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トルコ至宝展 チューリップ(ラーレ)の宮殿 トプカプの美@新美

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「トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美」を新美にてみてきました。

イスタンブールでトプカプ宮殿を訪ねた時、工事で宝物殿が閉まっていて、今回日本でのトプカプ宮殿展の開催は嬉しい驚きでした。


本展は何しろ最初の間がクライマックス。金・ダイヤモンド・ルビー・エメラルド・真珠・七宝と贅をつくした≪ターバン飾り≫や、ズドンとした存在感の≪スルタン・マフムート2世の玉座(支配者の肘掛け椅子)≫がのっけから凄くって。

≪スルタン・アブデュル・ハミト2世の花押(トゥーラ)≫の黄金や≪スルタン・ムラト4世玉座図≫ではピンクのうるわしさがまた良くて。

そして≪スルタン・メフメト4世の宝飾短剣≫はなんと柄がエメラルド!≪儀式用宝飾水筒≫も金銀財宝がぎっちり。≪宝飾兜≫もアラビア文字が美しく、≪立法者スルタン・スレイマン1世の刀剣≫は鳥と花、植物、文字で金色に彩られ、メフメト作≪直刀≫は赤い珊瑚やトルコ石・ダイヤモンドが美しく、≪柳装飾の盾≫も紅に美しかった。

また≪カフタン≫という上着や≪スルタン・ムラト4世のシャルヴァル(ズボン)≫、≪皇子用のカフタンとチャクシュル(靴付きズボン)≫、真珠母貝や銀金で彩られた≪ベルト≫、≪射手用指輪≫や≪射手用箙≫もエメラルドやルビーできらめき、碧玉、金、ルビー、エメラルド、七宝で輝く≪宝飾筆箱≫や黄金の法具のような≪宝飾手鏡≫に翡翠が美しい≪宝飾翡翠カップ≫、そして七宝やルビー、エメラルド、トルコ石の≪壁掛け時計≫と宮廷のエクスクルーシヴな暮らしがみえます。

そして今回の展覧会で初めて知ったのはオスマン帝国のチューリップ文化。チューリップはアラビア語でラーレと言いますが、この文字を組み替えるとアッラーにもなり、アラビア文字の数字の加算でもアッラーと同じになり、さらにはスルタンの属するカユ族の紋である三日月(ヒラール)の意味にもアナグラムで成るという。様々なアイテムにチューリップの意匠が使われて。

≪兜≫はゴールデンチューリップ。≪長靴≫はネオンサインみたいだし、≪付袖≫のスリーヴに、≪宝飾吊るし飾り≫は水晶が凄い。銀金に象牙も使われた≪宝飾ベルト≫に≪バックル付きベルト≫も美しい。≪鞄≫、≪ピストル・ケース≫もシンプルに美しいし、≪新生児用掛布団≫もチューリップ柄。≪ハサミとケース≫も麗しく装飾されて。ガラス製の≪吊るしランプ≫や象牙の≪葦ペン削り板≫や赤珊瑚の≪匙≫も素晴らしかった。

また文物も展示してありました。ルーミー文のチャケリー≪詩集のワニス塗り表紙≫を初めとして、アブドゥッラー・ブハーリー≪ピンク色の燕尾型チューリップ≫や≪論文集≫、メフメト・ラースィム≪スルス書体・ナスフ書体のアルバム≫、≪『偉大なる祈り』(Hizb el-Azam)の花束文様≫、デルヴィーシュ≪バラ色の燕尾型チューリップ≫、メフメト・アシュキー≪『チューリップ花暦』(Riale-i Takvim-i Lale)≫や≪『書道手習い本』(Elifba Cuzu)≫にセイイド・ハーフズ・ヒュセイン・ルトフィー・ザーラーヴィー≪『善のしるし』(Delail-i Hayrat)≫、ムスタファ・ハリーム・オズヤズジュ≪ナスフ書体扁額≫も、美しいカリグラフィと植物の輝き、そして淡いピンクの遣い方が非常に印象的でした。

ここから器などのパート。一番印象的だったのは、トプカプ宮殿でみて”おっ!これは面白い”と想っていた中国の陶磁器にオスマントルコで宝石を埋め込んだ≪染付宝飾皿≫・≪宝飾碗≫・≪染付宝飾碗≫・≪宝飾皿≫。黒と金の≪亜鉛製皿≫もなかなかだったし、イズニクのタイルのキャプションにはイスタンブルでみたスレイマニエモスクをつくった建築家ミマール・スィナンの記述も。時が下るとタイルの産地はイズニクからキュタフヤに遷ったそうです。

紅に輝く≪聖遺物用箱≫や≪聖遺物(髭)用風呂敷≫にはメヴラーナ美術館で観たムハンマドの髭を思い出して。≪礼拝用敷物(セッジャーデ)≫や丁寧な暮らしを思わせる≪ナプキン≫、エメラルドブルーにピンクの≪香炉≫にムハンマドの香りだという≪バラ水入れ≫、≪七宝製バラ水入れ≫はパステルで、≪エディルネ木画の葛籠≫には魔法的な幾何学模様が。螺鈿っぽい加工がしてある≪梯子≫や≪サイド・テーブル≫には宮廷のハイクオリティさをみて。アフリカの夕景のような≪ザール・ベルデ(壁用カーテン)≫、ピンクの七宝にクリスタルガラスな≪水タバコ≫、≪スルタン・アフメト3世肖像画≫の細密描写。

1/20スケールで銀と木でつくられた≪スルタン・アフメト3世の施水場模型≫、ベイコズ・ガラスでつくられた≪チューリップ用花瓶(ラーレ・ダーン)≫に外で使われたという≪サーイェーバーン(日陰テント)≫、≪靴下≫も花柄、花の意匠をつけた≪轡≫なんてのもありました。

そして≪スルタン・スレイマン1世のものとされる儀式用カフタン≫や≪染付カラック(芙蓉手)様式皿≫や植物がみずみずしくカラフルに描かれたヨーロッパやフランスの≪皿≫や取っ手がカクカクしている≪コーヒー・セット≫。ドイルからは絵画にも描かれた≪備え付け時計≫、フランスからは三角形の文様の≪暖炉時計≫がありました。

