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内藤正敏 異界出現展@東京都写真美術館


TOPで開かれていた内藤正敏氏の『異界出現』展の最終日に滑り込んで観ました。

与那国島という異界の中で過ごしたばかりで、日曜美術館アートシーンで気になってはいたけれど、正直満腹状態だよなと思いながら向かったこの展示。実際、普段の展覧会のようにがっつりみるというよりはさらっと流したのですが、強烈に突き刺さる写真があって。

それは山形・出羽三山の湯殿山麗にある南岳寺に祀られている鉄龍海上人の即身仏を写した写真。特にカラーで撮られたものが衣服の生々しさと、印相がはっきりと刻まれた指が鮮烈な印象を残して。

与那国島旅行で私は浦野墓地という子宮を模した伝統的な墓に大変に興味を惹かれたのですが、人様の墓地という点で写真を撮ることを避けて。即身仏という聖体を写真に収めるという行為に、被写体を撮ることへの覚悟や人々との関係構築の真摯を感じて。

その深みがあるからこそ、東北のイタコ等を撮った『婆バクハツ!』シリーズや出羽三山の≪心浄坊勝尊像 正善院≫や≪お沢仏 御後三宝荒神像 大日坊≫、≪お沢仏 波分不動明王 大日坊≫、≪能除太子 正善院≫等の仮面への深淵な洞察があるのだなと。

初期作品のポリマーの化学反応などを撮ったSF的な写真群も良かったし、『東京 都市の闇を幻視する』シリーズでは70年代から80年代の東京の夜の濃い匂いが伝わって。

今のようにFacebookで人物に勝手にタグ付けで特定されてしまったり、Webを通じて不用意に拡散してしまう時代ではない好い意味で匿名性の闇があった昭和時代の大都市がゆるした”あそび”も感じて。700円でさらっとみれたけれど印象を焼き付けた展覧会となりました。

by wavesll | 2018-07-17 00:54 | 展覧会 | Comments(0)

Kaytranada Live at Liquidroom

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「ケイトゥラ!ケイトゥラ!!」Kaytranadaの恵比寿リキッドルームでの公演で音浴びてきました。素晴らしい時間でした!

OPENとSTARTが同じで、会場に入るとケイトラの弟、Lou Phelpsが回していて。低音をがんがん効かせて「This is America」や現行HipHopの大ネタ使いながらフロアを盛り上げてました。

そしてKaytranada! 結構来日するDJ系のActって、音源ではオブスキュアな感じでもライヴだとバッキバキになる感触があったのですが、ケイトラはしっかり熱を入れてフロアをアげながらもドリーミーさやメロウさのある音づくりで”そうそうこういうのが欲しいんだよ”という感覚。

前半はVJの80sな感じも交わりFuturefunk的にも聞こえて。途中でLouが出てきてラップしたりとの共演もあったり。何しろかにしろ楽曲がホント良くて。全編にわたって”名曲だな~”と想う夢見心地な熱にあふるるいいライヴでした。

そしてケイトラ兄弟による煽り引継ぎで登場したのがクロージングのsauce 81。こちらでバッキバキ成分の摂取もばっちり決められて。リキッドの音響はバンドよりクラブの方が上手く鳴る印象。そこからハッピーな選曲へ廻って行って最後は美しいラヴァーズロックなどで〆。楽しい一夜となりました。

Morning Twilight (という表現はあるのかなw? Dawnとは違う朝焼けの光)の中を中目黒まで歩き、始発で帰路に着きました。

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by wavesll | 2018-06-30 10:31 | Sound Gem | Comments(0)

DAOKO presents 『チャームポイント』@LIQUIDROOM

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恵比寿Liquid roomにDAOKOの自主企画イベント『チャームポイント』を観に行きました。

楽しい夜でした。青碧の火の玉のような、Youthの光と熱。

最初に出てきたAAAMYYYはTempalayのサポートの娘のバンド。サイケデリックロックなエレポップも良く、最後の曲「BLUEV」が打音がかっこいいばかりか呂布が入った瞬間がすっげーアオハルを感じて。

