヒルズのそばのビルの2Fで、8/11(日)まで。
by wavesll | 2019-08-09 18:49 | 展覧会 | Comments(0)

ウィーン・モダン展@国立新美術館 前近代から近代への都市の変貌、革新の火花

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クリムト展@東京都美術館に続いて新美でのウィーン・モダン展をみてきました。

ウィーンという都市がいかに”近代”を生み出したか。その旅の始まりはヨハン・アダム・デルセンバッハ≪ローテントゥルム門側から見たウィーン旧市街≫(1750年以前)、そしてマルティン・ファン・メイテンス≪マリア・テレジア(額の装飾画:幼いヨーゼフ2世)≫ (1744年)とハインリヒ・フリードリヒ・フェーガー≪鎧姿のヨーゼフ2世≫ (1787-88年頃)の威容から始まります。この2人の治世から近代化の萌芽が始まりました。

そして18世紀末19世紀初頭にはフリーメイソンのネットワークもこの都市に花開きました。そのメンバーには≪作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト≫も。街には≪プラーター上空に浮かぶヨハン・シュトゥーヴァーの熱気球≫が浮かび、ヨハン・ヒエロニムス・レシェンコール≪ヨーゼフ2世のモニュメント≫はピラミッドのよう。またフリーメイソン会員ではないですが啓蒙思想に影響を受けたフランツ・クサーヴァー・メッサーシュミット≪究極の愚か者(「性格表現の頭像」シリーズより)≫も展示してありました。

マリア・テレジアの死後に皇帝ヨーゼフ2世は都市を改革していきます。宗教への寛容政策、ヨーゼフ・シャファー、ペーター・シャファー≪総合病院の眺め≫の建設、また公園の設置や磁器工房の奨励。

そしてナポレオンの侵攻を経て、ウィーン会議から革命までの間のビーダーマイアー時代がやってきます。ジャン・ゴドフロワ(ジャン=バティスト・イザベに基づく)≪ウィーン会議での各国代表者たち≫ (1830年)は「会議は踊る、されど進まず」な様子が描かれ、その画にも描かれたオーストリア宰相≪メッテルニヒのアタッシュケース≫の実物の展示も。またこの時代の作品で面白かったのがカール・ルートヴィヒ・ホフマイスター≪絵画時計ー王宮書斎での皇帝フランツ1世≫という本物の時計が埋め込まれた作品なんてのがありました。そしてヨハン・クリスティアン・シェラー≪ウィーンのバリケード、1848年5月26日≫という蜂起の様子はまるでレミゼラブルのようでした。

シューベルトの時代の都市生活は様々な家具・調度品と共に絵画展示が展開されていました。

製作:ダンハウザー家具工房≪机≫ (1820-30年)は丸い底面と円錐な柱が印象的、様々な≪椅子≫たちもどれもデザインが見事で、今みてもIKEAレベルを大きく超えてるフォルムと質感。銀食器たちも本当にシンプルかつ洗練された美を放っていました。≪ボンネット≫と呼ばれる帽子も。そしてヴィルヘルム・アウグスト・リーダー≪作曲家フランツ・シューベルト≫の横には≪フランツ・シューベルトの眼鏡≫(1820年頃) の実物展示も。ユーリウス・シュミット≪ウィーンの邸宅で開かれたシューベルトの夜会(シューベルティアーデ)≫ではブルジョワな麗しき男女が集っていました。

ビーダーマイアー時代の絵画ではフリードリヒ・フォン・アメリング≪3つの最も嬉しいもの≫ (1838年)が素晴らしかった。男が口説く女性、そして彼女が持っているグラス(酒)と楽器(音楽)が画かれるのですが、その女の子のはっとさせられる綺麗さは本展覧会のベストガールでした。

またフェルディナント・ゲオルク・フヴァルトミュラー≪教会に向かう春の道≫ (1863年)、フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー≪バラの季節≫ (1864年頃)は光がパキっと描かれて、国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア展の露西亜の四季画を少し想いださせられました。あれは19世紀後半から20世紀初頭の作品群だったかな。

ビーダーマイアー時代にはルドルフ・フォン・アルト≪ゴシック様式の石柱「糸紡ぎの十字架」からみたウィーンの眺め≫など、中世から発展していくウィーンの変わりゆく都市景観が描かれてもいました。

そしてウィーンの市街地の拡張、フランツ・ヨーゼフ1世による城壁の撤去によるリンク通りの開発の時代。フランツ・ルス(父)≪皇帝フランツ・ヨーゼフ1世≫の隣にはフランツ・ルス(父)≪皇后エリーザベト≫の郷ひろみのアイドル時代のような若々しい2人の姿が。

ここで”おぉ!エリーザベト!”と想った方はきっと東京都美のクリムト展に行かれているはず。そう、クリムトの師匠であったハンス・マカルトがこの2人の銀婚式のパレードの演出をしている等関わりがあるのです。

この展覧会ではハンス・マカルトの作品群が結構力を入れて展示してあって、ハンス・マカルト≪真夏の夜の夢(ウィーン市立劇場緞帳のための習作)≫ (1872年)はバロックでロココな感覚、ハンス・マカルト≪1879年の祝賀パレードのためのデザイン画ー大工組合の旗手≫、≪1879年の祝賀パレードのためのデザイン画ー菓子製造組合≫、≪1897年の祝賀パレードのためのデザイン画ー織物製造組合≫はパステルで祝祭的な、ファンタスティックな感覚。

女性画も描いていて、ハンス・マカルト≪メッサリナの役に扮する女優シャーロット・ヴォルター≫の白い姿はどこか神話性を帯びていて。一方で紅に染まったハンス・マカルト≪ドーラ・フルニエ=ガビロン≫の華奢な美しさにははっとさせられて。ハンス・マカルト≪ハンナ・クリンコッシュ≫のふくよかな黒い羽衣服には幸福な安心感を覚えました。

そんなハンス・マカルトの下で修業を積んだクリムトと学友のマッチュの作品も共に展示されていて。グスタフ・クリムト≪旧ブルク劇場の観客席≫は貴族やブルジョワ100人以上の観客たちが顔がきちんと描かれていて、まるで写真のコラージュ作品のような精彩さ。やっぱりこの人抜群に絵が上手い。フランツ・フォン・マッチュ≪古代の即興詩人(ブルク劇場北階段のための習作)≫・≪中世の神秘劇(ブルク劇場北階段のための習作)≫には古代趣味があって都美での展示を思い起こさされて。

そしてこの時代と言えばウィーン万国博覧会(1873年)。当時ウィーンの芸術家たちに大きなインスピレーションを与えた日本の展示がジョルジ・クレス≪ウィーン万国博覧会ー日本館≫・≪ウィーン万国博覧会ー日本館と日本庭園≫、オスカー・クラーマー≪ウィーン万国博覧会ー日本館と日本庭園≫という写真で展示されていました。

また19世紀末のウィーンと言えば「ワルツの王」ヨハン・シュトラウス。ヴィルヘルム・ガウゼ≪宮廷舞踏会≫の多幸感。ヴィクトル・ティルクナー≪作曲家ヨハン・シュトラウス (子)≫の胸像も。

そしてウィーンは愈々近代都市として羽化していきます。その時代の治世の想像を掻き立てるのがフランツ・フォン・マッチュ≪シェーンブルン宮殿書斎での皇帝フランツ・ヨーゼフ1世≫や螺鈿な貝細工が美しい、分離派のメンバーであるオットー・ヴァーグナー≪カール・ルエーガー市長の椅子≫

そのオットー・ヴァーグナーは近代建築の先駆者と呼ばれ、オットー・ヴァーグナー≪美術アカデミー記念ホール:模型≫製作:ヴェルツェル・ホルマン(1898年)では薄紅色の壁に金色の意匠が美しい建築が、またオットー・ヴァーグナー≪カイザリン・エリザーベト・プラッツ、市営鉄道のパヴィリオン:透視図(ウィーン市総合整備計画のための設計競技案より)≫では近代都市の交通システムとしてのチャレンジなプロジェクト、オットー・ヴァーグナー≪市営鉄道の皇帝専用パヴィリオン(ヒーツィング)≫は2度しか使われなかったそう。

オットー・ヴァーグナー≪郵便貯金局:天井構造図≫のところにはオットー・ヴァーグナー≪郵便貯金局のアームチェア≫、オットー・ヴァーグナー≪郵便貯金局メインホールのスツール≫の実物展示も。

