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世界を変えた書物展@上野の森美術館

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世界を変えた書物展を上野の森美術館でみてきました。金沢工業大学の素晴らしい蔵書たち。理工学系の名著をたっぷりみれました。

現代社会を織り成す技術がどう生まれてきた歴史が書物の流れから立ち上がって。

様々な単位のネーミング元になった科学者たちの存在や、「cell」「electric」「radio active」の始まりも知れ。

自然科学の教養なくしては文化もありえないというか、“世界/環境”が人間の内面にも大きく作用したように想いました。智の山脈がこんなにも広がって、今は航空機からみるだけだけど、いつか足で踏破してみたい。

撮影もフリーだったためパシャリとやってきました。全部の本ではないので是非来場に。入場無料です。24日まで。

アルベルト・アインシュタイン『自筆研究ノート』
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ジョバンニ・バッティスタ・ビラネージ『古代ローマの廃墟及び構造物景観』
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パウル・デッカー『王侯の建築家、あるいは民生建築』
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アレクサンダー・グラハム・ベル『自筆書簡』
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ウィリアム・チェンバース『民生建築論』
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クロード=ニコラ・ルドゥー『芸術、風俗、法則との関係の下に考察された建築、第一巻』
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カストール・ギマール『カステル・ベランジエ』
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シカゴ・トリビューン社『シカゴ・トリビューン新社屋競技設計作品集』
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ウィトルウィリス『ラテン語より俗語に翻訳された十巻の建築書』
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アルビレヒト・デューラー『人体比例論四書』
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トーマス・オールヴァ・エディソン『自筆指示メモランダム』
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ヨーハン・ベルンハルト・フィッシャー・フォン・エルラッハ『歴史的建築』
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オーヴィル・ライト『米国航空協会競技認可証自筆署名』
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ジェィムズ・スチュアート, ニコラス・レヴェット『古代アテネ』
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マリー・スクウォドフスカ・キュリー『自筆署名』
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ジャコモ・バロッツィ・ダ・ヴィニョーラ『建築の五種のオーダーの規則』
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アリストテレス『ギリシア語による著作集』
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イシドールス『語源学』
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アルキメデス『四辺形, 円の求積法』
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ヨルダヌス・ネモラリウス『算術十書』
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ヨハネス・ケプラー『新天文学』
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ヨハネス・ケプラー『世界の調和』
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アイザック・ニュートン『自然哲学の数学的原理』
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エウクレイデス(=ユークリッド)『原論(幾何学原本)』
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ポエティウス『算術』
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アポロニウス『卓越する数学者の全集』
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アルキメデス『哲学及び幾何学の卓越せる全集』
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レギオモンタヌス『アルマゲスト(偉大なるプトレマイオス)』
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ニコラス・コペルニクス『天球の回転について』
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ガリレオ・ガリレイ『星界の報告』
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ガリレオ・ガリレイ『世界二大体系についての対話』
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ジロラモ・カルダーノ『代数学についての大技術』
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ジョン・ネーピア『驚くべき対数法則の記述』
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ゴットフリート・ウィルヘルム・ライプニッツ『極大と極小に関する新しい方法』
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レオンハルト・オイラー『無限解析入門』
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ルネ・デカルト『方法序説』
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ヨルダヌス・ネモラリウス『タルターリアの研究によって正された重さについての書』
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タルターリア『新科学』
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シモン・ステヴィン『つり合いの原理』
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クリスティアン・ホイヘンス『振子時計』
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ガリレオ・ガリレイ『新化学対話』
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ヨハネス・ケプラー『天文学の光学的部分を扱うウィテロへの補遺』
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ロバート・フック『微細物誌』
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アイザック・ニュートン『光学反射, 屈折, 光の伝播と色について』
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トーマスヤング『色と光の理論について』『自然哲学及び機械技術に関する講義』
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ヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ『色彩論』
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フォジャ・ド・サンフォン『モンゴルフィエ京大の気球体験記』
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ダニエル・ベルヌーイ『流体力学』
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オットー・リリエンタール『飛行術の基礎となる鳥の飛翔』
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ウィルバー・ライト『航空実験』
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ロバート・H・ゴダート『液体燃料推進ロケットの開発』
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ヒエロニムス・ブルンシュヴィヒ『真正蒸留法』
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ゲオルギウス・アグリコラ『金属について(デ・レ・メタリカ)』
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ジァンバッティスタ・デッラ・ボルタ『蒸留法九書』
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アントワヌ・ラヴォアジェ『化学要論』
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ロバート・ボイル『懐疑的化学者』
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オットー・フォン・ゲーリケ『真空についての(いわゆる)マグデブルグの新実験』
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ベンジャミン・フランクリン『フィラデルフィアにおける電気に関する実験と観察』
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ジャン・テニエ『磁石の本性とその効果の価値について』
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ウィリアム・ギルバート『磁石及び磁性体ならびに大磁石としての地球の生理学』
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マイケル・ファラデー『電気の実験的研究 第I、II、III巻』
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トーマス・オールヴァ・エディソン『ダイナモ発電機・特許説明書, 特許番号 NO.297, 587 合衆国特許局』
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アレッサンドロ・ヴォルタ『異種の導体の単なる接触により起る電気』
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アンドレー・マリー・アンペール『二種の電流の相互作用』
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ゲオルグ・ジーモン・オーム『数学的に取り扱ったガルヴァーニ電池』
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アレクサンダー・グラハム・ベル『電話の研究』
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ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツ『非常に速い電気的振動について』
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ルネ・デカルト『哲学の原理』
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ヘンドリック・ローレンツ『運動物体の電気的、光学的現象に関する試論』
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ジェイムズ・クラーク・マクスウェル『電磁場の力学的理論』
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ヘンドリック・ローレンツ『マクスウェルの電磁気理論とその運動体への応用』
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ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン『新種の輻射線について』
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アントワヌ・アンリ・ベックレル『物質の新しい性質の研究』
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ピエール・キュリー, マリー・スクウォドフスカ・キュリー『ピッチブレンドの中に含まれている新種の放射線物質について』
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マリー・スクウォドフスカ・キュリー『放射性物質の研究』
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エルヴィン・シュレディンガー『波動力学についての四講』
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ロバート・A・ミリカン『電子、陽子、光子、中性子および宇宙線』
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湯川秀樹『素粒子の相互作用について』
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合衆国戦略爆撃調査団『広島、長崎に対する原子爆弾の効果』
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マックス・プランク『正規スペクトルのエネルギー分散則の理論』
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ニコライ・イヴァノーヴィッチ・ロバチェフスキー『幾何学の起源について、カザン帝国大学記要, 25号(1829), 27号及び28号(1830)所収』
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ゲオルグ・リーマン『幾何学の基礎にある仮説について』
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ヘルマン・ミンコウスキー『空間と時間』
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アルベルト・アインシュタイン『一般相対性理論の基礎』
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アルベルト・アインシュタイン『特殊相対性理論及び一般相対性理論』
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アルブマサル(アブ・マァシャル)『占星術』
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ガイウス・プリニウス=セクンドウス『博物誌三十七書』
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ジョルジョ・ヴァザーリ『最も優れた画家、彫刻家、建築家の生涯』
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ヨハネス・ヘヴェリウス『天文機械上巻』
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ブレーズ・パスカル『液体の平衡及び空気の質量の測定についての論述』
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セバスチャン・ル・プレストル・ド・ヴォーバン『要塞都市の攻撃と防御 第I、II巻』
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ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ『力の保存について』
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チャールズ・ダーウィン『種の起源』
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グレゴール・ヨハン・メンデル『植物=雑種についての研究』
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アレクサンダー・フレミング『アオカビ培養基(ペニシリウム)の抗菌作用』
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ジェームズ・ワトソン, フランシス・クリック『核酸の分子的構造』
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アメリカ合衆国航空宇宙局(NASA)『アポロ11号任務記録(月着陸交信記録)、月面への第一歩』
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by wavesll | 2018-09-20 05:59 | 展覧会 | Comments(0)

ミケランジェロと理想の身体展@国立西洋美術館

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ミケランジェロと理想の身体展を西美でみてきました。

ミケランジェロの2体でやはり素晴らしかったけれど、古代ギリシアからのルネサンスの美意識という切り口では少し水増感も。

けれどヴィンチェンツォ《ラオコーン》の“この3次元の複雑味をよくぞ彫った!”感は凄かった。古代に創られた彫刻が掘り返されて再構築されて。異次元感が。

個人的ベストはミケランジェロの《若き洗礼者ヨハネ》でした。

会場に入ると1世紀前半の≪プットーのレリーフ≫が。有翼の童子であるプットーのぷっくり感が可愛らしくて。これはなかなかいい出だし。プットーでは≪プットーとガチョウ≫も可愛らしく、ルネサンスに描かれたアンドレア・デル・カスターニョ≪花網を伴う小プットー≫も。

ルネッサンスに大きな影響を与えた古代ローマでは幼児の彫刻が数多く作られ、≪蛇を絞め殺す幼児ヘラクレス≫も黒々とちっちゃくても力は金剛というファンタジックなブロンズ像で。