SUSHIBOYSのサイコーっぷり。初っ端の「KUNG FU」から沸く沸く!前からライヴをみてみたいグループで、音源のメロウな感じから生ではかなりアッパーにがんがんに騰げてくれました。「軽自動車」「ダンボルギーニ」「OMG」「ブルーハワイ」と聴けた。このハチャメチャにヌケがいいノリに理由のない楽しさや勢いがエネルギッシュで好いなぁと◎サビのメロディのとこをよりアッパーに発しかませたらさらに最高になりそう。最後はメッセージソング「問題ねぇ」も。

King Gnuは拡声器とクリーンのツインボーカルだったとは!「Tokyo Rendez-Vous」はSonarMusicで良くかかっていたけれど映像はみてなかったのでVoを1人でやってると想っていたから意外で面白かった!キーボードがちょっとおどけた味もしてたなぁ。こういうサウンドだったのか。フロアからは黄色い歓声も。

そしてDAOKO! 「チャームポイント」で光のボールを持ってファンタジックなオープニング。そこから「BOY」「同じ夜」、「FASHION」という昏い歌達。「BOY」の映像との相まりがとてもエモくて、「同じ夜」を聴けたのは嬉しかったなぁ。プロジェクションマッピングとは違うけれど映像を纏ったDAOKO, 美しかった。

そこから「水星」。これが心に沁みて。音源よりも生がとても良くて。さらに「ShibuyaK」「ステップアップLOVE」、これらのメジャーチューン、フロアで聴くと低音が効いてそこにDAOKOの声の対比がめちゃ良くて!すっげーいいじゃんと。DAOKOはベッドルームミュージックなイメージが強かったけれどフロアがんがんいいじゃないかと目から鱗でした。

そこから「BANG!」と「Juicy」という激カワな2曲。MCの生声もキュートでした。(ちなみにライヴ前の場内アナウンスも多分DAOKOだったのでは)。個人的な白眉は「BOY」かENの「ワンルーム・シーサイド・ステップ」。バンドアンサンブルと共に綺麗な感傷に浸って。そしてラストは「打上花火」で大団円。

欲を張れば「拝啓グッバイさようなら」聴きたかったなぁ。まだまだ食い足りない!サマソニでBECKとコラボしてくれそうなの楽しみ。等身大のYouthful Luxと今のDAOKOの感覚が伝わる朱夏の自分には眩ゆいShowでした。

by wavesll | 2018-04-11 05:43 | Sound Gem | Comments(0)

Montreux Jazz Festival JapanにてPharoah SandersやAxel Toscaをみる

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Pharoah Sanders - You've Got To Have Freedom


Montreux Jazz Festival Japanに行ってきました。

15:00に会場に着くと入場の列が。それに並び中に入ると椅子席で、前方真中らへんのいい席を確保することが出来ました。

最初に始まったのはJoey Alexander Trio。14歳とは思えない素晴らしいプレイに目を瞠りました。ドラムのUlysses Owens Jr.もかなり良くて。

そして今日一番良かったのが菊地成孔 with Axel Tosca Project.

キューバ音楽映画『Cu-Bop』の主役の一人であるAxel Tosca(key)と菊地成孔(sax), 類家心平(tp), 鈴木正人(b), 秋元修(dr)の、Magicの域までみなぎる音!

覚醒と酩酊を突き抜けていくSound Waveに幾度も幾度も心ときめかされ、エナジーが炸裂する瞬間がありました。

そしてPharoah Sanders Quartet…!!!!!! ゼロ年代にクラブジャズに嵌って、『You've Got To Have Freedom』はこの世でトップクラスに好きな楽曲、愈々伝説を拝める…!