そして最後の間はトルコと日本の交流。エルトゥールル号の義援金を持って行った山田寅次郎が著した≪『土耳古畫觀』≫に寅次郎が持って行った≪金太刀≫、さらにはドルマルクチェ宮殿に展示されている鹿が画かれた有田焼の≪花瓶≫に龍と鳳凰のデザインの有線七宝の≪花瓶≫に鳩の有線七宝の≪花瓶≫、皇室からスルタンへ贈られた≪勲章(大勲位菊花大綬章)≫、オスマン帝国から贈られた≪紫天鵞絨地花文刺繍卓被≫がありました。

最初の間の密度で絢爛豪華さが続いたらもっと凄まじかったなとは思いつつ、オスマン帝国宮廷とラーレ(チューリップ)の関係やピンクの水彩の美しさなどトルコへの想いを掻き立てられる展示でした。

by wavesll | 2019-04-05 01:34 | 展覧会 | Comments(0)

新・北斎展 HOKUSAI UPDATED@森アーツセンターギャラリー

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北斎研究家の故・永田さんによるコレクションを元にした。春朗、宗理、北斎、戴斗、為一、画狂老人卍の全期に渡る展覧会。ラス日に滑り込みみました。

第1章春朗期にも面白い作品が。≪「新板七へんげ 三階伊達の姿見 沢村宗十郎」≫は着せ替え出来るつくり。≪熊に団子を与える金太郎≫はふっくらと逞しい。≪「浅草金龍山観世音境内之図」≫は遠近法的。≪「浮絵一ノ谷合戦坂落之図」≫も上手いし、≪「浮絵忠臣蔵夜討之図」≫や≪「風流子供遊五節句 さつき」≫なんて作品も。

≪「能登守教経勇力」≫や≪「梶原源太景季」≫も良かったし、磯子から江ノ島までのパノラマを描いた≪鎌倉勝景図巻≫には大仏も。≪『前々太平記』≫や≪市村座絵本番付≫、≪『昔々桃太郎発端話説』≫の鳥人も面白かった。

そして第2章宗理期。

≪「すみたかハ」≫の傘の描写。≪「ぎやうとくしほはまよりのぼりとのひかたをのぞむ」≫と≪「よつや十二そう」≫のうねる風景描写。≪成身院童子経曼荼羅≫のカミの描写。首を伸ばす二匹と一匹の≪亀図≫にはほっこりしました。≪合筆 所作事尽≫も美人でした。

≪玉巵弾琴図≫の龍と西王母の対峙。≪美人愛猫図≫は胸元の猫が色っぽい。≪娘図≫はリラックスした現代的なポーズ。≪大原女図≫と≪京伝賛遊女図≫はさっと画いた線が素敵。≪来燕帰雁図≫の燕の胸のふっくらした様子がまたいい。≪見立浅妻舟図≫はジブリ『かぐや姫の物語』のよう。≪福助図≫なんて奇妙な画も。≪寿亀図≫のカメもやはりいい。≪柳下傘持美人図≫の着物のドットがまたいい。

≪『柳の絲』≫にはポニョの波をみて。≪『春の戯うた』≫はハイ。≪『絵本隅田川両岸一覧』≫はイスタンブールの風景みたいだし、≪津和野藩伝来摺物≫は武家の一年の暮らしを彩りきりとったスナップ集。

そして愈々第3章 葛飾北斎期。

≪「新板浮絵富賀岡八幡宮之図」≫と≪「新板浮絵神田明神御茶の水之図」≫は見知った土地が描かれているのが面白くて。≪しん板くミあけとうろふるやしんミセのづ≫は江戸のペーパークラフトで、湯屋の描写に道後温泉を思い出しました。

≪吉原遊郭の景≫の五枚綴りの美女たち。浮世絵の女の顔は萌え絵にも似た定型性があるなぁ。≪鳥羽絵集 門付͡瞽女≫のしこめ。≪鳥羽絵集 見立礼拝≫や≪「風流おどけ百句」つくね芋・むかひ酒・つつはらみ≫も良かった。≪謎かけ戯画集 鍋の中・手習子・江戸子≫なんて謎々な作品も。

≪「風流源氏うたがるた」≫もいいし、≪在原業平≫の太ペンな筆さばき。

≪雨乞小町≫のかっこいい美人図に≪「かな手本忠臣蔵」≫のキャプションでは北斎のお母さんは吉良方の家臣の孫だったという歴史のつながりの驚きを知って。≪富士見西行≫のいい顔。≪狂歌師像集 夷歌守・棚珎厚丸・三條小判志・山寶亭長尉斗・太羅多欄油小売安方・八声明近・柏古枝・一丁亭羽狩≫の太羅多欄油小売安方の帽子が良かった。

≪人形図≫はまるでいきているみたい。≪扇に桜図(校合摺)≫は輝くばかり。≪五美人図≫はツヤがいい。

≪猿図≫は擬人化された神の使いとしてのサルが。≪宝尽くし図≫はめでたい意匠が擬人化のように配置されて。

≪布袋図≫では人をダメにするソファでのほんわかした図が。≪相撲玩具で遊ぶ童子≫も可愛らしい。≪茶筅売り図≫の千成瓢箪のようなプレゼンテーションが良かったし≪鯉亀図≫は自在置物の様。

≪『復讐奇話 絵本東嫩錦』≫や≪『阿波之鳴門』≫も良かったし≪『新編水滸画伝』初編初帙≫の大蛇、馬琴とタッグを組んだ≪『鎮西八郎為朝外伝 椿説弓張月』前編≫や中国拳法みたいなポージングの≪『飛騨匠物語』≫、竜女がかっこいい≪『勢田橋竜女本地』≫に、≪瀬川仙女追善集『露の淵』≫も良かった。

北斎期でも開花し始めていますが、ファンタジックな筆致が第4章戴斗期では全開になって。

≪鴛鴦図≫の感情が見えるような筆運び。≪寿老人図≫のなんとも極楽な絵図。≪花魁図(画稿)≫の流し目がいい。≪芋の図≫なんて逸品も。アサヒビールを想起w

そして≪『北斎漫画』≫。あらゆるものを描いたこの絵手本帖の展示では版木もありました。

≪『北斎漫画』四編≫では天狗や竜、≪『北斎漫画』五編≫の葵上などの伝説の人物、≪『北斎漫画』六編≫の銃、≪『北斎漫画』十編≫の仙術、≪『北斎漫画』≫十一編の毘沙門天のでっらかっこよさ!≪『北斎漫画』十二編≫のギャグに≪『北斎漫画』十四編≫にはアザラシも。万物を描いたこのデザインは≪鐔・印籠・根付・目貫≫と工芸にメディアミックスも。

