![]() ![]() ![]() 生で観る醍醐味というか「叩かない打音」が響くのがとても刺激的でした。 次にブラスドラムを壊れる程ブラシで叩いて。こちらも鳴らさない打音のアクション。 そこから写真を載せた謎の鉄琴楽器?の天獄な音。金属音ってこの世ならざる感慨を与えるのだなと。無慈悲な天使が闇に遊び様な感覚を覚えました。 そしてタンバリンを壊れるほど打ち付けシンバルをハンマーで叩いて。そこから両手シンバルで水鳥が地に落ちたかのように羽搏いて、床や壁にシンバルを叩きつけて。SPDXの建物自体で音響を鳴らしていました。 演奏を終え、鳴りやまない拍手の中で「Thank you Super Deluxe」か「See you soon Super Deluxe」か叫んで(どちらか聴き取れなかった)。この箱で鳴らす音楽への愛があふれ出たStageでした。 道場は素晴らしいアルバムをだしていて、八木さんの電化筝と本田さんのドラムの化学反応を是非一度生で体験したいと思っていたのでした。 そしてこーれが驚愕の凄さ! 八木さんの筝は普通のモノと電化のモノの二つあり、最初は通常の筝とドラムでのジャズ的な交わりだったのですがこの時点でかなり良くて。前衛的というか、筝にスティックを当てて音留めと打音を奏でて。 そして通常筝の音をループさせながら電化筝に移動し、エフェクターバリバリ効かせて!スペースロックじゃないか!そしてさらに本田さんのドラムがまるで丸太で叩いてるんじゃないかってくらいズムズムぶっとく響いて!こいつはパネ過ぎる!最強のロックバンドじゃないか!英国にはZeppelin、米国にはElectric Miles、タイにはKhun Narin's、そして日本には道場がいるじゃないかと…! ”これ通常筝の音でドラム爆発やってくれないかな”と想ってたら最後に電化をループさせながら通常筝をガン弾きしてくれました!そしてやはりドラムヤバ過ぎ!凄すぎた!!!!! 幕間を奏でてくれた生西さんの選曲も素晴らしく、最後のスーデラを素晴らしい記憶で締めくくれました。またどこかで営業して欲しい!六本木のコアは自分にとってはスーパーデラックスでした…!!!
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by wavesll
| 2019-01-07 05:30
| Sound Gem
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![]() NUDE展で知った浴室画で著名なボナール、実際に彼の奥さんのマルトは1日に何度も入浴をしていたそうです。 『日本かぶれのナビ』と呼ばれた初期。≪庭の女性たち≫は≪白い水玉模様の服を着た女性≫・≪猫と座る女性≫・≪ショルダー・ケープを着た女性≫・≪格子柄の服を着た女性≫と可愛らしい四人の女性の縦長の絵。この印象的な衣服の柄が日本らしさの影響らしかったです。 ≪黄昏(クロッケーの試合)≫は緑の鮮やかに深い味わいの逸品。ここもすらりと印象的な服の格子柄が日本の平面的な美があって。 そして格子柄の衣服は≪格子柄のブラウス≫にも≪砂遊びをする子ども≫にも。日本の影響でいうと屏風に描かれた≪乳母たちの散歩、辻馬車の列≫も素敵でした。 めちゃくちゃ長い足の≪白い猫≫やセクシーな≪黒いストッキングの少女≫も好かった。平面的なデザインでいうと≪親密さ≫も。 ボナールとマルトの愛と翳を描いた≪男と女≫、そして明るいのに灰がかって描かれる家族は目をまるで合わせない≪ブルジョワ家庭の午後 あるいはテラス一家≫、そして神秘性のある緑の光景が描かれる≪大きな庭≫も好かった。 そこから『ナビ派時代のグラフィック・アート』の部へ。 ヒットし父に画家になることを認めてもらう契機となった≪フランス=シャンパーニュ≫。ポスターでいうと≪ラ・ルジュ・ブランシュ≫もかっこ良かった。 ボナールの義弟クロード・テラスの『ピアノ曲、家族の肖像』に寄せたリトグラフも素敵で。