そしてニッコロ・ロッタリアータの工房で創られた≪6人の奏楽天使の群像≫も縦笛、ハープ、フルート、リュート、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴァイオリンを弾く天使たちの表情が生意気で好くて。天使だと≪弓を引くクピド≫も天に向けて空手で矢を放とうとする仕草をみせる天使が小鳥のような美しさがありました。

ルネサンスの時代に流行った立ち姿(コントラポスト)は≪アキレウスとケイロン≫にも現れていて。これと≪子どもたちを解放するテセウス≫と≪ヘラクレスとテレフォス≫はポンペイの壁画展に続きナポリ国立考古学博物館から来ていて。

また≪ガニュメデスの誘拐≫は宮川香山アンコール遺跡かというくらいに立体として浮き彫りされたレリーフで素晴らしかったです。

古来西洋では人物彫像に関して”顔の個人性”は重視されていなくて、寧ろそのタイプのイデアを追い求める形が多くて。そこから肖像画への機運が芽生えていって。その後の西洋美術の流れはビュールレコレクション展に詳しかったですね。

当時理想化された人物の頭部作品の中でイノベーションを起こしていたのがロッビアの人々で。アンドレア・デッラ・ロッビア≪理想的な若者の肖像(聖アンサヌス)≫や女性的に造られたジョバンニ・デッラ・ロッビア周辺≪バッカス≫等は施釉テラコッタという手法でツヤツヤした立体作品を行い、当時のカロス・カイ・アガトス(外見の美しさは内面の美を顕わす)という思想を体現していました。

また古代ローマとそれに影響を受けたルネッサンス期はアスリートや戦士の像も作られていて。そんな男性彫刻の中でアンドレア・デル・ヴェロッキオの追随者≪紋章を支える従者≫はキャプションで「ドアストップに使われていた」なんて書かれていて”マジかw”と。

ベーザロ窯、ジャコモ・ランフレンコ・ダッレ・ガビッチェ、父ジローラモの工房において≪ローマ史の一挿話が描かれた皿≫というマヨリカ陶器の皿も”当時こんな色彩世界だったのか”と面白かったです。

古代ローマ、そしてルネサンス期はギリシャ神話の神々・英雄たちをモチーフにした作品が多く作られました。

そんな中でもジョバンニ・アンジェロ・モントルソーリ≪ネプトゥヌス≫は顔がミケランジェロになっているという逸品。1世紀の≪ヒュプノス≫のこめかみから羽が生えるフォルムも楽しかったです。

またヘラクレイトスは人気のヒーローで。こん棒を持った壮年時代の≪座るヘラクレス≫もワル危なくていいし、ヘラクレスの十二の功業が描かれたオルトス≪アッティカ赤像式キュリクス、ヘラクレスとヒュドラ≫やクレオフラデスの画家≪アッティカ赤像式カルピス、ヘラクレスとネメアのライオン≫という色絵焼き物も好かった。

そして小さな彫像≪狩をするアレクサンドロス大王≫のかっこよさ!風にはためくマントも、青年の顔もなんたる格好良さ!失われてしまったブケファロスという馬も是非見てみたかったなぁ。

上のジョバンニ・デッラ・ロッビア周辺≪バッカス≫でも男性神が女性のように描かれましたが≪竪琴を弾くアポロン≫もたおやかに女性的で、中世的な優男に魅力を感じる美意識はこんな昔にもあったんだなぁと。

また次の流れにはロンバルディアの芸術家(?)≪ダヴィデとゴリアテ≫・≪ゴリアテの首を持つダヴィデ≫が。巨人ゴリアテを倒したヒーローであるダヴィデ。西洋美術は神話の物語線を知っているとより理解できるなぁ。

そしてこのアポロンとダヴィデの前振りからの今回の目玉、ミケランジェロ作品の登場!

ミケランジェロ・ブオナローティ≪ダヴィデ=アポロ≫はミケランジェロが後期に造ろうとして未完に終わった作品で、ダヴィデともアポロともどちらか判別付かないミステリーのある像。

そしてミケランジェロ・ブオナローティ≪若き洗礼者ヨハネ≫はスペイン内戦で破壊されるも、破片を基に修復されて、今展示となっています。再現部分は磁石でつくられていて、新たなオリジナル部品が見つかったら取り換えられるとのこと。8才ほどの少年が思慮深さを湛えていて、なによりオリジナル部分の目が素晴らしかったです。

同じフロアにはミケランジェロの若き洗礼者ヨハネはこれでは?という説も流れたというベネデット・ダ・ロヴェッツァーノ(ベネデット・グラッツィーニ)≪若き洗礼者ヨハネ≫も。賢しい感じの目はちょっとミケランジェロとは違う感じ。ただ衣服のテクスチュアがまた好かったです。

またミケランジェロ周辺の芸術家(ザッカリーア・ダ・ヴォルテッラ?)≪磔にされた罪人≫もキリストの磔刑時左右に共に張り付けられた善い罪人と悪い罪人の内、右に視線を向けているため善い罪人であるとされていて。ガラス製の十字架にかけられていた展示も好かったです。

そして今回の目玉の一つ。ヴィンチェンツォ・デ・ロッシ≪ラオコーン≫!
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元々は古代ローマ時代につくられた彫像がルネッサンスに発掘・出土して。その現場にはミケランジェロも来たそうです。そしてこの像はヴィンチェンツォがその像を再現と言うか再構築・創造したもの。この鬼のような三次元表現、凄すぎる!

NUDE展@浜美のロダンの≪接吻≫と同等の衝撃。というか、裸体表現・彫刻も含む時代の流れをあの展覧会では感じれたので、NUDE展は今回の展覧会と共鳴するところがあると想います。

最後の章はミケランジェロに関する事物のスペース。

ジョルジョ・バザーリ≪美術家列伝 『偉人ミケランジェロ・ブオナローティ伝:アレッツォの画家兼建築家ジョルジョ・ヴァザーリ殿著。またアカデミア・デル・ディゼーニョにより彼のためにフィレンツェで執り行われた壮麗な葬儀について』≫とそれに対するミケランジェロの批判的なアンサーであるアスカニオ・コンディーヴィ『フィレンツェの画家、彫刻家、建築家そして貴紳、ミケランジェロ・ブオナローティ伝』が最初に置かれて。

そしてピエトロ・トッリジャーノの拳により鼻が曲がった様が描写されている≪ミケランジェロの胸像≫やパッシニャーノ(ドメニコ・クレスティ)≪ミケランジェロの肖像≫、ジェラール・レオナール・エラールに基づく≪ミケランジェロのメダル≫なんかも。

ミケランジェロの彫刻へ向けて、コントラポスト、神話彫刻などで道筋をつけてBFでは一気に2体を魅せ、そしてミケランジェロゆかりの作品も展示するという構成でしたが、もっとディレクション強度を上げても佳かったかなとは想いました。

とはいえ中々いい時間を過ごせました。冒頭のプットーから惹きつけられる彫刻だったし、≪ダヴィデ・アポロ≫と≪洗礼者ヨハネ≫には聖性を感じたし、≪ラオコーン≫も好かった。

そして国立西洋美術館といえばコレクション展。これも好い塩梅で。ロダンのバルザックやクラーナハ(父)の絵、新蔵品ではドガの踊り子のいい奴、シャセリオーもあったし、撮影不可のクロード・モネ≪エプト河の釣人たち≫も素晴らしかった。

また企画展の『西洋版画をみる』ではアルブレヒト・デューラーの≪ネメシス(運命)≫や≪頭蓋骨のある紋章≫、ピーテル・ファン・デル・ヘイデンとピーテルブリューゲル(父)≪金銭の戦い≫、ジョルジョ・ギージ、ジョバンニ・バッティスタ・ベルターニ≪エゼキエルの幻視≫、ヘンドリク・ホルツィウス≪羊飼いの礼拝≫が好かったです。

それでは最後にフォトスナップ達を。

オーギュスト・ロダン≪バルザック(習作)≫
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ルカス・クラーナハ(父)≪ゲッセマネの祈り≫
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ヤコボ・デル・セッライオ ≪奉納祭壇画:聖三位一体、聖母マリア、聖ヨハネと寄進者≫
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リヒター l クールベ
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テオドール・シャセリオー ≪アクタイオンに驚くディアナ≫
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ジャン=フランソワ・ミレー ≪春(ダフニスとクロエ)≫
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ギュスターヴ・ドレ ≪ラ・シエスタ、スペインの想い出≫
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エドガー・ドガ ≪舞台袖の3人の踊り子≫
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エドゥアール・マネ ≪花の中の子供(ジャック・オシュデ)≫
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ピエール=オーギュスト・ルノワール ≪木かげ≫
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オーギュスト・ロダン ≪私は美しい≫
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エミール=オーギュスト・カロリュス=デュラン ≪母と子(フェドー夫人と子供たち)≫
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ポール・セリュジエ ≪森の中の4人のブルターニュの少女≫
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ポール・ランソン ≪ジギタリス≫
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ピエール・ボナール ≪坐る娘と兎≫
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ジョルジュ・デヴァリエール ≪聖母の訪問≫
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ピエール=オーギュスト・ルノワール ≪帽子の女≫
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シャイム・スーティン ≪心を病む女≫
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ジャクソン・ポロック ナンバー8, 1951 黒い流れ
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by wavesll | 2018-09-17 00:16 | 展覧会 | Comments(0)