また絵手本では≪『己痴羣夢多字画尽』前編≫や≪『略画早指南』≫、≪『画本早引』前後編≫は子どもでも楽しめそうなデフォルメが。≪『三体画譜』≫や≪『伝神開手北斎画鏡』≫も良かった。

イカ、カレイ、イセエビが画かれた≪『北斎画式』≫もいいし、≪『今様櫛キセル雛形』≫に≪『新形小紋帳』≫のデザインもいい。≪『忠義水滸伝画本』≫のバトルポーズ、≪『和漢絵本魁』≫の土蜘蛛との闘い、北条時政が大蛇と対峙する≪『絵本武蔵鐙』≫、≪『絵本早引 名頭武者部類』≫や≪『絵本和漢書』≫、≪『画本彩色通』≫、円の≪『諸職絵本新鄙形』≫も奇想でした。

第5章 為一期。ここにてさらなる画の展開をみせます。

≪富嶽三十六景≫は太田記念美術館でみていたので≪「富嶽三十六景 隅田川関屋の里」校合摺≫があったのが嬉しかった。

≪「諸国名橋奇覧 山城あらし山吐月橋」≫の穏やかな名景。≪「諸国名橋奇覧 摂州阿治川口天保山」≫の山河一体ぶり。≪「諸国名橋奇覧 かうつけ佐野ふなはしの古づ」≫のくいっと曲がるカーヴ。≪「諸国名橋奇覧 かめゐど天神たいこばし」≫の良さに≪「諸国名橋奇覧 足利行道山 くものかけはし」≫の虚空さ。

≪「諸国瀧廻り 和州吉野義経馬洗滝」≫と≪「諸国瀧廻り 東海道坂ノ下清滝くわんおん」≫のいなたい感じも良かった。

≪「奥州塩竈松嶌之畧図」≫の島々、≪「千絵の海 甲州火振」≫の水描写、≪「千絵の海 絹川はちふせ」≫の波の表情、≪「千絵の海 相州浦賀」≫の磯の表情。

≪「琉球八景 筍崖夕照」≫の宙に浮かぶ嶋、≪「琉球八景 城嶽霊泉」≫の中国風の景、≪「琉球八景 中島蕉園」≫の芭蕉の南国さ。

≪紫陽花に燕≫の紫陽花の乾いた美に≪菊に虻≫の湿度の美。≪雪の松に鶴≫のレインボーさ。

≪「百物語」 笑ひはんにゃ≫のエグい笑み。≪「百物語 お岩さん」≫≪「百物語 さらやしき」≫、≪「百物語 こはだ小平二」≫のデロリと肉が落ちる様。

≪詩哥写真鏡≫のシリーズも良かった。≪詩哥写真鏡 伯楽天≫の天空へ浮かぶ山、≪詩哥写真鏡 清少納言≫の覗く輩たち。≪詩哥写真鏡 春道のつらき≫の山と川の対比。≪「詩哥写真鏡 少年行」≫・≪詩哥写真鏡 木賊刈≫も良かった。

≪「鎌倉江の島大山 新坂往来双六」≫には渋谷や二子、川崎、厚木など見知った土地が描かれていてほんと時空が繋がる気がして。

≪「馬尽 轡町」≫の小人さ≪「馬尽 竹馬」≫や≪羅漢図≫も良かった。

≪六歌仙図≫が半ば立体的にも見えるような北斎の色彩画。これホント北斎が辿り着いた世界だなぁと。

≪工芸職人用下絵集≫と≪未刊絵手本版下絵≫もしみじみと良くて。≪『絵手本訓往来』≫や≪『花吹雪縁柵』≫、≪『出世奴小万之伝』≫、≪『唐詩選画本 五言律』≫と≪『唐詩選画本 七言律』≫も充実してました。

そして頂へ、第6章 画狂老人卍。

≪「唐土名所之絵」≫。なんでこんな地図だけなのにアートになるのか、スゴい!さらには≪「地方測量之図」≫という測量士たちをモチーフとした画も。なんて題材選びだw!≪雪中筍掘りの図≫なんてテーマもw

そしてこの展覧会で最も心動かされたのが≪田植図≫。笠のリズム、ドットの美、そして不思議な、ちょっと怪しさすら感じるオーラが『田植え』という画で展開される。こーれは画狂老人卍だけが辿り着けた世界だったなぁ。

≪向日葵図≫のジョジョ感。≪狐狸図≫の淡彩な僧侶。のんべえな≪鬼図≫もいいし、絶筆の≪富士越龍図≫はあらためていい。竜だと≪『画本葛飾振』(版下絵)≫も良かったし、≪『訂正補刻 絵本漢楚軍談』第二輯≫の女たちに≪『釈迦御一代記図会』≫や≪『画本千字文』≫にコミカルな≪『絵本忠経』≫に≪『絵本孝経』≫も良かった。

また≪鶴屋金助宛北斎書簡≫と≪本間北曜宛北斎書簡≫では北斎の手紙での字もみることができました。

そして最後を飾るのは≪弘法大師修法図≫。病魔の鬼と戦う空海の凄まじい法力バトル。凄かった。

この展覧会の一つのウリは春朗・宗理期の作品をまとまった量みれることでしょう。けれど面白くなってくるのは北斎期以降。しかし二周目にみてみると春朗だって結構上手い。イチローを想うというか、日々鍛練で地力を上げ練達したのだなと。戴斗期の『北斎漫画』は3000を越えるモチーフを描いて。

最も有名な作品である為一期の《富嶽三十六景》は既に他で何度かみていたが今回墨線のみの校合摺も。去年のあべのハルカス北斎展の方がポップでしたがこちらはマニアックに凄い。それにしても最終日とはいえこんなマニアな展覧会入場に1hかかるとは流石北斎。

最終形態画狂老人卍になるとあらゆるものに対する(馬を除く)デッサン力、『雪の中で筍を取る』といったモチーフの選眼力、西洋に學んだか2.5Dにみえる色遣いを会得し最早唯一人の高みへ。《田植図》をあんなにも幽玄に描く画家をほかに知らない。最早もののけの域。努力を一生続けた天才の技。