モダニズムは文化施設にもつけることを示すオットー・ヴァーグナー≪ウィーン市立皇帝フランツ・ヨーゼフ博物館(カールスプラッツ)設計計画:ファサード≫というもの等も。そして近代教会建築の走りとなったオットー・ヴァーグナー≪聖レオポルド教会(シュタインホーフ)≫は白と金の美麗と聖性が。

また花を陶器で表すことで永遠化しようとしたオットー・ヴァーグナー≪マジョリカ・ハウスの陶器製ファサード(リンケ・ヴィーンツァイレ40番地)≫や当時の最先端アイディアであった集合住宅をつくったオットー・ヴァーグマン≪コロヴラートリンクのホテル・ウィーン≫とオットー・ヴァーグナー≪陸軍省(シュトゥーベンリンク)のための設計競技案趣意書≫やオットー・ヴァーグマン≪ウィーン市22区の理想的設計案ー『大都市』(1911年)に基づく模型≫展示も。

そしてここから愈々クリムトの本編。

グスタフ・クリムト≪自然の王国(『アレゴリーとエンブレム』のための原画No.39)≫・たゆんたゆんな≪一日の4つの時(『アレゴリーとエンブレム』のための原画No.26)≫・≪青年期(『アレゴリーとエンブレム』のための原画No.8)≫・しっとりした肢体の≪寓話(『アレゴリーとエンブレム』のための原画 No.75a)≫・≪物語(『アレゴリーとエンブレム』のための原画 No.74)≫・≪牧歌(『アレゴリーとエンブレム』のための原画 No.75)≫・金の額縁に花を描いた≪愛(『アレゴリー;新連作』のための原画 No.46)≫・≪彫刻(『アレゴリー:新連作』のための原画 No.58)≫・≪6月(ユノ)(『アレゴリー:新連作』のための原画 No.53)≫たちがなんとも美少女がエロティックで美青年の裸身も美しかった。

そしてウィーン分離派の創設。

グスタフ・クリムト≪第1回ウィーン分離派展ポスター(検閲前)≫は検閲後で木の枝で隠される股間が描写されていて、都美でも展示されていたグスタフ・クリムト≪第1回ウィーン分離派展ポスター(検閲後)≫から答え合わせをした気分。

アルフレート・ロラー≪分離派会館会館記念ポスター≫はオリンピックのロゴのよう。モーリス・ネーア≪ウィーン分離派メンバー≫の写真も。


そしてここからクリムトの素描群が。グスタフ・クリムト≪裸婦(ウィーン大学学部絵≪医学≫のための習作)≫・≪男性胸像(ウィーン大学学部絵≪法学≫のための習作)≫・≪ドレープのある衣をまとう前かがみの男性(ウィーン大学学部絵≪法学≫のための習作)≫・≪裸婦立像(ウィーン大学学部絵≪法学≫のための習作)≫には都美での≪医学≫・≪哲学≫・≪法学≫を思い起こさせられて。

そしてグスタフ・クリムト≪横たわる裸婦(≪水蛇II≫あるいは≪遊女の対話≫のための習作)≫や≪半裸で寄りかかる女性(≪乙女≫のための習作)≫・≪横向きでうずくまる裸婦≫・≪半裸で寝そべる女性≫などが何ともエッロい艶があってどきどきさせられました。

都美でもカール・モルやコロマン・モーザーなどの画が展示されていましたが、本ウィーン・モダン展でもクリムトに連なる画家たちの作品が多数展示されて。

ウィーン分離派の画家たちではスーラなマクシミリアン・レンツ≪シルク=エッケ(リンク通りとケルントナー通りの角)≫に黄色のドレスだけど何ともアンニュイなマクシミリアン・クルツヴァイル≪黄色いドレスの画家(画家の妻)≫、ドガ的なバックヤードなカール・モル≪コーヒー工場にて≫。線の筆跡で落ち着いた情景を描くカール・モル≪朝食をとる母と子≫≪書き物机に向かう画家のアンナ・モル≫

SFな古代の惑星感のあるヴィルヘルム・ベルナツィク≪炎≫に彼は分離派ではないけれどフランツ・フォン・マッチュ≪画家の子どもたち(レシとハンス)≫、レストランでクールに誘惑するヨーゼフ・エンゲルハルト≪ゾフィーエンザールの特別席≫にキレイなクラシック感のあるヴィルヘルム・リスト≪白と黒の絵画≫に平面さが現代的なコロマン・モーザー≪少女≫もありました。

ウィーン分離派はグラフィック方面も物凄くて、アルフレート・ロラー≪『ヴェル・サクルム』表紙(1898年第1号豪華版)≫の桶にカール・モル≪『ヴェル・サクルム』表紙(1898年第10号豪華版)≫の木、フェルナン・クノップフ≪『ヴェル・サクルム』表紙(1898年第12号豪華版)≫は幾何学な感じ。

そしてウィーン分離派展ポスターが壁一面にあって。コロマン・モーザー≪第5回ウィーン分離派展ポスター≫は緑の天使、ヨーゼフ・マリア・アウヘンタラー≪第7回ウィーン分離派展ポスター≫、アドルフ・ベーム≪第8回ウィーン分離派展ポスター≫はF1レースなデザイン。アルフレート・ロラー≪第9回ウィーン分離派展ポスター≫のピンク、ヨハン・ヴィクトール・クレーマー≪第11回ウィーン分離派展ポスター≫は青赤緑の花、アルフレート・ロラー≪第12回ウィーン分離派展ポスター≫はゲームなデザイン。コロマン・モーザー≪第13回ウィーン分離派展≫の女子三連星。アドルフ・ベーム≪第15回ウィーン分離派展ポスター≫のガンダム感。アルフレート・ロラー≪第16回ウィーン分離派展ポスター≫は化粧品の広告感、マクシミリアン・クルツヴァイル≪第17回ウィーン分離派展ポスター≫のシャンプーな感じ。グスタフ・クリムト≪第18回ウィーン分離派展ポスター≫はダダなフォント。フェルディナンド・ホドラー≪第19回ウィーン分離派展ポスター≫はアメリカン・パンク・ジャケ感。オットー・フリードリヒ≪第21回ウィーン分離派展ポスター≫は白根ゆたんぽ感。レオポルド・シュトルバ≪第23回ウィーン分離派展ポスター≫は黒白の60sロックジャケ風、エルンスト・エック≪第40回ウィーン分離派展ポスター(国際ポスター展)≫は楽譜風、リヒャルト・ハルルフィンガー≪第40回ウィーン分離派展ポスター(国際ポスター展)≫のガソリンカンパニー感。エゴン・シーレ≪第49回ウィーン分離派展ポスター≫の仄暗さ。これだけまとまって見れたのは嬉しかった。

そして次の間はエミーリエ・フレーゲとグスタフ・クリムト。弟エルンストの妻の妹エミーリエは姉妹でコルセットから解放した改良服をつくる事業を営んでいて、クリムトとは私生活のパートナーの関係でした。

メインヴィジュアルの一つでこれだけは写真撮影可能だったグスタフ・クリムト≪エミーリエ・フレーゲの肖像≫(1902年)は角度を変えてみると銀がきらめいて、ハットとドレスの虹光の平面的装飾が美しかった。KとGをあしらったロゴも。

また写真展示ではアッター湖で遊ぶクリムトとフレーゲがみれて、都美で≪アッター湖畔のカンマー城 III≫をみていたので嬉しかった。またコロマン・モーザー≪フレーゲ姉妹ファッション・サロンのウォール・ランプ(再製作)≫・≪フレーゲ姉妹ファッション・サロンのテーブル(再製作)≫・≪フレーゲ姉妹ファッション・サロンの椅子(再製作)≫というのがあったり、≪グスタフ・クリムトのスモック≫の実物展示も。

クジャク石があしらわれたオットー・ブルッチャー≪エミーリエ・フレーゲの印章≫に銀のオットー・ブルッチャー≪パウリーネ・フレーゲの印章≫も立体性が美麗でした。ヨーゼフ・ホフマン≪ブローチ≫・≪エミーリエ・フレーゲの櫛≫もなんともカッコよかったです。

このヨーゼフ・ホフマンとコロマン・モーザーが1903年につくったウィーン工房の作品群も多数あって。


またあのヴィトゲンシュタイン家のヨーゼフ・ホフマン≪ヘルマン・ヴィトゲンシュタイン邸のキャビネット≫・≪ヘルマン・ヴィトゲンシュタインの花瓶≫、コロマン・モーザー、ヨーゼフ・ホフマン≪ヘルマン・ヴィトゲンシュタインの印章≫もかっこよく、コロマン・モーザー≪ヘルマン・ヴィトゲンシュタインのための装飾プレート≫もカッコよかった。