滋賀京都バレットトラベル 弐 祇園閣・京都霊山護国神社・建仁寺・伏見稲荷大社・恵文社一乗寺店・ラーメン本家第一旭

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昨日の記事に続いての滋賀京都弾丸旅行記。今日は京都編。

堅田駅から湖西線で山科駅へ来て、駅のうどん屋でカレー牛肉丼。うどん屋のだしのカレーが温かくてスタミナがチャージされる。考えてみれば碌なもん食ってなかったw
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”「御陵」で「みささぎ」って読ませるってワギャンランドのしりとりかよ”とか”蹴上って凄い駅名だな”と想ってたら東山駅に着。

京都の街並み、経年劣化した昭和な建物も多いけれど、醸し出す雰囲気がとてもよくて、そんな中にきらりと光る洒落た店が最高だな。
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祇園着。祇園は歯医者もモダンで可愛くて。通りに入ると「キメラ」というこれまた壁がかっこいい店が。
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そして今回の京都旅行の目的、祇園閣がみえてきた。
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金閣・銀閣は有名だが、あなたは幻に終わった銅閣計画を知っているでしょうか?豪商・大倉喜八郎が建築家・伊東忠太につくらせようとして奇抜すぎて却下された計画。「ならば祇園祭の鉾の形では!?」と創られたのがこの祇園閣。今夏期の特別拝観で上に上ってきました。
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現在祇園閣は織田信長親子のために建てられた大雲院の一部で祇園閣内部は中国の絵師によって描かれた敦煌莫高窟内部の絵が描かれていて、エメラルドグリーンな立体仏教絵巻となっていました。楼閣からは東山が一望でき、遠くにはあべのハルカスもみれて。中では撮影禁止なので外からぱしゃり。
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祇園閣は建築と日本展で知って。伊東忠太は妖怪好きだったらしく中のライトは妖怪の像が支えていた。大雲院の宝物館には信長から賜った団扇や秀吉から賜った酒瓶の他、雪舟応挙池大雅の画も。中でも応挙の白鷹はかなりいいやつに感じた。
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大雲院には石川五右衛門の墓があるそうで。それは見つけられなかったけれど、祇園閣からほど近い京都霊山護国神社にて坂本龍馬と中岡慎太郎の墓を参ることができた。
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そこで売ってた水。美味いが、水だw
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シックなファミマ
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建仁寺にて小泉淳作筆《双龍図》をみる。平成の龍。鱗はまるで花弁の刃のよう。雷雲は水煙にも火煙にもみえた。寺院もアップデートされていく。
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寺院の中には海北友松の竜図などの高精細複製が。畳の中でみる銘品は趣があった。大雲院にも名品があったけれど、寺には元々美術品が収蔵され、それを学びに画家が来て、そして資金力もあるからさらに名画が描かれていく。
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庭も美しかった。
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鳥羽美花さんの《凪》と《舟出》。京都からヴェトナムへ渡りさらに花開いた型染の藝術、素晴らしかった。建仁寺は寫眞撮影自由なのも素敵だ。
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ベッタベタに伏見稲荷へ来た。千本鳥居はコマ送りでみると亜空間体験。ところがすぐに通行止め。台風で道が塞がれてしまったらしい。これまでも”瓦が取れてるな”とか思ってたけれど、やはり大きな爪痕が。せめて何か京で買おう。。。
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駅の自販機で買った宇治茶。碾茶入りでとても美味しかった。京都府産茶葉100%。これ、関東でも取り扱って欲しいな~◎
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比叡電車も鞍馬に行く途中でSTOPなのだな。今年の天候災害は本当に苛烈だった…。
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一乗寺にて。お、お前、こんなところにもいたのか。
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本の土産を恵文社一乗寺展にて購入。ここはいつ来ても本当に雰囲気がいい。置いてある本も素敵だし、心地いいCDも。店内は許可を得て撮影しました。
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比叡電車がクッソカッコ良かった。外装も内装も素晴らしい。椅子も快い座り心地。
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出町柳から市バスで京都駅へ。電源カフェを調べて、ドトールにてスマホを充電。好いころ合いになって地上へ出ると、そこには京都タワーが。
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なんか屋台村みたいなのがあった。こういうの好いね。
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この旅の〆はラーメン本家第一旭。21:30過ぎについたら20人くらい並んでて吃驚。20分強並んで入店。特製らーめん。うまい!醤油のスープが絶品!中細麺によく絡む!チャーシューが口のなかでほどける!オーソドックスなんだけどすーごい美味い。ドトールでミラノサンドA食ってたのにするっと食えてしまった。こーれは旨かった。さぁ後は帰るのみだ。
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帰りも夜行バス。夜行バス2夜行バスで、アバンティ前で出発を待つのが眠くて仕方なかったwただ車内で飲もうとコンビニでペットボトル買ったときに店員さんがきさくな語り掛けをしてくれて”関西っていいなぁ”って。旅人の気楽さ故かもしれないけれど。

途中のSAで400円の缶コーヒーを買った。美味いけど、400円出したらスペシャリティコーヒーが飲めるコーヒースタンド知ってるからなぁ。旅ゆえの散財だw

7:00横浜着。そういえば京都にもポルタがあったのは軽い驚きだった。さて風呂を浴びて一日が始まる。京都まで片道3000円は魅力的だけど、これつづけてたら早死にするなwとはいえサクッと旅できるのはいい。一人旅もいいけれど、二人とかで旅したくもあった。ぷらっとこだまとかと上手く使い分けできたら。
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by wavesll | 2018-09-15 03:55 | | Comments(0)

滋賀京都バレットトラベル 壱 田中一村展@佐川美術館にて秋の千葉の彩をみる

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I'm@京都駅
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そう、夜行バスで滋賀・京都旅行を敢行してきたのでした。

上の写真はYCAT上から出たバスから降りて撮った朝の京都駅。
今は夜行バスでも座席にコンセントが付いているタイプでも横浜-京都が3200円くらいで行けるんですね。凄い世の中だ。

慌ただしい朝の京都駅でコンビニおにぎりを食し、湖西線のこんな渋い列車で霧の山と琵琶湖を眺めながら滋賀・堅田駅へ。
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堅田駅から路線バスで琵琶湖を越え、そこから歩いて守山市は佐川美術館を目指します。
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目的は日曜美術館で一目ぼれした奄美の自然を画いた画家、田中一村の展覧会。
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この佐川美術館、佐川急便の私設美術館で、建物は建築と日本展@森美にも紹介されていて。水と建築の美しい調和がありました。
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田中一村は栃木に生まれ、幼少期より南画を描き、1926年に東京美術学校へ入学。けれど2ヶ月で退学し、その後独学で千葉そして奄美で画業を探究、生前作品を発表する機会はなかったけれども、今日では熱心な支持を集める存在となっています。

この展覧会では奄美時代のみならず、幼少期から彼の画業の軌跡を捉える展示となっていました。

何しろ最初に展示された作品≪菊図≫を画いたとき一村(当時の雅号は米邨)少年は7才!神童じゃないか!父の影響を受け南画を学んだ一村はその才能を多くの画に記しています。

可愛らしい≪紅葉にるりかけす/雀≫と≪柳にかわせみ≫。滝に仙人がちょこんと座っているような≪観瀑≫。金地に綺麗な≪花菖蒲≫、青い露が美しい≪つゆ草にコオロギ≫。咲き降る≪藤図≫にシックな≪木蓮図≫。墨とピンクの≪紅白梅図≫、鈍色なエメラルドグリーンな≪瓢箪図≫、墨の山景に桃色が煌めく≪武陵桃源図≫と彼のまなざしが自然や虫に向けられていることがみてとれます。中でも梅が枝の波動と化していく≪墨梅長巻≫は十代での大作。

≪桃果図≫黄色の暖色が美しい≪菊図≫、葉の迫力がある≪蓮図≫、そして墨の葉が凄い≪蓮図 擬八大山人筆意≫。長命を顕わす≪菊水図≫と牡丹を画いた≪富貴賞図≫、そして仙人が食べる≪桃果図≫の生命力を画いた三作も素晴らしい。

そして20才の時に描いた≪蘭竹図/富貴図衝立≫の金色にカラフルな牡丹が咲き誇りそして青の葉がダイナミックな画は圧巻!裏の勢いの良い墨草も素晴らしかった。

そして≪南天とろうばい≫の赤の映え。鈍い青が印象的な≪浅き春≫。≪椿図屏風≫はまた金地に咲き誇る椿の樹が描かれ琳派な趣向。

23才で南画から別軸へ画業を変遷し30で一村は千葉へ移住します。個人的にはこれまでの作品も好かったけれども、一村のオリジナリティがここから大きく開花していく様が本当に素晴らしかったです。