”伝導率を上げるってほんの少しの向上を日々積み重ねていく道なのかもな”と。ほんの少しの差異が閾値を越えるか越えないかを決める。最初期、美人画や役者絵でカチっとして綺麗だけど無個性とも言える絵を描いていた北斎(春朗)、様々なポーズで描けるデッサン力がついてファンタジックな画も自在に描けるようになる。そして総合力の綜合によって画狂へ。

何というか、この横綱相撲振りは心身の剛健さも予期させる。狂うには剛健でないと。前後期合わせて500点近い大ヴォリュームでの展覧会でした。

by wavesll | 2019-03-28 06:41 | 展覧会 | Comments(0)

道場 (八木美知依&本田珠也) 灰野敬二 空間現代|BGM: 生西康典 Live@Super Deluxe

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マイラストスーパーデラックス。淋しさを昇華する素晴らしいパフォーマンスばかりでした。

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最初に出てきたのは空間現代。地球を支えるアトラスのように天地開闢以来千変万化し続くビッグマシーンのような打音楽。スリーピースのガレージマスロックとしてのソリッドさと劇性な妖しさもあって。

生で観る醍醐味というか「叩かない打音」が響くのがとても刺激的でした。

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そして灰野敬二さん。ライヴで観る初灰野は、暗黒の中にぼんやりと顔が浮かび上がって聲明というかホーメイで始まりました。怪。

次にブラスドラムを壊れる程ブラシで叩いて。こちらも鳴らさない打音のアクション。

そこから写真を載せた謎の鉄琴楽器?の天獄な音。金属音ってこの世ならざる感慨を与えるのだなと。無慈悲な天使が闇に遊び様な感覚を覚えました。

そしてタンバリンを壊れるほど打ち付けシンバルをハンマーで叩いて。そこから両手シンバルで水鳥が地に落ちたかのように羽搏いて、床や壁にシンバルを叩きつけて。SPDXの建物自体で音響を鳴らしていました。

演奏を終え、鳴りやまない拍手の中で「Thank you Super Deluxe」か「See you soon Super Deluxe」か叫んで(どちらか聴き取れなかった)。この箱で鳴らす音楽への愛があふれ出たStageでした。

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そしてこの日ラストを飾ったのが道場 (八木美知依&本田珠也)。
道場は素晴らしいアルバムをだしていて、八木さんの電化筝と本田さんのドラムの化学反応を是非一度生で体験したいと思っていたのでした。

そしてこーれが驚愕の凄さ!

八木さんの筝は普通のモノと電化のモノの二つあり、最初は通常の筝とドラムでのジャズ的な交わりだったのですがこの時点でかなり良くて。前衛的というか、筝にスティックを当てて音留めと打音を奏でて。

そして通常筝の音をループさせながら電化筝に移動し、エフェクターバリバリ効かせて!スペースロックじゃないか!そしてさらに本田さんのドラムがまるで丸太で叩いてるんじゃないかってくらいズムズムぶっとく響いて!こいつはパネ過ぎる!最強のロックバンドじゃないか!英国にはZeppelin、米国にはElectric Miles、タイにはKhun Narin's、そして日本には道場がいるじゃないかと…!

”これ通常筝の音でドラム爆発やってくれないかな”と想ってたら最後に電化をループさせながら通常筝をガン弾きしてくれました!そしてやはりドラムヤバ過ぎ!凄すぎた!!!!!

幕間を奏でてくれた生西さんの選曲も素晴らしく、最後のスーデラを素晴らしい記憶で締めくくれました。またどこかで営業して欲しい!六本木のコアは自分にとってはスーパーデラックスでした…!!!

by wavesll | 2019-01-07 05:30 | Sound Gem | Comments(0)

ピエール・ボナール展@新美

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Bathtub - Jacobs Colier & Becca Stevens

国立新美術館へピエール・ボナール展へ行ってきました。
NUDE展で知った浴室画で著名なボナール、実際に彼の奥さんのマルトは1日に何度も入浴をしていたそうです。

『日本かぶれのナビ』と呼ばれた初期。≪庭の女性たち≫は≪白い水玉模様の服を着た女性≫・≪猫と座る女性≫・≪ショルダー・ケープを着た女性≫・≪格子柄の服を着た女性≫と可愛らしい四人の女性の縦長の絵。この印象的な衣服の柄が日本らしさの影響らしかったです。

≪黄昏(クロッケーの試合)≫は緑の鮮やかに深い味わいの逸品。ここもすらりと印象的な服の格子柄が日本の平面的な美があって。

そして格子柄の衣服は≪格子柄のブラウス≫にも≪砂遊びをする子ども≫にも。日本の影響でいうと屏風に描かれた≪乳母たちの散歩、辻馬車の列≫も素敵でした。

めちゃくちゃ長い足の≪白い猫≫やセクシーな≪黒いストッキングの少女≫も好かった。平面的なデザインでいうと≪親密さ≫も。

ボナールとマルトの愛と翳を描いた≪男と女≫、そして明るいのに灰がかって描かれる家族は目をまるで合わせない≪ブルジョワ家庭の午後 あるいはテラス一家≫、そして神秘性のある緑の光景が描かれる≪大きな庭≫も好かった。

そこから『ナビ派時代のグラフィック・アート』の部へ。
ヒットし父に画家になることを認めてもらう契機となった≪フランス=シャンパーニュ≫。ポスターでいうと≪ラ・ルジュ・ブランシュ≫もかっこ良かった。

ボナールの義弟クロード・テラスの『ピアノ曲、家族の肖像』に寄せたリトグラフも素敵で。そしてアンブロワーズ・ヴォラールの戯曲『ユピュ王』に寄せた≪『入院したユピュおやじ』≫と≪『飛行機に乗ったユピュおやじ』≫もユーモラスなクズキャラの可愛さがありました。

ここからボナールによるコダック社のフィルムを使った『スナップショット』の部へ。そこにも展示された1908-10年に撮られた≪浴盤にしゃがむマルト≫の写真は次の部である『近大の水の精(ナイアス)たち』で1918年に描かれた≪浴盤にしゃがむ裸婦≫の元となっていて。

この≪浴盤に沈む裸婦≫では背景となる室内がまるで螺鈿のきらめきのようなパステルが水の輝きを現していて、白黒のフィルムから鮮やかに想像力/感受性が閃光となっていました。