ヨーゼフ・ホフマン≪花瓶≫でも腰がきゅっと締まっていて、ヨーゼフ・ホフマン≪柄付きバスケット≫はスケルトン仕様だったり白が美しかった。

また当時一流の社交場だったヨーゼフ・ホフマン≪キャバレー・フレーダーマウスのソース入れ≫もアメコミSF風、ヨーゼフ・ホフマン≪キャバレー・フレーダーマウスのスープ用蓋付き容器≫のレトロフューチャー、ヨーゼフ・ホフマン≪ティーセット≫の黄金。ミヒャエル・ポヴォルニー、ベルトルト・レフラー≪角形花瓶≫のファンシーなトリの陶器はコロマン・モーザー≪シクラメンのある静物≫にも出てきて。

ヨーゼフ・ホフマン≪ゲーム盤とこま≫の化粧箱感。ダゴベルト・ペッヒェ≪花瓶≫の白黒とタゴベルト・ペッヒェ≪花瓶≫の黄白黒も。

またウィーン工房のアクセサリーがまた良くて。ヨーゼフ・ホフマン≪ブローチ≫はクリムトの≪ユディト I≫のネックレスのよう。ダゴベルト・ペッヒェ≪ブローチ≫はメノウ、ダゴベルト・ペッヒェ≪王冠≫は象牙製でセラミックみたいな白、エドゥアルト・ヨーゼフ・ヴィマー=ヴィスグリル≪ピン≫もメノウ、カール・オットー・チェシュカ≪ブレスレット≫も美しかった。

またマリア・シュトラウス=リカルツ≪ハンドバッグ≫、マックス・スニシェク≪ハンドバッグ≫、ダゴベルト・ペッヒェ≪ハンドバッグ≫もハンドクラフト感が良く、ミサンガな感じの布製のダゴベルト・ペッヒェ≪ネックレス≫、マリア・シュトラウス=リカルツ≪ネックレス≫とマックス・スニシェク≪ネックレス≫も布製のガラス玉みたいな感じでどこか南米的。

ウィーン工房のグラフィックも素晴らしくて。

コロマン・モーザー≪≪アスター≫書籍見返しデザイン案『ディー・クヴェレ[泉ー文様パターン集]』≫はハートダイヤ、コロマン・モーザー≪≪収穫の時≫壁掛けデザイン案『ディー・クヴェレ[泉ー文様パターン集]』≫ボールを抱えたマリア、コロマン・モーザー≪≪聖母マリアの祝日≫色紙デザイン案[泉ー文様パターン集]≫の鉄、コロマン・モーザー≪≪千羽のオオガラス≫書籍見返しデザイン案『ディー・クヴェレ[泉ー文様パターン集]』≫のエッシャー感、コロマン・モーザー≪≪赤い木の実≫絹地デザイン案『ディー・クヴェレ[泉ー文様パターン集]』≫の丸、コロマン・モーザー≪≪アルレッテ≫絹地デザイン案『ディー・クヴェレ[泉ー文様パターン集]』≫花と水紋。

ヨーゼフ・ブルックミュラー レタリング:ルートヴィヒ・ユングニッケル≪タイトルページ デザイン案(型紙図案)『ディー・フレッヒェ[平面]』第1巻第5号、65頁≫、ヒルデ・エクスナー≪ポスターデザイン案「ウィーン」『ディー・フレッヒェ[平面]』第1巻第5号、74頁≫の工業的な村、エマ・シュランゲンハウゼン≪ポスターデザイン案「ウィーン」『ディー・フレッヒェ[平面]』第1巻第5号、75頁≫の未来のエントランス感。ミッツィ・エーベルト≪文様パターン(上)≫アデーレ・ベッテルハイム≪文様パターン2種(下)≫の王と綱。花を撒くアグネス・シュパイヤー≪ポスターデザイン案『ディー・フレッヒェ[平面]』第1巻第9号、136頁≫、マックス・ペニルシュケ≪書籍表紙デザイン案(上)≫アドルフ・オットー・ホルプ≪文様パターン2種(下)『ディー・フレッヒェ[平面]第1巻第10号、151頁』≫の月と2人の女。

そしてベルトルト・レフラー≪キャバレー・フレーダーマウスのポスター≫と≪キャバレー・フレーダーマウスのフライヤー≫のアメリカンなSF感。またヨーゼフ・ホフマン≪キャバレー・フレーダーマウスのロビー≫のモンドリアンに洒落た美容室な感じ。

ウィーン工房と、1905年にウィーン分離派を抜けたクリムトたちが起こしたクンストシャウという展覧会のポスターも。ベルトルト・レフラー≪クンストシャウのポスター≫は黄髪に青服の少女、ルドルフ・カルヴァハ≪クンストシャウのポスター≫はもはやポップアート、三菱一号館美術館でのフィリップス・コレクション展でも輝いていたオスカー・ココシュカの≪クンストシャウのポスター≫にはちょっとした濁りのカッコよさ。

ルドルフ・カルヴァハ≪ユーモラスなグリーティング・カード≫の黒の宇宙で子どものエルフが動物と遊ぶ様子も良かった。レオポルディーネ・コルベ≪装飾的な花かご≫の青・紫・苺。

エゴン・シーレ≪女性の肖像≫のアシメに消えていく洒落た滲みの魅力。

ダゴベルト・ペッヒェ≪ウィーン工房のポスター ー マリエンバードのメルキュール邸内の店(テキストなし)≫の乙女なグラフィックス、ヒルダ・イェッサー=シュミット≪ウィーン工房のポスター ー ライプツィヒのファッションと装飾芸術の店≫の富裕な感じ。マリア・シュトラウス=リカルツ≪ファッション≫≪婦人帽ファッション≫のクールなハイブランド感、メラ・ケーラー≪ファッション≫の高級感。アルノルト・ネハンスキー≪復活祭≫の金色な古代魔術感も良かった。

そして愈々エゴン・シーレ。

エゴン・シーレ≪自画像≫ (1911年)はメインヴィジュアルにもなっている、苦悩とチャーミングさが溢れている、指がとにかく長い自画像。彼のアートスタイルは表現主義と呼ばれ、尊敬するクリムトたちからさらに新しい表現でした。

エゴン・シーレ≪ひまわり≫の枯れた向日葵のもとに咲く紫と橙の花々。エゴン・シーレ≪ノイレングバッハの画家の部屋≫はゴッホをツヤツヤにした感じ。若かりし時に逝った精神の危うさも感じて。

彼が画くポートレイトからは実にその人物の気性が伝わって。エゴン・シーレ≪美術批評家アルトゥール・レスラーの肖像≫はカクカクした格好のバックに広がる赤いアウラ、その妻であるエゴン・シーレ≪イーダ・レスラーの肖像≫にもあるクールなカラフルバー、エゴン・シーレ≪オットー・ヴァーグナーの肖像≫は逆三角形の顔、エゴン・シーレ≪少女裸像(ゲルトルーデ)≫は明るくカクカクしながら湿度が凄い。エゴン・シーレ≪ひざまずく裸婦≫の青白いヌード。

エゴン・シーレ≪踊り子モア≫の気怠さ、エゴン・シーレ≪座る人物像≫のシャカシャカした感じ。エゴン・シーレ≪男性裸像≫はベーコンのよう。エゴン・シーレ≪アルトゥール・レスラーの肖像≫は大人。エゴン・シーレ≪マリア・シュタイナーの肖像≫の漫画的な感覚、エゴン・シーレ≪作家ローベルト・ミュラーの肖像≫の厳しさ、エゴン・シーレ≪背を向けた裸婦≫の針金アート感。そしてエゴン・シーレ≪死の床につくグスタフ・クリムト≫画狂老人卍のような凄味がありました。

表現主義を描いた画家たちがこのレントゲンによるX線の発見やフロイトの『夢診断』が出たウィーンに続いていきます。

オスカー・ココシュカ≪座る裸婦≫の消えていくカラダ。オスカー・ココシュカ≪母と子≫の不気味さ。オスカー・ココシュカ≪大股で歩く裸婦≫は江川達也のエロが画くなってからの肉体に似てて、オスカー・ココシュカ≪「クンストシャウ、サマーシアター」の演目、「殺人者、女たちの希望」のポスター≫は人体人形とアダムスファミリーって感じ。

