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ペルーのハサミ踊り

Danza de Tijeras en Washington DC Andres "Chimango Lares" Parte 3/4


DANZA DE TIJERAS DE HUANCAVELICA CONGALLA 2013

朝日放送の旅サラダの海外の旅は4週に渡って一つの国を取り上げ、結構コアなところを取り上げていて。
今月はペルーだったのですが、レインボーマウンテンとか近年注目を集めるペルーのサイトの他、リマで取り上げた「ハサミ踊り」がすっごく印象的で。

ハサミ状の2つの金属片を打ち鳴らしながら踊るこの踊り。ペルーの無形文化遺産「ハサミ踊り」に関する歴史的考察という論文によるとこの踊りは元々ワマンガと呼ばれるアヤクーチョの辺りの地域に伝わっていたもので、都市への人口流入でリマへ伝わったそうです。

アヤクーチョといえば笹久保伸とイルマ・オスノの名盤『アヤクーチョの雨』。そうか、あの地域は本当に音楽的豊饒があったのだなぁと感じ入りました。ペルーの音楽は現代においてもサイケ・ロックなんかで特筆すべきものがありますが、伝統音楽も今後とも掘っていきたいです。

cf.



by wavesll | 2019-07-27 09:16 | Sound Gem | Comments(0)

己のコンプレックスを認識し、少しでもマシな自由を目指す 100分de名著『河合隼雄SP』、『生きがいについて』、『エチカ』を視て

ここ数日、録りためていたEテレの100分de名著を立て続けに見ていて。

『河合隼雄スペシャル』神谷美恵子『生きがいについて』、そしてスピノザ『エチカ』の回をみて。最後の『エチカ』はゲストの國分巧一郎さんの著書『中動態の世界』についての副読本にもなってくれました。

cf

さて、河合隼雄はユング心理学を学び実践的な心療治療を行った人物で、西洋人と日本人の心のありようの違いに関心を寄せた人でもありました。

ユング心理学の重要な観点の一つに心を痛めた人を救うには「How」でなく「Why」を掘り下げていくことが必要という考えがあります。物理的・科学的、あるいは病理的な解決法の提案ではなく、「何故、どうして」を突き詰めていくこと。それによって精神の調和を取り戻せるという考え方。

そして心の柔らかいところに「コンプレックス」というものがあって。ユング心理学ではコンプレックスを無意識の中にある複合結節心理というような捉え方をします。何かに苛立ち、引っ掛かりがあるとき、それは意識できるものでなく無意識のコンプレックスによって引き起こされていることがある、と。

そして人は自分のコンプレックスを意識することから自己防衛するために、外部にそれを投影することがあります。つまりいらだってムカつく相手の特徴こそが、自らのコンプレックスであるかもしれない、ということ。そして逆にそのムカつく事象が自分の問題であると認識し引き戻せれば、コンプレックスを解消することができると河合は述べます。

また河合は夢に出てくるイメージは、個人の無意識や普遍的な無意識(集合無意識)が表れることがある、と。特にアニマ(男性の中の女性)やアニムス(女性の中の男性)やグレートマザー(太母)や影(自分の中の受け入れたくない側面)を例示して語ります。

この後、番組は一種の普遍的無意識の反映としてか、昔話・神話から日本人の中空的な精神構造・無の円環構造へ話が進んで行くのですが、このコンプレックスとアニマの話がいやに刺さって。

私自身がムカついている、あるいはとらわれているモノはなんだろう?と考えたときに、「普通」であったり「筋力・仕事力といった分かりやすい男性性」にあって。これは大学時代からこっちどうにもしょうもないものとして自分が社会の辺境で過ごしているというのもあったというか、集団の中での立場に置いてストレートど真ん中にいれなかったというトラウマがあったり、あるいは「面白い」に関してのディスコミュニケーションがあったからだと思って。

そうしたことからの「普通・まとも」への憎悪にも似た感情、あるいは「お前らまるで面白くないじゃないか」といういじけは、同時に「分かりやすく立派な男性像」へのコンプレックスなのではないか。そんな感想を番組をみて得ていて。

そして、私自身は自分を仕事人でなく趣味人であると想っていて、いわゆる「生きがい」という言葉にも一種のコンプレックスの裾野が触れていたのですが、神谷美恵子『生きがいについて』の回では「生きがいブーム」をもたらした本書では「生きがい」は単なる労働というより「生存理由」とでもいうようなより深く広い思想だと知って。

神谷さんはこの本をハンセン病の療養所での職務の中から着想し、生の歓びが尋常でなく損なわれた状態でも、生きがいというものは種を土の中に宿していて、「待つ」ことによって、芽吹くことがあると。たとえ愛する人を失って身を切られるような思いになっても、そんなにも人を愛せたことは輝かしく、悲しみは一つの視点からは豊かであると。

そして生きがいを考え抜くことは、宗教以前の精神的宗教へ辿り着くというか、自然から、そして体験から結晶化した叡智の輝かしさ。何かを愛し、自己中心的な思考から抜け出すことで、生存理由はさらに輝いていくと。苦しみから生まれる喜びについて語られます。

私自身が生きがいを今まで何に感じたか思いを馳せ「世界を理解することかな」と想っていたところに神谷さんがハンセン病の患者さんの詩をひき「理解するでなく味わうことが大事」と言っていて、やっぱり身体的な智は重要だよなと。その意味で例えば麻薬の快楽で「生きがい感」が更新されてしまうのは非常に貧しい行為であろう、などとも考えました。

そして最後に大いに力を与えてくれた書がスピノザの『エチカ』。

最初に語られるスピノザの「汎神論」、すなわち宇宙全体、自然そのものが神であり、全ての事物に神が在るという思想は、非常に共感する思想で(アインシュタインも共感したそうです)。これは話せる人物が現れたぞと。

先の「生きがい」ともリンクするように想えたのは、スピノザは「善悪」というものを「力=活動能力が増大するか、減少するか」と定義していて。喜びを与えて活動能力を増やしてくれるものは善、その逆に悲しみで活動能力を減らすものは悪、と。そして本性にのっとって活動能力を発揮したいという衝動を欲望と言い、欲望に対してフラットな立場であるのも、非常にプラグマティックなように感じて。

人々は個々人で本性が異なり、あるがままに本性からの活動ができていれば自由、そうでなく外部から行動を強制されることを不自由とスピノザは定義し、人は完全に自由になることは出来ないが、自分が何によって動かされているのか、今持っているのはどのような感情なのかを認識することなどで、少しでも自由な度合いを増していくことが大切だと説きます。

そして真理というものは体感するもので、誰かから説得されるものではない、自分がレベルアップして認識を体験するものだと。ここら辺は『生きがいについて』の「待つ」にも通じるなと想いました。番組中では伊集院が「小津安二郎の映画を40を超えて”そうだったのか!”と気付く」という例を出していましたが、私も経験を重ねてゴダールの『気狂いピエロ』が得心がいったので、気持ちが少しわかったり。

自分が自分であるための力、場を意識しながら、活動能力を伸ばしていく喜び、そして時に待つことも大事。これを鬱だったり絶望していない平常時の姿勢、そして苦難にあるときは『生きがいについて』の姿勢を想いだして。そしてより自由であるためには、コンプレックスをも認識しながら、”自分はなぜこのような思いに駆られているのか”を客観する努めをする。そしてそれには身体的な智が重要である。この3人は同じゴールに様々な道筋で辿り着こうとしているのではないか、そんな視聴体験となりました。

by wavesll | 2019-06-27 21:52 | 私信 | Comments(0)

BS1スペシャル スプツニ子!「個人情報が世界を変える~データ社会の光と影~」 日本の主体性のなさ。最低でも最速の二番手であらねばなるまい。


スプツニ子!さんがプレゼンターとなって米国と欧州に現在起きているWebにおける個人情報の取扱いに関する取材をしたドキュメンタリー。

前半はU.S.で、CESを初めとして個人情報をどんどん提供することでさらによりよいサービスを受けることが出来る、そんなイノベーションをどんどん紹介しながらも、トランプが大統領選で行ったWebでのヒラリーのネガティヴキャンペーンに、Webの個人情報がプロファイリングされ利用された事例も紹介。

ケンブリッジ・アナリティカの元社員と、裁判を起こして自分の個人情報がどう利用されたか公開を求めて活動している人を取材し、スティーヴ・バノンが関わったケンブリッジ・アナリティカではアプリのゲームを配布し、それをPlayした人とその人と繋がりのある人からfacebookの情報を抜き出し、そこでAIを使って属性を分析。公開を求めた人の話によると、様々な政治トピックにおいて何を重要視しているかとか政治的な位置、共和党支持者か民主党支持者かも分析されていたらしいです(その人は浮動層と分析されていたそう)。

前半ラストで米国の研究者が「今プライバシーなんてものは無い。どんどん個人情報を提供し、どんどん生活を便利にしていく、そういう時代だ」と語る様子が流れます。

一方後半はEUで採択された一般データ保護規則(GDPR=General Data Protection)に関する取材。

これはデータの主権を個人に取り戻すという取り決めで、データをEU域外に持ち出すのも、勝手にプロファイリングするのも禁止し、場合によっては個人情報は削除を要求できるというもの。

というのも、現在では個人情報こそが富の源泉となっていて、トランプが大統領選で利用した手法も、基本的には広告会社がターゲッティング広告を行うために使っていたもの。ある調べではEU域内からU.S.カリフォルニアに流れている個人情報の価値は125兆円にものぼるといいます。この利益を欧州に取り戻そうというのがGDPRの主眼。実際この法律を使ってEUはGoogleに62億円の制裁金を課そうとしています。

EU議会の選挙に向けて政治的な鍔迫り合いはもう始まっていて、左派も右派も一般市民にそれぞれの主張を勉強会で話します。特に極右とされるグループの影にはあのスティーヴ・バノンが暗躍していたり、無論GDPRに関する立場も左派と右派では異なります。寧ろ極右はプロファイリング広告などを使って「ネットで真実」を推し進めるためにGDPRには反対していたり。