他にも桃色が可愛らしい≪浴室の裸婦≫、それと同じモデルを描いたとみられる≪青い手袋をはめた裸婦≫と≪化粧≫、パステルな壁が印象的な≪バラ色の裸婦、陰になった頭部≫も綺麗で。

けれどもこの浴室の裸婦画たちは、マルトの友人であるルネにボナールが想いを寄せ、それに嫉妬したマルトが結婚を迫り、マルトと結婚した直後にルネが自殺することの後から描かれたという流れがあって。そのエピソードを聴くと多くの浴室画に描かれる裸婦が顔が蔭でみえないところにも何か不穏な情を想いました。

さて、そこから次の『室内と静物「芸術作品ー時間の静止」』の部ではポスターにもなった≪猫と女性 あるいは 餌をねだる猫≫に描かれたマルトのように弾ける笑顔でなくテンションが微妙な表情の人々が描かれて。≪食卓の母と二人の子ども≫もそうだし、≪桟敷席≫もそう。

またテーブルの上の静物画では≪ル・カネの食堂≫や黄色い果実が描かれた≪テーブルの片隅≫が好かったです。

第6部『ノルマンディーやその他の風景』ではモネ≪睡蓮≫への回答とされる灰色の巨大な光景が描かれた≪ボート遊び≫等印象派からの影響が筆遣い等に顕れていくようになって。

紫がうつくしい≪セーヌ川のほとり≫、タッチが勢いを持った≪ノルマンディー風景≫、光の印象が輝く≪日没、川のほとり≫。≪アルカションの海景≫のスナップショットな美。そしてゴッホのように黄色い空が効果を発揮している≪トルーヴィル、港の出口≫も感銘を受けました。

最後の『終わりなき夏』では、これまで展示されてきた現実の情景だけでなく神話的な風景も描かれたものも。

≪水の戯れ あるいは 旅≫と≪歓び≫は一対の、富豪の家を飾った作品で、神話的な情景を装飾性と劇性豊かに描かれた絵画。≪にぎやかな風景≫と≪地中海の庭≫は牧歌的風景からアルカディアへのまなざしがあって。

≪夏≫の緑の光も素晴らしかったし、≪≪村の早春≫のための習作≫の祝祭風景や≪南フランスのテラス≫のコントラストの高い光の景、ル・ボスケ(茂み)という家から見た≪南フランスの風景、ル・カネ≫の美しさ。そして展覧回のラストを飾った遺作の≪花咲くアーモンドの木≫は自分が筆を持てなくなっても指示して隅を黄色く塗らせたという、燃え尽きる命が華々しく焼き付いた美がありました。

ボナールが生きた時代は例えばビュールレコレクション展でみたような印象派の進化、さらにはキュビズムなどのダイナミズムがあった頃でしたが、彼はアヴァンギャルドからは距離を取り、あくまで形象を描き、絵画表現の冒険において非常に品よく、上質の澄まし汁を創るように自らの絵画の旅を行った様にみえました。

その中でもやはり重要なモチーフとして浴室裸婦画があって。50代に達した特質的な境地。彼の人生と関わるきらめきと不穏さ、そして光景への眼差しという、噛み締めれば噛み締める程味わい深い魅力がある画家さんでした。

by wavesll | 2018-12-13 23:53 | 展覧会 | Comments(0)

建築の日本展@森美を建物画像LINKで再構築 環境を思想で設計するArt, 木造模型の魅力

建築と日本展 その遺伝子のもたらすものを森美でみてきました。
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物凄い盛況。確かに建築の展覧会で私が見たなかでは一番面白かったかも。その要因は模型が魅力的だったのも大きくて。木のチカラ。渋谷の空中都市計画とか日本の建築(/計画)はぶっ飛んでる。先日言葉の仮想性について書いたけれども、自然・環境・空間の中で思想藝術を実装するArt作品としての建築の魅力を堪能できました。

建築の展覧会は未だに慣れないことが多くて、”ほええ”といいながらさらっと眺めるだけでも相当に密度の高い展示に湯あたりして。未だ受容体と言うか、掘るためのスコップを研いでいる状態。この記事では後へのメモとして、百点の展示品の建築を、その公式ページ等が存在するものはLinkを貼っておけたらなと想います。



























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≪パワー・オブ・スケール≫ 齋藤誠一+ライゾマティクス・アーキテクチャー
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木・水・石。NATURALの内側からの力をしなやかに開放する日本建築がとても好きになりました。
建物を建てるという事は、本当に細やかな心づかいの上に成り立つことで、と同時にマクロとして空間を造ることも求められて。
相対性理論と量子力学を統合するような、宇宙物理学者のような、理論と実験の究みをみたような感銘を受ける展覧会でした。17日まで。


by wavesll | 2018-09-10 04:53 | 展覧会 | Comments(0)

琉球 美の宝庫展にて尚家の王冠、琉球染織、花鳥と舟の絵画、螺鈿漆器などをみる

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六本木東京ミッドタウンのサントリー美術館にて琉球展をみてきました。
目玉の≪琉球国王尚家関係資料 王冠(付簪)≫だけでなく紅型などの琉球の染織、そして漆器の螺鈿細工など素晴らしい逸品ばかりでとても良かった。

第1章は琉球の染織。≪黄色地松皮菱繋に檜扇団扇菊椿模様胴衣≫・≪染分地遠山に松竹梅模様衣裳≫のTHE琉球な美。≪白地霞に尾長鳥牡丹菖蒲模様衣裳≫の派手渋な美。≪白地鶴に貝藻波模様子ども着≫もビタースウィートなうつくしさ。

そして衣装で特に印象的だったのが≪浅地稲妻に松窓絵散し模様衣裳≫のエメラルドグリーンの稲妻柄。≪緋色地波頭桜樹模様衣裳≫はSplashな柄。≪薄紅麻地総絣衣裳≫はピンクに幾何学文様がまた好くて。≪紺地朱格子経緯絣衣裳≫など、インドからインドネシアや大陸を等を通じて琉球へ入った絣の文化に琉球が文化の要所であったところが偲ばれます。