シンプルで抽象的な≪石図≫、シャクヤクが美しい≪椿図≫、影が何とも印象的な≪竹≫。グリーンにレッドが最高な≪南天≫に木が勢いよく流れる≪白梅図≫。

そして≪棕櫚≫の火花のように弾ける植物描写!これは本当に素晴らしい!≪つゆ草≫の青のワンポイントもいいし、≪秋色≫の零れる赤。あの世が滲む≪彼岸花≫も好かった。

さらに≪秋日村路≫の素晴らしい事と言ったら!秋があふれている。一村には奄美を描いた画家という認識があったのですが、本展覧会で彼が画いた千葉の秋の朱黄の美しさを知れたのは本当に収穫でした。

流体がきれいな≪毒だみの花≫、黄色に白がいい≪粟≫、中心の赤と周りの黒がいい≪鶏頭≫。リラックスした≪ホオズキ≫にべた塗りで美味そうな≪柿≫。甘そうな南瓜に虫への温かい視線がみえる≪かぼちゃにキリギリス≫。

表情豊かな≪翡翠≫に二羽の関係性をみるのも楽しい≪軍鶏試作≫。牛がのどかな≪春郊≫、異世界な感覚があった≪黄昏野梅≫、≪桃華仙境≫のピンクも好かった。

木の影絵のような良さがいい≪千葉寺麦秋≫。淡さが好かった≪千葉寺はさ場≫。≪千葉寺収穫≫の田舎の美。≪千葉寺晩秋≫の木の色彩。葉の緑に赤が鮮やかな≪南天≫。≪みやま頬白≫や≪水辺に翡翠≫もまた好い。

向日葵の濃さのトーンがゴッホみたいな≪八重ひまわり≫。濃い塗り方の≪桐葉に尾長≫も本当に印象的でした。

ここから亜人物画のスペースが。紙の繊細さが伝わる≪お雛様≫にスイカな色合いの≪紙立雛≫。≪雛図≫は顔が好い。子どもの為の温かい心が伝わる≪お雛様≫も好かったし、男の子の為の≪兜≫も好かった。

すっくと立った≪蓮上観音図≫。浪がうねる≪あばさけ観音≫。女性の悟りの表情がある≪白衣観音像≫に羅漢の男らしさが伝わる≪十六羅漢像≫、≪羅漢図≫12点はユーモラスでした。

灰色の巣が暖かい≪巣立ち≫に、≪春林茆屋 仿謝蕪村≫・≪麦秋図≫・≪牛のいる風景≫・≪さえずり≫というスナップショット的な団扇作品も。

そして第二会場。38才にして画壇にデビューし雅号がいよいよ田中一村となります。ここから日展や院展への挑戦と、そして日本画壇・川端龍子との決別迄の作品が展開されました。

昏い夕景を画いた≪入日の浮島≫、網がモチーフの≪四ッ手網≫。ヤマボウシとトラツヅミが描かれた≪白い花≫は二作とも素晴らしかった。特に緑にあふれた方が好きでした。

黄葉の重なりが賑やかで楽しい≪秋色虎鶫≫、大胆な構図が好い≪葦によしきり≫。カケスの青が好い≪柿にかけす≫にキツツキの飄々とした顔が好い≪枯木にきつゝき≫。

農家の夜の風景が描かれた≪黄昏≫。そして賞に選ばれた≪秋晴≫は金地に琳派な画風。

≪浅春譜≫の空色。≪早春≫の里山。≪春林≫のにゅるっと伸びる翳。≪野梅≫のスパンコールのような白。≪千葉寺春彩≫のゴールデンなマジックアワー。≪晴日≫は青のグラデーションに黒く太い木影。ずばっと縦長な≪山桜≫や扇な≪露草に蜻蛉≫も好かった。

≪四季草花図(旧襖)≫≪千葉寺 麦秋≫の火花のような花の描写が素晴らしくて。しみじみと暮れていく≪水辺夕景≫にわらぶき屋根が劇画調に描かれた≪農家の庭先≫、里の情景だと≪千葉寺 浅春譜≫も好かった。≪冬景色≫は薄明に雪積る木々の姿。ピンクな≪野の馬≫もいいし、≪千葉寺 麦秋≫のトトロなデカい木や珍しい青空が描かれた≪仁戸名 蒼天≫、太陽のぬくもりを感じる≪菊花図≫も好かった。

そして≪秋色虎鶫≫のなんたる楽しさ!秋の綺麗さが詰まった素晴らしい絵画でした。本当に一村の秋の描写は快い◎

青い山影な≪筑波山≫もいいし、九州・四国・南紀の旅で描かれた≪阿曽村千里≫・≪僻村暮色~恵良村≫・≪僻村暮色≫・≪雨薺≫は大きなスケール感が好く、≪山村六月~北日向にて≫・≪新緑北日向≫はトロピカルな自然が好く、≪室戸奇巌≫の白浪も好かった。

さらに≪忍冬に尾長≫がとても素晴らしい!羽毛のふわっふわな感触が伝わり、尾長の柔らかさがなんとも絶妙で。

50歳にしてして奄美へ渡った一村。彼は69でなくなるまで南方の地で日本画の新領域を切り拓きました。

奄美へ発つ為の資金作りのための描いた大作襖絵≪四季花譜図(裏面:白梅図)≫・≪四季花譜図(裏面:松図)≫の花のレッドからライトイエローへのグラデーション。≪白梅図(裏面:四季花譜図)≫・≪松図(裏面:四季花譜図)≫の枝ぶりの良さ。≪紅梅図≫が苔が翡翠色で良く、≪百合と草花図≫の斑が好かった。

≪日暮れて道遠し≫のオバアと月、≪宝島≫の△な山。≪麗日~トカラの馬≫≪クロトン≫や≪与論島初冬≫など他の島々で描いた作品も。≪クロトン≫は鮮やかな赤と黄が熱帯で。

≪山中の雨≫の農村の湿度に≪鬼ヘゴと谷渡り≫のシダの影。≪林間夕照~峠の花≫も素敵で≪山路の花≫は蝶が描かれて。

≪パパイヤとゴムの木≫のオレンジに灰の果実もいいし、≪白梅高麗鶯図≫の綺麗なイエローも鮮やか。

≪紅梅丹頂図≫はタンチョウの後ろの梅が羽根のように広がって。≪漁樵対問≫はガジュマルに奄美の民が南画調に描かれて。≪百合と岩上の赤髭≫の小鳥が上に鳴く姿。≪クロトン≫はウォーホル的ですらあって、≪クロトンとカヤツリグサ≫の深緑に黄色の透ける耀きがまたいい。

そして≪初夏の海に赤翡翠≫が大胆に描かれたビロウの影にミツバハマゴウ、ハマユウ、アカミズキにオレンジの差し色がなんとも熱帯林の美があって。≪枇榔樹の森に崑崙花≫の彫り塗りで描かれたグレーの美。

≪奄美風景≫は海岩の影、もう一つの≪奄美風景≫は海草木の影。一村は影を印象的に使いこなす画家だなぁと想います。≪孤枩≫も奇岩の影。

参考資料にあった彼の品々も好かった。でかい≪木魚≫。≪帯留(おしどり)≫のカオ。≪帯留(みみずく)≫は夜な感じ。≪帯留(リンドウ)≫はカッコよかった。≪帯(菊図)≫はパステルでカラフルで。≪帯(竹図)≫はしみじみと良くて、≪花草文日傘≫のピンクに薄い植物模様。≪草花文角皿(絵付)≫と≪漢詩書角皿(絵付)≫も好かったし、≪粗画御礼(書)≫には彼はこんな字を書いていたのかと。≪根付(木魚)≫もでかかったし≪葉盆≫なんてのも。

そして最後のスペースに複製でおかれていたのは彼の代表作≪アダンの海辺≫。南国の果実であるアダンが印象的なこの作品は今は箱根の岡田美術館に展示され、収蔵は千葉市美術館だとか。いつかみてみたいなぁ。

≪クロトンと熱帯魚≫の黒赤なサカナがまた好くて。≪アカショウビン≫もトロピカルでいい。≪奄美冬彩≫は淡い奄美。≪奄美の海≫はいい藍色。≪奄美風景≫は曇天が多い奄美では珍しい水色の空。カラフルな≪与論島追想≫もいいし、サカナとイセエビが描かれた≪海の幸≫なんて作品も。そして若き日にも描いたモチーフの≪富貴昌図≫で円環を描き田中一村展は幕を下ろしました。いつか彼が画いた奄美にも来訪したい気持ちに成りました。

けれど佐川美術館はこれだけでは終わりません。

樂焼の当代当主樂吉左衛門館では≪巖≫という焼き物がまさに岩で、≪涔雲に浮かんでⅠ≫という作品はまるで宇宙の舟のよう。≪巌上に濡光あり I≫はアブストラクトな山水画、≪行行水窮處≫はカラフルな竹林で。