このGDPRが決まることで、欧州からITの大企業が引き上げる恐れがあったり、あるいはITにおけるイノベーションが立ち遅れることが懸念されたりもしていましたが、少なくとも現状ではベルリンはフィンテックにおける第一の都市であるし、あるいはプライバシーフレンドリーなスタートアップがどんどん起きていて、個人に紐づいた情報を4日間しか保持しない検索エンジンECOSIAのように寧ろ創新が起きている事例が紹介されていました。

番組の最後ではカリフォルニア議会で採択されたインターネットにおける厳しいプライバシー規制法案を取り上げて終わりました。

さて、この番組をみて感じたのは、ことWebにおける日本の主体性のなさ。
GoogleにせよFacebook、Twitter、あるいはSpotifyにせよ欧米にサービスを持っていかれて。Tiktokは中華だし、LINEは韓国。ITのサービスの利益をみすみす海外に渡してしまっています。

これは日本の意志決定層の後進性と言うか足の引っ張り合いも大きくて。LINEの開発チームはもともとはライブドアの人たちで。ホリエモン憎しで潰したせいでものの見事に鳶に油揚げをかっさらわれ、膨大な個人情報を明け渡すことに成りました。(LINEは韓国の国家情報院(旧KCI)Aに傍受・分析されているのは有名です)

ここ数年のITであったりAIの番組を見ていると、日本においても競争力を高めるためにプライバシーはどんどん捨てていかねばなるまいという論調が大きいものでした。中国ではITにおける社会信用システムが築かれているとか、そういう煽りも。日本でも信用スコアの動きは始まっていますね。

そんな流れの中で欧州のハッカーたちは自分達でオープンリソースの地図を作ったり、プライバシーに配慮したチャットアプリをつくっているという話には心打たれました。また経済的な利便性の論理に流されることなく「本当に自分たちにとって重要で利益に成ることは何か」を考察し、決定を下すEUは、やはり哲学が根付く土地であるなと想いました。

また中国にしても自国でYoutubeやTwitterを使わせない政策をしたことでウェイポーやアリババなど自国のIT産業を育てたのは”まず自分が第一運動であろう”という意志に感じて。

日本の場合はF社などの守旧派が幅を利かせ、ベンチャー企業を圧迫しているとも聴きます、ライブドアにしてもそう。イノベーションを阻害する老害は除去する必要がありますが、それ以前に少なくとも現状では自分が第一運動であろうとせず、流されるままにヴィジョンなく動いてしまっているとも感じて。まぁこれは軍事面でU.S.に依存し属国化しているというのもあるとは思いますが、残念なこと。

そしてもしゼロから思想を立ち上げることが現状苦手だとしても、最速の2番手と言うか、世界の最新の動きを分析・実践し、フットワーク軽くスピード感をもってITの世界では勝負をしていかないと本当に今後の日本の産業は目も当てられないことになりそうです。想うに、国産への想いは多くの国民は持ちながらも、F社などのせいかは分かりませんがあまりにも窮屈なサービスの惨状から海外産のサービスに日本のユーザーも流れてしまっている。創新が活発化するには、抑え込んでいる老害から解放し、「自分が何を欲しているかを真摯に見つめ、行動する」ことを促すことが何よりも重要だとも感じました。

この番組は2019年5月11日(土) 午前0時40分から再放送されるそうです。もし良ければ是非ご観覧を◎

by wavesll | 2019-05-10 01:20 | 小ネタ | Comments(0)

AIがもたらすゲームの進化と認知の回転 人間ってナンだ?超AI入門シーズン2 第5回「勝負する」

AIにハッタリは通じない。囲碁や将棋と同じようにどんな勝負でもデータを活かしてお役に立ちます。AIと手を組めば新しい戦略が見つかるはず。

第五回のゲストは漫画家の福本伸行。

福本「(AIには)もう勝てなくていい。やるとするならAI VS AI。仕方ない。」

ジャンケンくりえいとん開発者田中亜友子「相手が出した手を見て後出ししている。AIは画像認識に使っている。手の部分を切り出し、グーチョキパーを判定する。」

限定じゃんけんとかはジャンケンに心理戦や戦略を持ち込んでスリリングに。

福本「勝負は勝ったり負けたりするから面白い」

菖蒲墓面白さは勝ち負けだけではない?

囲碁や将棋などの完全情報ゲーム(自分と相手のすべての手が分かる)では1997年にチェスで勝った。
人間の対局データから勝てる手をみつけ、その後AI同士で対戦し強くなる。2016年には完全情報ゲーム最高峰の囲碁でも人間に勝った。

さらに強いAlphaGoZeroはゼロの状態からAI状態で戦い、人間の棋譜を必要としなくなったうえで進化した。

将棋最高位名人に勝ったAIポナンザの開発者山本一成
「どのようにディープラーニングでボードゲームを扱うかは洗練された。ディープラーニングとマシンパワーの向上と、進化のノウハウ蓄積。」

AlphaGoZeroは3日間で初心者からトッププロを越えた。1hで7万局打った。

麻雀は見えてない牌が何なのかを予測と相手の戦略の読みが必要になるため、より難しい。現在研究が進んでいる段階。

福本「麻雀が上手い人はAIみたいな考え方をする。効率と期待値。動き的なもので感情を読む。それでもAIは人間に負けることがある。何が来るかわからないツモで。それはAIが計算できない。AIの打ち方を逆手に取る方法はあるだろう」

確率を超えてAIも運や流れを「学習」するか?

徳井「逆に物凄く賢くなったAIが面白いゲームをつくることはできるのか?」

松尾「それは非常に面白い話。囲碁なんて奥が深い。なんでこういう構造なのかは私の仮説だが、手を読む、探索すると評価が変わる。それを水平線効果といって、自分がみえてない先まで行くとまた先が見えて評価が変わる。こういうことが何度も何度も起こるゲームの方が面白い。

一見するとよくない手なんだけど、先の先まで読むと凄い良い手ということが、何重にも起こる。囲碁というのはフラクタル性があるんじゃないかなと。」

フラクタル性とは部分が全体の相似形、同じ構造が表れる性質のこと。一見複雑に見える形も細かに観察すると同じ形で出来ている。自然のフラクタルはシダ、雲、木の枝分かれもフラクタル構造

これが囲碁にも見出せると松尾さんは言う。相手の石を囲うと何重にも同じ構造が表れる。

松尾「人間は何重にも構造が重なると考えられなくなる。AIならフラクタル構造のあるゲームを見つけ出すこともできるじゃないか」

大将棋:鎌倉時代には普及していたとされる将棋、29種類、130枚の駒を使う。一回プレイするのに3日とかかかる。駒も現代の将棋と違って非常に多くの種類があってマスもめちゃくちゃ多い。麒麟というのはピョンと飛んで取ってから戻ったりもできる。

大将棋をかなり小さくしたのが将棋。今の将棋はゲーム性が高い。ゲーム性が高いとは先を読むことで逆転が起こりやすい。

逆に言うと大将棋の中からどの駒を取り出すと面白い将棋に成るか、AIに逆転現象が起こりやすい設定をみつけさせることもできそう。

勝負の醍醐味、面白さってなんだ?

福本流将棋
1.駒は全部同じサイズ
2.配置は自由
3.相手の駒がなにかわからない
王が何かわからないから探りながらPlayする。”もしアレが王だったら” ざわ ざわ。

ゲーム性は構造と設定に宿る?

スポーツの勝負の世界にも人間は熱くなる。データやAIの活躍は増えている。バッティングも昔はダウンスウィングが推奨されていたが、データによればアッパースイング、打球速度158キロ以上、角度25度前後だと約8割がヒットになるという結果が出て、このバレルゾーンの発見でメジャーの常識と戦術が変わった。

福岡ソフトバンクホークスに協力していた村澤清彰(野球選手トラッキングAI 開発会社 代表)
「プロ野球のデータを活用するシステム開発。センサーやAIを使った画像解析をスマホやタブレットでみれる仕組みを提供。

選手一人一人に自分の打席や投球を見返せるシステム。打球速度、打球角度が出て、自分が調子がいい時の状態がわかる。

今まで対戦したことがないバッターと対戦するときに他の左ピッチャーとの対戦で三振を取ったときとかホームランを打たれたときを予習できる。一軍で活躍している人ほどこのデータをみている。」

AIのデータ分析を5年前からホークスは取り入れ、球場にカメラを設置しプレイを分析している。

AIは選手の移動した距離を情報化。今は攻撃の時に使っているが、守備の時もどの位置取りをするとアウトになりやすいかを分析している。

普通観客の目線はボールに絡んだものだが、AIが記録するのは13人の全選手の動きをデータ化。これでポジションごとの運動量をみつけて選手交代に活かしたり、野球の最適解を探す。

こういう時の選手ごとの分類をするのに”クラスタリング”でグループ分けをする。

クラスタリング:似た特徴を持つデータをグループにまとめる。
全球団のデータをまとめると1試合で4万以上の項目。これをクラスタリングするには人間の計算能力では間に合わず、AIが活躍する。人間の主観では気づかない部分がある。人間が直感的に想っている、野球の世界では信じられていたことが誤りだと判明する。

ヒットになりやすい角度をデータで証明。20度から25度。するとメジャーリーグ全体が対応。
昔はダウンスイングでピッチャー返し、センターを抜くのが良いとされていたが、実際はアッパースイングでフライを打った方がいい、落合博満は正しかったと最近のデータ分析が証明した。歴史の長いスポーツでも人間の思い込み、常識はなかなか覆せなかった。