そして裂地がまた素晴らしくて。≪桜波連山仕切り模様裂地≫の赤黄青緑茶桃の山々の柄、≪花色地瑞雲霞に鳳凰模様裂地≫のピンクの鳳凰、≪水色地流水桜散し模様裂地≫の波に花、≪流水蛇籠菖蒲葵に小禽模様裂地≫の落ち着いた渋クリームに渋グリーンの柄がまた好く、≪流水に菊桜模様白地型紙≫という型紙の展示も興味深かったです。

第2章は琉球絵画の世界。山口〔神谷〕宗季(呉師虔)≪花鳥図≫等の日本の影響もありながらも中国の影響が非常に大きくて。

城間清豊(欽可聖、号 自了)≪白沢之図≫は好い治世の時に現れる人面獣。山口〔神谷〕宗季(呉師虔)≪関羽像≫は青龍偃月刀もかっこよかった。座間味庸昌(殷元良)≪雪景山水図≫は雪舟をも想わせるような中国的な山水画。

琉球絵画で特に素晴らしいのは鳥の画。佐渡山安健(毛長禧)≪花房闘鶏之図≫の鳥のじとーとした目、≪牡丹尾長鳥図≫の尾長鳥の青、≪鷹雀枯木芙蓉図≫の雀を狙う鷹の躍動感あふれる構図も素晴らしかった。孫億≪花鳥図≫は黄赤青の極彩の鳥も美しい。

熱帯の植物的に朝鮮絵画の影響がみられる≪虎図≫は目も印象的で。≪琉球少婦逍遥之図≫は琉球GIRLSといった感じで目がぱっちりしてました。≪喜久村絜聡像≫は久米島の地頭代の肖像画。

琉球絵画では那覇港に来る進貢船の画もとてもよくて。≪進貢船の図≫・≪那覇港図≫の黒と朱の船がとても鮮やかで。≪琉球交易港図屏風≫は進貢船の他ハーリーが那覇港に出航していて首里城下の街の姿が鳥瞰で描かれていて素晴らしかった。

また江戸時代には琉球ブームも起きていて≪琉球人来朝図≫の色彩の美しさよ楽童子の麗しさ。そして葛飾北斎≪琉球八景≫のプルシアンブルーも美しかったです。この≪琉球八景≫を描くにあたって北斎が参考にした周煌≪琉球国志略≫も展示してありました。

そして第3章は琉球国王尚家の美、国宝・琉球国王尚家関係資料が展示してあるのです。

≪王冠(付簪)≫は金銀珊瑚水晶瑪瑙琥珀軟玉が金の鋲で黒地に留めてあって、簪には龍が。極渋彩の輝きに歴史を感ぜられました。

国王の衣である≪紺地龍丸模様緞子唐衣裳≫と冬服の≪赤地龍瑞雲嶮山模様繻珍唐衣裳≫はそのゆったりさが印象的で。この他、金とエメラルドブルーの地が印象的なベルトの≪石帯≫、ウコンで染めたという≪黄組物帯≫、御官庫(ウカンクー)という≪靴≫も履き心地が良さそうでした。

そして≪美御前御揃(ヌーメーウースリー)≫では美しい≪金杯≫・≪銀杯洗≫・≪托付銀鋺≫・≪銀脚杯≫の他ビーズが美しい≪御玉貫≫という徳利に朱色が美しい≪朱漆巴紋牡丹七宝繋沈金御籠飯≫・≪朱漆巴紋牡丹七宝繋沈金足付盆≫が麗しかった。

また茶色にエメラルドグリーンや白などのテキスタイルが描かれる≪御絵図帳≫や、このほか神女が使う≪神扇≫なども展示してありました。

そして第4章は琉球漆芸の煌き。螺鈿細工が真に耀いて。久米島の君南風(チンペー)の≪黒塗菊花鳥虫沈金丸外櫃及び緑塗鳳凰雲沈金丸内櫃≫、金の孔雀の≪黒漆孔雀牡丹唐草沈金食籠≫、朱と黒を混ぜた真紅の漆の≪潤塗花鳥箔絵密陀絵丸形食籠≫、朱の螺鈿な≪朱漆牡丹尾長鳥螺鈿卓≫、栗鼠を象った金細工が凄い≪黒漆葡萄栗鼠螺鈿箔絵箱≫、なんとも豪気な朱の碗な≪朱漆椿密陀絵沈金椀≫など本当に素晴らしいものだらけ!

ここからも銘品が続きます。黒螺鈿龍の広大さな≪黒漆雲龍螺鈿大盆≫と八本の放射な文様がかっこいい≪黒漆雲龍螺鈿大盆≫。鉛ガラスの玉で出来たモザイク画の≪朱漆竹虎連珠沈金螺鈿座屏≫、ガラス棒で出来たストライプの抽象絵画な≪黒漆ビードロ入り山水楼閣螺鈿硯屏≫、円の重なりが格好良い≪黒漆花円文螺鈿合子≫、騎乗の人物が螺鈿で描かれる≪黒漆騎馬人物螺鈿箱≫も良かった。

また徳川家の三つ葵の紋章が螺鈿であらわされる≪黒漆葵紋螺鈿箱≫、黒に虹色の螺鈿画が映える兎が根付の≪黒漆山水螺鈿印籠≫にヘチマの根付な≪黒漆雲龍堆錦印籠≫、堆朱で塗り重ねた≪朱漆樹下人物堆錦印籠≫も良かった。

鳳凰の曼荼羅のような≪朱漆七宝繋鳳凰沈金盤≫、ちっちゃい麒麟がかわいい≪黒漆鳳凰麒麟牡丹密陀絵盆≫、黒にカワセミが映える≪黒漆花鳥螺鈿箔絵密陀絵漆絵盆≫、シックに艶やかなつくりの≪黒漆牡丹唐草螺鈿卓≫、霊的な場へ湯茶や酒を運ぶタークーである≪白檀塗楼閣山水箔絵湯庫≫という作品も文化と美を伝えてくれます。

鳳凰の華麗な姿の螺鈿の≪黒漆桐鳳凰螺鈿東道盆≫、螺鈿細工の葡萄が綺麗な≪黒漆樹下人物葡萄螺鈿沈金八角食籠≫、アシンメトリーな植物の螺鈿画が美しい≪黒漆花鳥螺鈿料紙硯箱≫も良かった。