また佐藤忠良さんの彫刻作品が館内には展示されていて。≪チコ帽子≫という作品と≪帽子・夏≫という作品が好かった。
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”これだけみれて入館料千円とはいいなぁ、なんと堅田駅までシャトルバスも出てるとは。佐川男子に感謝”だと想って外へ出ようとしたらなんと平山郁夫の展覧スペースも!仏像を描いた作品やサマルカンド等の外地を描いた作品などかなりたっぷりな展示を駆け足で観て、シャトルバスに補助席で滑り込みました。3h満喫!素晴らしかったなぁ。

せっかく守山市まで来たしピエリ守山にでも行ってみようかとか等の気持ちにも駆られましたが、湖西線で京都へ。その旅模様はまた明日に描けたら◎




by wavesll | 2018-09-14 05:29 | 展覧会 | Comments(0)

河井寛次郎展@パナソニック汐留ミュージアムにて扁壺を視る

汐留にて没後50年 河井寛次郎展ー過去が咲いてゐる今、未来の蕾で一杯な今ーをみてきました。
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入場するとまず目に入るのが山口大学所蔵の名品達。

≪二彩双龍耳壺≫の美しい黄色、黄緑。ライトな藍色がWaterfallする≪兎糸文火焔青香爐≫、緑が迸る≪緑釉人形図壺≫、灰に葡萄色が射す≪澱彩透文喰籠≫、黄色に焦げが好い感じに焼き付く≪三彩文盂≫、≪桃図碗≫はモダンな灰焼色、白の花が綺麗な≪繍花六方花瓶≫などとても良かった。

これら山口大学所蔵品などは撮影NGだったのですが、その後ろに在る≪絵手紙[松本春々宛]≫等写真OKな作品が多いのがこの展覧会の嬉しい処。ぱしゃりぱしゃりしていきました。

≪青瓷鱔血文桃注≫と≪青瓷鱔血葉文花瓶≫の”青瓷鱔血”は青磁に銅で赤を焼き付ける技法。赤紫の妖しい紅が素晴らしかった。また≪流し描壺≫はスリップウェアという英国のようなデザインのアマゾンな逸品。

ここで面白かったのは≪鳴壺≫という作品。”Huaco of Incas”といいペルーの音が鳴る二口瓶からインスピレーションを得ているというのが興味深くて。ペルーの古代文明モチェ文明の土器とかにも通じるものがあるなと想ったりしました。河井さんの創作の素には中南米もあったのかと。

しっとり輝く白青い≪戯鞠獅子≫や紅紫のグラデーションが美しい≪紅壺≫。そしてミラノトリエンナーレでグランプリを獲ったという≪白地草花絵扁壺≫。本人にはそこまで賞に気がなかったそうで、友人が出品して受賞したとか。この”扁壺”シリーズが、なんとも素晴らしくて。

メインビジュアルにも使われた≪三色打釉双頭扁壺≫、この異形に惹かれて馳せ参じたのでした。なんでも土管からインスピレーションを受けたとか。その隣にあった≪呉洲刷毛目大壺≫の”呉洲”という藍色の色彩も良かったし、同じく土管からインスピレーションを受けたという≪黄釉塗分扁壺≫はその色付け感覚が岡本太郎にも通じる感覚と言うか、時代感覚を超越する感じが好かった。

河井氏は中国・朝鮮の硯にもかなり刺激を受けていたらしく、≪黒釉水滴付陶硯≫やバスタブみたいな≪辰砂陶硯≫、雫が可愛い≪黄釉陶硯≫なんて作品も。また嗜好品の分野でも≪鉄釉打釉煙草具セット≫という深くてかる黒の作品も作っていました。


ここから扁壺が続いて。≪辰砂筒描花文扁壺≫は『度胸星』の四次元体のよう。≪灰釉筒描扁壺≫は三角形の口。≪鉄薬面取壺≫は12面体、≪呉洲扁壺≫は藍色のイカ形。≪呉洲辰砂線文扁壺≫も時を超えるフォルムでした。

珊瑚のような印象の≪碧釉蓋物≫、タコのような≪呉洲筒描扁壺≫、また中央アジア的な模様の≪鉄釉抜蝋扁壺≫も素敵でした。

羽根のようなドローイングの≪練上鉢≫、神の仮面のような≪碧釉貼文扁壺≫。≪三色打薬扁壺≫は織部と縄文がミックスされたような名品。≪白地魚手文大鉢≫にはフォービズムも感じ、≪呉洲泥刷毛目扁壺≫は海浪のよう。≪白地三色打薬扁壺≫の現代美術のような佇まいに≪呉洲貼文扁壺≫には地中海美術を感じました。

ここから寛次郎さんが手がけた木彫のスペースへ。大量の木彫面と木彫像には、これまたインカやアステカ的な意匠を感じて。また河井さんがデザインを担当したキセルや竹製椅子、さらには花鳥虫食器家具などの文様をデザインした≪小間絵集≫という作品も。

戦時中、窯が使用出来ない時代、河井氏はコトバと向き合うことで内面世界を深めていく増した。これらの書や陶板の作品も一部屋使って展示してあり、日々の彼の精神の発露をメッセージという形で観ることができました。

また次のコーナーでは河井氏がインスピレーションを受けた諸作品と、そこから創られた河井さんの作品が展示してあって。朝鮮、伊万里、沖縄、丹波、さらには英国に近似した馬目皿など、非常に多岐にわたるルーツが彼の創作にはあったのだと感銘を受けて。

その後、≪鉄釉球体≫や≪木喰仏≫等のコレクション・遺愛品、さらには学生時代のノートや蔵書等が展示してあって。最後に展示してあった松下幸之助から贈られた≪パナペット(R-8)≫は「このラジオが私の文化勲章だ」と喜んだそうです。

またパナソニック汐留ミュージアムにはジョルジュ・ルオーの部屋もあって≪アクロバット(軽業師VII)≫と≪古きヴェルサイユ(表)≫が素晴らしかった。

さらに美術館が4Fにあるパナソニックのビルの1Fには河井寛次郎氏の轆轤の部屋の際限もあって、展覧会入場料の千円でなかなかに愉しませて呉れました。16日の日曜日まで。

最後に撮った作品達の寫眞を。

≪象嵌花鳥文壺≫
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≪青瓷鱔血文桃注≫
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≪艶消釉蓋付水瓶≫
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≪青瓷鱔血葉文花瓶≫
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≪海鼠釉流し掛壺≫
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≪流し描壺≫
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≪小箱各種≫ ≪碧釉貼文陶筥≫ ≪草花文陶筥≫ ≪笹絵陶筥≫ ≪辰砂陶筥≫ ≪流し描六角陶筥≫ ≪呉洲菱型陶筥≫
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≪絵手紙[松本春々宛]≫
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≪墨画【青瓷紅班壺】≫
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≪白地草花絵扁壺≫
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≪三色打薬双頭扁壺≫
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≪呉洲刷毛目大壺≫
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≪黒釉水滴付陶硯≫
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≪辰砂陶硯≫ ≪呉洲筒描水滴≫
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≪黄釉陶硯≫
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≪筒描文水滴≫
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≪辰砂六角箸置≫
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≪呉洲筒描文杯≫ ≪白地線文杯≫
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≪鉄釉打薬煙草具セット≫
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≪鉄釉筒描文碗≫
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≪黄釉泥刷毛目碗≫
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≪呉洲丸花文蓋付壺≫
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≪黄釉塗分扁壺≫
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≪灰釉筒描扁壺≫
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≪碧釉蓋物≫
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≪鉄釉抜蝋扁壺≫
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≪練上鉢≫
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≪碧釉貼文扁壺≫
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≪三色打薬扁壺≫
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≪白地魚手文大鉢≫
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≪呉洲泥刷毛目扁壺≫
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≪白地三色打薬扁壺≫
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≪呉洲貼文扁壺≫
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≪木彫面≫
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≪木彫像≫
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≪呉洲陶彫像≫
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≪辰砂陶彫面≫
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≪灰釉陶彫像≫
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≪呉洲陶彫面≫
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≪連結器写真新聞切抜き≫
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≪小間絵集≫
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≪キセル[デザイン]制作・金田勝造≫
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≪陶板「眼聴耳視」≫
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≪蓋物「喜者皆美」≫
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≪陶板「かざりのない高さ 人間の登れる高さ」≫
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≪書≫
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≪赤絵盒子≫
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≪打釉扁壺≫
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≪流し掛け耳付壺≫
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≪流し描鉢≫
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≪鉄釉球体≫
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≪木喰仏[十一面観音菩薩像]≫
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≪朝鮮 白磁壺≫
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≪朝鮮 輪花十二角膳≫ ≪釣り鐘火鉢(制作 金築運一)≫
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≪瀬戸 馬目皿≫
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≪黒田辰秋 根来鉄金具手箱(愛用ネクタイ入)≫
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≪黒釉碗≫
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≪身辺遺愛品≫
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≪学生時代ノート(東京高等工業学校窯業科)≫
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≪覚え書きノート≫
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≪『火の寄贈』(自家製本)≫
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≪蔵書 『日本的霊性』 ファブル科学知識全集1 『天體の驚異』 『ファブル昆虫記 1』 日本文庫19『キェルケゴールの言葉ー哲学編ー』 サン・テグジュペリ『空の開拓者』 根岸磐井『出雲における小泉八雲』 御大典記念『ドン・キホーテ 上』 谷口雅春『生命の實相』≫
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≪河合須也子追悼歌(寛次郎 娘〈号 紅葩〉)≫ ≪書簡(天界酒造 山本興三郎〈母方叔父〉宛)≫
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≪パナペット(R-8)≫
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≪轆轤(ろくろ)部屋再現≫
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by wavesll | 2018-09-11 22:17 | 展覧会 | Comments(0)