リストバンドをみせれば出入り自由なので、ガーデンプレイスのファミマでエナジードリンクで給油して万難を排してライヴに臨みました。

ところが…昨年体調不良で東京JAZZをキャンセルの不安が顕在化していて。
足取りもスローモーで、一曲吹ききれず後ろに下がってしまいメインのいないピアノトリオ化。楽曲の最初と最後だけファラオが出てきて吹く感じ。

キレキレのクールで熱い『Elevation』『Izipho Zam』のスピリチュアルを湛えるファラオに心酔していただけに残念でした。御歳七十七だもんなぁ。。それでも、仙人のような風貌から吹き鳴らすサックスの掠れに、あるいはおどけの奥から出る魂篭ったヴォーカルに往年の片鱗を鱗一枚は感じることが出来ました。

しかし結局、『You've Got To Have Freedom』のあの咆哮のようなフレーズは聴くことが出来ず。

今はライヴの時代だといいますが、優れた録音芸術を仕上げることってとても、とても大事だなと。Recordとして刻まれた音は生命として時空間を越えていくから。人のさだめは伝説の人でも変わらぬと識って、そして此の曲が古典として弾き継がれて欲しいと想った夜でした。

Pharoah Sanders - Africa - You've Got to Have Freedom


Pharoah Sanders: You've got to have Freedom 2011

by wavesll | 2017-11-05 05:11 | Sound Gem | Comments(0)

Tyler, the Creator live at Liquidroom

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恵比寿LiquidroomにTyler, the Creatorを見に行ってきました!

2017年で一番オーディエンスのアがり様が物凄かった!半端ねー盛り上がり!もうずっとシンガロングだし、こんな熱量はサマソニ'15のZEDD以来初やも!まさに旬のミュージシャンがノリに乗ってHIPな爆発を起こしてる真中に跳び込んだ感覚!

タイラーのパフォーマンスも“バウンス”ってこういうことかというようなリズム、グルーヴの入れ方が躯に直撃、『Scum Fuck Flower Boy』を想起させる花畑なセットの中で魅せてくれました。この盤、なんだかんだでこの夏一番のお気に入りだったけど、Liveはほんと體にクル感じ!

そして無数のスマホカメラを向けられるタイラー、カリスマだ。今ここに心酔があるのだと。

客の半分以上は外国人。この聴衆の熱気に途轍もない昂奮を覚え、その火を点燈したタイラーの音楽を浴び、熱狂の渦の中カッカしました!

Tyler The Creator - Scum Fuck Flower Boy [Full Album]


Tyler, The Creator - WOLF [Full Album: Deluxe Edition]


Tyler the Creator CHERRY BOMB FULL ALBUM (REORDERED)


Tyler, The Creator- Bastard Full Album


Tyler, the Creator - Dinosaur EP (Full Album)

by wavesll | 2017-10-21 09:15 | Sound Gem | Comments(0)

川端龍子展 at 山種美術館

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Twitterで本日迄だと知り、前から行きたかった【特別展】没後50年記念 川端龍子 ―超ド級の日本画― - 山種美術館へ赴きました。

まずいの一番に目に飛び込んでくる「鶴鼎図」がいい。川端龍子は洋画の技法も習熟している日本画家で、ちょっと普通の日本画とは異なるテクスチャーとフォルムな感覚が面白かったです。

そして小千谷で開催されている祭りを描いた「角突之巻(越後二十村行事)」も迫力ある筆致。龍子は20代で新聞や雑誌の挿絵画家だったこともあり、絵画のモチーフにジャーナリスティックさというか取材力を感じます。

また「華曲」に描かれた灰緑の鬣の獅子の可愛らしいこと。『少女の友』第10巻1号付録の「花鳥双六」も大変Kawaii出来で好きでした。

さて、展示はここからダイナミックな作品へ。
当時、繊細巧緻な画風が主流であった院展において、大胆な発想と筆致で構成された大画面の龍子の作品は「会場芸術」と批判されたことや院展内の軋轢もあり、脱退にいたります。そして、1929(昭和4)年、自ら主宰する「青龍社」を創立、戦時中も展覧会を開催するなど精力的な活動のなか、一貫して大衆のための作品を発表し続けた龍子、上に載せた「鳴門」等の海の迫力が描かれた作品が見事で。特にトビウオが描かれた「黒潮」が好きでした。