オスカー・ココシュカ≪羊飼いと羊と二人の泥棒≫・≪眠る羊飼いと家畜たち≫・≪女性と3人の子どもたち≫・≪窓辺の女性≫のクリスマスカード感。

オスカー・ココシュカ≪『夢見る少年たち』1.眠る女≫のムンク感、≪『夢見る少年たち』2. 帆船≫の古代感、≪『夢見る少年たち』3. 船乗りの呼び声≫の絵本感、≪『夢見る少年たち』4. 遠き島≫の挿絵感、≪『夢見る少年たち』5. 会話する男女≫の神話感、≪『夢見る少年たち』6. 眠れる人々≫のアラビアンナイト感、≪『夢見る少年たち』7. 目覚める人々≫の聖書感、≪『夢見る少年たち』8. 少女リーと私≫の綺麗さ。この画にはココシュカの詩もついていて、その内容は思春期の苦悩や性愛の衝動とのことでした。


リヒャルト・ゲルストルは≪パレットを持つ自画像≫の他≪作曲家アルノルト・シェーンベルクの肖像≫も描いて、シェーンベルクとは親交もあったのだけれども、彼の妻に恋愛感情を持ちゲルストルは自殺してしまいました。

そしてアルノルト・シェーンベルクも絵を描き≪作曲家アルバン・ベルクの肖像≫やファンシーな筆致の≪グスタフ・マーラーの葬儀≫が掛けてありました。マーラーはオーギュスト・ロダン≪作曲家グスタフ・マーラーの肖像≫という哀しさを感じさせる彫像も。

グスタフ・ヤーガーシュパッハー≪作家ペーター・アルテンベルクの肖像≫はなんか妖怪感が。

マックス・オッペンハイマー≪建築家アドルフ・ロースの肖像≫という絵をかいて。このアドルフ・ロースは当初ウィーン分離派を激賞しながら、その後袂を分かち、『装飾と犯罪』という書を記しました。

会場では最後に≪アドルフ・ロース邸の居間のスツール(小)≫と≪アドルフ・ロース邸の居間のアームチェア≫、そして装飾を配したアドルフ・ロース≪ゴールドマン&ザラチュのオフィスビル(ミヒャエラープラッツ3番地、1909-11年建設)≫とこのロースハウスが画かれたウルバーン・ヤンケ≪アドルフ・ロースによる講演「ミヒャエラープラッツの私の建築」のためのポスター≫がありました。

ウィーン・モダン展。確かにクリムト、そしてシーレの作品はありました、がそれを言うならハンス・マカルト展でもありオットー・ヴァーグナー展でもありオスカー・ココシュカ展でもありました。真の主役はウィーンという都市。マリア・テレジアからWW Iにかけて建築、絵画、デザイン、音楽、都市システムと全分野で全近代から近代へ羽化する物語が描かれ、その意味でクリムトは境目にいたのだなと。都市が最も勢いを持ち創造性を持つ時期というのはありますね。

特に技術と芸術の関わりでは写真の登場から絵画がメタモルフォーゼしていったのだなとも。東京都美術館のクリムト展を先に見たのですが、逆でも行けるかもしれないけれどハンス・マカルトやフランツ・フォン・マッチュ、エリザーベト、第一回ウィーン分離派展ポスターとか先に知れたことでより楽しむことができました。

by wavesll | 2019-06-09 03:56 | 展覧会 | Comments(0)

吉岡徳仁 ガラスの茶室 - 光庵 at 国立新美術館

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cf. 吉岡徳仁 / スペクトル at 資生堂ギャラリー

by wavesll | 2019-05-30 20:20 | 展覧会 | Comments(0)

トルコ至宝展 チューリップ(ラーレ)の宮殿 トプカプの美@新美

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「トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美」を新美にてみてきました。

イスタンブールでトプカプ宮殿を訪ねた時、工事で宝物殿が閉まっていて、今回日本でのトプカプ宮殿展の開催は嬉しい驚きでした。


本展は何しろ最初の間がクライマックス。金・ダイヤモンド・ルビー・エメラルド・真珠・七宝と贅をつくした≪ターバン飾り≫や、ズドンとした存在感の≪スルタン・マフムート2世の玉座(支配者の肘掛け椅子)≫がのっけから凄くって。

≪スルタン・アブデュル・ハミト2世の花押(トゥーラ)≫の黄金や≪スルタン・ムラト4世玉座図≫ではピンクのうるわしさがまた良くて。

そして≪スルタン・メフメト4世の宝飾短剣≫はなんと柄がエメラルド!≪儀式用宝飾水筒≫も金銀財宝がぎっちり。≪宝飾兜≫もアラビア文字が美しく、≪立法者スルタン・スレイマン1世の刀剣≫は鳥と花、植物、文字で金色に彩られ、メフメト作≪直刀≫は赤い珊瑚やトルコ石・ダイヤモンドが美しく、≪柳装飾の盾≫も紅に美しかった。

また≪カフタン≫という上着や≪スルタン・ムラト4世のシャルヴァル(ズボン)≫、≪皇子用のカフタンとチャクシュル(靴付きズボン)≫、真珠母貝や銀金で彩られた≪ベルト≫、≪射手用指輪≫や≪射手用箙≫もエメラルドやルビーできらめき、碧玉、金、ルビー、エメラルド、七宝で輝く≪宝飾筆箱≫や黄金の法具のような≪宝飾手鏡≫に翡翠が美しい≪宝飾翡翠カップ≫、そして七宝やルビー、エメラルド、トルコ石の≪壁掛け時計≫と宮廷のエクスクルーシヴな暮らしがみえます。

そして今回の展覧会で初めて知ったのはオスマン帝国のチューリップ文化。チューリップはアラビア語でラーレと言いますが、この文字を組み替えるとアッラーにもなり、アラビア文字の数字の加算でもアッラーと同じになり、さらにはスルタンの属するカユ族の紋である三日月(ヒラール)の意味にもアナグラムで成るという。様々なアイテムにチューリップの意匠が使われて。

≪兜≫はゴールデンチューリップ。≪長靴≫はネオンサインみたいだし、≪付袖≫のスリーヴに、≪宝飾吊るし飾り≫は水晶が凄い。銀金に象牙も使われた≪宝飾ベルト≫に≪バックル付きベルト≫も美しい。≪鞄≫、≪ピストル・ケース≫もシンプルに美しいし、≪新生児用掛布団≫もチューリップ柄。≪ハサミとケース≫も麗しく装飾されて。ガラス製の≪吊るしランプ≫や象牙の≪葦ペン削り板≫や赤珊瑚の≪匙≫も素晴らしかった。

また文物も展示してありました。ルーミー文のチャケリー≪詩集のワニス塗り表紙≫を初めとして、アブドゥッラー・ブハーリー≪ピンク色の燕尾型チューリップ≫や≪論文集≫、メフメト・ラースィム≪スルス書体・ナスフ書体のアルバム≫、≪『偉大なる祈り』(Hizb el-Azam)の花束文様≫、デルヴィーシュ≪バラ色の燕尾型チューリップ≫、メフメト・アシュキー≪『チューリップ花暦』(Riale-i Takvim-i Lale)≫や≪『書道手習い本』(Elifba Cuzu)≫にセイイド・ハーフズ・ヒュセイン・ルトフィー・ザーラーヴィー≪『善のしるし』(Delail-i Hayrat)≫、ムスタファ・ハリーム・オズヤズジュ≪ナスフ書体扁額≫も、美しいカリグラフィと植物の輝き、そして淡いピンクの遣い方が非常に印象的でした。

ここから器などのパート。一番印象的だったのは、トプカプ宮殿でみて”おっ!これは面白い”と想っていた中国の陶磁器にオスマントルコで宝石を埋め込んだ≪染付宝飾皿≫・≪宝飾碗≫・≪染付宝飾碗≫・≪宝飾皿≫。黒と金の≪亜鉛製皿≫もなかなかだったし、イズニクのタイルのキャプションにはイスタンブルでみたスレイマニエモスクをつくった建築家ミマール・スィナンの記述も。時が下るとタイルの産地はイズニクからキュタフヤに遷ったそうです。

紅に輝く≪聖遺物用箱≫や≪聖遺物(髭)用風呂敷≫にはメヴラーナ美術館で観たムハンマドの髭を思い出して。≪礼拝用敷物(セッジャーデ)≫や丁寧な暮らしを思わせる≪ナプキン≫、エメラルドブルーにピンクの≪香炉≫にムハンマドの香りだという≪バラ水入れ≫、≪七宝製バラ水入れ≫はパステルで、≪エディルネ木画の葛籠≫には魔法的な幾何学模様が。螺鈿っぽい加工がしてある≪梯子≫や≪サイド・テーブル≫には宮廷のハイクオリティさをみて。アフリカの夕景のような≪ザール・ベルデ(壁用カーテン)≫、ピンクの七宝にクリスタルガラスな≪水タバコ≫、≪スルタン・アフメト3世肖像画≫の細密描写。