建築の日本展@森美を建物画像LINKで再構築 環境を思想で設計するArt, 木造模型の魅力

建築と日本展 その遺伝子のもたらすものを森美でみてきました。
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物凄い盛況。確かに建築の展覧会で私が見たなかでは一番面白かったかも。その要因は模型が魅力的だったのも大きくて。木のチカラ。渋谷の空中都市計画とか日本の建築(/計画)はぶっ飛んでる。先日言葉の仮想性について書いたけれども、自然・環境・空間の中で思想藝術を実装するArt作品としての建築の魅力を堪能できました。

建築の展覧会は未だに慣れないことが多くて、”ほええ”といいながらさらっと眺めるだけでも相当に密度の高い展示に湯あたりして。未だ受容体と言うか、掘るためのスコップを研いでいる状態。この記事では後へのメモとして、百点の展示品の建築を、その公式ページ等が存在するものはLinkを貼っておけたらなと想います。



























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≪パワー・オブ・スケール≫ 齋藤誠一+ライゾマティクス・アーキテクチャー
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木・水・石。NATURALの内側からの力をしなやかに開放する日本建築がとても好きになりました。
建物を建てるという事は、本当に細やかな心づかいの上に成り立つことで、と同時にマクロとして空間を造ることも求められて。
相対性理論と量子力学を統合するような、宇宙物理学者のような、理論と実験の究みをみたような感銘を受ける展覧会でした。17日まで。


by wavesll | 2018-09-10 04:53 | 展覧会 | Comments(0)

藤田嗣治展@東京都美術館 乳白色と色彩の土地

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没後50年 藤田嗣治展を東京都美術館にてみてきました。

会場はかなり混んでいて。丁度今日は展示替えの前期の最終日だったのもあったのかもしれません。この展覧会、Foujitaの画業の全貌が観れ、大変観甲斐のある展示となっていました。

最初の部は原風景。≪自画像≫は23才でまだオカッパでない若き日の藤田が。軍医だった≪父の像≫や黒田清輝の外光派の影響が見て取れる≪婦人像≫≪朝鮮風景≫も。

そこからパリでの初期作品へ。キュビズムの影響を受け、動きをキュビズム的に落とし込んだ≪トランプ占いの女≫であったり、パリの灰色の街並みの絵画たちが。そんな中で≪目隠し遊び≫は煌びやかな金箔に友人でもあったモディリアーニの影響を受けたような女性たちがゆらりと立っていて印象的でした。

そして≪二人の少女≫・≪二人の女≫・≪花を持つ少女≫という灰色の背景で青白い肌をした女性たちの絵画が創られ始めて。郷田マモラ的と言うか、藤田独自の女性画スタイルの萌芽がみてとれます。

また厨房画としても美味しそうな≪野兎の静物≫や、持ち物から自画像を顕わすような≪私の部屋、目覚まし時計のある静物≫、同じく持ち物画で黒人が描かれた皿が当時のパリでのジャズ人気を想起させる≪貝殻のある静物≫も良かった。

III部 <1920年代の自画像と肖像ー「時代」をまとうひとの姿>ではいよいよフジタのオリジナリティが顕れてきます。

1921年に描かれた≪自画像≫は御馴染みのおかっぱ頭にもうなっているけれどまだ不安そうな顔つきだったのに対し、1926年の≪自画像≫は自信に満ちた目の輝きがあり、1929年の≪自画像≫は自然体のリビングでの姿が。猫もいい顔してる。乳白色の下地に墨色で細い線で描く手法が軽やかに美しくて。

また他者の肖像画も。≪座る女≫のもこもことした美と、ジュイ布の柄みが印象的で、≪エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像≫は銀箔のバックにソファーに横たわる年を召した女性がまるでクレオパトラのようにオーラがあって。≪人形を抱く少女≫は影が差すオカッパの少女の黒灰と明るい白い背景のコントラストが明瞭に美しかった。また≪猫≫もさらりとしたアクセントがありました。

そしてフジタの藝術はさらに飛翔します。IV <「乳白色の裸婦」の時代>。

「乳白色の裸婦」の時代最初期に描かれた≪横たわる裸婦≫の翳を帯びてしっとりと美しい白い肌は、陰部の黒や唇・乳頭の薄桃色がとても映える効果を生んでいて。

この頃のフジタのミューズを画いた≪裸婦像 長い髪のユキ≫はその色白さからフジタからユキと呼ばれたリュシュー・パトゥさんのブラウンがかった金髪の美しさとベッドの乱れが印象的。

そして≪タピスリーの裸婦≫の可愛らしい表情と麗しい肢体。やはり白い身体にピンクの乳首が綺麗で、ジュイ布の背景に柔らかい陶磁器のような肌がなんとも美しかった。

≪五人の裸婦≫は「視覚」「触覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」の五感をあらわす女性たちの姿。≪舞踏会の前≫はユキをはじめとした裸婦たちが仮面舞踏会のバックステージにいる姿。大きな画でもフジタの描く女性は耀きを放って。

≪砂の上で≫貝殻に囲まれている女性の姿は仏のよう。夜が溶けていくような≪横たわる裸婦≫、肉体に立体感がでてきた≪裸婦≫、≪立つ裸婦≫には筋肉感も。バッカス柄のジュイ布の≪友情≫には2人の女性の繋がりが情愛の美があって。ボウイのような女性とブルネットの女性が描かれた≪二人の裸婦≫も良かった。

一度完成形に達した藤田の絵画はしかしここで大変革を迎えます。V <1930年代・旅する画家ー北米・中南米・アジア>はユキと別れ、新たに出来た恋人マドレーヌと2ヶ月の中南米旅行などへ出かけた時期の作品群。

≪モンパルナスの娼家≫は毒々しい赤色などの画、中央にいる恐らくは支配人の黒人の老婆の煌びやかなネックレスもどぎつい色彩。ピエロ2人とギャルとマッチョの≪町芸人≫、リオの精悍で武骨な男性と逞しさも感じる女性が描かれた≪カーナバルの後≫もいい。マドレーヌが描かれた≪婦人像(リオ)≫なんて作品も。

≪リオの人々≫に描かれた黒人たちの本当にいい表情、そして≪ラマと四人の人物≫の伝統衣装に身を包んだ人々のとびぬけた格好良さ。≪狐を売る男≫のキツネ達も相まった妖しさ。

日本に来た藤田達。大阪のホテルで描かれた≪裸婦(マドレーヌ)≫は乳白色の肌。いつだってこの技は出せるのだなぁ。日本の人々を画いた≪ちんどんや職人と女中≫≪魚河岸≫の人々は黒人のようで。江戸趣味のカラフルな部屋でくつろぐ≪自画像≫が楽しい一方で、マドレーヌを亡くした藤田のパリへの郷愁が感じられる≪一九〇〇年≫も光があふれて美しくて。

木戸孝允と親族を画いた≪殉教者≫という作品も。≪秋田の娘≫にフジタはロシアやシベリアに繋がる恥じらいを感じたそうで。沖縄で描かれた≪客人(糸満)≫≪孫≫はオバアなどがやはり黒人のように描かれていて。

パリで産み出した藤田の灰白の画風は、パリの町の色彩がモノトーンだったことも大きく、それに対して南米や日本は色彩にあふれた土地で、画家は土地に感応して作品を生み出すのだなぁと。日本人の描き方からすると、藤田は西欧の水を完全に自分のスタンスとしていたのだと感じて。その西洋を内在化するまなざしは藤田が監督した≪映画「現代日本子供集」≫にも現れていたと感じます。

そんな藤田は再び渡仏するのですが、時はWW2。彼は<「歴史」に直面する>こととなり滞在は短いことになります。

≪サーカスの人気者≫は好い表情をしたイッヌ達。≪争闘(猫)≫横浜美術館で観た蔡國強の作品を想起。そして猫はどの地域でも猫なんだなぁと。≪人魚≫は西洋人な骨ばった顔つきの人魚と、日本画的なナマズが対照的で。

そして戦争が進む中で、藤田は戦争画を描いていきます。

1943年の≪自画像≫≪キヤンボシヤ平原≫はトレードマークのオカッパ頭を丸刈りに。カンボジアを画いた≪キヤンボシヤ平原≫という風景画も。
そして≪アッツ島玉砕≫。写真と想像から描かれたこの大作は血と泥で茶に染められた夥しい死体の山、山。≪サイパン島同胞臣節を全うす≫も兵士の男たちは茶に染まり、数少ない女性たちのみがうっすらと青を遺すのみという画。