また平安時代の装飾経、紺紙金泥経に着想を得た「草の実」や飛行する胴体が透明な戦闘機が描かれた「香炉峰」も独自の作風で。戦争関連だと庭に落ちた爆風で吹き飛ばされてる野菜を描いた「爆弾散華」なんていう作品も。

象がやってきたことに喜ぶ子供たちが可愛い「百子図」や南洋・ヤップ島の娘を描いた「羽衣」なんてCuteな作品もあったり、桜の下で黄桜宜しくカッパが酒を呑む「花下独酌」や鯉に月が重なる「月鱗」なんて作品もあったり。

そう想えば棺に眠るミイラとそこから飛び立つ蛾達が描かれた「夢」なんて作品もあったり、黄金の草叢が描かれた「土」も美しかったし、PCで画かれたデジタル描線のような「月光」なんて作品もあったり色々な引き出しがありました。

大きな作品だとちょっと大味さも感じられる龍子ですが、小品は密度がぎゅっとしていて良くて。カッコいい「千里虎」や干支が描かれた「年賀状(十二支)」、また数々の俳句が描かれた短冊達もみごとでした。最後の部屋にあった「松竹梅のうち「竹(物語)」」も良かった。ダイナミックなラージ絵画も凝縮サイズだと更に魅力を増す気がしましたが、巨大作品の持つ抜け感は逆に2017年モードな日本画な気もしました。
by wavesll | 2017-08-20 22:03 | 展覧会 | Comments(0)

Jimmy Eat World Live at Liquidroom

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Jimmy Eat World - Sweetness


Jimmy Eat Worldのライヴに恵比寿リキッドルームへ行ってきました。

『Sweetness』が大好きで。ライヴ序盤は"ちょっと旧いロックだな"とも正直思ったのですが、徐々にライヴハウス・エモな鳴りが良くなり、キラー曲達に昂げられました。ダンスナンバーな『My Best Theory』も良かったし『Hear You Me』の弾き語り、そして『Futures』『Blister』で思わず前へ!

そして『Sweetness』、Encore2曲目で演ってくれました!ここ数年坂本龍一『async』5.1ch展示Chris Watsonの20chフィールドレコーディング作品そして東京藝大音環 卒展・修了展 2016での蓮尾美沙希さんによる22.2ch録音作品とサラウンド・サウンドに面白味を感じているのですが、"ウォーオーオーオオオー"の合唱はまさにSurround Music!夢見てた一曲のLive Experience、最高でした!

そして"ダンスしよう"と『The Middle』で〆。終焉後も『Sweetness』のシンガロングが歌いあげられる、爽快なRockGigでした。

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1. Bleed American
2. Get Right
3. Get It Faster
4. I Will Steal You Back
5. It Matters
6. Lucky Denver Mint
7. Always Be
8. If You Don't, Don't
9. Through
10. My Best Theory
Acoustic feelings
11. Hear You Me
12. Big Casino
13. A Praise Chorus
14. The Authority Song
15. You Are Free
16. Futures
17. Blister
18. Work
19. Pain

Encore:
20. Sure and Certain
21. Sweetness
22. The Middle

by wavesll | 2017-06-05 23:01 | Sound Gem | Comments(4)

速水御舟の全貌-日本画の破壊と創造- in 山種美術館

先日、山種美術館に速水御舟の全貌-日本画の破壊と創造-を観に行きました。
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好い展覧会でした。この『炎舞』、31歳の時の作品なのに驚愕。闇の中の焔、その煙る光の拡散や空気の渦、空間を日本画で描ききる。とてつもない。初期から『炎舞』、そしてその後もアグレッシヴに画業を極める姿勢に心打たれました。