ババ抜きで心を読む。AIで感情解析。
千葉美帆(音声感情解析AI開発会社 広報)
「人の声からリアルタイムで感情解析。4万件の音声データを集め、複数の評価者が全部聞き、この感情は喜びに近いと教師データをつくり、声のボリューム、スピード、音の高さなどを照らし合わせて、声の調子の波形から感情を分析」

決定木を組み合わせランダムフォレストをつくり、正解確率を高めている。

アフェクティヴコンピューティング:微感情を読み取る研究
一瞬嬉しい表情をする、一瞬嫌な表情をすることで、ポーカーフェイスを見破る研究。

福本「なんで勝負をするかというと感情を動かしたい、あるいは感情を揺さぶられないように律するため。感情を揺さぶられなかったら単なる労働」

松尾「感情がなぜあるのかというと生存のため。生存の指標の為。AIは生命でないので感情を持たない、そのために頑張ることもない。人間は感情がドラマをつくる」

徳井「エンタテイメントの勝負とAIは相性がよくない気もするが、今後ヒトとAIの組み合わせで新たな勝負に成るかもしれない。」

松尾「野球でもフライより野手を抜く方が物語性があるかも。物語性の皮をAIが引き剥がすことになってしまっているかも。」

福本「人間=へっぽこAIと想いそうだが、人間=生き物、AI=機械と湧けて考えることがやっぱり必要」

松尾「勝負は人間同士が火花を散らすことが面白い。AIでパワーバランスが崩れると、ここは止めてこういう風にやっていこうとなるのが人間なのかも。」

手に汗握る勝負の瞬間はAIにはないが、冷静なAIが助けることがあるはず。それでも人間は勝負することをやめないでしょう。


第三回で藤田和日郎先生がAIに敵意むき出しだったのに対し、福本先生が割り切っているのが冒頭から凄く面白くて。

そして一番面白いなと思ったのが「新たなゲームの創造」の下りで大将棋からゲーム性を高めるためにAIを使えば、現代の将棋とはまた違う解が導き出されるかもしれないという話。なんか適者生存で進化してきた生物に対して別の道筋で生きてきた「異質な兄弟」が生まれるかもしれないという感覚がありました。福本先生のステルス将棋も面白かった。

また野球のAI分析戦略に関しては、スラムダンクの花道がシュート練をビデオ撮影してもらうくだりを思い出すというか、技術は新たなツールだなと。ただビッグデータが面白いのは、ニュートン力学にアインシュタインがコペルニクス的回転をさせたような、それまでの常識が完全に砕かれるドラスティックさが認知の世界で起きるからだなと。すーごい面白い回でした。

by wavesll | 2019-04-24 20:11 | 小ネタ | Comments(0)

海馬は認識しながらちょっと先を予想する 人間ってナンだ?超AI入門シーズン2 第4回「移動する」

自動運転の研究分野は自動車以外も動かすようになったが2018年は事故も起き苦しい年となった。それでも人間の移動は大きく変わる。

自動運転の安全対策とは。移動することの本質とは?ゲストはカーデザイナーの根津孝太。

根津「革新的な技術でクルマのカタチはドラスティックに変わる。」

レベル1と2は運転支援。レベル3以上が自動運転で開発中。レベル3は緊急時はドライバーが運転なのだが、死亡事故が起きた。

カナダ・トロントに自動運転研究の最前線を走る企業がある。チーフ・サイエンティストのラケル・ウルタスさんに自動運転開発の意義を聴いた。
「この度事故が起きたことはとても不幸なことだと思っています。一方で毎年130万人が交通事故でなくなっている現実があります。それに対して自動運転の技術で出来ることも沢山あるのです。まず事故が起きるリスクを最小限に抑えることはもちろんですが、その上で安全性を最重要視し安全な操作の追究に力を注ぎたいと思います。

高齢化問題、さらに大気汚染の問題に自動運転は有効です。自動運転の技術がもたらす社会的な便益についてもより深く考えられてもよいと想います。」

交通事故の9割は人間のミスによって起きているといわれる。AIは集中力が切れたりよそ見をしない。まずは助手席からAIが見守る。それはドライバーがどこをみているか表示させることが出来る。黒目の位置を観察して、黒目の振動(天然の手振れ補正)の変化と眠気が連携していることをセンサーが認識、”この人はもうすぐ眠たくなる”を検知。これにはディープラーニングが活かされている。

ディープラーニングには人間の脳を模したニューラルネットワークで処理する人工知能。

クルマの助手席は人間から助手がAIになっていく。

発展途上国の方からどんどん自動運転が使われるようになるのでは。日本でも過疎地では早く自動運転が機能しそうだ。

自動運転で世界的に機能するグラフィック機能を開発するNVIDIA社、AIの学習を行っている。
「私たちは自動運転の学習でも他のロボットと同じアプローチを行ってきました。運転シミュレーターはVR空間で自動運転AIをテストするためのものです。仮想空間なので安心ですし、とても危険な場合も含め様々な状況を試すことができるのです。

パラメーターさえ変えれば昼にも夜にも環境を変えられます。道路上に雨や雪を降らせたり霧の状況を作ったり…最も危険な状況やシナリオ、実際の事故の再現もできるのです。

現実世界の出来事にAIがどこまで効果的に対応できるか?私たちにはそれを明らかにする責任があるのです。」

様々な状況を再現できる仮想空間こそ緊急時の訓練にふさわしい。

フレッド・アルメイダ(自動運転開発チーフアーキテクト)「VRで自動運転のシステムを学習させるシミュレーション。」

VR空間の中でヒトが運転することでAIが学習できる。人間らしい運転だとか。そしてポリシーベースでAIが自主で訓練して人間のキエパビリティを越えられる。

ルールベースとポリシーベース

ルールベース:あれは信号、あれは歩行者と周囲の状況を認識、認識した環境とあらかじめ教えたルールにそって運転。

けれど実際の道路では想定外の状況が起きる。ルールに合わない状況でも、人間の場合周囲の状況から判断し、安全を優先することを基準として判断させることがポリシーベース。過去の経験から予測・判断。AIにもかもしれない運転ができるかも。

ルールベース:認識→計画→実行

ただ人間の場合は三段階が一体となっている。

ポリシーベース:認識+計画→実行。人間は予想する。前頭葉や海馬の部分が一緒に使えないとうまく運転できない。

全脳アーキテクチャ:大脳皮質:知的処理:ディープラーニング、前頭葉:認知・判断:ワーキングメモリーの処理、大脳基底核:学習:強化学習、海馬:短期記憶:反復・計算、扁桃体:情動:強化学習に報酬を与える、小脳:運動:教師あり学習

前頭葉は標識や歩行者などを認知・判断。海馬は記憶・空間を把握する・予測に重要な役割。

記憶力が判断力の決め手?

海馬を持つとちょっとした未来を予測できる。それは知能の中心。それがないと危なくてしょうがない。

2020年を目指して自動運転を開発している。

海馬が移動においてどんな働きをしているか。海馬はスタートからゴールを覚えていて戻れるのに加え、位置関係の把握から最短距離で変えることもできる。

ラケル・ウルタス(トロント大学准教授)
「人間ができることはAIにもできると思います。肝心なのは正しいアルゴリズムと十分なデータ。今はまだ脳を再現する方法が見つかってはいませんが、解決方法は存在するはずです。なぜなら人間の脳もアルゴリズムで表現できるしアルゴリズムがあればAIでも再現できるからです。AIが人間の脳のように課題を解決するのは時間の問題です。」

シミュレーターと実車での運転に関連して転移学習がある。

ディープラーニングが深いニューラルネットワークを用いて学習する。深いというのは層が多いということ。

転移学習はシミュレーターの中で学んだ認識を、実地での訓練でこれらを使う。これを転移学習という。

海外での運転には最初はおっかなびっくりだが、そのうち慣れるのが転移学習。学んだことを応用していくこと。

自動運転の技術を他の分野でも転移していくことが出来る。みなさんは何を動かしたいですか?

西村明浩「クルマの自動運転と同じように台車も目と頭脳が入っている。自分で考えて動いている。周りの状況というのは地面のランドマークを読み取りセンサーで認識して判断。」

モノへの感情移入は日本特有のものがある。

今クルマは形が決まってしまっているが、もっと色々あってもいい。そもそも前を向いて座っている必要もなく、小型化していくと衝突しても衝撃を軽減できる。

徳井「人が歩くことをやめることもあるのか。」

根津「歩けない人への補助に成る。そんな乗り物が色々あっていい。」

松尾「通勤の満員電車は変わるのか」

根津「選択肢が増えるのはありだろう。ここから想像力を働かして変えていく部分」

自動車が本当の「自動」車になる。社会インフラも変わっていったりする可能性もある。


今回はルールベースとポリシーベースの話が面白かったです。PDCAサイクルからOODAループへの進化と言うか。また海馬が持つ”ちょっと先を予想する能力”が知能の中心という噺も面白くて。”ちょっと先の行為”・”ちょっと先の需要”を叶えるのがイノベーションなのだろうなと想いました。

by wavesll | 2019-04-24 19:35 | 小ネタ | Comments(0)

★の在りかた Freddie Mercury, Montserrat Caballé『BARCELONA』

BARCELONA, Montserrat Caballé, Freddie Mercury
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NHKBSで放送されたQueenのドキュメンタリーを2本観ました。その2本目で取り上げられていたのがフレディ・マーキュリーが晩年に取り組んだモンセラート・カバリェとのオペラ作品『BARCELONA』。日本語歌詞もあるフレディの芸術性が爆発した大作。素晴らしかったです。ロック・オペラとして、本流のオペラファンからは”いやー”と思うところもありそうですが、荘厳なオペラの世界への入り口として惹きつける魅力にあふれた名盤だと感じました。

2本のドキュメンタリーは映画『ボヘミアン・ラプソディ』の裏側はこうなっていたのかと思わせるもので、フレディの恋人たちなどが実際に出て来て見ごたえがありました。あまりにも劇的な人生。