そしてアンブロワーズ・ヴォラールの戯曲『ユピュ王』に寄せた≪『入院したユピュおやじ』≫と≪『飛行機に乗ったユピュおやじ』≫もユーモラスなクズキャラの可愛さがありました。 ここからボナールによるコダック社のフィルムを使った『スナップショット』の部へ。そこにも展示された1908-10年に撮られた≪浴盤にしゃがむマルト≫の写真は次の部である『近大の水の精(ナイアス)たち』で1918年に描かれた≪浴盤にしゃがむ裸婦≫の元となっていて。 この≪浴盤に沈む裸婦≫では背景となる室内がまるで螺鈿のきらめきのようなパステルが水の輝きを現していて、白黒のフィルムから鮮やかに想像力/感受性が閃光となっていました。 他にも桃色が可愛らしい≪浴室の裸婦≫、それと同じモデルを描いたとみられる≪青い手袋をはめた裸婦≫と≪化粧≫、パステルな壁が印象的な≪バラ色の裸婦、陰になった頭部≫も綺麗で。 けれどもこの浴室の裸婦画たちは、マルトの友人であるルネにボナールが想いを寄せ、それに嫉妬したマルトが結婚を迫り、マルトと結婚した直後にルネが自殺することの後から描かれたという流れがあって。そのエピソードを聴くと多くの浴室画に描かれる裸婦が顔が蔭でみえないところにも何か不穏な情を想いました。 さて、そこから次の『室内と静物「芸術作品ー時間の静止」』の部ではポスターにもなった≪猫と女性 あるいは 餌をねだる猫≫に描かれたマルトのように弾ける笑顔でなくテンションが微妙な表情の人々が描かれて。≪食卓の母と二人の子ども≫もそうだし、≪桟敷席≫もそう。 またテーブルの上の静物画では≪ル・カネの食堂≫や黄色い果実が描かれた≪テーブルの片隅≫が好かったです。 第6部『ノルマンディーやその他の風景』ではモネ≪睡蓮≫への回答とされる灰色の巨大な光景が描かれた≪ボート遊び≫等印象派からの影響が筆遣い等に顕れていくようになって。 紫がうつくしい≪セーヌ川のほとり≫、タッチが勢いを持った≪ノルマンディー風景≫、光の印象が輝く≪日没、川のほとり≫。≪アルカションの海景≫のスナップショットな美。そしてゴッホのように黄色い空が効果を発揮している≪トルーヴィル、港の出口≫も感銘を受けました。 最後の『終わりなき夏』では、これまで展示されてきた現実の情景だけでなく神話的な風景も描かれたものも。 ≪水の戯れ あるいは 旅≫と≪歓び≫は一対の、富豪の家を飾った作品で、神話的な情景を装飾性と劇性豊かに描かれた絵画。≪にぎやかな風景≫と≪地中海の庭≫は牧歌的風景からアルカディアへのまなざしがあって。 ≪夏≫の緑の光も素晴らしかったし、≪≪村の早春≫のための習作≫の祝祭風景や≪南フランスのテラス≫のコントラストの高い光の景、ル・ボスケ(茂み)という家から見た≪南フランスの風景、ル・カネ≫の美しさ。そして展覧回のラストを飾った遺作の≪花咲くアーモンドの木≫は自分が筆を持てなくなっても指示して隅を黄色く塗らせたという、燃え尽きる命が華々しく焼き付いた美がありました。 ボナールが生きた時代は例えばビュールレコレクション展でみたような印象派の進化、さらにはキュビズムなどのダイナミズムがあった頃でしたが、彼はアヴァンギャルドからは距離を取り、あくまで形象を描き、絵画表現の冒険において非常に品よく、上質の澄まし汁を創るように自らの絵画の旅を行った様にみえました。 その中でもやはり重要なモチーフとして浴室裸婦画があって。50代に達した特質的な境地。彼の人生と関わるきらめきと不穏さ、そして光景への眼差しという、噛み締めれば噛み締める程味わい深い魅力がある画家さんでした。
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by wavesll
| 2018-12-13 23:53
| 展覧会