1/20スケールで銀と木でつくられた≪スルタン・アフメト3世の施水場模型≫、ベイコズ・ガラスでつくられた≪チューリップ用花瓶(ラーレ・ダーン)≫に外で使われたという≪サーイェーバーン(日陰テント)≫、≪靴下≫も花柄、花の意匠をつけた≪轡≫なんてのもありました。

そして≪スルタン・スレイマン1世のものとされる儀式用カフタン≫や≪染付カラック(芙蓉手)様式皿≫や植物がみずみずしくカラフルに描かれたヨーロッパやフランスの≪皿≫や取っ手がカクカクしている≪コーヒー・セット≫。ドイルからは絵画にも描かれた≪備え付け時計≫、フランスからは三角形の文様の≪暖炉時計≫がありました。

そして最後の間はトルコと日本の交流。エルトゥールル号の義援金を持って行った山田寅次郎が著した≪『土耳古畫觀』≫に寅次郎が持って行った≪金太刀≫、さらにはドルマルクチェ宮殿に展示されている鹿が画かれた有田焼の≪花瓶≫に龍と鳳凰のデザインの有線七宝の≪花瓶≫に鳩の有線七宝の≪花瓶≫、皇室からスルタンへ贈られた≪勲章(大勲位菊花大綬章)≫、オスマン帝国から贈られた≪紫天鵞絨地花文刺繍卓被≫がありました。

最初の間の密度で絢爛豪華さが続いたらもっと凄まじかったなとは思いつつ、オスマン帝国宮廷とラーレ(チューリップ)の関係やピンクの水彩の美しさなどトルコへの想いを掻き立てられる展示でした。

by wavesll | 2019-04-05 01:34 | 展覧会 | Comments(0)

新・北斎展 HOKUSAI UPDATED@森アーツセンターギャラリー

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北斎研究家の故・永田さんによるコレクションを元にした。春朗、宗理、北斎、戴斗、為一、画狂老人卍の全期に渡る展覧会。ラス日に滑り込みみました。

第1章春朗期にも面白い作品が。≪「新板七へんげ 三階伊達の姿見 沢村宗十郎」≫は着せ替え出来るつくり。≪熊に団子を与える金太郎≫はふっくらと逞しい。≪「浅草金龍山観世音境内之図」≫は遠近法的。≪「浮絵一ノ谷合戦坂落之図」≫も上手いし、≪「浮絵忠臣蔵夜討之図」≫や≪「風流子供遊五節句 さつき」≫なんて作品も。

≪「能登守教経勇力」≫や≪「梶原源太景季」≫も良かったし、磯子から江ノ島までのパノラマを描いた≪鎌倉勝景図巻≫には大仏も。≪『前々太平記』≫や≪市村座絵本番付≫、≪『昔々桃太郎発端話説』≫の鳥人も面白かった。

そして第2章宗理期。

≪「すみたかハ」≫の傘の描写。≪「ぎやうとくしほはまよりのぼりとのひかたをのぞむ」≫と≪「よつや十二そう」≫のうねる風景描写。≪成身院童子経曼荼羅≫のカミの描写。首を伸ばす二匹と一匹の≪亀図≫にはほっこりしました。≪合筆 所作事尽≫も美人でした。

≪玉巵弾琴図≫の龍と西王母の対峙。≪美人愛猫図≫は胸元の猫が色っぽい。≪娘図≫はリラックスした現代的なポーズ。≪大原女図≫と≪京伝賛遊女図≫はさっと画いた線が素敵。≪来燕帰雁図≫の燕の胸のふっくらした様子がまたいい。≪見立浅妻舟図≫はジブリ『かぐや姫の物語』のよう。≪福助図≫なんて奇妙な画も。≪寿亀図≫のカメもやはりいい。≪柳下傘持美人図≫の着物のドットがまたいい。

≪『柳の絲』≫にはポニョの波をみて。≪『春の戯うた』≫はハイ。≪『絵本隅田川両岸一覧』≫はイスタンブールの風景みたいだし、≪津和野藩伝来摺物≫は武家の一年の暮らしを彩りきりとったスナップ集。

そして愈々第3章 葛飾北斎期。

≪「新板浮絵富賀岡八幡宮之図」≫と≪「新板浮絵神田明神御茶の水之図」≫は見知った土地が描かれているのが面白くて。≪しん板くミあけとうろふるやしんミセのづ≫は江戸のペーパークラフトで、湯屋の描写に道後温泉を思い出しました。

≪吉原遊郭の景≫の五枚綴りの美女たち。浮世絵の女の顔は萌え絵にも似た定型性があるなぁ。≪鳥羽絵集 門付͡瞽女≫のしこめ。≪鳥羽絵集 見立礼拝≫や≪「風流おどけ百句」つくね芋・むかひ酒・つつはらみ≫も良かった。≪謎かけ戯画集 鍋の中・手習子・江戸子≫なんて謎々な作品も。

≪「風流源氏うたがるた」≫もいいし、≪在原業平≫の太ペンな筆さばき。

≪雨乞小町≫のかっこいい美人図に≪「かな手本忠臣蔵」≫のキャプションでは北斎のお母さんは吉良方の家臣の孫だったという歴史のつながりの驚きを知って。≪富士見西行≫のいい顔。≪狂歌師像集 夷歌守・棚珎厚丸・三條小判志・山寶亭長尉斗・太羅多欄油小売安方・八声明近・柏古枝・一丁亭羽狩≫の太羅多欄油小売安方の帽子が良かった。

≪人形図≫はまるでいきているみたい。≪扇に桜図(校合摺)≫は輝くばかり。≪五美人図≫はツヤがいい。

≪猿図≫は擬人化された神の使いとしてのサルが。≪宝尽くし図≫はめでたい意匠が擬人化のように配置されて。

≪布袋図≫では人をダメにするソファでのほんわかした図が。≪相撲玩具で遊ぶ童子≫も可愛らしい。≪茶筅売り図≫の千成瓢箪のようなプレゼンテーションが良かったし≪鯉亀図≫は自在置物の様。

≪『復讐奇話 絵本東嫩錦』≫や≪『阿波之鳴門』≫も良かったし≪『新編水滸画伝』初編初帙≫の大蛇、馬琴とタッグを組んだ≪『鎮西八郎為朝外伝 椿説弓張月』前編≫や中国拳法みたいなポージングの≪『飛騨匠物語』≫、竜女がかっこいい≪『勢田橋竜女本地』≫に、≪瀬川仙女追善集『露の淵』≫も良かった。

北斎期でも開花し始めていますが、ファンタジックな筆致が第4章戴斗期では全開になって。

≪鴛鴦図≫の感情が見えるような筆運び。≪寿老人図≫のなんとも極楽な絵図。≪花魁図(画稿)≫の流し目がいい。≪芋の図≫なんて逸品も。アサヒビールを想起w

そして≪『北斎漫画』≫。あらゆるものを描いたこの絵手本帖の展示では版木もありました。

≪『北斎漫画』四編≫では天狗や竜、≪『北斎漫画』五編≫の葵上などの伝説の人物、≪『北斎漫画』六編≫の銃、≪『北斎漫画』十編≫の仙術、≪『北斎漫画』≫十一編の毘沙門天のでっらかっこよさ!≪『北斎漫画』十二編≫のギャグに≪『北斎漫画』十四編≫にはアザラシも。万物を描いたこのデザインは≪鐔・印籠・根付・目貫≫と工芸にメディアミックスも。

また絵手本では≪『己痴羣夢多字画尽』前編≫や≪『略画早指南』≫、≪『画本早引』前後編≫は子どもでも楽しめそうなデフォルメが。≪『三体画譜』≫や≪『伝神開手北斎画鏡』≫も良かった。

イカ、カレイ、イセエビが画かれた≪『北斎画式』≫もいいし、≪『今様櫛キセル雛形』≫に≪『新形小紋帳』≫のデザインもいい。≪『忠義水滸伝画本』≫のバトルポーズ、≪『和漢絵本魁』≫の土蜘蛛との闘い、北条時政が大蛇と対峙する≪『絵本武蔵鐙』≫、≪『絵本早引 名頭武者部類』≫や≪『絵本和漢書』≫、≪『画本彩色通』≫、円の≪『諸職絵本新鄙形』≫も奇想でした。