人生自体がドラマのように感じることの凄味を感じつつ”Great Pretender”だったフレディを一人の人間として扱ってくれるトポスは何処かにあったのだろうか…当時はWebもなかった…などとも思いました。

凄まじい藝術を行うヒトはその藝が巧みなほどカミや魔人にしばしばみえます。けれど憧れが理解には最も遠いように、神格化は”人として扱うこと”からは最も遠いことかもしれない。私自身は芸術家は社会のルールに縛られないと思いますがそれと表裏一体となった『偉人の人生自体をドラマのように楽しむこと』の暴力性と、けれどその幻想が芸術家を時代の象徴へ昇華させるのかもしれないという功罪を想いました。

ただインターネット以後、特にSNS以後の世界に育ったWebネイティヴな世代はそもそもの気風が違うエリアにいるようにも思います。先日Googleがインターネット30周年を祝っていましたが、平成という時代は電脳空間が生まれ、社会に組み込まれていった時代だったなと。そこには旧世紀とは異なる形のスターの在り方があって、別のやり方のサヴァイヴの仕方がある。

もう暖かくなってきたというのに季節に遅れた服で町を歩く私ですが、「俺はアナクロ」と嘯いてばかりいないで、自分の歴史に筋を通しながらも現状にアジャストしていくべきなのかもしれない。それにしても『BARCELONA』の神聖な響きは本当に沁みる。そんな夜となりました。

by wavesll | 2019-03-14 23:03 | Sound Gem | Comments(0)

自分のオリジナルな創造だと満足できる基準は? 人間ってナンだ?超AI入門シーズン2 第三回「発想する」

AIは人間と遜色なく歌もつくれるし絵も描ける。人間とAI、そのクリエイティヴな活動に違いはあるのか。

徳井「人工知能に対してどのような感覚をお持ちですか」

藤田和日郎「ろくなことを考えない。マンガの世界ではAIは敵。発想がテーマだと今度は俺たちの仕事を脅かす、やっぱりワルい奴」

徳井「先生からしたら『ヒーローもの』『コメディタッチ』なんて入力でちょちょっと描かれたりしたら…」

藤田「何w!?冗談じゃないですよ。漫画界を代表するつもりではないですけれどみんな気にしてますから。」

「悪いヤツ」AIは敵か?味方か?

徳井「最近漫画を画くところでもデジタルなものが浸透してきているじゃないですか。先生はどうですか?」

藤田「うちは完全にアナログ。デジタルの入る余地が全くないので。全部手作業でやってますから。」

徳井「それって今時珍しくないですか?」

藤田「半々、もしくはまだまだいるような気がするんですけどね。アナログといっても人間などを手書きで書いてそれをコンピューターで取り込んでそれに集中線や擬音語をデジタルで乗っけて処理をするとか、半アナログ半デジタルをしてる人が増えてきているというか。完全にコンピューターの中で完成原稿に持っていくのが完全デジタルですね。それのどれでもない。全部定規で引っ張ってインク付けて絵を描いているという」

徳井「昔ながらの」

藤田「昔ながらのというとちょっとカッときますけどw」

藤田さんのアナログに徹した絵作り拝見させていただきました。大まかな画の配置を決めていきなりペン入れ、細かな下書きはしません。さらに取り出したのはなんとホワイトの修正液。インクで書いた線を消しては書きを繰り返す。修正液の凸凹の線まで表現に高める唯一無二の作品。

やはり「芸術は爆発」か?

米辻泰山(エンジニア)「PaintsChainerというサービスをつくっておりまして。色を塗るPaintsにChainerというフレームワークを使ったので名前を付けたのですけれども」

徳井「AIが色をつけるとなると完全に先生の領域に踏み込んで来ましたね」

藤田「もう本当に覚悟しています。俺たちの職業が脅かされるかどうかの瀬戸際ですからね」

米辻「これがホームページの画面になっていて、お手本の画が入っていて自動で着色処理ができるようになっていて着色結果が出ている。」

徳井「これはAIが着色しているんですか」

米辻「そうですね。自動で出てくるような形になっています。」

米辻さんが開発したPaintsChainer、線画イラストをAIが自動着色。60万枚もの絵を学習させた結果、様々なテイストの着色が可能に。

徳井「プロから見てこの色合いと言うか色付けは」

藤田「きれいだと思いますよ。ピンク色とか肌色を基本にあんまり突拍子のない感じでなくて落ち着いてまとめた、下地に薄いピンクが入っているのかな。まとまりのいい絵柄だと思います。AIで着色されたんですよね。違いがわからない感じはありますね。」

徳井「これは女の子で着物を着ていて髪飾りがあると認識しないと色を付けられないですよね。」

米辻「何かしら飾りがついてるとか認識していると思います」

徳井「男の子か女の子かもわかるんですか」

米辻「画像の認識の方で男の子か女の子かタグ(データの構造を識別するための目印)をつくれば認識できると想いますけどこれはタグは使っていないので、この中で認識してるかはわからないですけど、そういう認識ができるくらいの情報を学習していてもおかしくないかなと。」

人間とAI 認識の仕方が違えば発想の方法も異なる?

米辻「藤田先生から頂いた絵も顔の部分がこういう風になって、これあまり色がついてないなぁと想ったらヒントを与えることが出来るので」

藤田「ヒント」

米辻「ここに赤を入れると着色処理が生じて赤くなる。少しおどろおどろしい雰囲気だなと思ったら空色を入れれば空に成る」

徳井「誘導してあげる」

米辻「そうですね」

藤田「疑問に思うのはあなたが命令するんですか。それとも一番最初はAIで?」

米辻「一番最初に出たのは基本的にはノーヒントで。こちらの場合はヒント付き自動着色である部分にはこういう色だよということで他の部分を推測する。」

いかがですか藤田さん。藤田さんの画も私たちAIにかかればこんなに色んなヴァージョンを簡単に色づけられるんですよ。

藤田「自動着色装置で一番ベストな形は持ってきてます?これって途中のような気がするんですけれど。これが付けたやつですか?」

米辻「そうですね。基本的には色んな色を付けて選べるという感じで」

藤田「なんか過渡期のような感じがする。これから色が塗られていって完成すると言うか。もうちょっと能力高めてちょうだいよと。自分が思い切りやったやつをみせてよと。これじゃアンフェアだよなんて感じでいいたいような気がするんですけど。一番ベストな状態の方がいいですよね。」

米辻「一番ベストというと難しい」

藤田「この番組でレンブラントっぽい肖像画を描くみたいなプログラムをみているので…」

2016年に発表された17世紀の画家レンブラントの「新作」。実はこれ私たちAIが生み出しました。AIはレンブラントの全346作品をピクセル単位で分析。どの場所にどの色が配置されているか、それが別の場所の何色と一緒に出てくるか。画家独特の描き方のクセ、パターンを学習しました。ここで活躍したのがディープラーニング。

藤田「色んな塗り方がきっとこの中に入っているのかと思ったんですよ。」

松尾「選ぶ人の力になっちゃいますね。」

ここで藤田さんの一枚がを着色

藤田「漫画は線なので、線が出るとぐっと色原稿っぽくなりますね。何俺はアドバイスしてるんだw」

徳井「AI育てる側になってますよ。」

藤田「俺は敵のテイで来てますからね。俺の仕事を奪うなというテイで。わっこれはかっこいいな。一個欲しいなコレ。うすら寒い画面が伝わってきますよね。凄いや。」

徳井「先生が着色されたものはやっぱり凄いですね」

藤田「目的があるわけですよね、マンガってね。1ページ1ページに目的があってこれは不気味な感じで手前の毬を突いている女の子が幻のような感じで最後の「ボウ」で闇に融けていったという感じを出したく色を付けているものですから。おそらくそちらも不気味なものはあると思うのですけれども、目的があって色を付けているかどうかの違いかもしれません。でもいい線いってましたよ」

意図をもって不気味に描いたのか、意図はなく結果的に不気味になったのか。出来上がったものは似ていても発想という視点で見ると大きな隔たりがあるのかも。

人間の皆さん、こんな光景に出逢ったらどんな感じがしますか?怖い?気持ち悪い?不気味ですか?ところで不気味ってなんですか?

藤田「最終的な判断は、これをみて『もっと不気味に、もっと色味を』というのは人間なんですね。」

米辻「人間が選択する。選択に意思が反映されていれば、色んな候補を出すのは、人間でも『あーいうかんじこういう感じ』と上がってきたやつをみて出てきたやつを選ぶことはある。自動で出てきたものを使ってもらって、こういう感じにしてからここだけ修正しようかとか、この雰囲気もいいけどこっちもいいよね、これとこれのここのいい部分取ってこれ使おうか。」

藤田「それって漫画家と編集者みたいな感じで。自分が聴きたかったのはそれなんですよ。『仕事をとられるのか』とか冗談で言ってましたけど、最終的に我々一般の人間が聴きたいのは『人間がかむ隙間があるのか』。AIがはいコレはいコレと出すのを受け止めるだけなのかどうかが不安で。そういう風なことをお聞きしたかったので。」

私たちAIが画いた肖像画。別に何かを目指したわけではないのです。ところが人間の皆さんはこれに4800万円という値段をつけてくれましたよ。一体どうやって私たちAIは絵が上達するのか。松尾先生に解説してもらいましょう。

松尾
「今日お見せしたやつはGAN(Generative Adversarial Network:敵対的ネットワーク)ってやつで。作るヒトと見破る人が戦っている状態のプログラム。これを繰り返すと本物そっくりで見分けがつかないものができるもの。

ここにコンディションというヒントを入れる。こういうのをconditional GAN(条件付きGAN)という。一般的なGANでは初めから本物に似たものが生成できるとは限らない。例えばネコの画像を生成することを目指していてもジェネレーターが最初に作るのはネコに似たイヌかもしれない。そこでコンディショナルGANはあらかじめ厳しい条件を課しネコらしいものだけに絞り込む。GANよりもさらに効率的な方法。

米辻さんがやられたのはこれよりももっともっと進んだ奴でして。

米辻
「線画と着色結果のGANをやりたいのだけれどそういうセットはなかなかないので、絵から線画を抽出し、これを入力してAIに着色させる。この着色結果をオリジナルに近づくよう繰り返し学習をさせる。さらに例えばネコの画に着色させる場合「耳は茶色」とかの条件をつける。正解のデータを混ぜる。そうするとネットワークはここはこの色にすれば点数が上がるというのを学習する。」

AIも「秀才」のように点数をあげることが好き?