藤田はこれらの戦争画を自発的に描いたらしく、戦後はその責任を問われて日本を去ることとなります。会場にはフジタのスクラップブックや日記が展示してあったのですが、その保管状況にも彼の心情が表れているように感じて。

そしてそれまでの画には「嗣治」というような漢字のサインが入っていたのが、これからの画には「Foujita」とアルファベットのみとなっていくことになります。

VII部は<戦後の20年ー東京・ニューヨーク・パリ>

≪優美神≫はボッティチェリにも影響を受けた三美神。乳白色でない健康的な肌の色でした。一方で≪私の夢≫は動物たちが乳白色の横たわる女性を囲む涅槃図的な作品。≪マザリーヌ通り≫は乳白色の街並み画。≪猫を抱く少女≫は子供がぷくっとして可愛らしい。

そしてNYで描かれたパリの画としてはメインビジュアルにも使われている≪カフェ≫が。憂いを帯びた、理知的さも感じさせる表情の女性。額縁もフジタ製で。同じくNYで描かれた≪美しいスペイン女≫もレース等の黒い服飾に包まれた可愛らしい女の人の画でした。

ここにきてフジタの画はまた新たな段階に進んだというか、油絵なのだけれどより水彩画的なマチエールになっていくというか。そして現代的なイラストレーション感覚も高まっていく印象があります。

擬人化された動物たちが暮らしを営む≪ラ・フォンテーヌ頌≫≪フルール河岸 ノートル=ダム大聖堂≫・≪ホテル・エドガー・キネ≫・≪室内≫には灰色のパリが。≪姉妹≫はベッドでパンの朝食を食べる二人の女の子の画。

≪家族の肖像≫は白髪になったオカッパ姿の自画像。その後ろの壁にはお父さんと妻である君代さんの画が。≪夢≫は色っぽさのある寝台画。≪人形と少女≫も可愛らしく。初期の少女画は写生していたそうですが、戦後の子供画は想像で描かれたものだそう。≪小さな主婦≫はバゲットを抱える女の子。

≪ジャン・ロスタンの肖像≫は知性を感じさせる絵で、本当にこの人は絵画が上手いなと。≪すぐ戻ります(蚤の市)≫はスナップショット的な画。

そして≪ビストロ≫はパリの街中のビストロで食事などを愉しむ人々の姿が美麗に輝かしく描かれていて、パリの喧騒とお洒落さが空気として伝達されて。そして≪機械の時代≫は当時出てきた最新技術をおもちゃとして愉しむ子供たちを画いて、彼らの将来=未来を画いた作品。

フジタはフランスの白に魅入られていたように感じていたけれども、ここにきて欧州での描写に色彩が射して。フランスを永世の棲み処と定めて、彼の目がさらなる変化を遂げていることを感じました。

フジタは日本でも手仕事な日用品を集めることを行っていましたが、自分でも手仕事を実作していて。それら≪装飾木箱≫・≪ワイングラス≫・≪装飾皿(自転車に乗る猫)≫・≪装飾皿(浴室の猫)≫・≪皿(猫の聖母子)≫・≪皿(猫のキリスト降誕)≫・≪花瓶≫・≪角皿≫も展示してありました。

最後のVIII部は<カトリックへの道行き>

1952年の≪二人の祈り≫は聖母子に祈るフジタと君代さんの姿が描かれ、カトリックの洗礼を受ける以前から基督教に想いがあったことを忍ばせます。≪教会のマケット≫は教会の模型。フジタは結構色々なマケットを所有していたそうです。

≪黙示録(四人の騎士)≫≪黙示録(七つのトランペット)≫≪黙示録(天国と地獄)≫は緻密で幻想的な画風で、Serphのジャケのような、イマの感覚に即座に繋げられるような絵画。≪聖母子≫は古屋兎丸を高次元で上達させたような現代的な画風と中世的な柄が交わる画。

1959年の≪キリスト降架≫は洗礼を受けてから初めてのXmasに描かれたという作品。≪礼拝≫は最後の個展に出されたという作品で、神々しい細身のマリアが金箔があしらわれた、フジタの晩年の一つの到達点。

≪マドンナ≫は黒人の聖母と天使が描かれた作品で、表に青い衣に包まれた神の子イエスと裏面に大人のキリストが描かれた≪十字架≫は君代さんがフジタの死後に最期まで大事にしていた作品。

パリにて乳白色の画風を確立し、西洋の灰白に対してアジア・中南米のどぎついカラフルさから、西洋文明の白へ魅入られたようにも見えたフジタが最後の段階でパリの街景や宗教的な風景に彩を見出した藤田嗣治の生涯の流れは時代の奔流の中で呼吸を刻み付け、そして時代を越えていく。一つの巡礼路をみるような展覧会でした。

by wavesll | 2018-09-03 03:20 | 展覧会 | Comments(0)

小瀬村真美:幻画~像(イメージ)の表皮展@原美術館 「静物画」を再定義・拡張する展覧会

≪餐≫
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≪粧≫
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≪Pendulum≫
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≪Drop Off≫
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果実や花をまるで絵画のように写真に撮り、そしてその時間経過を連続としてみせる。或いは4秒の瞬間を12分に引き延ばして映像展示する。このような「静物画」を再定義する様な試みに感銘を受けました。

特に撮影した素材が朽ちた姿が実物として展示してあるのが絵を立体として拡張している姿で面白かった。

また映像作品は当初その速度感を掴むのに苦戦しましたが、水曜夜間の映写展示作品を見ている内にリズムが体得出来て。その≪FROZEN≫には古事記の宇宙の始まりのように靄から世界が発生する様な感覚、≪UNDERWATER≫は黄泉の国へ降りていくエピソードを想起させられて。また≪PENDULUM≫はインスタレーション展示では夜から朝への移り変わりがみられたのが印象的でした。

静物画という自明な形式を深い洞察により捉えなおす展覧会。9/2まで。


by wavesll | 2018-08-30 00:28 | 展覧会 | Comments(0)

トーハクコレクション展で高村光雲≪老猿≫や武田信玄・豊臣秀吉・徳川家康・大久保利通の書等をみる

高村光雲 ≪老猿≫
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竹内久一 ≪神鹿≫
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佐藤朝山 ≪龍頭観音像≫
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北海道アイヌ ≪木綿衣≫
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竹本隼太 ≪紫紅釉瓶(辰砂釉瓶)≫
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七代錦光山宗兵衛 ≪色絵金襴手双鳳文飾壺≫
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大久保利通 ≪七言絶句≫
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≪炎摩天像≫
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≪炎摩天曼荼羅図≫
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≪地蔵菩薩像≫
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≪片身替釉洲浜形向付≫
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≪青磁琮形花入≫
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≪紺糸威南蛮胴具足≫
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武田信玄 ≪書状≫
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≪三鱗紋兵庫鎖太刀≫
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≪一の谷馬藺兜≫
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≪小袖 縹縮緬地御所車檜垣流水花卉模様≫
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≪単衣 鼠絽地笠杖砧風景模様≫
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≪単衣 紫浅葱腰替絽地流水草木模様≫
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≪貝尽蒔絵堤重≫ ≪鼈甲製水草鯉蒔絵盃≫ ≪鼈甲製波亀蒔絵盃≫
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≪稲田垂穂柄鏡 銘「<西村豊後掾藤原改重」≫ ≪酢漿草鶴亀柄鏡≫
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≪秋草白菊図屏風≫
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浦上玉堂 ≪山中結廬図≫
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≪尺壁帖≫
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豊臣秀吉 ≪書状≫
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徳川家康 ≪書状≫
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葛飾北斎 ≪勝景奇覧・甲州湯村≫
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葛飾北斎 ≪勝景奇覧・木曾摺針峠≫
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葛飾北斎 ≪勝景奇覧・相州袖ヶ浦≫
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歌川国貞(三代豊国) ≪東都三十六景・吉原仲之町≫
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歌川国貞(三代豊国) ≪端唄の意 二編・雪ハともヘ≫
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歌川国貞(三代豊国) ≪見立・お七≫
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歌川国貞(三代豊国) ≪真賀多三婦久対≫
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歌川国芳 ≪にぎわいぞろい・浅草のにぎわい≫
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歌川国芳 ≪にぎわいぞろい・花のにぎわい≫
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歌川国芳 ≪当世流行定≫
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歌川国芳 ≪当世流行定≫
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歌川国芳 ≪当世流行定≫
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歌川国芳 ≪誂染好色取・うハいろ≫
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歌川広重 ≪東都名所・佃 月夜之圖≫
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歌川広重 ≪富士≫
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歌川広重 ≪江戸名所・雪≫
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歌川広重 ≪江戸旧跡つくし・隅田川木母寺梅若の由来≫
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鳥高斎栄昌 ≪郭中美人競・松葉屋内染之介≫
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柳々居辰斎 ≪団扇持ち美人図≫
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by wavesll | 2018-08-29 01:18 | 展覧会 | Comments(0)