そして朱の漆器が続いて。≪朱漆山水人物箔絵重箱≫はかわいいし、≪朱漆塗葡萄巴紋箔絵櫃≫は蝶番が印象的。≪朱漆山水人物箔絵東道盆≫は円盤型。≪朱漆花鳥漆絵重箱≫も美しく、≪黒漆山水楼閣人物箔絵革箱≫は渋朱が素晴らしい。≪朱漆山水楼閣人物箔絵東道盆≫は中国的な街並みがオールオーバーに広がって。≪朱漆松岩堆錦煙草入≫はガマ仙人の意匠が面白かった。

デザインを研究した石沢兵吾≪琉球漆器考≫とタトゥー等多岐に研究した鎌倉芳太郎≪琉球芸術調査記録(鎌倉ノート)≫で〆。

本当に芸術は時空を越えていくというか、地場を離れてもこれだけの魅力を放つのかと魅了されました。冒頭に書いてあった「琉球は世界の神梁」というメッセージはしかし要所故に戦火に巻き込まれてしまった歴史をも予見させて。

太平洋戦争で焼失してしまったあまりにも多くの藝術を想うと心が浪立ちます。白沢が出現する様な賢誠な治世が行われることを望んで。このうつくしい藝術たちが後々の世にも伝えて行けるようになればと想います。

by wavesll | 2018-08-27 21:59 | 展覧会 | Comments(0)

六本木ヒルズの巨大蜘蛛 "Maman" の靴下穿いたVer

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by wavesll | 2018-05-10 21:43 | 街角 | Comments(0)

林忠彦の仕事展@FUJIFILM SQUAREにて「太宰治、酒場ルパンで 銀座」や「初戀とはナンゾヤ」の写真達をみる

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東京ミッドタウン、FUJIFILM SQUAREにて開かれている「昭和が生んだ写真・怪物 時代を語る林忠彦の仕事」展へ行ってきました。

戦後のカストリ雑誌ブームに乗り人気写真家となった林氏の昭和を寫した仕事を視ました。

最も著名なこの太宰の写真、多くの場合トリミングされ長方形なのですが、本当は太宰の目線の先には坂口安吾がいて、今回初公開となった原本では坂口安吾の背中も映っていました。また展示ではこの写真の隣に眼光鋭い坂口安吾の写真もありました。

個人的に印象的だったのは「焼け跡の母子 代々木」で荒涼とした風景に呻き、叫びのように瓦礫に書された「初戀とはナンゾヤ」の文字。母子の小さな背中と共に胸を締め付けるものがありました。

この他、ショーガールが屋上で寝そべる様子を撮った「日本劇場の屋上 銀座、1947」なんて当時の文化風俗を刻む写真たちが展示されていました。

現在開かれている第一部は5/31までで、6/1からは第二部が展示されるそう。六本木の東京ミッドタウンへ行く際などにオススメしたい写真展でした。

by wavesll | 2018-05-05 19:38 | 展覧会 | Comments(0)

こいのぼりなう! 須藤玲子×アドリアン・ガルデール×齋藤精一 @国立新美術館 空中の川を泳ぐ鯉幟たちと共に回游す。

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こどもの日ということで新美“こいのぼりなう!”展へ。色んな質感の布でつくられたこいのぼりが宙を泳いで、その内部を自由に歩けるから自分も空中の川?の中みたいでした。奥ではこいのぼりに使われた生地を触れられたりマイこいのぼりを自作できるコーナーも。楽しい展示でした。

by wavesll | 2018-05-05 15:20 | 展覧会 | Comments(0)

Bührle Collection 至上の印象派展@新美 数百年に及び画家たちが営脈した絵画革命のMovement

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国立新美術館に至上の印象派展 ビュールレ・コレクションを観に行きました。

エミール・ゲオルグ・ビュールレという希代のコレクターがその財をもって集めた珠玉の作品達。そのコレクションは印象派を中心に、その百数十年前における印象派的な感性の萌芽から、印象派を経てモダンアートへ至る美術の遷移を顕わしていました。

最初のセクションは「肖像画」。古典的なモチーフに於ける前・印象派の中で、印象派に通じる感性を「未完の完」で顕わします。

フランス・ハルス≪男の肖像≫は、その素早い筆致から当時は「この絵は出来上がっていない」と不評だったのですが、後年「モダン・アートの先駆けだ」という評価になった作品。

当時の肖像画はジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル≪イポリット=フランソワ・ドゥヴィレの肖像≫のように隙なく高精細な輝きが目を奪う流れだったところ。同じくアングルの≪アングル夫人の肖像≫のように服のタッチが粗いのは未完だったのが普通。そこを面白がるというのが印象派以降の感性の為せる技。

ここでは幻想的な精神が描かれたアンリ・ファンタン=ラトゥール≪パレットを持つ自画像≫やピアノからふと振り返った様を描いたエドガー・ドガ≪ピアノの前のカミュ夫人≫も良かったです。

次のセクションは「ヨーロッパの都市」。前・印象派に於いてもフランチェスコ・グァルディ≪サン・マルコ沖、ヴェネツィア≫のように水面や空の瞬きに主眼が置かれる絵画でありました。

そして≪カナル・グランデ、ヴェネツィア≫という超高精細な絵を描いたアントーニオ・カナール(カナレット)がリアルに描いた≪サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、ヴェネツィア≫と同じトポスをパステルな点描で画いたポール・シニャック≪ジュデッカ運河、ヴェネツィア、朝(サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂)≫を並べることで絵画技法の変遷が鮮やかに示します。

またアンリ・マティス≪雪のサン=ミシェル橋、パリ≫という、パブリックイメージとは異なるマティスに於ける印象派な作品も展示してありました。

そしてセクション3は「19世紀のフランス絵画」。カミーユ・コロー≪読書する少女≫は少女がふと読書しているさりげない瞬間を描いている作品。こうした「ひととき」を捉えたスナップショット的な感性は印象派の一つの支柱となる萌芽でした。

ギュスターヴ・クールベ≪狩人の肖像≫はRPGのステータス画面を想起させるような横顔像。ウジェーヌ・ドナクロワ≪モロッコのスルタン≫は画家本人が訪れたという異国の悠然とした将を描いた作品。ピエール・ピュディス・ド・シャヴァンヌ≪コンコルディア習作≫は後進に大きな影響を与えた画家の初期の成功作。