松尾
「さっき徳井さんが質問していた男か女か分かっているのかというのは、恐らく認識しているはずだと。それによって書き方を変えているはずだろうと。だけど本当にそうかはちょっとわからない。」

藤田
「漫画というのは男か女かを区別する記号がありますよね、まつ毛があったりとか。そういうのを入れて判断するってことですよね」

松尾
「結局色んなイラストがあって色んな絵の付き方があって、絵の付き方を真似しているうちに、まつ毛とか色んなものに注目して色を付けた方が本物と見分けがつかなくなるので、そういう風な学習が行われているということ」

藤田「AIの中で学習が行われている、これは困ったことですよ。漫画家としてはすごい」

徳井「だからそのAIが男・女と認識しているかは分からないけれども、こういう造形は女っぽい色合いの服を着るであろうという判断」

米辻「色と相関性の高いというのは色を正解としているので学習が進みやすい。白黒の映像も着色できる。」

では「不気味」のように感情と色との相関性をAIは学べるのか?

米辻「データがたくさんあれば学習できる。「楽しそうな画像」がたくさんあれば「楽しそうな色」がサンプルとして10万100万ある。「不気味そうな画」がたくさんある。そうするとその違いを学習できる。僕の物は不気味かどうかを判断できるデータはそんなに入ってないかと。」

藤田「判断できるかはデータの数ですか。努力しろということですね。人間の漫画家もね」

人間にとっての「経験」=AIにとっては「データの蓄積」?

徳井「先生や僕らが想う『この風景は不気味っぽいから不気味な色を付けよう』という色の付け方ではまだないということ」

米辻「論理的な話は認識してない。人間がぱっと見で”これはこうかな”くらいの反射的なもの」

徳井「今は僕らも情感があって不気味っぽいよねと色を付ける、AIはそうでない。けれど結果としては同じものに近くなっていくというのが進んで行くんですか?」

米辻「データが増えれば学習法も増えていっています」

徳井「これが進めばAIも人間と同じような「感情」で色を付けるようになる?」

松尾「ストーリーが最初にあって”この絵はこういう風に画こう”となる思考はAIにはなく、そこを考えるのは無理ですし、そこから設定して細部をこうしようというのを自動でやるのは無理なんですよね。なのであくまでも出来るのは”こういう絵だったらこれっぽいよね”と候補を出すこと。その中で一番よさそうなものを作家の方に選んでもらうというのが今のところ出来る現界。」

徳井「当分は藤田先生の仕事は奪われなくても藤田先生のアシスタントの仕事は奪われる可能性はある?」

藤田「自分はひととワイワイ喋りながら仕事しないとペン入れができないんです。そういうことはAIにはできないということになってくる。」

ムクチキンシ。私たちAIにとってデータの蓄積が大切なように人間のみなさんも様々な意見のキャッチボールで観方を修正。試行→反応→修正…試行錯誤の連続で発想を組み立てるんですね。

私たちAIは人間がどうやって発想するのか学習中です。ネットで公開されている絵を描くゲーム。与えられたテーマで人間のみなさんがどう絵を描くか情報収集。AIはカタチだけでなく書き順も分析。人間の皆さんが対象物のどこに「そのものらしさ」を認識しているのか画き方を通して学ぶのです。

どの部分に注目して描くかに人間の「発想」は宿る?

松尾
「AIホラーといいまして、学校のトイレに幽霊が出るような話と基本一緒。科学的に問い詰めていくと何で学校のトイレに幽霊が出るのというとあんまり理由ないよねということになるのだけれども、なんとなくそういう気がするじゃないですか。気がするので怖いのでそういうコンテンツになる。

AIも科学的に問い詰めていくとこれってデータから学習しているからそれ以上のことは出来ない。作っている側からするとAIの限界を凄く感じていて、そんなみんながいうようなことが出来たら苦労しないよという。全然つくれない。だけどやっぱりそういうイメージがあるからそういう映画が出来たりして人々の認知がそういう風になっているという」

AI=お化け?

米辻「僕らも何ができて何ができないって結構わかんないところがあって、これはできないだろうと思っていたことが3,4ヶ月後に論文で出たりして”え~それもう出来るの!?”となったりします」

藤田「科学者もそういうので驚いたりするんですか?」

米辻「特にディープラーニング業界は最近修羅場みたいな感じになっているので、一か月に何本論文が投稿されるのかという世界になっているので、発表しようと思っていたことがもう発表されてしまってたりすると、”もう卒業できないじゃん”となったり」

藤田「悔しかったり、感情が動くわけですね」

米辻「やーそれは悔しいですよ」

藤田「まさに人間。人間ってナンだ」

(波打ち際の夏の海の画像)みなさんはこの光景からどんな音が聞こえてきますか?
(草を食む馬の画像)これは?
一枚の写真から発想する音。私たちAIにはなかなか難しいことなんです。

徳井直生(アーティスト/AI研究者)「人間って何か写真だったり画を見たときにそこで鳴っている音。周りの音を想像できるじゃないですか。それと同じことをAIにやらせようという。風景の写真が出てきて音が鳴るのですが、此処で鳴っている音がここで録った音ではなくてAIが解析してこの風景にぴったりくるであろう音をたくさんある音の中からピックアップしているものになります。」

徳井(芸人)「音というのは何パターンかを持ってるやつなのですか?」

徳井直生「そうですね5万パターンくらいのファイルを集めてあらかじめ解析しておいて画像の特徴に合うような音を引っ張ってくる。」

松尾「音の方は合成しているのではなく検索している感じ」

徳井直生「そうです。大量にあるものから一番適切なものをあわせて。」

徳井(芸人)「この建物はどういう建物かなどを認識して出しているのですか?」

徳井直生「モデルの中にそういう情報が含まれていると思うんですけど学習したディープラーニングの中に。例えばこの画像は天上が高かったりするんですけれどそうすると反響音が強いものが返ってきたりして学習されてるんだなぁと」

徳井(芸人)「なんでこういうものをつくっているのですか?」

徳井直生「何かを見て想像する、イマジネーションというのは人間だれしも何気なく持っていることじゃないですか。それをこういう風にシステム化することである種客観的に観察できるような気がしていて。なぜ人間はこんな風に想像するのだろうということを、鏡みたいなものですよね。自分がどんな風に考えているのかな想像しているのかなというのをシステム化することでより深く考えることが出来るんじゃないかなと思ってやっています。」

システム化することで「発想する」過程を再発見できる!?

藤田「サポート的な楽しみみたいな感じなのでしょうかね。想いだす記憶の助けになったりするかもしれない。」

松尾「人間って画像だけじゃなくて音とか触覚とかいろんなものを同時に複合的に感じてそれで理解しているわけなので、画像だけでも音が響いてきたり、逆に音から画像を想像したり、色んなことが出来る。そういうマルチモーダルというかそういう概念を学習していくという。」

発想とは複数の感覚の組み合わせ?

人間のみなさんはマンガの擬音語や擬態語からも豊かにイメージが拡がるんですよね。その仕組みが解明出来たら私たちAIも発想できるようになるのかもしれません。

AIが人間が描いた絵を綺麗に整えてくれるネットのサービス。

でもちょっと待って、元の画の方が個性があったんじゃないですか?

個性ってなんですか?

徳井「自分がゼロから創造してつくっていると思っているけど実は過去の記憶とか色んなものの中から選択したものを出してるだけなのかもしれないけれどそれを勘違いで創造だと思っているにしてもその『創造』だと思うことが大事なんじゃないか。

これがオリジナルだと思うことで出来た作品に対する満足感があるじゃないですか。そこが大事だなぁと想うのですけれども、こういうAIに色付けにしたって”こういうパターンがあるよ”とすることが多くなっていくとそこの満足感て薄れるのかなぁとかちょっと想ったりするのですけれども。」

松尾
「多分レファレンスポイント(基準 目安)をどこに置くかという。要するに何と比べて話をするのかということで。人間と比べるとそこは意志の差だとか思いだとかそういうところが効いてくるわけです。

ところが人間とAIを比べると”人間はこういう風に学習してますよねこれは従来のコンピューターじゃ絶対できなかったことなんだけれどもディープラーニングで一部出来る様になってきたこと”なんだけれどもそこの所に焦点が当たるわけですよね。

今まで何を比べるのかの対象が人間しかなかったんですけれども、今度AIというのが人間を比べる対象になることによって、より人間の凄さだったり欠点だったり色んな所が明らかになってくる。」

藤田「凄い面白い。今の説明でAIと人間が違うのはきっとAIはプログラミングされてその目的に沿った一番統計的な物語を作るのかもしれないけれど、あんまり作家と言うか作り手としてはその意味を多く持たないというかなぜなら人間全員がそうだからその中でしのぎを削る際には我々は『自分が作った、自分がこのお話に愛情がある』という目に見えないものを信じている部分こそが一つの作品を作るものだ。

っていうのはもう長年…オカルティックなことは言いたくないんですけれども、なんかねそういうものなんですわ作品というのは。我々の精神を通ってでてきたものが作品だから、そこに強烈な意志がないと負けちゃうんですよね」

徳井「人間ってナンだというところでいうと今藤田先生が熱く、いや漫画家としての考えっていう心意気というかプライドというか信念みたいなものを語られたというのはここってAIにとっては”なんでそう…”なのかは理解できないものなので目的が違うじゃないですか。やっぱり藤田先生が藤田先生という一人の人間の人生を生きてらっしゃって漫画家という人生を歩んでらっしゃるからっていうところであって」

藤田「現実は現実のものと受け止めますよ。先ほどからの話はすごくおもしろかったですから。だから”所詮あんまり威張るなよ”って言われた気がするんですよね、AIの側から。”お前ら人間、何が1から創造するだ”と。AIにみせてマンガかくことは自信ないです」

強烈な意志、精神、オカルティック…どれも藤田先生の言葉です。AIには未だ実装されていません。
マンガ家という人生、プライド、心意気。こちらは徳井さんの言葉。私たちAIもそれらを手に入れたとき、今より一歩進んだ創作活動を行えるようになるのでしょうか。

知性が命を手に入れる時こそ発想に血が通い始める時。人間ってナンだ?