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建築の展覧会は未だに慣れないことが多くて、”ほええ”といいながらさらっと眺めるだけでも相当に密度の高い展示に湯あたりして。未だ受容体と言うか、掘るためのスコップを研いでいる状態。この記事では後へのメモとして、百点の展示品の建築を、その公式ページ等が存在するものはLinkを貼っておけたらなと想います。 木・水・石。NATURALの内側からの力をしなやかに開放する日本建築がとても好きになりました。 建物を建てるという事は、本当に細やかな心づかいの上に成り立つことで、と同時にマクロとして空間を造ることも求められて。 相対性理論と量子力学を統合するような、宇宙物理学者のような、理論と実験の究みをみたような感銘を受ける展覧会でした。17日まで。
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by wavesll
| 2018-09-10 04:53
| 展覧会
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| 2018-08-27 21:59
| 展覧会
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by wavesll
| 2018-05-10 21:43
| 街角
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![]() 戦後のカストリ雑誌ブームに乗り人気写真家となった林氏の昭和を寫した仕事を視ました。 最も著名なこの太宰の写真、多くの場合トリミングされ長方形なのですが、本当は太宰の目線の先には坂口安吾がいて、今回初公開となった原本では坂口安吾の背中も映っていました。また展示ではこの写真の隣に眼光鋭い坂口安吾の写真もありました。 個人的に印象的だったのは「焼け跡の母子 代々木」で荒涼とした風景に呻き、叫びのように瓦礫に書された「初戀とはナンゾヤ」の文字。母子の小さな背中と共に胸を締め付けるものがありました。 この他、ショーガールが屋上で寝そべる様子を撮った「日本劇場の屋上 銀座、1947」なんて当時の文化風俗を刻む写真たちが展示されていました。 現在開かれている第一部は5/31までで、6/1からは第二部が展示されるそう。六本木の東京ミッドタウンへ行く際などにオススメしたい写真展でした。
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by wavesll
| 2018-05-05 19:38
| 展覧会
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by wavesll
| 2018-05-05 15:20
| 展覧会
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![]() エミール・ゲオルグ・ビュールレという希代のコレクターがその財をもって集めた珠玉の作品達。そのコレクションは印象派を中心に、その百数十年前における印象派的な感性の萌芽から、印象派を経てモダンアートへ至る美術の遷移を顕わしていました。 最初のセクションは「肖像画」。古典的なモチーフに於ける前・印象派の中で、印象派に通じる感性を「未完の完」で顕わします。 フランス・ハルス≪男の肖像≫は、その素早い筆致から当時は「この絵は出来上がっていない」と不評だったのですが、後年「モダン・アートの先駆けだ」という評価になった作品。 当時の肖像画はジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル≪イポリット=フランソワ・ドゥヴィレの肖像≫のように隙なく高精細な輝きが目を奪う流れだったところ。同じくアングルの≪アングル夫人の肖像≫のように服のタッチが粗いのは未完だったのが普通。