琉球 美の宝庫展にて尚家の王冠、琉球染織、花鳥と舟の絵画、螺鈿漆器などをみる

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六本木東京ミッドタウンのサントリー美術館にて琉球展をみてきました。
目玉の≪琉球国王尚家関係資料 王冠(付簪)≫だけでなく紅型などの琉球の染織、そして漆器の螺鈿細工など素晴らしい逸品ばかりでとても良かった。

第1章は琉球の染織。≪黄色地松皮菱繋に檜扇団扇菊椿模様胴衣≫・≪染分地遠山に松竹梅模様衣裳≫のTHE琉球な美。≪白地霞に尾長鳥牡丹菖蒲模様衣裳≫の派手渋な美。≪白地鶴に貝藻波模様子ども着≫もビタースウィートなうつくしさ。

そして衣装で特に印象的だったのが≪浅地稲妻に松窓絵散し模様衣裳≫のエメラルドグリーンの稲妻柄。≪緋色地波頭桜樹模様衣裳≫はSplashな柄。≪薄紅麻地総絣衣裳≫はピンクに幾何学文様がまた好くて。≪紺地朱格子経緯絣衣裳≫など、インドからインドネシアや大陸を等を通じて琉球へ入った絣の文化に琉球が文化の要所であったところが偲ばれます。

そして裂地がまた素晴らしくて。≪桜波連山仕切り模様裂地≫の赤黄青緑茶桃の山々の柄、≪花色地瑞雲霞に鳳凰模様裂地≫のピンクの鳳凰、≪水色地流水桜散し模様裂地≫の波に花、≪流水蛇籠菖蒲葵に小禽模様裂地≫の落ち着いた渋クリームに渋グリーンの柄がまた好く、≪流水に菊桜模様白地型紙≫という型紙の展示も興味深かったです。

第2章は琉球絵画の世界。山口〔神谷〕宗季(呉師虔)≪花鳥図≫等の日本の影響もありながらも中国の影響が非常に大きくて。

城間清豊(欽可聖、号 自了)≪白沢之図≫は好い治世の時に現れる人面獣。山口〔神谷〕宗季(呉師虔)≪関羽像≫は青龍偃月刀もかっこよかった。座間味庸昌(殷元良)≪雪景山水図≫は雪舟をも想わせるような中国的な山水画。

琉球絵画で特に素晴らしいのは鳥の画。佐渡山安健(毛長禧)≪花房闘鶏之図≫の鳥のじとーとした目、≪牡丹尾長鳥図≫の尾長鳥の青、≪鷹雀枯木芙蓉図≫の雀を狙う鷹の躍動感あふれる構図も素晴らしかった。孫億≪花鳥図≫は黄赤青の極彩の鳥も美しい。

熱帯の植物的に朝鮮絵画の影響がみられる≪虎図≫は目も印象的で。≪琉球少婦逍遥之図≫は琉球GIRLSといった感じで目がぱっちりしてました。≪喜久村絜聡像≫は久米島の地頭代の肖像画。

琉球絵画では那覇港に来る進貢船の画もとてもよくて。≪進貢船の図≫・≪那覇港図≫の黒と朱の船がとても鮮やかで。≪琉球交易港図屏風≫は進貢船の他ハーリーが那覇港に出航していて首里城下の街の姿が鳥瞰で描かれていて素晴らしかった。

また江戸時代には琉球ブームも起きていて≪琉球人来朝図≫の色彩の美しさよ楽童子の麗しさ。そして葛飾北斎≪琉球八景≫のプルシアンブルーも美しかったです。この≪琉球八景≫を描くにあたって北斎が参考にした周煌≪琉球国志略≫も展示してありました。

そして第3章は琉球国王尚家の美、国宝・琉球国王尚家関係資料が展示してあるのです。

≪王冠(付簪)≫は金銀珊瑚水晶瑪瑙琥珀軟玉が金の鋲で黒地に留めてあって、簪には龍が。極渋彩の輝きに歴史を感ぜられました。

国王の衣である≪紺地龍丸模様緞子唐衣裳≫と冬服の≪赤地龍瑞雲嶮山模様繻珍唐衣裳≫はそのゆったりさが印象的で。この他、金とエメラルドブルーの地が印象的なベルトの≪石帯≫、ウコンで染めたという≪黄組物帯≫、御官庫(ウカンクー)という≪靴≫も履き心地が良さそうでした。

そして≪美御前御揃(ヌーメーウースリー)≫では美しい≪金杯≫・≪銀杯洗≫・≪托付銀鋺≫・≪銀脚杯≫の他ビーズが美しい≪御玉貫≫という徳利に朱色が美しい≪朱漆巴紋牡丹七宝繋沈金御籠飯≫・≪朱漆巴紋牡丹七宝繋沈金足付盆≫が麗しかった。

また茶色にエメラルドグリーンや白などのテキスタイルが描かれる≪御絵図帳≫や、このほか神女が使う≪神扇≫なども展示してありました。

そして第4章は琉球漆芸の煌き。螺鈿細工が真に耀いて。久米島の君南風(チンペー)の≪黒塗菊花鳥虫沈金丸外櫃及び緑塗鳳凰雲沈金丸内櫃≫、金の孔雀の≪黒漆孔雀牡丹唐草沈金食籠≫、朱と黒を混ぜた真紅の漆の≪潤塗花鳥箔絵密陀絵丸形食籠≫、朱の螺鈿な≪朱漆牡丹尾長鳥螺鈿卓≫、栗鼠を象った金細工が凄い≪黒漆葡萄栗鼠螺鈿箔絵箱≫、なんとも豪気な朱の碗な≪朱漆椿密陀絵沈金椀≫など本当に素晴らしいものだらけ!

ここからも銘品が続きます。黒螺鈿龍の広大さな≪黒漆雲龍螺鈿大盆≫と八本の放射な文様がかっこいい≪黒漆雲龍螺鈿大盆≫。鉛ガラスの玉で出来たモザイク画の≪朱漆竹虎連珠沈金螺鈿座屏≫、ガラス棒で出来たストライプの抽象絵画な≪黒漆ビードロ入り山水楼閣螺鈿硯屏≫、円の重なりが格好良い≪黒漆花円文螺鈿合子≫、騎乗の人物が螺鈿で描かれる≪黒漆騎馬人物螺鈿箱≫も良かった。

また徳川家の三つ葵の紋章が螺鈿であらわされる≪黒漆葵紋螺鈿箱≫、黒に虹色の螺鈿画が映える兎が根付の≪黒漆山水螺鈿印籠≫にヘチマの根付な≪黒漆雲龍堆錦印籠≫、堆朱で塗り重ねた≪朱漆樹下人物堆錦印籠≫も良かった。

鳳凰の曼荼羅のような≪朱漆七宝繋鳳凰沈金盤≫、ちっちゃい麒麟がかわいい≪黒漆鳳凰麒麟牡丹密陀絵盆≫、黒にカワセミが映える≪黒漆花鳥螺鈿箔絵密陀絵漆絵盆≫、シックに艶やかなつくりの≪黒漆牡丹唐草螺鈿卓≫、霊的な場へ湯茶や酒を運ぶタークーである≪白檀塗楼閣山水箔絵湯庫≫という作品も文化と美を伝えてくれます。

鳳凰の華麗な姿の螺鈿の≪黒漆桐鳳凰螺鈿東道盆≫、螺鈿細工の葡萄が綺麗な≪黒漆樹下人物葡萄螺鈿沈金八角食籠≫、アシンメトリーな植物の螺鈿画が美しい≪黒漆花鳥螺鈿料紙硯箱≫も良かった。

そして朱の漆器が続いて。≪朱漆山水人物箔絵重箱≫はかわいいし、≪朱漆塗葡萄巴紋箔絵櫃≫は蝶番が印象的。≪朱漆山水人物箔絵東道盆≫は円盤型。≪朱漆花鳥漆絵重箱≫も美しく、≪黒漆山水楼閣人物箔絵革箱≫は渋朱が素晴らしい。≪朱漆山水楼閣人物箔絵東道盆≫は中国的な街並みがオールオーバーに広がって。≪朱漆松岩堆錦煙草入≫はガマ仙人の意匠が面白かった。

デザインを研究した石沢兵吾≪琉球漆器考≫とタトゥー等多岐に研究した鎌倉芳太郎≪琉球芸術調査記録(鎌倉ノート)≫で〆。

本当に芸術は時空を越えていくというか、地場を離れてもこれだけの魅力を放つのかと魅了されました。冒頭に書いてあった「琉球は世界の神梁」というメッセージはしかし要所故に戦火に巻き込まれてしまった歴史をも予見させて。

太平洋戦争で焼失してしまったあまりにも多くの藝術を想うと心が浪立ちます。白沢が出現する様な賢誠な治世が行われることを望んで。このうつくしい藝術たちが後々の世にも伝えて行けるようになればと想います。

by wavesll | 2018-08-27 21:59 | 展覧会 | Comments(0)