第5章 為一期。ここにてさらなる画の展開をみせます。

≪富嶽三十六景≫は太田記念美術館でみていたので≪「富嶽三十六景 隅田川関屋の里」校合摺≫があったのが嬉しかった。

≪「諸国名橋奇覧 山城あらし山吐月橋」≫の穏やかな名景。≪「諸国名橋奇覧 摂州阿治川口天保山」≫の山河一体ぶり。≪「諸国名橋奇覧 かうつけ佐野ふなはしの古づ」≫のくいっと曲がるカーヴ。≪「諸国名橋奇覧 かめゐど天神たいこばし」≫の良さに≪「諸国名橋奇覧 足利行道山 くものかけはし」≫の虚空さ。

≪「諸国瀧廻り 和州吉野義経馬洗滝」≫と≪「諸国瀧廻り 東海道坂ノ下清滝くわんおん」≫のいなたい感じも良かった。

≪「奥州塩竈松嶌之畧図」≫の島々、≪「千絵の海 甲州火振」≫の水描写、≪「千絵の海 絹川はちふせ」≫の波の表情、≪「千絵の海 相州浦賀」≫の磯の表情。

≪「琉球八景 筍崖夕照」≫の宙に浮かぶ嶋、≪「琉球八景 城嶽霊泉」≫の中国風の景、≪「琉球八景 中島蕉園」≫の芭蕉の南国さ。

≪紫陽花に燕≫の紫陽花の乾いた美に≪菊に虻≫の湿度の美。≪雪の松に鶴≫のレインボーさ。

≪「百物語」 笑ひはんにゃ≫のエグい笑み。≪「百物語 お岩さん」≫≪「百物語 さらやしき」≫、≪「百物語 こはだ小平二」≫のデロリと肉が落ちる様。

≪詩哥写真鏡≫のシリーズも良かった。≪詩哥写真鏡 伯楽天≫の天空へ浮かぶ山、≪詩哥写真鏡 清少納言≫の覗く輩たち。≪詩哥写真鏡 春道のつらき≫の山と川の対比。≪「詩哥写真鏡 少年行」≫・≪詩哥写真鏡 木賊刈≫も良かった。

≪「鎌倉江の島大山 新坂往来双六」≫には渋谷や二子、川崎、厚木など見知った土地が描かれていてほんと時空が繋がる気がして。

≪「馬尽 轡町」≫の小人さ≪「馬尽 竹馬」≫や≪羅漢図≫も良かった。

≪六歌仙図≫が半ば立体的にも見えるような北斎の色彩画。これホント北斎が辿り着いた世界だなぁと。

≪工芸職人用下絵集≫と≪未刊絵手本版下絵≫もしみじみと良くて。≪『絵手本訓往来』≫や≪『花吹雪縁柵』≫、≪『出世奴小万之伝』≫、≪『唐詩選画本 五言律』≫と≪『唐詩選画本 七言律』≫も充実してました。

そして頂へ、第6章 画狂老人卍。

≪「唐土名所之絵」≫。なんでこんな地図だけなのにアートになるのか、スゴい!さらには≪「地方測量之図」≫という測量士たちをモチーフとした画も。なんて題材選びだw!≪雪中筍掘りの図≫なんてテーマもw

そしてこの展覧会で最も心動かされたのが≪田植図≫。笠のリズム、ドットの美、そして不思議な、ちょっと怪しさすら感じるオーラが『田植え』という画で展開される。こーれは画狂老人卍だけが辿り着けた世界だったなぁ。

≪向日葵図≫のジョジョ感。≪狐狸図≫の淡彩な僧侶。のんべえな≪鬼図≫もいいし、絶筆の≪富士越龍図≫はあらためていい。竜だと≪『画本葛飾振』(版下絵)≫も良かったし、≪『訂正補刻 絵本漢楚軍談』第二輯≫の女たちに≪『釈迦御一代記図会』≫や≪『画本千字文』≫にコミカルな≪『絵本忠経』≫に≪『絵本孝経』≫も良かった。

また≪鶴屋金助宛北斎書簡≫と≪本間北曜宛北斎書簡≫では北斎の手紙での字もみることができました。

そして最後を飾るのは≪弘法大師修法図≫。病魔の鬼と戦う空海の凄まじい法力バトル。凄かった。

この展覧会の一つのウリは春朗・宗理期の作品をまとまった量みれることでしょう。けれど面白くなってくるのは北斎期以降。しかし二周目にみてみると春朗だって結構上手い。イチローを想うというか、日々鍛練で地力を上げ練達したのだなと。戴斗期の『北斎漫画』は3000を越えるモチーフを描いて。

最も有名な作品である為一期の《富嶽三十六景》は既に他で何度かみていたが今回墨線のみの校合摺も。去年のあべのハルカス北斎展の方がポップでしたがこちらはマニアックに凄い。それにしても最終日とはいえこんなマニアな展覧会入場に1hかかるとは流石北斎。

最終形態画狂老人卍になるとあらゆるものに対する(馬を除く)デッサン力、『雪の中で筍を取る』といったモチーフの選眼力、西洋に學んだか2.5Dにみえる色遣いを会得し最早唯一人の高みへ。《田植図》をあんなにも幽玄に描く画家をほかに知らない。最早もののけの域。努力を一生続けた天才の技。

”伝導率を上げるってほんの少しの向上を日々積み重ねていく道なのかもな”と。ほんの少しの差異が閾値を越えるか越えないかを決める。最初期、美人画や役者絵でカチっとして綺麗だけど無個性とも言える絵を描いていた北斎(春朗)、様々なポーズで描けるデッサン力がついてファンタジックな画も自在に描けるようになる。そして総合力の綜合によって画狂へ。

何というか、この横綱相撲振りは心身の剛健さも予期させる。狂うには剛健でないと。前後期合わせて500点近い大ヴォリュームでの展覧会でした。

by wavesll | 2019-03-28 06:41 | 展覧会 | Comments(0)

道場 (八木美知依&本田珠也) 灰野敬二 空間現代|BGM: 生西康典 Live@Super Deluxe

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マイラストスーパーデラックス。淋しさを昇華する素晴らしいパフォーマンスばかりでした。

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最初に出てきたのは空間現代。地球を支えるアトラスのように天地開闢以来千変万化し続くビッグマシーンのような打音楽。スリーピースのガレージマスロックとしてのソリッドさと劇性な妖しさもあって。

生で観る醍醐味というか「叩かない打音」が響くのがとても刺激的でした。

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そして灰野敬二さん。ライヴで観る初灰野は、暗黒の中にぼんやりと顔が浮かび上がって聲明というかホーメイで始まりました。怪。

次にブラスドラムを壊れる程ブラシで叩いて。こちらも鳴らさない打音のアクション。

そこから写真を載せた謎の鉄琴楽器?の天獄な音。金属音ってこの世ならざる感慨を与えるのだなと。無慈悲な天使が闇に遊び様な感覚を覚えました。

そしてタンバリンを壊れるほど打ち付けシンバルをハンマーで叩いて。そこから両手シンバルで水鳥が地に落ちたかのように羽搏いて、床や壁にシンバルを叩きつけて。SPDXの建物自体で音響を鳴らしていました。

演奏を終え、鳴りやまない拍手の中で「Thank you Super Deluxe」か「See you soon Super Deluxe」か叫んで(どちらか聴き取れなかった)。この箱で鳴らす音楽への愛があふれ出たStageでした。

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そしてこの日ラストを飾ったのが道場 (八木美知依&本田珠也)。
道場は素晴らしいアルバムをだしていて、八木さんの電化筝と本田さんのドラムの化学反応を是非一度生で体験したいと思っていたのでした。

そしてこーれが驚愕の凄さ!

八木さんの筝は普通のモノと電化のモノの二つあり、最初は通常の筝とドラムでのジャズ的な交わりだったのですがこの時点でかなり良くて。前衛的というか、筝にスティックを当てて音留めと打音を奏でて。

そして通常筝の音をループさせながら電化筝に移動し、エフェクターバリバリ効かせて!スペースロックじゃないか!そしてさらに本田さんのドラムがまるで丸太で叩いてるんじゃないかってくらいズムズムぶっとく響いて!こいつはパネ過ぎる!最強のロックバンドじゃないか!英国にはZeppelin、米国にはElectric Miles、タイにはKhun Narin's、そして日本には道場がいるじゃないかと…!