そこを面白がるというのが印象派以降の感性の為せる技。 ここでは幻想的な精神が描かれたアンリ・ファンタン=ラトゥール≪パレットを持つ自画像≫やピアノからふと振り返った様を描いたエドガー・ドガ≪ピアノの前のカミュ夫人≫も良かったです。 次のセクションは「ヨーロッパの都市」。前・印象派に於いてもフランチェスコ・グァルディ≪サン・マルコ沖、ヴェネツィア≫のように水面や空の瞬きに主眼が置かれる絵画でありました。 そして≪カナル・グランデ、ヴェネツィア≫という超高精細な絵を描いたアントーニオ・カナール(カナレット)がリアルに描いた≪サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、ヴェネツィア≫と同じトポスをパステルな点描で画いたポール・シニャック≪ジュデッカ運河、ヴェネツィア、朝(サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂)≫を並べることで絵画技法の変遷が鮮やかに示します。 またアンリ・マティス≪雪のサン=ミシェル橋、パリ≫という、パブリックイメージとは異なるマティスに於ける印象派な作品も展示してありました。 そしてセクション3は「19世紀のフランス絵画」。カミーユ・コロー≪読書する少女≫は少女がふと読書しているさりげない瞬間を描いている作品。こうした「ひととき」を捉えたスナップショット的な感性は印象派の一つの支柱となる萌芽でした。 ギュスターヴ・クールベ≪狩人の肖像≫はRPGのステータス画面を想起させるような横顔像。ウジェーヌ・ドナクロワ≪モロッコのスルタン≫は画家本人が訪れたという異国の悠然とした将を描いた作品。ピエール・ピュディス・ド・シャヴァンヌ≪コンコルディア習作≫は後進に大きな影響を与えた画家の初期の成功作。 そしてエドゥアール・マネ。≪オリエンタル風の衣装をまとった若い女≫はだらしない白い肢体の艶、中央の二人が主眼ではなく飛び征く≪燕≫こそが書きたいというのが先進的な感性。≪ワシミミズク≫もスナップ写真的な一枚でした。 そしてセクション4は「印象派の風景」。カミーユ・ピサロ≪ルーヴシエンヌの雪道≫は雪が放つ光を描いたまさしく印象派な一枚。アルフレッド・シスレー≪ハンプトン・コートのレガッタ≫は舟の直線としてのヴィジュアルが面白い一枚。エドゥアール・マネ≪ベルヴの庭の隅≫はマネとしては珍しい印象派的な画風の作品。上に書いたマティスもそうですが、画家の”らしくない逸品”を揃えるところがビュールレのマニアックなツボを突くコレクターとしての美点を感じました。 そしてビュールレにとっても特別な画だったというクロード・モネの≪ヴェトゥイユ近郊のヒゲナシ畑≫が素晴らしくて!荒い筆致で画かれた空と精細な筆致で画かれた赤いヒゲナシ畑の明度のコントラストが大きな印象をもたらします。モネでは≪ジヴェルニーのモネの庭≫も咲き誇る花の華が素敵でした。 第5セクションは「印象派の人物」。ここでは何と言ってもメインヴィジュアルであるピエール・オーギュスト・ルノワールの≪イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)≫。遠目では愛らしい美少女だったのが、近づくほどに内面からクール・ビューティーさが湧き出でて。当時ダンヴェール家には不評だったというこの絵、それは精密な絵画を期待されていたからというのもあったそうですが、子どもに潜む冷たさが画き出されたというのもあるかもしれません。 ルノワールは≪夏の帽子≫でも明るさの中に冷たさのある少女を描いていて、豊潤でふくよかな≪泉≫の大人の女性像とは対照的でした。子供に潜む”怖さ”という点ではエドガー・ドガ≪リュドヴィック・ルピック伯爵とその娘たち≫もそう。ドガは他にも≪出走前≫という競馬の一幕を描いた作品や逆光で体のラインが透ける≪控え室の踊り子たち≫、銅像に本物の服を着せた≪14歳の小さな踊り子≫も展示してありました。 