そしてエドゥアール・マネ。≪オリエンタル風の衣装をまとった若い女≫はだらしない白い肢体の艶、中央の二人が主眼ではなく飛び征く≪燕≫こそが書きたいというのが先進的な感性。≪ワシミミズク≫もスナップ写真的な一枚でした。

そしてセクション4は「印象派の風景」。カミーユ・ピサロ≪ルーヴシエンヌの雪道≫は雪が放つ光を描いたまさしく印象派な一枚。アルフレッド・シスレー≪ハンプトン・コートのレガッタ≫は舟の直線としてのヴィジュアルが面白い一枚。エドゥアール・マネ≪ベルヴの庭の隅≫はマネとしては珍しい印象派的な画風の作品。上に書いたマティスもそうですが、画家の”らしくない逸品”を揃えるところがビュールレのマニアックなツボを突くコレクターとしての美点を感じました。

そしてビュールレにとっても特別な画だったというクロード・モネの≪ヴェトゥイユ近郊のヒゲナシ畑≫が素晴らしくて!荒い筆致で画かれた空と精細な筆致で画かれた赤いヒゲナシ畑の明度のコントラストが大きな印象をもたらします。モネでは≪ジヴェルニーのモネの庭≫も咲き誇る花の華が素敵でした。

第5セクションは「印象派の人物」。ここでは何と言ってもメインヴィジュアルであるピエール・オーギュスト・ルノワールの≪イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)≫。遠目では愛らしい美少女だったのが、近づくほどに内面からクール・ビューティーさが湧き出でて。当時ダンヴェール家には不評だったというこの絵、それは精密な絵画を期待されていたからというのもあったそうですが、子どもに潜む冷たさが画き出されたというのもあるかもしれません。

ルノワールは≪夏の帽子≫でも明るさの中に冷たさのある少女を描いていて、豊潤でふくよかな≪泉≫の大人の女性像とは対照的でした。子供に潜む”怖さ”という点ではエドガー・ドガ≪リュドヴィック・ルピック伯爵とその娘たち≫もそう。ドガは他にも≪出走前≫という競馬の一幕を描いた作品や逆光で体のラインが透ける≪控え室の踊り子たち≫、銅像に本物の服を着せた≪14歳の小さな踊り子≫も展示してありました。

セクション6は「ポール・セザンヌ」。≪聖アントニウスの誘惑≫のダークで肉感的な画面。捻った性格も伝わる≪扇子を持つセザンヌ夫人の肖像≫、同じくメイン・ヴィジュアルにも使われた≪赤いチョッキの少年≫は青い画面なのだけれど、少年にライトが当たったような明るい輝きが感ぜられました。≪パレットを持つ自画像≫はいかにも人が良さそう。晩年に良く取り組んだモチーフである≪庭師ヴァリエ(老庭師)≫は20世紀後半のデザイン性というか、かっこいい渋みのある逸品でした。

セクション7は「フィンセント・ファン・ゴッホ」。彼の十年の画業を初期の≪古い塔≫から魅せていきます。≪自画像≫は頬がこけて悲しそうだけれど内面の焔なオーラが込められた一枚。≪アニエールのセーヌ川にかかる橋≫は新たな印象派といった印象で汽車が好い感じ。

そして≪日没を背に種まく人≫の衝撃。印象派の絵は遠目で観た方が綺麗に見えたりするのですが、ゴッホの絵は近づくほどに迫力が増して。巨大な黄色い太陽の円、浮世絵から影響を受けた中央の林檎の枝幹。人物は黒緑に厚塗りされ、地面は紫、空は黄緑、雲は桃色。圧倒されました。

そして≪二人の農婦≫でさらに飛躍。波打つ畑と空。白く抜かれた二人の農婦。生で観るとこんなにもヴィヴィッドな絵だったのか…!≪花咲くマロニエの枝≫も”これぞゴッホ”という名画でした。

第8セクションは「20世紀初頭のフランス絵画」。アンリ・トゥールーズ=ロートレック≪コンフェッティ≫は広告のための習作。白に明るい差し色が入って好い奴でした。パブロ・ピカソ≪ギュスターヴ・コキオの肖像≫は≪庭師ヴァリエ≫のようなカッコよさを持つピカソによるポスト印象派な一枚。

エドゥアール・ヴュイヤール≪訪問者≫は家に帰ってきて外套も脱がずにちょっと腰かけて休む様子が描かれた一枚。ピエール・ボナール≪アンブロワーズ・ヴォラールの肖像≫はきゅっとすぼんだ表情が面白い一枚。

ポール・ゴーギャンによる≪肘掛け椅子の上のひまわり≫は当時ゴッホと交換したというひまわりのモチーフが南洋の湿度・昏い熱気に在る一枚。ゴーギャン≪贈りもの≫は現地の女性の菩薩のような褐色の肉体性が心に馴染みました。

そして第9セクション「モダン・アート」。アンドレ・ドラン≪室内の情景(テーブル)≫はゴッホとキュビズムの間のような鮮やかな色彩の存在感と、空間存在が起ち上がる一枚。

ジョルジュ・ブラックは≪レスタックの港≫は印象派の点描的な表現の先となる線画。≪ヴァイオリニスト≫でキュビズムを描き、≪果物のある静物≫では切り絵のような静物画に辿り着いていました。

そしてパブロ・ピカソ。≪イタリアの女≫は図画的な筆致の絵画を切り拓く一枚。そして≪花とレモンのある静物≫はまさにピカソな、彼ならではのカクっとした描線の迫力ある一枚でした。

そして最終セクション10ではクロード・モネ≪睡蓮の池、緑の反映≫が。発表当時≪睡蓮≫は世間から評価を受けていなかったのですが、ビュールレはその慧眼から価値を見抜き、購入します。後のジャクソン・ポロックのオールオーヴァーに通じるような筆致。17世紀中盤からみてきたこの絵画の変遷は”その先”を予感させながらここに幕を閉じました。

この一大物語をみて想うのは印象派は一人の天才がすべてをかっさらっていったのではなく、天才達の群体によって営まれた芸術のムーヴメントだったということ。そしてその中からゴッホやピカソのような突然変異な爆発が揺籃されて。革命の歴史叙事詩に於ける様々な人のきらめく熱を感じる、本当に全てに見どころのある名展覧会でした。

by wavesll | 2018-04-21 02:46 | 展覧会 | Comments(0)