”これ通常筝の音でドラム爆発やってくれないかな”と想ってたら最後に電化をループさせながら通常筝をガン弾きしてくれました!そしてやはりドラムヤバ過ぎ!凄すぎた!!!!!

幕間を奏でてくれた生西さんの選曲も素晴らしく、最後のスーデラを素晴らしい記憶で締めくくれました。またどこかで営業して欲しい!六本木のコアは自分にとってはスーパーデラックスでした…!!!

by wavesll | 2019-01-07 05:30 | Sound Gem | Comments(0)

ピエール・ボナール展@新美

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Bathtub - Jacobs Colier & Becca Stevens

国立新美術館へピエール・ボナール展へ行ってきました。
NUDE展で知った浴室画で著名なボナール、実際に彼の奥さんのマルトは1日に何度も入浴をしていたそうです。

『日本かぶれのナビ』と呼ばれた初期。≪庭の女性たち≫は≪白い水玉模様の服を着た女性≫・≪猫と座る女性≫・≪ショルダー・ケープを着た女性≫・≪格子柄の服を着た女性≫と可愛らしい四人の女性の縦長の絵。この印象的な衣服の柄が日本らしさの影響らしかったです。

≪黄昏(クロッケーの試合)≫は緑の鮮やかに深い味わいの逸品。ここもすらりと印象的な服の格子柄が日本の平面的な美があって。

そして格子柄の衣服は≪格子柄のブラウス≫にも≪砂遊びをする子ども≫にも。日本の影響でいうと屏風に描かれた≪乳母たちの散歩、辻馬車の列≫も素敵でした。

めちゃくちゃ長い足の≪白い猫≫やセクシーな≪黒いストッキングの少女≫も好かった。平面的なデザインでいうと≪親密さ≫も。

ボナールとマルトの愛と翳を描いた≪男と女≫、そして明るいのに灰がかって描かれる家族は目をまるで合わせない≪ブルジョワ家庭の午後 あるいはテラス一家≫、そして神秘性のある緑の光景が描かれる≪大きな庭≫も好かった。

そこから『ナビ派時代のグラフィック・アート』の部へ。
ヒットし父に画家になることを認めてもらう契機となった≪フランス=シャンパーニュ≫。ポスターでいうと≪ラ・ルジュ・ブランシュ≫もかっこ良かった。

ボナールの義弟クロード・テラスの『ピアノ曲、家族の肖像』に寄せたリトグラフも素敵で。そしてアンブロワーズ・ヴォラールの戯曲『ユピュ王』に寄せた≪『入院したユピュおやじ』≫と≪『飛行機に乗ったユピュおやじ』≫もユーモラスなクズキャラの可愛さがありました。

ここからボナールによるコダック社のフィルムを使った『スナップショット』の部へ。そこにも展示された1908-10年に撮られた≪浴盤にしゃがむマルト≫の写真は次の部である『近大の水の精(ナイアス)たち』で1918年に描かれた≪浴盤にしゃがむ裸婦≫の元となっていて。

この≪浴盤に沈む裸婦≫では背景となる室内がまるで螺鈿のきらめきのようなパステルが水の輝きを現していて、白黒のフィルムから鮮やかに想像力/感受性が閃光となっていました。

他にも桃色が可愛らしい≪浴室の裸婦≫、それと同じモデルを描いたとみられる≪青い手袋をはめた裸婦≫と≪化粧≫、パステルな壁が印象的な≪バラ色の裸婦、陰になった頭部≫も綺麗で。

けれどもこの浴室の裸婦画たちは、マルトの友人であるルネにボナールが想いを寄せ、それに嫉妬したマルトが結婚を迫り、マルトと結婚した直後にルネが自殺することの後から描かれたという流れがあって。そのエピソードを聴くと多くの浴室画に描かれる裸婦が顔が蔭でみえないところにも何か不穏な情を想いました。

さて、そこから次の『室内と静物「芸術作品ー時間の静止」』の部ではポスターにもなった≪猫と女性 あるいは 餌をねだる猫≫に描かれたマルトのように弾ける笑顔でなくテンションが微妙な表情の人々が描かれて。≪食卓の母と二人の子ども≫もそうだし、≪桟敷席≫もそう。

またテーブルの上の静物画では≪ル・カネの食堂≫や黄色い果実が描かれた≪テーブルの片隅≫が好かったです。

第6部『ノルマンディーやその他の風景』ではモネ≪睡蓮≫への回答とされる灰色の巨大な光景が描かれた≪ボート遊び≫等印象派からの影響が筆遣い等に顕れていくようになって。

紫がうつくしい≪セーヌ川のほとり≫、タッチが勢いを持った≪ノルマンディー風景≫、光の印象が輝く≪日没、川のほとり≫。≪アルカションの海景≫のスナップショットな美。そしてゴッホのように黄色い空が効果を発揮している≪トルーヴィル、港の出口≫も感銘を受けました。

最後の『終わりなき夏』では、これまで展示されてきた現実の情景だけでなく神話的な風景も描かれたものも。

≪水の戯れ あるいは 旅≫と≪歓び≫は一対の、富豪の家を飾った作品で、神話的な情景を装飾性と劇性豊かに描かれた絵画。≪にぎやかな風景≫と≪地中海の庭≫は牧歌的風景からアルカディアへのまなざしがあって。

≪夏≫の緑の光も素晴らしかったし、≪≪村の早春≫のための習作≫の祝祭風景や≪南フランスのテラス≫のコントラストの高い光の景、ル・ボスケ(茂み)という家から見た≪南フランスの風景、ル・カネ≫の美しさ。そして展覧回のラストを飾った遺作の≪花咲くアーモンドの木≫は自分が筆を持てなくなっても指示して隅を黄色く塗らせたという、燃え尽きる命が華々しく焼き付いた美がありました。

ボナールが生きた時代は例えばビュールレコレクション展でみたような印象派の進化、さらにはキュビズムなどのダイナミズムがあった頃でしたが、彼はアヴァンギャルドからは距離を取り、あくまで形象を描き、絵画表現の冒険において非常に品よく、上質の澄まし汁を創るように自らの絵画の旅を行った様にみえました。

その中でもやはり重要なモチーフとして浴室裸婦画があって。50代に達した特質的な境地。彼の人生と関わるきらめきと不穏さ、そして光景への眼差しという、噛み締めれば噛み締める程味わい深い魅力がある画家さんでした。

by wavesll | 2018-12-13 23:53 | 展覧会 | Comments(0)

建築の日本展@森美を建物画像LINKで再構築 環境を思想で設計するArt, 木造模型の魅力

建築と日本展 その遺伝子のもたらすものを森美でみてきました。
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物凄い盛況。確かに建築の展覧会で私が見たなかでは一番面白かったかも。その要因は模型が魅力的だったのも大きくて。木のチカラ。渋谷の空中都市計画とか日本の建築(/計画)はぶっ飛んでる。先日言葉の仮想性について書いたけれども、自然・環境・空間の中で思想藝術を実装するArt作品としての建築の魅力を堪能できました。

建築の展覧会は未だに慣れないことが多くて、”ほええ”といいながらさらっと眺めるだけでも相当に密度の高い展示に湯あたりして。未だ受容体と言うか、掘るためのスコップを研いでいる状態。この記事では後へのメモとして、百点の展示品の建築を、その公式ページ等が存在するものはLinkを貼っておけたらなと想います。



























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≪パワー・オブ・スケール≫ 齋藤誠一+ライゾマティクス・アーキテクチャー
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木・水・石。NATURALの内側からの力をしなやかに開放する日本建築がとても好きになりました。
建物を建てるという事は、本当に細やかな心づかいの上に成り立つことで、と同時にマクロとして空間を造ることも求められて。
相対性理論と量子力学を統合するような、宇宙物理学者のような、理論と実験の究みをみたような感銘を受ける展覧会でした。17日まで。


by wavesll | 2018-09-10 04:53 | 展覧会 | Comments(0)

琉球 美の宝庫展にて尚家の王冠、琉球染織、花鳥と舟の絵画、螺鈿漆器などをみる

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六本木東京ミッドタウンのサントリー美術館にて琉球展をみてきました。
目玉の≪琉球国王尚家関係資料 王冠(付簪)≫だけでなく紅型などの琉球の染織、そして漆器の螺鈿細工など素晴らしい逸品ばかりでとても良かった。

第1章は琉球の染織。≪黄色地松皮菱繋に檜扇団扇菊椿模様胴衣≫・≪染分地遠山に松竹梅模様衣裳≫のTHE琉球な美。≪白地霞に尾長鳥牡丹菖蒲模様衣裳≫の派手渋な美。≪白地鶴に貝藻波模様子ども着≫もビタースウィートなうつくしさ。