今回は藤田先生爆発の回でしたね。まさに人間の魂の発露と言うか、凄かった。

議論としては最後の『自分にとってオリジナルな創造と想えるか』という観点が面白かったというか。おそらくそれは他人のレールでなく自分の意志がどこまで介在しているかによるのだと思います。旅行にしてもパックツアーは個人旅行より合理的だけどそれだけじゃなんか味気ない感覚があって、自分の場合はパック旅行でも音探しとか自分なりのゲームを入れたりして。0-100でなくその間でどこまで自分の満足感を出せるか、だなぁと。

現状、着色にしても画像に音を付けるにしてもジェネリックというか廉価versionだなという感じですが、ここら辺でシンギュラリティが起きたら、また創造活動において人間とAIの関係性が変わってきそうだなと感じました。

by wavesll | 2019-03-14 22:09 | 小ネタ | Comments(0)

世界構造を理解するための装置 人間ってナンだ?超AI入門シーズン2 第二回「感じる」




AIが肉体を補う。

AIは今ロボット技術というカラダを手に入れている。その時「触れる」「聴く」などの互換も生まれるのか。感じる、認識する。その本質に迫る。鍵となる技術はディープラーニング。

今のロボットは障害物も飛ぶ。バク転もできる。足の圧力センサーで踏んだところの状況を認識し体を立て直す。

電気通信大学教授横井浩史による「筋電義手」という人間の筋肉の信号をとって義手が開いたり閉じたりする。脳からの指令で筋肉の表面で筋電位という放電が起きるのを感知。義手を動かす。

リアルタイム学習で手の動作と筋電位の関係をAIが学ぶ。使う人によって異なるパターンを人工知能が解析。0.2秒くらいは今のところ遅れがある。大人には通常できないが高校生は0.2秒の遅れに対応できる。

人間の「感じ方」には年齢も関係する?

この筋電義手があれば遠隔操作もできる。

身体性。知能は身体のなかに相当な機能が入っていて、体の付き方が変わると脳のボタンの押し方が変わってくる。近い将来身体が拡張されたとき脳にどんな変化が起きるのか。バーチャルとリアル、その境界を越えて感じ方すら変わってしまうかも。

(筋電義手を)面白がっていたこと自体が面白い。凄い単純なんだけれど、相当面白いのは

脳があって体が合って、手があって。そこに義手を付ける。
脳はセンサーからの入力とアクチュエーターへの出力を行っている。

脳から見たら指令を出すことと感覚を受け取ることしか関係がない。手の先に何があろうが関係ない。逆に言うと義手と本当の手の違いは何か?脳から見ると違いはない。

「何かを出力すると何かが返ってくる」構造を脳は学習する。例えば赤ちゃんは真っ暗闇の中で生まれて目から等の入力はあるが関係性が分からないから適当に動かす。最初の発見は「手が動く」こと。脳からの信号で動くことの関係の発見は大きい。

入力と出力の関係から世界の構造を解き明かす。人間は本能的に「何かを動かすと何かの結果が変わる」ことに対して面白いを感じるように設定されている。義手が面白いのは赤ちゃんの頃の面白さの再発見。

子どもの行動こそ「感じる」とは何かを知る第一歩?

『意志とは?』神経学者ベンジャミン・リベットの実験
入力と出力、脳からの指令で筋肉が動く。でも実際の動作はその指令系統だけでないことを明らかにした実験。動作の0.2秒前に意識的な決定があったが、さらにその0.35秒前にそれを促す無意識的な脳活動があった。

子どもができることをどうやってAIに学習させられるか。コンピューター科学者マービン・ミンスキーも「無意識でやっている学習が非常に重要だ」と。

また「モラベックのパラドクス」という言葉もある。
ロボット研究者ハンス・モラベックによる言葉で、「一見して難しそうなタスクよりも一見して簡単なタスクの方が難しい」。大人がやっているタスクは難しそうだがコンピューターには難しくない。寧ろ子供がやっているモノを掴むだとか投げるだとかの方がコンピューターにやらせるには難しい。けれどディープラーニングでその状況は変わりつつある。

米国西海岸、バークレー、カリフォルニア大学バークレー校
AIを搭載したロボットに子どもの知能と運動を学習させる研究が行われている。

中心となっているのがカリフォルニア大学バークレー校ピーター・アビール教授。箱にあいた穴にブロックを嵌め入れる動きを学習。ロボットが知っているのは自分の指先にあるブロックの位置情報だけ。箱の中にある目的地に近づけようとする。その試行錯誤の過程で穴を通さないと目的地に到達しないことを学び、その結果ブロックをはめ込むことが出来る様になる。

アビール「このロボットを研究するにあたって最大の課題はロボットの学習です。AIの最近の学習例をみるとほとんどがディープラーニングです。巨大なニューラルネットワークに学習させ自動的に判断させるのです。

このロボットをみると大きいので大人のようだと思われるかもしれませんね。しかし我々の狙いは子どもの知能をロボットで再現することだと言えるでしょう。

実はチューリング博士も1940~50年代に提唱しているのです。子どもの知能さえAIが再現できれば自ら学び大人の知能を持つに至ると。重要なのは子どもの知能を構築すること。それさえできれば大成功です。

このロボットの能力ではブロックを同形の穴に入れられるか?それがちょうどよい課題です。子どもができるには1時間かそれ以上かかります。このロボットもブロックを同形の穴に入れるのに1時間かかります。白紙の状態から身につけるまで1時間を切るくらいの能力なのです。学習中のロボットと子どもとの類似点はとても興味深いです。」

松尾
「もう一個難しいことをやっているのが、脳に入ってくる情報というのはデータでいうと『2018年11月O日にセンサーID11番の値が0.982でしたよ』みたいなのがずっと続き、『アクチュレーター3番に17.5という値を出力』がずっと続いている。このデータの入出力から世界が三次元であることを見つけ出している。」

やっていることはスイッチを入れて帰ってくるところのみだが、そこから世界の構造をみつけだしている。こんなシンプルに学べるのならば人間が作れるのではないか?というのがまさにディープラーニングの世界で起ころうとしていること。

こういうデータの束から世界の構図と言うか内部モデルを作り出そうとしている研究がこの1年2年の間にでてきている。

人間は単純なデータの出入力の連続で複雑な世界の構造を理解していく?

この出して帰ってくるものから学ぶことが人間の賢さの土台を作っている。人間の知能は2階建てだと考えているが、その1階部分は身体性と言うか環境の中に知覚して行動してのループからいろんなものを紐解いていく。

1階と2階も関係あると松尾氏は考えていて、たとえばスポーツ選手は言葉での刺激でもヒントを学ぶことが出来る。

為末「身体がないと人間の知能はないのか?」

松尾「非常に重要な昔からのAIにおける問い。」

徳井「頭だけが生まれた場合他のことから学習することはないのか?」

松尾「センサーとアクチュレーターは世界中に散らばっていてもいい。そこから脳が学習すれば。人間の身体という必然性はない。必ずしも知能において身体性は必要じゃないんじゃないか。身体性があった方が学習が早くなるのだけれどもなくても入出力の関係を上手にモデル化する仕組みが出てくるのではないかという方向も見えてきつつある。」

人間の脳が世界中のセンサーと直接つながる時代が来る!?

ディープラーニングの技術が一般の日常に活かされるには、画像認識の技術が良くなって、外界に働きかけるアクチュレーターの精度が上がれば色んな運動の制御ができるようになる。義手のようにパターンの学習をどうさせるかは難しい。例えば模倣学習という手法では人間が手本をみせることで学習させ、もう一つは「良き結果」を提示し試行錯誤させて学習させる方式もある。

カルフォルニア大学バークレー校ではAIを搭載したロボットアームによる手術システムが研究されている。
皮膚の下の腫瘍を取り除き、再び縫合する手術の実験。ベテランの医師なら患者の肌に触れ、患部の様子を感じて繊細にメスを操るはず。そんな人間のデリケートな感じ方も再現したい。模倣学習も取り入れられAIも複雑な動きも効率的に身に着けることを目指している。

ピーター・アビール教授は模倣学習に加えて新しい手法を取り入れている。

アビール「当研究所ではすべての学習方法を試しています。深層教師あり学習深層強化学習など。ロボット学習のほとんどは深層強化学習と深層模倣学習ですね。我々は他に大人に似た学習も試しています。転移学習という新たなディープラーニングです。

現状から学ぶだけでなく過去に学んだ色々な前提を使います。大人が過去に学んだことと現状を結び付けるのと似ていますね。過去にも学んできたのだから今に活かしてより速く学習してほしい。そう考えるのが『転移学習』の考え方です。とても重要な学習方法であり誰もが求める能力でしょう?ロボットには過去のスピードよりも速いスピードで将来は学んでほしい。過去の経験を通して学びの速度をどんどん速めてほしいというわけです。」