御舟は色がいい。『富士』の山頂の尖んがる黒、『山科秋』の橙点はモネ展でみた『印象、日の出』に匹敵する蛍光な鮮やかさ。そして質感。『洛北修学院村』の青深緑は真しく日本の山の空気の色。『白磁の皿に柘榴』の柘榴のリアルな質感と金地の彩そして『鍋島の皿に柘榴』の叩くとキーンとなりそうな皿の質感。

さらに御舟の筆の格好良さに惚れ惚れしました。『日向葵』の流麗な線は前知識がなくみれて嬉しかった。ヒマワリをこんなカタチで描くとは。『菊花図』の江戸菊の造形は丁度三溪園菊花展でみてきたばかりで本物を知ってるだけにまじまじとみました。『墨竹図』のポストモダン的な格好良さ。『牡丹(写生画巻)』の花の淡さ・捨象の見事さはさながらゾーンに入ったかのよう。『沙魚図』のハゼの班紋、『樹木』の軽井沢のブナに宿る野生の樹の逞しさ。『翠苔緑芝』はデジタルアートの先取りというかWindowsの画面の如。描かれていた兎は実際に飼っていたようです。『名樹散椿』はMacというか、撒きつぶしのマットな金に昆陽山地蔵院にあった秀吉が寄進した椿をモデルに鏤められた椿の彩密さとそして地に散った花弁の配置が絶妙に格好いい!これは生でみる価値あり。この頃『炎舞』も描いているとは凄すぎる…!

海外にも御舟は渡っていてフィレンツェの街並みを描いたりエジプト人を描いてるのですが、この人は人物画より自然の画がいいなぁと想います。『豆花』のにょろりとした茎、『芥子』の爽やかな美。『暗香』の夜花の匂い、『あけぼの春の宵』はシンプルにハイレベルな綺麗。

パキっとした格好良い線と艶やかな色。様々なスタイルを挑戦した速水御舟。
“梯子の頂上に登る勇気は貴い、更にそこから降りてきて、再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い”
彼の画業の全貌、最後の間では『牡丹花(墨牡丹)』、『桔梗』、『秋茄子』と黒の表現に。ポロックも最後は黒へ挑んでいたなぁと想。『盆梅図(未完)』、『三本松(写生)』はSF的な境地に。そして絶筆となる『円かなる月』。これがパキっとした線、黒、そして緑の淡滲む色艶、御舟の画業のすべての到達点に感じて、深い感動、鳥肌に襲われました。この展覧会、良かった。

僅か40年の、正に駆け抜ける様に画家の道を生きた速水御舟。そのエナジーが端麗な絵として焼き付けられる。素晴らしい画、その挑戦は永遠の命を宿す。最後にまた一段上へ翔けた彼の人生に思いを馳せました。
by wavesll | 2016-11-22 22:12 | 展覧会 | Comments(0)

世界が死んだ後、人はオルタナティヴな世界を生きられるのか -杉本博司 ロスト・ヒューマン展をみて

東京都写真美術館に杉本博司 ロスト・ヒューマン展を観に行ってきました。
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<今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない>という人類の世界が終わる33のシナリオを膨大な実物のインスタレーションで示した作品と、<廃墟劇場>と<仏の海>という写真インスタレーションの展覧会。

先ずその物量に圧倒されます。日本のポツダム宣言受諾を伝えた第一報の電文や、化石、隕石、国連の旗やリットン報告書公表を伝える読売新聞、歴代ローマ法王御尊影や初音ミクフィギュア等大量の”本物のモノ”が「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」という文句で始まる様々な人の手記と共に展示されます。個人的にはインスタレーションとしては雷神がとても印象的でした。またラブドールの一幕はラブドールが妊娠するという写真作品、The Future Mother / 菅実花、またからくり人形の頭部群には押井守『イノセンス』との共鳴性を想起させられました。