セクション6は「ポール・セザンヌ」。≪聖アントニウスの誘惑≫のダークで肉感的な画面。捻った性格も伝わる≪扇子を持つセザンヌ夫人の肖像≫、同じくメイン・ヴィジュアルにも使われた≪赤いチョッキの少年≫は青い画面なのだけれど、少年にライトが当たったような明るい輝きが感ぜられました。≪パレットを持つ自画像≫はいかにも人が良さそう。晩年に良く取り組んだモチーフである≪庭師ヴァリエ(老庭師)≫は20世紀後半のデザイン性というか、かっこいい渋みのある逸品でした。 セクション7は「フィンセント・ファン・ゴッホ」。彼の十年の画業を初期の≪古い塔≫から魅せていきます。≪自画像≫は頬がこけて悲しそうだけれど内面の焔なオーラが込められた一枚。≪アニエールのセーヌ川にかかる橋≫は新たな印象派といった印象で汽車が好い感じ。 そして≪日没を背に種まく人≫の衝撃。印象派の絵は遠目で観た方が綺麗に見えたりするのですが、ゴッホの絵は近づくほどに迫力が増して。巨大な黄色い太陽の円、浮世絵から影響を受けた中央の林檎の枝幹。人物は黒緑に厚塗りされ、地面は紫、空は黄緑、雲は桃色。圧倒されました。 そして≪二人の農婦≫でさらに飛躍。波打つ畑と空。白く抜かれた二人の農婦。生で観るとこんなにもヴィヴィッドな絵だったのか…!≪花咲くマロニエの枝≫も”これぞゴッホ”という名画でした。 第8セクションは「20世紀初頭のフランス絵画」。アンリ・トゥールーズ=ロートレック≪コンフェッティ≫は広告のための習作。白に明るい差し色が入って好い奴でした。パブロ・ピカソ≪ギュスターヴ・コキオの肖像≫は≪庭師ヴァリエ≫のようなカッコよさを持つピカソによるポスト印象派な一枚。 エドゥアール・ヴュイヤール≪訪問者≫は家に帰ってきて外套も脱がずにちょっと腰かけて休む様子が描かれた一枚。ピエール・ボナール≪アンブロワーズ・ヴォラールの肖像≫はきゅっとすぼんだ表情が面白い一枚。 ポール・ゴーギャンによる≪肘掛け椅子の上のひまわり≫は当時ゴッホと交換したというひまわりのモチーフが南洋の湿度・昏い熱気に在る一枚。ゴーギャン≪贈りもの≫は現地の女性の菩薩のような褐色の肉体性が心に馴染みました。 そして第9セクション「モダン・アート」。アンドレ・ドラン≪室内の情景(テーブル)≫はゴッホとキュビズムの間のような鮮やかな色彩の存在感と、空間存在が起ち上がる一枚。 ジョルジュ・ブラックは≪レスタックの港≫は印象派の点描的な表現の先となる線画。≪ヴァイオリニスト≫でキュビズムを描き、≪果物のある静物≫では切り絵のような静物画に辿り着いていました。 そしてパブロ・ピカソ。≪イタリアの女≫は図画的な筆致の絵画を切り拓く一枚。そして≪花とレモンのある静物≫はまさにピカソな、彼ならではのカクっとした描線の迫力ある一枚でした。 そして最終セクション10ではクロード・モネ≪睡蓮の池、緑の反映≫が。発表当時≪睡蓮≫は世間から評価を受けていなかったのですが、ビュールレはその慧眼から価値を見抜き、購入します。後のジャクソン・ポロックのオールオーヴァーに通じるような筆致。17世紀中盤からみてきたこの絵画の変遷は”その先”を予感させながらここに幕を閉じました。 この一大物語をみて想うのは印象派は一人の天才がすべてをかっさらっていったのではなく、天才達の群体によって営まれた芸術のムーヴメントだったということ。そしてその中からゴッホやピカソのような突然変異な爆発が揺籃されて。革命の歴史叙事詩に於ける様々な人のきらめく熱を感じる、本当に全てに見どころのある名展覧会でした。
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by wavesll
| 2018-04-21 02:46
| 展覧会