転移学習

子どもって良く走る。走り回ってるうちに走り方が上手くなる。サッカーをやるのも上手くなる。サッカーをやっているとボールの跳ね方なんかも学習してくるので今度別の球技をやったときにボールの軌道を読めて上手にプレイできる。

あるところで身につけた知識を別のところで使うことが人間はかなりやっている。

大谷選手は転移学習や模倣学習をやりまくっているのではないかと想っている。練習量自体は普通の人とそんなに変わらなくてもそこからの学習が異常に効率がいい。ちょっとした動作でも”自分の体をこう動かしたらこう返ってくるはずだ、あれそうならないぞ?”とずーっとやってるはず。また他人の動作を見て自分の体に置き換えて模擬的に学習する。そういう風に如何に効率的に学習するかを相当やっているのではないか。

それと同じような学習が模倣学習や転移学習や教師なし学習といった技術。

為末「運動音痴の人は出力と言うか力の入れ具合の問題というより、やってみたことが結果どうだったというフィードバックの受け取り方が下手な可能性もある?」

松尾「複数の潜在的な要素に分解するのが下手なんじゃないかと。複数の要素の中からクリティカルなポイント、単純な構造を見つけ出す、Disentanglement(もつれをひも解く)能力が運動神経がいい人は高いのではないか。」

高橋礼美(補聴器メーカー製品担当)「最近の補聴器はあまり周りの騒音を感じさせないではっきり言葉を聴きとれるようなカタチになっている」

松尾「ノイズかノイズでないかは難しい判定では?」

高橋「補聴器は360度環境をスキャンしこの音は会話、この音はノイズと瞬時に判断しノイズだけを抑制する」

松尾「意味内容によってフィルタリングすることはかなり高次な知的機能では?」

高橋「そこは脳が注意を振り分けることで対応」

デンマークにあるオーティコン補聴器エリクスホルム研究センターでディープラーニングによる研究が進んでいる。

ラース・ブラムスロー(リサーチエンジニア&プロダクトマネージャー)
「私たちは実際のユーザーに焦点を当て開発しています。厳重に管理された環境下でユーザーにリスニングテストを行っての開発です。聴覚障害を持つ方にお願いし同時に話される2つの声に集中してもらいました。

2つの声が混じっている中で集中するのは難しいタスクです。しかしディープニューラルネットワークを使い2つの声を両耳に分けることで彼らのパフォーマンスが向上しました。

このシステムは時間をかけてあなたのまわりの人の声を学習していきます。配偶者、親戚、同僚などの声をもとにライブラリーを築きシステムが対象者を切り替えることで集中したい声の抽出が簡単になります。例えばディナーパーティーなどで新しい人と出会った時、その人の明瞭な声を3分間聞くことでシステムはその声を識別できるようになります。

今後5年間で補聴器技術にディープニューラルネットワークを活用したいと思っています。」

音声の個性を感じて聞き分ける。

松尾「人間の聴覚は非常に複雑なことをやっていて文脈によってはノイズになるものが文脈によってはノイズにならない。『なんか音してない?ブーンって音してない?』って言われると耳を澄まして『あ、してるねぇ』と会話する。それっていうのは一見してノイズなものが会話のコンテンツになる。これらを凄く上手に切り分けている。人間の脳はとても複雑なことをやっている。」

徳井「ネコが『ムミャーオ』と鳴いているのを人間の赤ちゃんと間違えることと同じで。ノイズもちゃんと聞き分けられてないとノイズなのかヒトの会話なのか分からない」

松尾「最初は意識的に行っていたものが無意識下で行われるようになって自動化されてきているのかもしれない」

埼玉県和光市ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンで聴覚に関してAIを用いたユニークな研究がおこなわれている。聖徳太子顔負けの能力を持ったロボット。

一斉に注文を話されても対応できるロボット。

中臺一博(プリンシパルサイエンティスト)「こちらは我々が開発したヒューマノイドロボットで音を聞き分けるという機能を持っている。穴が開いているところにマイクロフォンが16個ついていて、16個のマイクを同時に使って複数の人が同時にしゃべっても聞き分ける。

マイクが少しずつ違う位置についている。違う位置から人がしゃべるときに音が届く時間がちょっとずつ違ってくる。この音が届く時間の差を利用して聞き分ける。方向を聞き分けその方向の音だけを抽出する。そうすると色んな音が混じっていてもその方向の音だけがとれ、それを音声認識でAIの技術で大量のデータからの学習で処理する」

音声のレイアウト(配置)を感じて聞き分ける

現在11人まで聞き分けられるというこの技術、AIが感じる力を発揮することで人間の命を助けることもできる。

中臺「五月蠅いところでも音を聞き分けられるから、災害地で人命救助するとき、カメラで探してもがれきに埋もれては発見できない。そういう時に『助けて』という声だとか携帯の音を検出できればいいわけで、ドローンにマイクを付けて飛ばすことで五月蠅い環境でも音を検出できるなどの展開を考えている。」

松尾「人間の脳で聴覚の情報を扱っているのは視床下部を通じて入ってきて大脳皮質で処理する。大脳皮質は聴覚だけでなく映像の情報、言語の情報なんでも扱う。

モダリティーといってデータを連合して人間は認識しているので一つのモーダルの情報が他の情報に影響を与えるというのは良くある。人間は複合的に理解している。それは世界の構造を見つけ出すことを早く解きために色んな情報を複合的に利用していることがあるのではないか」

脳はマルチモーダル(複合的)に世界を感じている

為末「さっきの補聴器に関して選手が集中してゾーン体験になるときって、観客の音が引いて自分の足音だけとかバットの音だけに成ったりすると聴く。そういうのを意図的に作り出したらみんなすごい集中状態に導けるのでは。逆に本番に弱い選手は観客の音が聞こえすぎる」

「聴覚」を制御すれば身体能力まで制御できる!?

松尾「今ロボットの研究でcuriosity(好奇心)っていう要素を入れよう研究がかなり広がってきていて、なぜかというと人間も同じことをしていると飽きる。なぜ飽きるかというと世界の探索をしなければならないので自分が世界モデルを作れてしまった領域から外の知らない世界に興味を持つというのが結構重要なこと。知らない=予測が当たらない。自分がこういうことが起こると思ったのにそれが起こらない、予測の乖離度が大きいほどより学習が早く進むという研究がある。

子どもの脳のAIをつくりだすために最初に徹底しておいた方がいい要素が好奇心」



今回はシーズン1よりさらに進んだ議論が提示されましたね。

好奇心というものがヒトの本能にプログラムされているのは人間の大きな目標が「この世界を探索し構造を理解していくため」。また私は運動音痴なので「フィードバックの受け取り方がヘタ、問題の要因の分解がヘタ」という指摘にはなるほどなぁと覆いました。

子どもの知能をつくりだすことがAI研究の大きな目標ですが、そうして生んだAIが自律的にホモサピエンスを越えていくというのは恐ろしくもあり。一方で身体が知覚には必ずしも必要でなく、遍くネットワークと知覚を連動させるという話は人間の進化として興味深く聴きました。

by wavesll | 2019-03-13 21:57 | 小ネタ | Comments(0)

情報産業に足りないのは「身体の知覚」か 人間ってナンだ?超AI入門シーズン2 第一回「会話する」



2018年11月中国のAIアナウンサーが流暢にニュースを読み上げ驚かせた。AIは誰の声でもつくれる。早口言葉だって得意。

「AI研究でこれから進歩すべきは本当の意味で言語を理解する能力です。コンピューターが私たちと交流するようになれば言葉の本当の意味をより深く理解できるようになるのです」

言葉を使うとは。言葉の意味を理解するとは。会話することの本質ってなんだ?その謎に迫る技術こそディープラーニング。

坪井一菜(女子高生AIりんな開発者)。今のりんなは電話のように声で会話できる。まだ素っ頓狂だけれども女子高生っぽい言葉で友達のような感覚を表現。ユーザーは740万人を超える。

雑談で人を知れる。人間は会話の時少しの飛躍を楽しんでいる?

今のりんなの会話は第三世代の共感モデル。相手がこの話題を続けたいか他の話題に行きたいのか推測する。ストーリーを決めて返答するのではなくその場で返答を考えての返事をつくっている。

自然な会話を続けるための対応:相手に新しい話題を切り出す, 質問する, 相手の発言を肯定, 聞き手に回る, あいさつを返す 等

りんなもシークエンストゥシークエンスという大量の会話データから「相手の意図を判断するAI」と「返答を生成するAI」の二つで自然な会話をプログラムしている。

AIはどのように会話している?
相手の話がポジティヴかネガティヴかは品詞ごとに分解し解析するのに加え、RNN(リカレントニューラルネットワーク)を駆使しどんな端午の組み合わせがどんな順序で並んでいるのか文章全体の文脈からニュアンスを解析。

Seq2Seq(シークエンストゥシークエンス)は、人が相手の言ったことを全部聞かないと答えられないように、エンドオブセンテンス(EOS、文の終わり)が入って初めて出力すること。つまり相手の言った情報がすべてたまる技術。文章という意味のまとまりをはっきりと認識する。単語から文章、さらにはさらに長文までためることが出来る様になればさらに向上していく未来がある。

世界的なAI研究者、フェイスブック人工知能研究所所長ヤン・ルカンさんはこうした会話する技術が言語の翻訳でも役立つという。

「RNNはまた異なったものでとても頻繁に文などの一連のデータ(の処理)に使われます。例えば英語から日本語にある文を翻訳したい場合一単語ずつ読み取り意味表現を組み立てます。これは簡単に言えば長い数字のリストです。この長い数字のリストから日本語を正しい順番で出力するため別のニューラルネットワークに入力されます。つまりリカレント(=再帰する)ネットワークです。基本的に文の長さによりネットワークの大きさも変わるのが特徴です。」

RNN、そしてSeq2Seqという技術の発達。それによりAIは相手の話を文章で受け止められる段階まで来た。

金田隆志(音声合成開発者)

感情表現、語尾を上げたり下げたりの表現力をディープラーニングで人間に近く学習し表現。AIも人の声を学習し感情に訴えることができる。でも本当に言葉に感情を込めるなら言葉の意味を知らねばならない。会話するAI、最大の課題。

意味を理解するとはどういうことか。文字が入ってきたとき文字を出すので会話が成立するようにみえるが本当に成立しているか。

ジョン・サールの「中国語の部屋」:ある作業員の仕事は外から入ってくる文字列をマニュアルに沿って変換して送り返すこと。例えば感情的な言葉には感情的な言葉を返す。こうすると何も言葉の意味を理解していなくてもやりとりが成立する、つまり意味が分かっているとみなされてしまう。

ノーム・チョムスキーが考案した文「Colorless green idea sleeps furiously(色のない緑のアイディアが激しく眠る)」は意味が分からないが文法的には成立してしまっている。意味は分からないのは矛盾しているから?なぜこういうナンセンスな文が存在し得るのか?