手記はそれぞれその分野の著名人が手書きで書いていて"コメディアン"役の極楽とんぼの加藤が結構字が上手かったりw実筆ってデジタルに落とし込めない魅力がありますね。

終わりのシナリオは千差万別で、資本主義を規制しても、進めても、欲を伸ばしても、或いは抑えても滅びがやってきます。この世に生を受けた人間が必ず死ぬように、世界も必ず終わると言わんばかりの作品。

この作品を観て想ったのは"人は2つ目の世界を生きられるのか"ということ。

この展覧会で語られるように"世界"は終わるけれども、この地球は太陽系に存在し続けるし或いは宇宙は膨張なり何なりを続けるでしょう。つまり“世界”は人の意識の中に存在する事象だということ。

膨大なコンテキストを持つ"本物のモノ"を配置し、杉本博司自身の造る物語で束ねることで"意識"を実体化させようとしたのではないか、そう感じました。

その上で思ったのが人は自分の人生そのものだと想っていた物語≒世界が終わったら、もう一度別の物語を生きることが果たしてできるのかということ。

311が起こり原子力発電という人生の物語が否定され、しかし今更生き方を変えられないと思い悩む人のインタヴューを思い出しました。或いは、Webによって全然儲からなくなってきてしまった本/雑誌/音楽業界とか。ダーウィンを持ち出さずとも淘汰に耐えうるのは変化出来た者。しかし、自分の人生そのものだった物語から簡単にオルタナティヴなものへ鞍替えするのは実際問題難しいだろうなと。

或いはそういうオルタナティヴな選択をするには時間が必要なのだろうなとも思いました。違和感を馴らしていく時間が。と、同時に革命なり維新なり改善なり創新なり、自分でオルタナティヴな世界に働き掛けないと"自分の新世界"としては受け入れられないのだろうなと思いました。

これだけの作品を千円で見れるとは驚きです。村上隆の五百羅漢図展スーパーフラット・コレクション展をフュージョンしたような感覚というか。逆にその豪勢なバジェットのエンジン馬力に対してレコードタイムが甘い気はしました。若さというか、詰めの拙さみたいのも感じたところはありました。

それに対して写真は流石本職仕事。<今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない>がカミュ『異邦人』の変奏だと明かされる<廃墟劇場>は一本分の映写の光を長時間露光で廃墟となった劇場を撮った実験性のある作品。そして7年がかりの交渉で三十三間堂の千手観音を幾何学的に撮影した<仏の海>はこの展覧会一の美があった作品でした。

企業の寿命は30年だと言われます。産業にも寿命があって、或いは幻想/時代精神にも寿命があって。それはヒトの寿命より短いとしたら。人は複数の世界に生きなければならない運命だと言えます。世界は終わる、それを前提として、終わった後の"世界"を我々は生きていく存在なのだ。そして杉本さん自身も究めた写真という世界から次へ進もうと挑戦を続けている…!そんなことを考えさせられる、想念が触発される展覧会でした。11月13日(日)迄。

cf.
人類滅亡後の地球では何が起こる? 3億年後までシミュレーションすると…(GIZMODO)

by wavesll | 2016-10-28 20:33 | 展覧会 | Comments(0)

commmons10 健康音楽でまったり大人のフェス遊び

『2001年宇宙の旅』at恵比寿ガーデンシネマ爆音映画祭に続き、恵比寿ガーデンプレイスで催されたcommmons10 健康音楽に行ってきました。
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着いたら、生演奏ヨガが終わったところ。
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ガーデンホールへ、あふりらんぽ!
良かったー☆★人生初生あふりらんぽ。生は全然Youtubeよりいい!一曲目でギターの弦が切れ、それをテーマに即興演奏!ステージから掛け出しホール後ろの二階の柵をドラムスティックで叩く!この生命力、最高!日本語の五感を解放しているというか、太古の巫女のよう。素晴らしかったです。
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そして一階へ、コモンズ寄席で柳家喬太郎さんがライヴしてくれるのです。
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前座の若手さんの後柳家師匠が登場。初生落語が喬太郎師匠とは嬉しいじゃねぇかw
でも最初「落語を生で聴くの初めての人手を挙げて」といったら、「少ない」とw