そして衣装で特に印象的だったのが≪浅地稲妻に松窓絵散し模様衣裳≫のエメラルドグリーンの稲妻柄。≪緋色地波頭桜樹模様衣裳≫はSplashな柄。≪薄紅麻地総絣衣裳≫はピンクに幾何学文様がまた好くて。≪紺地朱格子経緯絣衣裳≫など、インドからインドネシアや大陸を等を通じて琉球へ入った絣の文化に琉球が文化の要所であったところが偲ばれます。

そして裂地がまた素晴らしくて。≪桜波連山仕切り模様裂地≫の赤黄青緑茶桃の山々の柄、≪花色地瑞雲霞に鳳凰模様裂地≫のピンクの鳳凰、≪水色地流水桜散し模様裂地≫の波に花、≪流水蛇籠菖蒲葵に小禽模様裂地≫の落ち着いた渋クリームに渋グリーンの柄がまた好く、≪流水に菊桜模様白地型紙≫という型紙の展示も興味深かったです。

第2章は琉球絵画の世界。山口〔神谷〕宗季(呉師虔)≪花鳥図≫等の日本の影響もありながらも中国の影響が非常に大きくて。

城間清豊(欽可聖、号 自了)≪白沢之図≫は好い治世の時に現れる人面獣。山口〔神谷〕宗季(呉師虔)≪関羽像≫は青龍偃月刀もかっこよかった。座間味庸昌(殷元良)≪雪景山水図≫は雪舟をも想わせるような中国的な山水画。

琉球絵画で特に素晴らしいのは鳥の画。佐渡山安健(毛長禧)≪花房闘鶏之図≫の鳥のじとーとした目、≪牡丹尾長鳥図≫の尾長鳥の青、≪鷹雀枯木芙蓉図≫の雀を狙う鷹の躍動感あふれる構図も素晴らしかった。孫億≪花鳥図≫は黄赤青の極彩の鳥も美しい。

熱帯の植物的に朝鮮絵画の影響がみられる≪虎図≫は目も印象的で。≪琉球少婦逍遥之図≫は琉球GIRLSといった感じで目がぱっちりしてました。≪喜久村絜聡像≫は久米島の地頭代の肖像画。

琉球絵画では那覇港に来る進貢船の画もとてもよくて。≪進貢船の図≫・≪那覇港図≫の黒と朱の船がとても鮮やかで。≪琉球交易港図屏風≫は進貢船の他ハーリーが那覇港に出航していて首里城下の街の姿が鳥瞰で描かれていて素晴らしかった。

また江戸時代には琉球ブームも起きていて≪琉球人来朝図≫の色彩の美しさよ楽童子の麗しさ。そして葛飾北斎≪琉球八景≫のプルシアンブルーも美しかったです。この≪琉球八景≫を描くにあたって北斎が参考にした周煌≪琉球国志略≫も展示してありました。

そして第3章は琉球国王尚家の美、国宝・琉球国王尚家関係資料が展示してあるのです。

≪王冠(付簪)≫は金銀珊瑚水晶瑪瑙琥珀軟玉が金の鋲で黒地に留めてあって、簪には龍が。極渋彩の輝きに歴史を感ぜられました。

国王の衣である≪紺地龍丸模様緞子唐衣裳≫と冬服の≪赤地龍瑞雲嶮山模様繻珍唐衣裳≫はそのゆったりさが印象的で。この他、金とエメラルドブルーの地が印象的なベルトの≪石帯≫、ウコンで染めたという≪黄組物帯≫、御官庫(ウカンクー)という≪靴≫も履き心地が良さそうでした。

そして≪美御前御揃(ヌーメーウースリー)≫では美しい≪金杯≫・≪銀杯洗≫・≪托付銀鋺≫・≪銀脚杯≫の他ビーズが美しい≪御玉貫≫という徳利に朱色が美しい≪朱漆巴紋牡丹七宝繋沈金御籠飯≫・≪朱漆巴紋牡丹七宝繋沈金足付盆≫が麗しかった。

また茶色にエメラルドグリーンや白などのテキスタイルが描かれる≪御絵図帳≫や、このほか神女が使う≪神扇≫なども展示してありました。

そして第4章は琉球漆芸の煌き。螺鈿細工が真に耀いて。久米島の君南風(チンペー)の≪黒塗菊花鳥虫沈金丸外櫃及び緑塗鳳凰雲沈金丸内櫃≫、金の孔雀の≪黒漆孔雀牡丹唐草沈金食籠≫、朱と黒を混ぜた真紅の漆の≪潤塗花鳥箔絵密陀絵丸形食籠≫、朱の螺鈿な≪朱漆牡丹尾長鳥螺鈿卓≫、栗鼠を象った金細工が凄い≪黒漆葡萄栗鼠螺鈿箔絵箱≫、なんとも豪気な朱の碗な≪朱漆椿密陀絵沈金椀≫など本当に素晴らしいものだらけ!

ここからも銘品が続きます。黒螺鈿龍の広大さな≪黒漆雲龍螺鈿大盆≫と八本の放射な文様がかっこいい≪黒漆雲龍螺鈿大盆≫。鉛ガラスの玉で出来たモザイク画の≪朱漆竹虎連珠沈金螺鈿座屏≫、ガラス棒で出来たストライプの抽象絵画な≪黒漆ビードロ入り山水楼閣螺鈿硯屏≫、円の重なりが格好良い≪黒漆花円文螺鈿合子≫、騎乗の人物が螺鈿で描かれる≪黒漆騎馬人物螺鈿箱≫も良かった。

また徳川家の三つ葵の紋章が螺鈿であらわされる≪黒漆葵紋螺鈿箱≫、黒に虹色の螺鈿画が映える兎が根付の≪黒漆山水螺鈿印籠≫にヘチマの根付な≪黒漆雲龍堆錦印籠≫、堆朱で塗り重ねた≪朱漆樹下人物堆錦印籠≫も良かった。

鳳凰の曼荼羅のような≪朱漆七宝繋鳳凰沈金盤≫、ちっちゃい麒麟がかわいい≪黒漆鳳凰麒麟牡丹密陀絵盆≫、黒にカワセミが映える≪黒漆花鳥螺鈿箔絵密陀絵漆絵盆≫、シックに艶やかなつくりの≪黒漆牡丹唐草螺鈿卓≫、霊的な場へ湯茶や酒を運ぶタークーである≪白檀塗楼閣山水箔絵湯庫≫という作品も文化と美を伝えてくれます。

鳳凰の華麗な姿の螺鈿の≪黒漆桐鳳凰螺鈿東道盆≫、螺鈿細工の葡萄が綺麗な≪黒漆樹下人物葡萄螺鈿沈金八角食籠≫、アシンメトリーな植物の螺鈿画が美しい≪黒漆花鳥螺鈿料紙硯箱≫も良かった。

そして朱の漆器が続いて。≪朱漆山水人物箔絵重箱≫はかわいいし、≪朱漆塗葡萄巴紋箔絵櫃≫は蝶番が印象的。≪朱漆山水人物箔絵東道盆≫は円盤型。≪朱漆花鳥漆絵重箱≫も美しく、≪黒漆山水楼閣人物箔絵革箱≫は渋朱が素晴らしい。≪朱漆山水楼閣人物箔絵東道盆≫は中国的な街並みがオールオーバーに広がって。≪朱漆松岩堆錦煙草入≫はガマ仙人の意匠が面白かった。

デザインを研究した石沢兵吾≪琉球漆器考≫とタトゥー等多岐に研究した鎌倉芳太郎≪琉球芸術調査記録(鎌倉ノート)≫で〆。

本当に芸術は時空を越えていくというか、地場を離れてもこれだけの魅力を放つのかと魅了されました。冒頭に書いてあった「琉球は世界の神梁」というメッセージはしかし要所故に戦火に巻き込まれてしまった歴史をも予見させて。

太平洋戦争で焼失してしまったあまりにも多くの藝術を想うと心が浪立ちます。白沢が出現する様な賢誠な治世が行われることを望んで。このうつくしい藝術たちが後々の世にも伝えて行けるようになればと想います。

by wavesll | 2018-08-27 21:59 | 展覧会 | Comments(0)

六本木ヒルズの巨大蜘蛛 "Maman" の靴下穿いたVer

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by wavesll | 2018-05-10 21:43 | 街角 | Comments(0)