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![]() 今年は郷さくら美術館で桜花賞展をみたり、苺スパークリングを片手に目黒川を歩いたり文化的に桜を楽しんだ春となりました。 そんな締めくくりとして、六本木一丁目・住友不動産六本木グランドタワーにてMirrorBowlerによる和紙桜をみてきました。 それに合わせたいのは来日コンサートも盛況だった「中世アイルランドの音楽を現代に甦らせる」というコンセプトの下、1987年にダブリンの作曲家マイケル・マクグリンによって結成された男女混声の合唱団 Anunaによる「さくらさくら」。 アイリッシュ合唱にリファインされた「さくらさくら」の霊妙なゆらめきが、うつりゆくミラーボールな桜のインスタレーションのきらめきとのコントラストが新しい倭として美しい。 こうして季節を楽しんでいけたら。これからも『葉桜の季節に君を想うということ』な時季ですね。
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by wavesll
| 2018-04-09 00:32
| La Musique Mariage
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![]() 桃山と元禄という華美な文化の間にある寛永は、小堀遠州が究めた「きれい錆び」が代表する”きれい”な美意識の文化。この展覧会では小堀遠州、野々村仁清、狩野探幽、そして後水尾天皇を軸に寛永のエレガンスをみせてくれました。 先ず入ると仁清、遠州、探幽の銘品が。 メインヴィジュアルにも使われた野々村仁清≪白釉円孔透鉢≫は色絵の印象が強かった仁清のイメージを更新しながら現代的ともいえるフォルムの存在感が素晴らしい逸品。 そして小堀遠州。≪瀬戸肩衝茶入 銘 飛鳥川≫は本体もさることながら入れ物の蓋に描かれた「飛鳥川」の文字の素晴らしいこと!特に「川」が好い。袋も素晴らしかった。 さらに狩野探幽≪桐鳳凰図屛風≫はエメラルドグリーンの火の鳥達に感銘を受けて。背景のゴリっとした筆致も快いギャップで。鳳凰たちの表情が魅力的でした。 そして次に展示されたのが本阿弥光悦筆・俵屋宗達画≪蓮下絵百人一首和歌巻断簡≫・≪蔦下絵新古今集和歌色紙≫。本当にこの展覧会は心をとらえる書が多くて。HIPHOPで言う所のリリックというよりフロウとしてもとても楽しめるものばかりでした。 そして本阿弥光悦≪赤楽茶碗 銘 熟柿≫と道入≪黒楽四方茶碗 銘 山里≫が展示されて。茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術 at 東京国立近代美術館でも強い印象を残してくれた樂焼き、今回ももったりとはんなりとした柿の熟した様子と漆黒に浮かぶ金色の山が素敵でした。 また松花堂昭乗画 安楽庵策伝賛≪安楽庵策伝像≫は落語の祖とも言われる安楽庵策爺を描いた掛け軸で、上に書かれた賛の字の美しさ、さらには下の安楽庵策の画と余白の”チョウドイイ”感。なかなかの品でした。 ここから後水尾天皇に纏わる展示。 ≪後水尾天皇宸翰「忍」≫ は忍ぶ心の裡にある苛烈な心を強く感じて。≪後水尾天皇宸翰「一貫」≫は「一」の残心が凄かった。論語「一以貫之」の精神が強烈に現れていました。 園基福詞 住吉如慶画≪源氏物語画帖≫は雅でシャープな筆運びが素晴らしかった。また≪近江八景歌書箪笥≫は東園基賢筆の源氏物語を入れるための箪笥。金細工が素晴らしかったです。 そしてここから”本当にこういう字体が俺は大好きなんだ”という私的名筆が続いて。≪仙洞三十六番歌合≫、後水尾天皇講 飛鳥井雅章記 奧書 霊元天皇筆≪伊勢物語聞書≫、後水尾天皇講≪詠歌大概御抄≫、後水尾天皇講 霊元天皇筆≪百人一首御講釈聞書≫の流麗・美麗な書に惚れ惚れしました。 また≪小袖屛風 白綸子地鳥字繋模様絞縫小袖≫は「水」と「鳥」の字が丸に描かれて斜め掛けに連打されるすこぶる面白い着物。これはなかなか新感覚でした。≪銹絵染付菊七宝文茶器≫はヨーロッパでも中国でもない江戸のデザインを感じさせられ、≪御切形茶碗≫の落ち着いた中できらりと光る美も良かったです。 