赤ちゃんの鳴き声に「今日は赤ちゃんいくらでも泣いていい、撮影もオーケー、肖像権は正蔵だけ!」とおっしゃってたけどシャッター音が全然ないのは流石寄席客たち。私も無音撮影アプリでぱしゃったらステージライトで師匠が光になってましたw
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まずマクラが最高wコロッケそば、今年食べたばっかだったのですげー良く分かるw
また地名ディスり、立ち食いそばディスりも愛が伝わってきて気持ちよく笑えました。ってかほんとにこんなに笑い起きるんですね。今までJALやANAの機内でしか聴いてなかったけど、生だとやっぱり演技もみれて立体的に惹きこまれるなー。演目は「時そば」。フェスならではの必殺ナンバーなのかな?古典でこんなに自分が笑えるとは、新鮮な驚きでしたw

そして二席目は機内でも聴いたことがあった「夜の慣用句」。またこれが面白いんだw
Youtubeにありました。


恵比寿という土地を活かしたご当地ボケもおもしろかったですw

外へ出ると広場では太極拳が行われてました。なんとBGMはオノセイゲン氏が録ったアマゾンの音!まぁ鳥音とかアマゾンサウンドはちょと小さかったのですが、いいストレッチになりました。
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再びホールへ戻り、空間現代のギグを。
これがまた凄かった。ロックという概念建築を解体し再構成したような鮮烈衝動、特にラストの昂ぶりにはおおおおおっと前で体をぎこちなく揺らしましたw!あふりらんぽに続きみたかったバンドを生で観れるとは、このフェスほんとにnice choiceです^^

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ここでちょっとブレイク。広場で教授と福岡伸一さんのJ-WAVE公開収録をみたりしながら屋台ブースを散策。
このフェス、こだわりのチョコレート店や、サムゲタン、漢方茶の調合ブースとか、まさに「フェス飯ってレベルじゃないホットミール」達。いいなぁ。自分は獺祭スパークリングでつくられたサングリア飲みました。
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ちょっと清水ミチコみようかなと想ったら入場規制。AKによるハイレゾでの『レヴェナントOST』試聴ブースとかみながら時間を過ごし、何気に楽しみにしてた「やくしまるえつこ(掛け声)、坂本教授(ピアノ)、そして見本のお姉さんによるラジオ体操」を見てきました。まるえつ、いつかRSRで相対性理論みたときは混みすぎて顔見れなかったけど、今回みれて、可愛かった◎このラジオ体操、時計チッククラスにいいまるえつの活かし方だったと思います☆Twitter動画に早くもあがっていました。
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そしてそのままうないぐみへ。いーい唄でした。四人の混響とでもいうべきか、めっちゃいい合唱。ウチナー言葉はまるで外タレ、というか普段は沖縄だろうから、外タレを見る気分でした。この前のフェス出演もフジロックだったし。『童神』もやってくれました。
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てぃんさぐぬ花の歌唱は古典落語のような瑞々しく格調高いクラシック。その琉球の天然自然の生活の中の歌が教授のピアノが入ることで、都市にも通じる硬度が入ったの、化学反応だったなぁ。そしてコラボ曲の「弥勒世果報 (みるくゆがふ) - undercooled」もまた恵比寿で美しく歌い上げられました。



そして最後は安里屋ユンタ!最高!昨日の吉野ハイキングで足が結構限界でこれをフィナーレに帰りました。幸宏さんも相当良かったらしいですね。いやー、良い時間を過ごさせました。感謝!音楽X健康を軸に「知る」「笑い」「運動」という多次元へ広がった新たなフェス。食事に関しても、場の雰囲気に関しても大人が楽しめる空間、今後もやってほしいなぁ。最高の日曜日をありがとうございました。感謝!
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by wavesll | 2016-04-10 22:16 | Sound Gem | Comments(0)