松尾先生によると多くの学者が言うことを総合すると、人間は言葉を使うこと以外は大体サルと同じ。サルやイヌはどういうことをやっているかというと「環境を知覚し運動する」こと。その上に言葉のレイヤーがあり、「環境→知覚→運動」は「言葉」と2階建て構造で連動している。「言語レイヤー」から「具体的な体験」をイメージするのが意味理解ということ。AIは言葉を聞いて具体的な体験を想像出来たら意味を理解したと言える。

「ほっそりしててもぽっちゃりしてても猫は猫」と言い切れるのが人間の凄いところ。

言語学者フェルディナン・ド・ソシュールは人間はネコという言葉(シニフィアン:言葉・意味するもの)とシニフィエ(概念・意味されるもの)を結び付けて理解しているが、AIはネコという概念を思い描くことができないとされていた。概念をもたないAIは少しでも違う見た目のネコを猫だとは思えない。ところが…

ヤン・ルカン「ディープラーニングがここ数年で大きな進歩をもたらしました。AIに自動的に学習させ概念と概念の関連を見出せるようになりました。AIに世界を観察させたくさんの概念を身につけさせることも期待できます。概念の集合は私たちが「常識」と呼ぶものになりのです。世界についての十分な概念が集まればAIにも「常識」が芽生えてくるはずです。」

AIは言葉と概念を結び付けて会話できるようになるのだろうか?

米国・ワシントン州レドモンド、マイクロソフトリサーチ。世界中からトップクラスの人工知能研究者が集まっている。ここで意味理解につながるある研究が行われている。

人工知能研究者ペンツァ・チャン氏とチウユアン・ファン氏。
「きょうは私たちがやっているtext-to-image(文章から画像を生成)の研究をお見せします。『ドローイングボット』と一般的に呼ばれているものです。このAIは自然言語で1つの文を入力するとそれに沿った画像を返します。

『この鳥は赤くて白くてとても短いくちばしを持つ』と入力すると画像を出す。例えばこの鳥。この鳥は赤くて白い、くちばしもとても短い。この鳥も凄くリアルに見える。ほかのどの鳥とも違う。」

他の文章を入れても複雑な文章でも画像を生成。

「この画像を見ると与えられた文『黄色い』や『頭が黒い』に対応している。だからここは黄色いし頭が黒くなっていてくちばしも短い。でも鳥はいろいろポーズをとっている。背景も違う。これはAIの力。AIは自然言語の説明にあるちょっとした不確実性を補完できる。そして画像をより詳細なものにできる。

text-to-imageという純粋な自然言語の説明を元に画像を生成する研究はまだ始まったばかりだ。長期的な目標は機械の概念を人間の概念に近づけることだ。機械が人間と同じような理解を持つようにしたい。」

近い将来AIも人間と同じ概念を手に入れる!?

近い将来AIも人間と同じ概念を持ち意味理解できるのか。人工知能研究の第一人者、カナダ・モントリオール大学ヨシュア・ベンジオ教授に伺う。
「脳のニューロン1つ1つにデータ処理能力は無いのです。それがルールに従うように集まってシステムを成します。シグナルを受けシグナルを出す。大量のニューロンが力を合わせると非常に知的な能力を発揮するのです。この仕組みは脳でもコンピューターでも同じことです。」

人間の脳の仕組みも解析すれば物理的な電気信号の連続。学習を適切に繰り返せばいつかAIは人間と同じような知性を持つにいたるのでしょうか?そしてAIが人の話す言葉を本当に理解し会話する日は来るのでしょうか?

ヨシュア「私たちの体や脳は言ってみれば物理法則に従うだけ。ただ非常に複雑なシステムだという科学的な視点をとるならば私たちは本質的に機械なのだとも言えますね。ランダムな『でたらめ』があったり複雑ですが我々は機械なのです。機械としての人間について理解をしっかりと積み重ねていけばその理解を応用して知的な機械を組み立てることもできます。それこそが私たちのデザインした新たな人工知能なのです。

これを受け入れない人もいます。私たち人間は絶対に違う。どんな機械にも再現できない知性を持つと信じる人もいます。なぜなら人間には何か自然を超えた『魂』のようなものがあると。それはしばしば宗教的な信念とも結びついています。しかし科学的な視点から言えば本当にそんなものは無いのです。私たちは単なるシステム、ただし壮大で複雑な機械なのです。

いつの日か知的な機械を作ることが出来る。できない理由はありません。その前に地球を滅亡させなければの話ですが。」

2階建ての2階部分の技術は進展しヒトと同じくらい、人以上になってきている。これからは「1階」と「2階」が連合して動くようになってくる。比較的近い将来にヒトの意味理解を大きく超える技術が出てくるかもしれない。今2階だけなのに人間と同じくらいになっているのはデータの量が多いから。1階とともに行くと人を超える意味処理が可能になる。意味理解が本当にできるのは5年~10年ほどでは。



第一シーズンと重なるところもありましたが、text-to-image技術の話や「2階建て」の話は面白かったです。どうもメディアだけに触れてると「身体性」が失われる気がしたのですが、「言語レイヤー」と「具体的体験」が両輪で知覚に成るという話が腑に落ちました。コンサル等の言葉が上滑りするのは「身体の知覚」が伴わないからかも。「何を話すか」よりも「誰が話すか」が重視されるのも身体性が伴っているかが大切にされているからかも何ても想いました。

囲碁で人知を超えた手が生み出されるように、「1階」も手にしたAIがヒトより上位の知的存在になる、そんな時代の遷り目に我々はいるのかもsりえないと改めて空恐ろしくなった次第でした。

by wavesll | 2019-03-13 20:10 | 小ネタ | Comments(0)

『カメラを止めるな!』金曜ロードSHOW副音声生コメンタリー裏話集


昨年の日本映画の台風の目となった『カメラを止めるな!』ついに地上波で流れましたねー。今回の金ローの目玉は上田監督や秋山ゆず季さん等が生解説を副音声でしたこと。丁度木曜に池袋シネマロサでのロングラン上映が終わり、最後の花火打ち上げって感じでわいわい楽しかったです。

このエントリでは副音声生コメンタリーで”おっ”と思った裏話を綴っておきます。

・撮影期間は8日。その内廃墟では5日。濱津さん演じる監督役の家は実際の上田監督の自宅で終電もあって4hで撮った。

・ワンカット撮影は6TAKE撮って、5回目が一番きれいにいったが、外連味や熱が6回目の方があったためそちらを採用。実際の撮影でもガチのトラブルによるガチのアドリブでのつなぎがあったらしい。そちらの方が面白いと。最高かよ。

・例えば序盤のメガネゾンビが廃墟の中で襲い掛かるシーンがコンタクトがなかなか嵌らず登場が遅れたり、あとカメラに血のりがついてしまったのもガチトラブルで、そういうのを活かしてのあの勢いだったとは。

・秋山ゆず季の役どころはファイナルガール(ゾンビもので最後まで生き残る女の子)。タンクトップにショートパンツはファイナルガールあるあるな格好らしい。胸も盛ったらし。

・飲んだくれオッサンゾンビが吐くゲロは河豚雑炊。本当に臭かったらしいwこの映画ではCGを使った場面が二つあって、一つは秋山ゆず季がゾンビに噛まれたケガだと思っていた跡が実は木の葉?かなんかで剝くことが出来たシーンの補正と、もう一つがこのゲロの増量。

・「斧捨って」のカンペを出した人は実際の本名も「オノ」さん

・ワンカットオブザデッドの最後のシークエンス。当初のプランでは秋山ゆず季の足元をずっと写して最後にクレーンショットだったのが、そのテイクで秋山の靴紐がほどけてしまったため、急遽顔を映すプランに変更。血のりを舐めないための表情がなんとも怖い良いショットとなった。

・濱津さんが選ばれたのは困り顔が良かったから。

・メイク役のエロ人妻の赤ちゃんは上田監督の実子w服も娘の映画T以外はほぼそれぞれの私服での撮影だった。まさにインディー映画魂w

・「ちょっとはちょっとだよ」の人は演技が本気すぎて凄すぎたらしい。また廃墟の柵が間が結構空いていて、ゾンビが倒れ掛かるシーンは結構危なかったのだとか。

・娘役の真魚さんは本当にバスケ経験者だったそう。それは上田監督は知らなかったそうだが、結構な割合で本作は役者への当て書きでの脚本だそう。

・最後の人間ピラミッド、リハでは全然成功しなくて、本番の時もなかなか上手くいかず、若手俳優君が入ったのはガチの入れ替えでのほぼほぼドキュメンタリーな部分だったそう。

やーホントなんか文化祭な楽しさがびんびん伝わるいい映画でしたね。さながら金ローは後夜祭な感覚でした。上田監督たちの今後の活躍が楽しみです。

by wavesll | 2019-03-09 06:25 | 映画 | Comments(0)