松花堂昭乗画 松花堂昭乗賛・江月宗玩・小堀遠州≪蕣図≫はすっと宙に生え浮かぶ黒朝顔。を始めとしてここからは小堀遠州による”遠州好み”の品々が並びます。 ≪油滴天目茶碗 芙蓉台添≫は藤原定家≪桜ちるの文≫と共に当時飾られたそうですが、闇に舞い散る桜の花弁というきらめきで美しかった。本阿弥光悦≪膳所光悦茶碗≫は何とも言えないたわみが良くて。本阿弥光悦≪膳所光悦茶碗≫は虎を買うような色味がある斑点が素敵な一品。 ≪高取面取茶碗≫はドーナツに欠けられたチョコレートのような質感の釉薬。≪染付花唐草文茶碗≫は内部の釉薬がかかっていない部分も狙いなのではないかと思わせる遠州のWANNA. ≪瀬戸肩衝茶入 銘 春山蛙声≫はコマのような明快な形の色の深みが魅力的。 ≪高取茶入 銘 横嶽≫は遠州高取の完成形であり、その黒に滲むメタリックな虹色味が美しくて。≪祥瑞蜜柑水指≫は胴が凹んでいる現代的ともいえそうなフォルムの染付。染付は利休・織部は使っていなかったらしく、遠州独自の道だとか。 ≪青貝布袋香合≫は螺鈿の布袋様。そして小堀遠州≪共筒茶杓 銘 玉川≫の素晴らしさ。やっぱりこの人の字、物凄く魅力的。やはり特に「川」が古代文字のような風格で素晴らしい。 ここから野々村仁清とその師である金森宗和の展示。宗和に師事していた頃は落ち着いた作風だった仁清は宗和の死の後で色絵へ移っていったことがみてとれました。 野々村仁清≪呉器写茶碗 銘 無一物≫は高麗茶碗の写しでたわみの美、灰色の美もあって。野々村仁清≪数天目≫十八口のうち三口のぴりりと光る天目の美。野々村仁清≪白濁釉象嵌桜文茶碗≫はなんとも言えない藍白の色味が素敵で。刮目の出来でした。 野々村仁清≪色絵蓬菖蒲文茶碗≫の美しい翠、そして野々村仁清≪色絵紅葉賀図茶碗≫の素晴らしさ。金縁で画かれた紅葉と火炎太鼓?と旗の素晴らしい茶碗でした。 野々村仁清≪黒釉色絵金銀菱文茶碗≫は金銀菱も素晴らしいけれどその上の青緑が美しくて。黒に映えていました。野々村仁清≪色絵花輪違文茶碗≫は丸い朝顔のような色違いの花々がちょっと妖しさもあるような美を放っていました。 野々村仁清≪黒釉金彩肩衝細茶入≫は黒い幕に割かれた白い富士が印象的な自然でオリジナルな作品。野々村仁清≪色絵鱗波文肩衝茶入≫はエメラルドとゴールドの鱗波が白に映える作品でした。 野々村仁清≪鉄釉輪花口水指≫の逆瓢箪で、口のギザギザさは、エジプトみたいなウサギの立体があしらわれた≪信楽写兎耳付水指≫にも通じて。 野々村仁清≪唐津写建水≫は公家好みの落ち着いた作品。野々村仁清≪白地鉄釉流鍬形花生≫は兜の前立ての鍬形の見立ての器。そして野々村仁清≪流釉花枝文平鉢≫はぐにゃりの極み!こーれは素晴らしかった!!!このフォルム意識、凄ぇなぁ日本人の美意識の水準は、と。 最後は狩野探幽の章、狩野探幽が所持していた野々村仁清の≪色絵菊文茶碗≫といった品も。 狩野探幽≪竹林七賢・香山九老図屏風≫は七賢・九老を山水画のように描いた逸品。そして狩野探幽が中国の絵画に学び自分流に描きなおした≪学古図帖≫や彼が画いた≪狩野探幽 仏像祖師仙人花鳥獣画冊≫も素晴らしかった。 今回の展示、狩野探幽もさることながら、野々村仁清は石川県立美術館で観た≪色絵雉香炉≫、≪色絵雌雉香炉≫を更新する金森宗和期を含めた全貌がみれたのも嬉しいし、小堀遠州が打ち立てた”きれい錆び”の遠州好みという美意識の魅せに、プロデューサー、キュレーターとしての究極の趣味者としての姿に憧憬を抱かされました。会期は今週末まで、なかなかの小粋な展覧会でした。
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by wavesll
| 2018-04-06 21:30
| 展覧会
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